【実践編③】「あなたが上司ならどうする?」1on1のやり方を部下のタイプ別にご紹介|NEWONE連載#4

急速に広がるテレワーク・リモートワークにより、働き方自体が大きく変わりつつあります。

これまで以上にメンバー同士の対話の機会が減る中で、どのようにすれば効果的に「1on1」を機能させることができるのか。

今回も、具体的な1on1の実践方法について、幅広く人材育成や研修サービスを提供する株式会社NEWONEのココラボ責任者である桐山さんに寄稿いただきました。

メンバーのタイプ別対応実践編第3弾となる本記事では、「関係性の欲求」が高いメンバーの対応ポイントについてご紹介します。

「関係性の欲求」が高いメンバーへの対応方法

【執筆者】桐山 恭子 | 株式会社NEWONE ココラボ責任者

大学卒業後、採用コンサルタントとして多種多様な企業の新卒採用企画及び新人研修をプロデュース。採用セミナー講師、キャリアカウンセリングなどの経験を経て、2006年より人材開発コンサルタントとして主に企業の人材育成・人材開発の研修プログラム開発責任者として従事する。新人研修から管理職研修まで幅広い階層にてファシリテーターとして活躍する他、アセスメント研修での幹部候補・役員候補のアセッサーや、360度研修などのグループコーチ、個別面談におけるコーチングなども多数実施。3人の子供の育休からの復帰経験あり。今までのノウハウをHRTech領域にて活かすべく2020年よりココラボ責任者に就任。米国CCE.Inc.認定キャリアカウンセラー。

タイプ別の対応方法に関する第1回、第2回の記事に続き、実際に1on1を実施するイメージを湧かすために、メンバーを9つのタイプに分類して、それぞれ「優先順位」「期待値」は何かを考えていきたいと思います。

第1回、第2回の繰り返しにはなりますが、社会心理学者のエドワード・デシによれば、人間には自律性の欲求」「有能感の欲求」「関係性の欲求という3つの基本的欲求があり、これらが満たされることで、やる気を高め、主体性を生み出すと言われています。

この3つの欲求を更に細分化し、それぞれタイプ別に分けたのが、上記の9つの意向です。

今回は、この中の「関係性の欲求」が高いメンバーに対する1on1での具体的な対応ポイントについて考えていきたいと思います。

「お客様ファーストで社会の役に立ちたい!」Gさんの場合

ケース⑦

転職マッチングサイトを運営する会社に新卒で入社したGさん。

部署への配属後、チームメンバーの前で堂々と「会社理念に共感して入社を決めました。電車で疲れているサラリーマンを一人でも減らせるような世の中を作りたいです」と挨拶をするなど、社会の役に立ちたいという想いが人一倍あるようです。

しかし、OJTで1-2か月の間、営業電話をひたすら掛ける実習をした際に、同期の中でもGさん一人がノルマを達成することができませんでした。

Gさんは「電話掛けをするために入社したわけではない」「電話したところで、拒否されるようなサービスで本当にお客様に価値を提供できているのか?」と周囲に不満を漏らしているようです。

同じOJT期間中に実施している既存顧客への提案同行では、非常に良い動きをする一方で、断られたり拒否されたりすることに対する拒絶感が強いようです。

そろそろGさんと話をしたほうが良いと1on1を実施することにしましたが、Gさんにどのような言葉をかけるのが良いでしょうか。

Gさんの特徴

9つのタイプの中で、Gさんは「社会・顧客とのつながり」の意向が最も強く、「社会や顧客にとって意味があると感じる仕事かどうか」を特に重視しています。

「意義ある仕事に取り組みたい」という気持ちが強くあり、そもそも何のためにやるのかという目的思考が強い人や、仕事への想いが強い人が多い傾向にあります。

一方で、「この仕事に意味はあるのか?」と思うとモチベーションが下がりやすく、状況によっては、スタートダッシュが遅くなる可能性があります。

1on1などで関わる際のポイント

Step1:良い面をフィードバックしましょう

仕事に対する真剣さがあるタイプのメンバーには、日々の事実行動から真剣に取り組んでいるシーンを思い出し、「〇〇の場面で△△さんの××という取り組みが素晴らしく良かったね」というようなポジティブなフィードバックを伝えるようにしましょう。

Step2:現状に関してヒアリングしましょう

今の仕事に対する率直な満足感を聞きながら、「なぜこの会社を選んだのか」「なぜ今の仕事に取り組んでいるのか」といったことを聞きましょう。

その際、興味関心を持って聞くことが大事です。真剣さがあるからこそ、軽いトーンではなく、深く確認するようにしましょう。

また、自分の考えに近いところがあれば、しっかりと共感を示すことが大事です。目指す目的の部分において似ている点があることがわかれば、信頼関係の構築につながります。

Step3:より良い環境が生まれるようにフィードバックしましょう

視野が狭くなる場合があると思いますので、1on1を通じて、視野を広げるような関わり方を徹底しましょう。

自分の仕事が何につながっているのか、ステップを伝えつつ全体感を感じてもらうことが大事です。

また、お客様や他部署からの評判の声を収集しておき、フィードバックするのも良いと思います。仕事に対する意味付けが大事なタイプであるので、今の仕事を本人が意味付けできるよう意識してください。

100点満点な繋がりが無い場合でも、繋がっている部分を強調することで、近い未来に、より繋がっている仕事にシフトできることも伝えていきましょう。 

「まずは上司との関係でしょ!」Hさんの場合

ケース⑧

新しくチームを受け持つことがわかり、自分の担当チームのメンバーについて事前に把握しようと考えている中で、Hさんが一番知識も経験もあり、チームの要としてメンバーから慕われていることがわかりました。

Hさん自身も上司との関係性を大事にするタイプのようなので、「Hさんに助けてもらったら上手くいきそうだ」と思い、Hさんとより良い関係を構築したいと考えています。

ただ、以前のHさんの上司である前任者に話を聞いたところ「最初はぐいぐい来るから少しびっくりするかもしれないけど、その時にこちらも真剣にやりとりしないと後々大変だから」と忠告を受けました。

そして着任日、早速Hさんから時間を取ってほしいと言われ、「率直に話ができる上司のもとで仕事をしたい」「上司には自分を上手く使ってもらいたい」「信頼できる方ならとことん頑張れる」「自分に何を期待するか教えてほしい」と言われたあなた。

一旦、日を改めて話をすることにしましたが、Hさんとどのような1on1を実施すれば良いでしょうか。

Hさんの特徴

9つのタイプの中で、Hさんは「上司とのつながり」の意向が最も強く、「上司と良好な関係性かどうか」を特に重視しています。

求められる期待を捉えた上で、率直に会話でき、相互補完のある信頼関係を望む気持ちが強くあります。信頼関係を大事にしており、自らの成果に対して直視している傾向があります。

一方で、過去の上司との嫌な経験から「上司」というものに過敏になっている可能性もあります。また、初期段階でしっかりと関係性を作らないと、スタートダッシュが遅れる可能性があります。 

1on1などで関わる際のポイント

Step1:良い面をフィードバックしましょう

成果に対する責任感があるタイプのメンバーには、「この仕事をなぜHさんにお願いしたいのか」を整理することから始めましょう。

その後、「〇〇の強みがあるHさんに、◇のように推進してほしい」というような期待をしっかりと伝えるようにしましょう。 

Step2:現状に関してヒアリングしましょう

相互の信頼関係が大事なので、リーダー自身も、率直にオープネスで話をすることが大事です。

また、リーダー自身がどのような関係を築きたいかを伝えることも意識しましょう。

その上で、現状の仕事内容や役割、裁量やフォローなどについて、気になる点が無いかを確認し、意見交換をしましょう。 

Step3:より良い環境が生まれるようにフィードバックしましょう

仕事内容や役割、裁量やフォローなどで、気になる点があれば、対応できるものから対応しましょう。

その上で、より良い信頼関係は、短期間では構築できません。

  • 仕事のゴールだけでなく、二人の関係性のあるべき姿を明確化する
  • 一緒に取り組む仕事を作り、共に成し遂げる
  • メンバーが困っているところをフォローする
  • できる限り対等な立場で、あるべき姿や成果に対する振り返りをする

というような活動を通じて、より良い関係を築くようにしましょう。

「チームって大好き」Iさんの場合

ケース⑨

入社7年目のIさんは自部署の中核メンバーで、個人の意思を主張するタイプではありませんが、チーム一丸となって取り組むことを好むタイプです。

互いに励ましあったり、チームで成果を出すよう動いたりと、チーム意識が高いため、あなたは次のリーダーはIさんだと感じています。

そこに、実力主義の営業会社で働いてきた経歴を持つBさんが中途で入社してきました。Bさんは個人プレーをしてしまう傾向がやや強いですが、殺伐とした職場環境にはうんざりして転職してきた背景があります。

そこで「IさんであればBさんの能力を早期に引き出し、上手くチームに溶け込まし、チームに貢献してもらう働きかけができるのではないか」と考え、IさんにBさんの面倒を見てもらうことにしました。

最初の内は、IさんがBさんを巻き込んでチームメンバー同士の相互理解の場を設けたり、Bさんに成果が出にくい若手の面倒を頼んだりと動き回っていました。

しかし、BさんにもBさんとしての主張があり、なかなか思う通りにいかないこともあり、次第にIさんの元気がなくなってきたのを感じるようになりました。

このままでは問題だと思い、Iさんと1on1を実施することにしましたが、Iさんにどのような言葉を掛けるのが良いでしょうか?

Iさんの特徴

9つのタイプの中で、Iさんは「職場の仲間とのつながり」の意向が最も強く、「職場の仲間と良好な関係性かどうか」を特に重視しています。

志が同じで、チームとして成果を目指し、一丸となるような風土を望むという気持ちが強くあります。職場の雰囲気を大事にしているため、より良い関係性を築くことのできる傾向があります。

一方で、一丸となれない雰囲気が出てくるとモチベーションが下がる可能性があります。また、個人としての明確な意見がわかりづらい可能性もあります。 

1on1などで関わる際のポイント

Step1:良い面をフィードバックしましょう

チームを大切にするタイプのメンバーには、チームに対する貢献部分を思い出し、「Iさんの〇〇な活動がチームにプラスになっている」というようなポジティブなフィードバックを伝えるようにしましょう。

そして、貢献してくれていることに対して、しっかり感謝することが大事です。 

Step2:現状に関してヒアリングしましょう

現状の仕事内容や進め方にストレスが無いかを確認しましょう。

  • 自身の役割がはっきりしているか
  • 進めて行く上で障害となるようなことはないか
  • 周りの関係者とは円滑にコミュニケーションできているか

といった点を確認し、それに加えて、チームの状態についても、どのようにとらえているのかを確認しましょう。

特定の誰かとの関係性について課題を感じることも多いので、しっかりと掘り下げて聞いてみましょう。 

Step3:より良い環境が生まれるようにフィードバックしましょう

仕事内容や役割に関して気になる点があれば、対応できるものから対応していきましょう。

また、それに加えて、改めてチーム全体の進めていく方向性やその意図を伝えるようにしましょう。チーム全体が見えるように、視野を広げていくような関わりを取ることが大事です。

また、各個人との関係性については、まずはしっかりと聞いた上で、本人ができそうな行動があれば、小さなことでも良いので、アクションするよう提案しましょう。(例:チームメンバーに締め切り前日には提出するように促す、など) 

最後に

今回は「社会・顧客とのつながり」「上司とのつながり」「職場の仲間とのつながり」を重視するタイプに対する1on1の実践方法についてご紹介しました。

タイプによって、重視するポイントや調整するポイントが異なり、それぞれ見極めて対応する必要があります。

「メンバーが働く上で何を重視しているのか」といった点は、なかなか上司としても聞く機会の生まれない問いであるかと思います。関係性によっては、面と向かって聞くこと自体が憚られる場合もあるのではないでしょうか。

その難しさを乗り越えるために、NEWONEでは、管理職の7つ道具(ココラボ)として、1on1の支援ツール「カルテ(https://cocolabo.club/karte)」を用意しております。

カルテは、全40問を回答すると、仕事やチームへの意向として9つのカテゴリーの“今・現在”の優先順位が出るものになります。

メンバーの診断結果を踏まえて1on1を実施するだけで、1on1がとてもやりやすくなります。無料のツールになるので、ぜひご活用ください。

次回の記事では、「1on1のその先を見据えたこれからのチームづくり」についてお伝えできればと思います。

公式アカウントをフォローして毎日記事をチェック!