【制定後が大事】行動規範を確実に社内浸透させるための仕組み作り | ベーシック 角田 剛史

株式会社ベーシックの角田(@takeshisumida_)と申します。私は現在ベーシックにて、執行役員としてコーポレート部門を管掌しています。

多くの会社では、会社として目指すミッション・ビジョンや企業理念に加え、会社に属する社員に求める「行動規範」を何かしらの形で定めているのではないでしょうか。

我々ベーシックでも、いわゆる「コンピテンシー」という形で定めています。会社によっては「バリュー(Value)」や「クレド(Credo)」として制定している場合も多いかと思います。

バリュー、クレド、コンピテンシー、いずれにしても「行動規範」と位置付けられるものは、その組織に社員として属する以上重要な要素であり、ベーシックにおいても、日常業務、採用、評価、あらゆる面において行動規範を重視しています。

当たり前ではありますが、制定した行動規範は、全社に「浸透」しないと意味がありません

ところが、行動規範の制定に時間をかけて取り組む企業は多い一方で、制定後、行動規範を「浸透」させるためのPDCAを回し続けている企業は多くはないように感じます。(完全にブーメランとなりますが、かくいう過去のベーシックもそうだったと言えます。)

加えて、行動規範はその時々の会社のフェーズや状態によって変わり得るものであり、ベーシックにおいても、今後この行動規範自体をまた見直す可能性は多分にあります。

ゆえに、その行動規範の「浸透」については、どのような行動規範においても通用する「再現性」のある取り組みにしておくことが重要だと考えています。

この記事では、その「再現性」という観点も踏まえて、ベーシックが行動規範を浸透させるために行なった具体的な取り組みをご紹介していきます。

経営層や人事として働いている方で、

  • これから行動規範の導入を検討している
  • 行動規範は導入済みだが、その浸透に苦労している
  • コロナによるリモートワーク下において行動規範が弱まってきている

などの課題をお持ちの方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

ベーシックにおける行動規範

ベーシックでは行動規範を「basic power(BP)」という内部呼称で呼び、具体的には以下の3つを定めています。

ベーシックがこちらの行動規範を制定したのは2019年の期初です。

実はそれ以前も現在のものとは異なる行動規範を持っていましたが、なかなか思うように浸透させられていませんでした。

立てた事業計画に対する未達も続き、また離職率も一時40%を超えるなど、この行動規範を制定する直前は、組織的にも決していいコンディションとは言えない状態でした。

もちろん行動規範だけで会社の全てが変わる訳ではありませんが、この状態を打開する上での一つの施策として刷新したものが現在の行動規範となります。

この行動規範を制定する上で気をつけた点は主に以下です。

  • 圧倒的にシンプルで覚えやすいか
  • 会社の成長に必要であり、さらに向上させたい行動は何か
  • どのような行動特性を持っていると人と一緒に働きたいか

ベーシックではこの新しい行動規範を制定以降、毎月定期的にその浸透度合いを全社員アンケートで定量的に測っており、以下のように着実にスコアが向上してきています。(こちらのスコアの定義については後ほど触れます)

行動規範の浸透施策

それではここからは、行動規範の浸透のための取り組みとして、ベーシックで行なった事例に基づき以下の5つに分類してご紹介していきたいと思います。

1. 繰り返し啓発する
2. 分かりやすく噛み砕く
3. 適切に評価をおこなう
4. 部署ごとに責任者を据える
5. 日々の行動レベルに落とし込む

1. 繰り返し啓発する

経営陣が必死に考えた行動規範も、残念ながら現場にはすぐには浸透しません。

基本的かつ地道な施策ではありますが、とにかく繰り返し啓発することがまずは大前提として必要です。

その際は頻度はもちろん、伝達の形態も複数あった方が良いでしょう。ベーシックでは以下のような形で、事あるごとに行動規範を社員に伝えていました。

  • 社内の複数の目に付く箇所にポスターを掲示
  • 社員証ケースに入るサイズのカードを全社員に配布
  • 新入社員のオリエンテーションで社長から意義を説明
  • 月に一度の全社朝会で伝達
  • 四半期に一度の全社会議で伝達

掲示物により行動規範が物理的に社員の目に常に触れる状態を作ることはもちろん、全社で集まる場においては、なぜその行動規範が重要なのか、時には現場での事例も交えながら、経営陣から繰り返し伝えるようにしています。

(実際にオフィスに掲示してあるポスターの例)

2. 分かりやすく噛み砕く

1. の啓発は、行動規範をまずは「言葉」として記憶させるために効く施策です。

これと合わせて重要なのが、行動規範を分かりやすく噛み砕き、各社員により「自分ごと化」させることだと考えています。

ベーシックではその「自分ごと化」を促進するために社内報を活用しています。社内報の運営目的の一つとして「行動規範の強化」を明示的に設定しており、それを実現し得る記事を定期的に出しているのです。

例えば、MVP受賞者や昇進者が出るたびに必ず社内報として記事化し、それらの人がコトを為す上で際立っていた行動規範を、業務上の具体事例と共に噛み砕いて紹介しています。

身近な人、具体的な行動を、記事という印象に残る形で紹介することにより、自分としてどういう行動を取るべきか、行動規範に対する理解を深める手助けをしているのです。

(実際にMVPの受賞者を扱った社内報の例)

3. 適切に評価をおこなう

行動規範が最終的に全社員に浸透すべきものであるならば、行動規範が社内で相対的に優れている社員は、全力で讃え、その内容を全社に見える形で共有すべきだと考えています。

ベーシックでは全社会議を年に4回おこなっており、その中でいわゆるMVP表彰があります。

MVP表彰では与えられた目標数値を達成しているのはもちろんのこと、「その数値達成のために行動規範をいかに高次元で発揮したか」をポイントに評価しています。

例えば、いくら目標数値に対する達成度が圧倒的だとしても、一匹狼でチームワークを無視した行動を取る社員であれば、それはベーシックの行動規範である「TEAM SPIRIT」に反することになるため表彰の対象とはなりません。

また、受賞者の紹介動画をはじめ、表彰する際の演出についても徹底的にこだわります。MVPは表彰者を最大限讃えることに加え、その表彰を見ている他の社員が憧れるものであるべきだからです。

MVPを獲ることがかっこいい、尊敬すると思われてこそ、それを次に目指す社員が現れ、結果的に優れた行動規範を持つ社員が増加していく好循環が生まれていくと考えています。

(実際の全社会議でのMVP表彰の例。※現在は新型コロナの影響で完全オンラインで実施)

4. 部署ごとに責任者を据える

最終的には会社全体に行動規範を浸透させると言っても、常に全社に対して呼びかけているだけではなかなかうまくいきません。

前述したアクションは全社的に取りつつも、同時に、部署ごとに行動規範浸透の責任者を定め、その責任者が自身のチームに必要なアクションを取っていくことが重要です。

ひとえに行動規範の浸透と言っても、部署ごとに現状の浸透度合いや課題が異なってくるからです。

基本的にはその責任者は組織図上のマネージャーであるべきですが、そのマネージャーが行動規範の体現者として相応しいかの見極めは合わせて重要となります。

なぜなら、行動規範を自身で体現できていないマネージャーが行動規範浸透のための正しい施策を立案・実行することはできませんし、行動規範の浸透には、マネージャーが自らの行動で示す「率先垂範」が何より重要と考えているからです。

これは当たり前のことのように聞こえるかもしれませが、往々にしてそうなっていない例は多いと感じます。

特定の部署の行動規範が一向に向上しない場合は、マネージャーが正しく据えられているかの確認も今一度必要となるでしょう。

5. 日々の行動レベルに落とし込む

上記のように責任者が正しく据えられた上で、行動規範をより効果的に浸透させるには、それぞれの行動規範に必要なアクションを、部署単位で「日々の行動レベルで定義する」ことが必要です。

例えば以下は、ベーシックのある部署で実際に設定されているアクションです。

この内容は会社および部署によって異なってきますので、こちらに記載しているアクションはもちろんあくまで一例です。

大切なのは、それぞれの部署の状況をよく分析・把握した上で、その部署において行動規範が足りない原因となっているポイントを見極め、部署のメンバー間で認識共有をした上で、そのポイントが向上され得る適切な形で「日々の業務レベル」にまで落とし込むということです。

制定した行動規範の重要性は継続的に呼びかけ続ける一方、ただそれだけだと、具体的に何に気をつける必要があるのか分からないメンバーも多く、結果的に全社への浸透が難しいと考えています。

行動規範の浸透度合いの計測

ここまで行動規範の浸透施策について紹介してきました。

次に必要なのが、行動規範が確かに浸透しているかどうかを定期的かつ定量的に「計測」することです。

ベーシックでは冒頭に触れた通り、この計測のために毎月全社員に対してアンケートを実施しています。

ここで、部署別、行動規範別に5段階で評価をおこなってもらい、どの部署において、どの程度行動規範が浸透しているのかを定期的に確認しています。(以下「COMMITMENT」の場合のアンケート例)

【5段階評価の内容】

  • 1 目標達成に向け、逆算して行動ができていない人が多い
  • 2 1と3の間
  • 3 常に目標から逆算し、優先順位をつけてやり抜く人が多い
  • 4 3と5の間
  • 5 3に加え、前例にとらわれず新しい方法も含めて挑戦し、最後までやり抜く人が多い

ご覧の通り非常にシンプルなものではありますが、ベーシックの場合は行動規範を刷新して間もないということもあり、高機能ないわゆる人事評価システムを入れたり、定性面まで含めて細かく聞いて分析を複雑化させていません。

まずは計測と浸透のためのPDCAサイクルがしっかりと運用に乗ることを優先しています。(ここのアンケート粒度は、各社のフェーズによって異なるでしょう)

強いてポイントを挙げるとすると、質問の対象を「あなた」ではなく「あなたの周り」にしている点です。

本人ではなく「周り」を評価基準とすることにより、自分の行動規範は高いと考える人も、自分のみならず他のメンバー含めチームとして行動規範を高めるにはどうすべきかを考えるようになり、結果行動規範が組織により早く浸透することを期待しています。

(実際におこなわれているアンケート結果の例)

行動規範向上のためのPDCA

そしてこの結果に基づき、さらに浸透が必要な行動規範の確認および、それに向けたアクション策定をおこなっています。

このプロセスの中で重要となるのが、繰り返しになりますが部署ごとでの確認です。あくまで全社として行動規範を向上させていくことが最終的なゴールですが、その度合いは結局は部署ごとの積み上げです。

各責任者が各部署のスコアを確認し、スコアが低い行動規範に対して原因となり得る組織課題を特定し、その課題を解決し得るアクションをまた日々の行動レベルで定義する、とにかくこのPDCAを回し続けることが肝要と考えています。

なお、このPDCAプロセスを遂行する上で、行動規範の浸透結果を、責任者の評価と連動させることはとても効果的です。

つまり、自部署の行動規範向上を定量的数値目標と共に責任者のミッションとして設定し、その達成度合が人事評価に影響するようにするということです。

ベーシックの場合、ミッションを細分化して管理をおこなう目標設定と、その達成度合いに応じた評価を厳格に行おこなう人事評価制度がベースとして備わっています。

行動規範の向上が必要な部署の組織長には、実際にミッションとして明確に渡す運用をおこなっています。

(ベーシックにおける人事評価制度の取り組みについては、HR NOTEのこちらの記事でも詳細を記していますので、よろしければ合わせてご覧ください)

今後ますます高まっていく行動規範の重要性

新型コロナウイルスをきっかけに多くの企業がテレワークに移行し、同じ会社に属しながらも社員同士が直接面と向かう回数は相対的に減っています。

そのような中で、社員が一丸となって同じ方向に進み、またオンラインでの業務を中心としながらこれまで通り成果を上げていく必要があるこの状況の中で、各企業が社員に求める行動規範の重要性は以前より着実に高まっているのではないでしょうか。

ベーシックでは、これらの取り組みを継続した結果、完全にリモートワークに移行後も、各行動規範のスコアは上昇し続けています。

特にこの状況の中チームスピリッツがより高まっているのは、自分たちの会社ながら誇らしく思います。

もちろん複合要因ではありますが、結果的には、冒頭に触れた離職率も現在では適正な数値で推移しており、おかげさまで各事業も順調に成長を続けています。

今回ご紹介したベーシックでの取り組みが、行動規範の浸透を目指す会社において、少しでも参考になれば幸いです。

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