
技術革新によって日々新しいビジネスやサービスが生まれる中で、業界問わず多くの企業から必要とされているのが、エンジニアの存在です。
ここ最近では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や、リモートワークの拡大をはじめとした企業のデジタル化などさまざまなIT改革が進んでおり、需要拡大により人材が不足しているのが現状です。
「優秀なエンジニアを採用したい」「求人を出しているものの、なかなか応募が集まらない」というお悩みを解決するために、本記事では、エンジニア採用の実態や採用するためのポイントについて解説します。
1.エンジニア採用の動向
エンジニアは現時点で約30万人が不足しているといわれています。
経済産業省が公表している「IT人材需給に関する調査」に基づくデータでは、2030年には現状の倍以上の約79万人の人材不足に陥ると予測されています。
加えて、パーソルキャリアが行ったdoda転職求人倍率レポートによると、職種別の有効求人倍率では、技術系(IT・通信)が8.08倍と他職種と比較しても最も高い有効求人倍率となっています。
厚生労働省が発表した2020年度の平均有効求人倍率が1.18倍であることからも、企業にとってエンジニアの確保がいかに難しいかがわかります。
世界中でデジタル化が加速化する中で日本が後れをとらないためにも、エンジニアの採用は企業にとって避けては通れない重要課題といってもいいでしょう。
※引用:doda転職求人倍率レポート(2020年12月)
2.エンジニア採用が難しい理由
そもそも、なぜエンジニア採用は難しいのでしょうか。
理由は企業によっても異なりますが、大きく分けると以下の点があげられます。
2-1.フリーランスエンジニアへの転向
正社員としてで働くことだけが、エンジニアの働き方ではありません。
一定スキルや経験があれば、フリーランスとして独立し、自らクライアントと取引することも可能です。
最近ではクラウドソーシングやフリーランス向けのマッチングプラットフォームも多く、働く時間や日数を自ら調整しやすいフリーランスに転向するエンジニアが増えています。
2-2.必要スキルの多様化・細分化
IT業界は、日進月歩の世界です。
新たな開発言語、開発環境などが次々と生まれることで、エンジニアの中でも持っているスキルが細かく分類されるため、採用担当者が自社の求める人材を見極めることが難しくなっています。
採用担当者の職種理解が不十分だと、採用後に現場とのミスマッチが起きてしまう可能性もあります。
2-3.労働環境のネガティブイメージ
多くの企業が働き方改革に積極的に取り組む中でも「納期間近は激務になる」「なかなか休みが取れない」などというイメージを持たれがちなのが、エンジニアの労働環境です。
そのため応募が集まりにくく、慢性的な人手不足という悪循環を引き起こしてしまいます。
2-4.若年のパソコン離れ
今の若者は、パソコンよりもスマートフォンの利用率が高いスマホネイティブ世代です。
2020年にはプログラミング教育が小学校で必修化されたものの、20代前後の若者の中には、パソコンを持っていない・使えないという人も少なくありません。
少子高齢化が進む中で若年のパソコン離れが進めば、今後のエンジニア不足は更に深刻化することが予想されます。
3.エンジニア採用のポイント
さまざまな社会的背景があるとはいえ、企業にとってエンジニアが重要な戦力であることに変わりはありません。
ここでは、エンジニア採用における効果的な手法をご紹介します。
3-1.社内のエンジニアの協力を得る
エンジニア採用においては、現場のエンジニアを巻き込みながら進めると良いでしょう。
専門性の高いエンジニアの仕事内容やスキルを採用担当者がくまなく理解するのはなかなか難しいものです。
採用基準やターゲット像の設計から面接同席、合否の判断などを現場のエンジニアと一緒に進めることで、現場が求めている人材とのミスマッチ防止にもつながります。
3-2.開発環境や必要スキルを具体的にする
エンジニアにとって自身の経験やスキルを新しい職場でも生かせるのか、新しい技術を習得できる環境があるのかは重要な見極めポイントです。
求人票や求人広告ではプログラミング言語、OS、DB、その他ツールなどをできるだけ具体的に記載して、入社後の開発環境をイメージできるようにしましょう。
また、募集職種において最初から必要なスキルについても具体的にすることで、エンジニアも応募しやすくなるでしょう。
▶悪い例
ECサイトのバックエンドの開発
・必須スキル
Ruby、JavaScript、DB設計
▶良い例
・仕事内容
Ruby on Rails、MySQL、Redis、ElasticSearch を利用したECサイトのバックエンド開発
・必須スキル
Ruby on Rails を利用してサイトのPV数を前月比○○%UPさせた経験
MySQL によるデータベース設計と実装経験
3-3.自社の強みを知る
自社の事業や仕事内容の強み、働く社員にとっての魅力を整理することも大切です。
事業や仕事であれば、クライアントや社会に対してどのような価値を提供しているのか、競合他社との差別化ポイントはどこなのか。社員にとっては、会社のビジョン、社風、福利厚生など、どういったメリットがあるのか。
自社の強みを明確にすることで、求職者にもアプローチしやすくなります。
3-4.多彩なキャリアパスを用意する
要件定義や設計、構築といった上流の仕事に携わりたい人、PMやPLなどマネジメントに挑戦したい人、ひたすら現場で開発に従事したい人など、エンジニアの志向は十人十色です。
一人ひとりの志向に合わせた多彩なキャリアパスを用意しておくこと、あらゆる選択肢があることを伝えることで、応募意欲も高まるのではないでしょうか。
3-5.福利厚生の充実
福利厚生を見直すこともオススメです。
リクナビNEXTの調査によると、エンジニアに人気の高い福利厚生は、健康に関することでした。
産業医による健康管理指導業務やストレスチェック実施サポート、フィットネスクラブやジムを格安で利用できる制度などは、多忙を極めるエンジニアにとって魅力的なポイントといえます。
3-6.採用フローを短くする
エンジニアの採用フローは一般的な職種の採用フローに比べ長くなりがちです。エンジニアは引く手あまたなので、採用フローが長いと、面倒に感じ、他社に流れて行ってしまいます。
エンジニアと密に連絡をとりあい、面接はなるべく求職者の都合に合わせて設定し、短い期間、短い選考フローで採用できるようにしましょう。
しかし、短い選考フローを意識しすぎて、入社後に企業とエンジニアのミスマッチを招いてしまっては意味がありません。なので、スピード感だけでなく、質も意識して採用活動を行いましょう。
4.エンジニアの採用手法
ハードルの高いエンジニア採用を成功させるためには、採用コストや時間などを考え、適切な手法を選択することが大切です。ここでは代表的な手法をご紹介します。
4-1.ダイレクトリクルーティング
「攻めの採用」として注目されているダイレクトリクルーティングは、企業が直接求職者へアプローチをする採用手法です。
メリットは、求職者からの応募を待たずに直接アプローチをかけるため、自社にマッチする人材を獲得しやすくなります。
エンジニア採用では「量」だけでなく「質」も重要になるため、優秀な応募者にアプローチできるダイレクトリクルーティングは非常に有効的です。
しかし、採用業務量が増加してしまうというデメリットもあります。企業側から直接メールなどでアプローチをかけるため、エンジニアの選定やスカウトメールの内容作成、メールの返信対応など様々な業務が発生します。
専任のダイレクトリクルーティング運用担当者をつくり効率の良い運用体制を構築すると良いでしょう。
4-2.求人媒体
求人広告を利用することで、多くの人の目に留まるのでより多くの求職者からの応募が期待できます。
不特定多数の人が見るため、仕事内容や待遇を具体的に記載するとより効果的です。
現在中途採用を行っているIT・Web業界企業の約7割が掲載型の求人広告サイトを利用しており、多くの企業がメインの採用手法として利用していることがうかがえます。
求人媒体の選び方
エンジニア採用は一般的な職種とは違い、専門的な職種で数も少ないです。そのため、求人媒体もエンジニアに特化したものを選ぶようにしましょう。
また、費用なども検討するようにしましょう。エンジニア特化型の求人媒体は成功報酬型のものや月額料金型のものなどがあります。自社の採用予定人数や予算に合わせて選定していくようにしましょう。
その他、スキルが事前に分かったり、サポート体制が整っている求人媒体を選ぶと良いでしょう。
後ほどエンジニア採用におすすめの求人媒体をご紹介します。
4-3.人材紹介
人材紹介の場合、人材紹介会社の登録者の中から採用条件にマッチした人材のみを紹介してもらえるため、工数を抑えて短期間で採用することが可能です。
エンジニアに特化した人材紹介会社も多く存在するため、技術やスキルの見極めもある程度お任せできるでしょう。
また、成功報酬型が多く実際に採用できるまで費用がかからない点もメリットです。
しかし、先ほども記載した通り、紹介される人材は人材紹介会社の登録者の中から紹介されるため、希望する人材がいない可能性もあります。また、地方での採用を検討している企業は、エンジニアの母数が少ないため自社に合った優秀なエンジニアを採用できる可能性が低くなる場合もあるでしょう。
4-4.リファラル採用
リファラル採用とは、自社の社員に知人や友人を紹介してもらう採用方法です。
人柄をよく知る友人・知人を紹介するため、企業と応募者の間で起こる採用のミスマッチが起こりにくく、定着率の向上が期待できます。
アメリカでは一般的な採用手法とされており、特にマイクロソフト社やGoogle社を含むIT先進企業が集まるシリコンバレーでは、リファラル採用が積極的に採用されています。
リファラル採用は従業員が紹介してくれないと採用ができないため、従業員が紹介しやすいような仕組み作りが大切です。従業員エンゲージメントを上げ、友人や知人に紹介してもいい企業だということを思ってもらえるようにしましょう。また、もし紹介してくれた人が不採用になってしまった際のフォローも行う必要があります。
5.エンジニア採用におすすめのサービス
paiza|paiza株式会社
paizaは、35万人以上のITエンジニアが登録するIT/WEBITエンジニアのための転職サービスです。
転職市場に存在しないITエンジニアにもリーチすることができるだけでなく、応募前にプログラミングのスキルチェックをすることで、候補者のスクリーニングも可能となっています。
「スキルの高い応募者に出会えない」「求人掲載のコストが膨らんでいる」という方におすすめのサービスです。
URL:https://paiza.jp/pages/recruiters/career/service
アイティ人事|ア・ロッカ株式会社
アイティ人事は、採用戦略から採用者フォローまで、合否を除く時間や手間のかかるすべての代行を行っているサービスです。IT企業に専門特化しており、IT企業のことも理解し、かつエンジニアの視点も持っている採用のプロに依頼することができます。自社の課題感や規模感に合わせ、柔軟なプラン設定が可能な点も大きな特徴となっています。
サービス名:アイティ人事
Forkwell Jobs|株式会社grooves
Forkwell Jobsは、経験、知識、スキルともに専門性の高い即戦力エンジニア44,000人が集まるスカウトサービスです。
面倒な求人票の作成をチェックリスト機能を活用しながら簡単に作成できます。
企業と求職者の魅力をどちらも“見える化”することにより、ミスマッチを防ぎ、98%以上の高い定着率を実現。
スキルマッチだけでなく、ビジョンやミッションに共感してくれる人材の採用に役立ちます。
サービス名:Forkwell Jobs
URL:https://recruiting.forkwell.com/
転職ドラフト|株式会社リブセンス
転職ドラフトは、ITエンジニア特化の成功報酬型ダイレクトリクルーティングサービスです。指名の時点でユーザーに年収提示を行っていただくことが特徴で、開催時期と期間が決まっている、イベント形式のサービスです。
スカウトの返信率平均90%以上、面談商談率35%で高確率でエンジニアと接触することができる。
独自審査に合格したエンジニアのみが参加でき、厳選された優秀なエンジニアのみにスカウトを送ることが可能。
また、エンジニアに特化した独自のレジュメにより、どのようなエンジニアなのかをより詳細に確認しスカウトを送ることができる。
サービス名:転職ドラフト
URL:https://job-draft.jp/company_service_inquiry
Green|株式会社アトラエ
Greenは、IT・Web業界・ベンチャー企業の採用に強い成果報酬型の転職サイトで、業界最大級の求人を保有しています。
登録者の約8割は20代~30代の若手層かつ、Green転職者の中でエンジニア・クリエイティブ職種経験者が過半数を超えるなど若手IT・Web系経験者採用に強いサイトといえます。
求人の掲載期間や掲載数は無制限のため、採用できないまま掲載期間が終了してしまうというリスクもありません。
スカウト機能やアプローチ機能も充実しており、企業からユーザーである求職者にスカウトメールを直接送ることができるダイレクトリクルーティングも可能です。
サービス名:Green
URL:https://get.green-japan.com/
BIZREACH|株式会社ビズリーチ
BIZREACH(ビズリーチ)は、国内最大級のダイレクトリクルーティングサービスです。登録者は159万人以上、これまで累計20,000社を超える企業がスカウトを実践してきました。
職種100種類以上、業種50種類以上から検索が可能で幅広い人材が登録していることが特徴的ですが、ビズリーチを通じて内定を獲得した方の4人に1人がエンジニア職と、エンジニア採用に関しても高い実績があります。
また、登録者は全員独自の審査基準をクリアした方のみのため、即戦力の採用が見込めます。
データベースを活用し自社に適した人材を絞り込んでスカウトを送ることができるため、効率的な採用活動が可能になります。
URL:https://bizreach.biz/landig/base_01_introduction/
Find Job!|株式会社ミクシィ・リクルートメント
Find Job!は圧倒的コストパフォーマンスが特徴の中途採用求人サイトです。
通常、1名応募獲得の相場は数万円と高額の場合がありますが、Find Job!の平均応募単価は1万円以内です(※全国対象、各企業の平均)。
また掲載開始までスピードが速く、最短で翌営業日から掲載がスタートが可能なため、採用担当者の工数削減にも効果的です。2回目以降の掲載は最短3時間で可能です。
サービス名:Find Job!
URL:https://www.find-job.net/org/
type|株式会社キャリアデザインセンター
typeは、2009年以降エンジニアの掲載職種数No.1のサイトです。
定期的に開催されるエンジニア向け転職フェアなど、独自の集客によりエンジニアからの認知度が高いことも特徴です。
エンジニア採用ならではの職種コード設定が可能なため、機械系エンジニアなど専門職種を採用したい場合にも有効的です。
サービス名:type
URL:https://info.type.jp/engineer-recruitment/
GizTech Pro|株式会社Gizumo
GizTech Proは、貴社のニーズに合わせたエンジニアに常駐案件を依頼できる人材シェアリングサービスです。エンジニアは2カ月~からアサインすることができます。
貴社の課題やニーズをヒアリングのうえ最適な人材をご提案し、アサイン後もパフォーマンス向上のためのアフターフォローを実施しています。
「プロジェクト概要が固まっていない」「チーム体制が決まっていない」といった状況でも相談できます。
また、「即戦力エンジニアが欲しい」「急な離職でエンジニアが足りない」「チーム体制で複数のエンジニアが必要」という場合でも活用することができます。
サービス名:GizTech Pro
URL:https://giztech-pro.com/lp/001-1/
HIGH-FIVE|株式会社クリーク・アンド・リバー社

HIGH-FIVEは、クリエイターエージェンシーのパイオニアであるクリーク・アンド・リバー社のサービスです。
30年以上のノウハウと85,000万人が登録するデータベースの活用だけでなく、徹底的に現場に寄り添うため企業の採用ニーズに沿った人材を紹介してくれます。
大手ゲーム開発会社やデジタルコンテンツ制作会社の支援実績もあります。
サービス名:HIGH-FIVE[HR]
URL:https://hr.high-five.careers/
Wantedly|ウォンテッドリー株式会社
Wantedlyの最大の特徴は、給料や待遇についての記載がNGであることです。
企業側は仕事のやりがいや働く社員の人柄、社風をアピールすることで、自社にあった人材にアプローチします。
ユーザー層は、ITやメーカー・商社・外資などで経験を積んでいる20代〜30代の若手が中心で、直近での転職をあまり考えていない転職潜在層に対してもアプローチが可能です。
費用は月額制で成功報酬がかからないため、高い費用対効果が期待できます。
サービス名:Wantedly
URL:https://www.wantedly.com/about/list
Gtalent|ビズハイツ株式会社
Gtalentは、日本での就業経験のある方を中心に集客し、登録者の約7割が日本語をビジネスレベル以上に習得しています。また、オンラインビジネス日本語学校による日本語学習レッスン「Zipan」の提供も含め徹底的なサポートを行っています。また、IT知識豊富なバイリンガルコンサルタントが高いマッチングを実現し、2022年度は早期退職0件という実績を残しています。スタートアップから大手企業まで幅広くサポートし、初めての外国籍採用企業に対してコンサルティング支援を行っています。
サービス名:Gtalent|外国籍エンジニア人材紹介
URL:https://www.gtalent.jp/recruiting
GitTap|ビズハイツ株式会社
GitTapは、多国籍なIT人材と、厳選された国内の成長企業をマッチングさせる転職/採用プラットフォームです。約50%以上(※2022年12月時点の登録者データを元に算出)の登録者がビジネスレベル以上の日本語能力を有する優秀な人材データベースと、世界中の求職者との円滑なコミュニケーションを可能にする様々な便利機能により、企業のIT人材採用を大きく飛躍させることができます。
サービス名:GitTap(グローバルIT人材求人メディア)
レバテック|レバレジーズ株式会社
レバテックは、業界歴15年のITエンジニア・デザイナー専門のエージェントです。
新卒採用、中途採用、派遣、フリーランス(業務委託)など様々な契約形態に対応しており、採用ニーズに合わせた人材を紹介してくれます。
職種別の専門チームが採用をサポートし人材のミスマッチを防ぐことができます。
「成果報酬型」のサービスとなっているため、ご紹介いただいた人材が参画/入社が決定するまで無料で利用可能です。
サービス名:レバテック
URL:https://career.levtech.jp/contact/recruit/
6.まとめ
エンジニア不足に悩んでいる企業は多く、この流れはこの先も続くことが予想されます。採用が難しい理由にはさまざまな理由がありますが、とはいえ打開策があることも本記事を通してお伝えしました。
採用担当者だけですべてを抱え込まずに社内のエンジニアと一緒に採用活動を進める、採用条件を見直す、働きやすい環境を整えるなど、まずはできることから着手してみてください。自社での採用活動が難しいと感じたら、人材紹介会社や求人広告を活用するのもひとつの手です。
本記事で紹介した採用手法を参考に、エンジニア採用の可能性を切り拓いていきましょう。
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