福利厚生と給与の違いは?どちらか判断する基準を紹介! |HR NOTE

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福利厚生と給与の違いは?どちらか判断する基準を紹介!

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  • 福利厚生

「福利厚生と給与の違いについてわかりやすく確認したい」

「福利厚生と給与のどちらで計上すべきか?」

「福利厚生か給与かを判断する基準を知りたい」

従業員のための取り組みにかかった費用の計上方法を調べている際、上記のような悩みや疑問を感じることもあるでしょう。

福利厚生と給与は、企業が従業員に与える報酬としては同じですが、内容に明確な違いがあることを把握しておくことが大切です。

本記事では、福利厚生と給与の基本的な違いや会計上の違いを解説します。また、福利厚生か給与かの判断に必要な基準を紹介しているため、判断に迷ったときの参考にしてください。

▼そもそも福利厚生とは何かを知りたい方はこちら

福利厚生とは何か?種類や導入形態を簡単にわかりやすく解説!

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1. 福利厚生と給与の違い

福利厚生と給与の違いは費用を支払う目的です。福利厚生は従業員の生活や労働環境の改善を目的に支出される費用になります。一方で給与は、従業員に労働の対価として支払うことを目的にした費用です。

福利厚生と給与の主な違いをまとめた下の表で、基本的な違いを確認しましょう。

項目

福利厚生

給与

目的

従業員の生活や労働環境の改善

労働の対価

会計処理

福利厚生費として経費計上

給与として経費計上

税務処理

非課税(条件による)

課税

会計処理や税務処理にも違いがあります。詳しくは後述する「福利厚生と給与の会計上の違い」を参考にしてください。

福利厚生は従業員の生活や仕事の質を高める効果があり、長期的な満足感を向上させます。給与は従業員の収入を増やすため、モチベーションの向上に効果をもたらすでしょう。

企業はそれぞれの特徴を踏まえて、従業員のニーズに答える判断が必要です。

1-1. 給与が増えると課税額も増える

給与は税金の対象となるため、企業は従業員の給与から所得税を徴収し、国に納めなければなりません。所得税は収入に応じて変動するため、給与が増えると課税額も増えてしまいます。さらに、社会保険料や住民税の金額が増えてしまうケースもあるでしょう。昇給は従業員にとって喜ばしい出来事ではありますが、課税額が増えるため、思ったほどのメリットを得られないこともあります。

一方、福利厚生を充実させても従業員が支払う税金は変わらないため、大きなメリットとなる可能性があります。従業員の満足度や働く意欲を向上させたい場合は、昇給ではなく福利厚生の充実を検討すべきケースもあるため、適切な判断をしていきましょう。

関連記事:福利厚生は非課税?要件・事例・経理処理を詳しく解説

1-2. 福利厚生の種類

福利厚生は、法定福利厚生と法定外福利厚生に分けられます。法定福利厚生とは、導入することが法律で義務付けられているものです。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 子ども・子育て拠出金

一方の法定外福利厚生とは、企業が自由に導入するものです。法律上の義務はないため、まったく導入しなくても罰則などはありません。具体的には、以下のようなサービスが挙げられます。

  • 住宅補助
  • 昼食補助
  • 慶弔見舞金
  • 保養所の設置
  • 特別休暇

独自の福利厚生を取り入れて、他社との差別化を図っている企業もあるでしょう。法定外福利厚生を導入するときは、従業員のニーズをしっかりと把握することが重要です。

関連記事:福利厚生の種類は?法定福利・法定外福利の種類を詳しく解説

2. 福利厚生と給与の会計上の違い

福利厚生と給与の会計上の違いについて、以下の流れで解説します

  • 福利厚生の会計処理
  • 給与の会計処理

それぞれにおける会計処理の方法の理解を深めましょう。

2-1. 福利厚生の会計処理

福利厚生費は、企業の経費として会計処理され、税金の負担を軽減できます。多くの場合、税務上の優遇措置として非課税扱いであるためです。

たとえば、健康保険料、通勤手当や社内イベント費用などが福利厚生費に計上されます。従業員の生活や労働の質を向上させる支援につながるでしょう。

ただし、金額が常識の範囲を超えているなど、一定の条件を満たしていない場合は、福利厚生費として計上できないケースもあります。

2-2. 給与の会計処理

給与の会計処理は、企業が従業員に労働の対価として支払う給与費用に計上し、従業員の課税対象です。給与は従業員への現金支給であるため給与所得に該当し、企業は税務当局への報告義務があります。

給与には基本給、手当や賞与などが含まれ、企業は給与から所得税、社会保険料や住民税を控除する対応が必要です。

給与の会計処理においては、控除額の正確な計算と管理が重要になるでしょう。

3. 福利厚生でなく給与になるもの

福利厚生ではなく給与と判断される主な事例は以下の通りです。

  1. 給与と賞与
  2. 現物支給するもの
  3. 報奨金
  4. 商品券
  5. カフェテリアプラン
  6. 規定外の通勤手当
  7. 規定外の住宅補助
  8. 規定外の食事補助

それぞれの事例について見ていきましょう。

3-1. 給与と賞与

給与と賞与は労働の対価であり福利厚生には該当しません。現金支給であり、従業員一人ひとりの収入に直接的な影響を与えます。

給与所得は課税対象であるため、企業は正確な計算をおこない、給与から控除する税務処理が必要です。

3-2. 現物支給するもの

現物支給するものは実質的な給与と判断される場合があり、福利厚生に該当しない可能性があります。現金でなく現物に変更されただけで、従業員へ直接的な利益を与える目的が変わっていないためです。

たとえば、社用車の私用利用や、企業から宿泊施設への無料提供などが該当します。換金できないものですが、従業員の個人的な利益となるため、所得税の課税対象と判断されるでしょう。

3-3. 報奨金

報奨金は、従業員の特定の業績や目標を達成した際に支払われる支給制度であり、給与として判断されます。報奨金の対象内容が労働への対価と判断されるためです。

たとえば、売上目標の達成、新商品の開発や皆勤などに対する報奨金は、個人の労働へ報いる対価と見なされるでしょう。

3-4. 商品券

商品券は、給与として扱われる場合があります。企業が従業員に対して提供する商品券は現金と同様に使用できたり、換金できたりするためです。

たとえば、年間業績に対する報酬としてのギフトカードや、特定の業績に対してのクーポン券が該当します。

3-5. カフェテリアプラン

カフェテリアプランは、従業員へ福利厚生予算をポイントで付与し、個々のニーズに合わせて福利厚生メニューを選択できる制度です。選択された内容によっては、給与と判断されかねません。

福利厚生メニューはさまざまな種類があり、現金に近い形で提供されるメニューもあるためです。たとえば、現金化できるポイントや、個人的な利用が可能になる補助金などが該当します。

関連記事:カフェテリアプランとは?注目の理由や導入メリット・使い道を解説

3-6. 規定外の通勤手当

規定の範囲内の通勤手当は福利厚生費として計上できますが、限度額を超えると給与と見なされます。限度額は、電車や自動車といった通勤手段や通勤距離によって異なるため確認しておきましょう。

参照:通勤手当の非課税限度額の引上げについて|国税庁

3-7. 規定外の住宅補助

住宅補助については、以下のルールを守れば福利厚生費として計上できます。

  • 従業員が家賃の50%以上を負担する
  • 企業が家主となる(または企業が不動産業者と契約し、支払業務をおこなう)
  • 家賃は従業員の給与から天引きする

上記の規定を満たしていない場合は、給与扱いとなってしまいます。

関連記事:福利厚生の家賃補助とは?平均相場がいくらかやメリット・デメリットも紹介

3-8. 規定外の食事補助

規定外の食事補助も給与扱いとなります。社員食堂や宅配弁当などの食事補助を導入する場合、福利厚生費として計上するためには、以下の条件を満たさなければなりません。

  • 従業員が食事代金の半額以上を負担
  • 企業の負担額が3,500円(税抜)以下/月・人

この規定を満たしていない場合は、給与扱いとなるため注意しましょう。

関連記事:福利厚生における食事補助とは?メリットや導入方法を解説

4. 福利厚生と給与のどちらかを判断する3つの基準

福利厚生と給与のどちらに該当するかを判断する3つの基準は、以下の通りです。

  1. すべての従業員を対象としているか
  2. 費用に妥当性はあるか
  3. 現金や換金性の高い支給方法ではないか

それぞれの基準について見ていきましょう。

4-1. すべての従業員を対象としているか

福利厚生として認められるためには、すべての従業員を対象としなければなりません。公平に提供されることが前提であるためです。

たとえば、一部の部署や特定のプロジェクトへの参加者を対象とした費用は福利厚生にはなりません。一方で、全員が受診可能である健康診断は福利厚生として扱われます。

対象を確認し、必要に応じて福利厚生と給与を使い分けることが大切です。

関連記事:健康診断は福利厚生費に計上できる!条件や注意点を解説

4-2. 金額に妥当性はあるか

福利厚生として扱われる費用は、常識的な金額として妥当であるか判断が必要です。

具体的な例を以下の表で見てみましょう。

福利厚生の項目

常識的な金額

内容

健康保険補助

月額5,000円〜15,000円

従業員の健康診断

通勤手当

上限月額150,000円

公共交通機関を利用

新年会や忘年会費

1人5,000円

1次会のみ対象

食費補助

月額3,500円

昼食時や残業時

新年会などの費用を過剰に高くした場合は、交際費として認識される可能性があります。また、社内のイベント代に1人3万円を補填することは、常識からかけ離れた補填であり、福利厚生の費用として認められません。

関連記事:食事補助を福利厚生に取り入れる上限額は?非課税にならないケースや注意点を解説

4-3. 現金や換金性の高い支給方法ではないか

現金や換金性の高い支給方法である場合は、福利厚生ではなく給与と判断されます。個人的な利益が提供されていると見なされるためです。

たとえば、現金で支給される通勤手当や個人的に使用できる商品券は、個人的な利益につながるため給与と判断できます。

5. 「給与の増額」と「福利厚生の充実」のどちらがお得か

「給与の増額」と「福利厚生の充実」のどちらを選ぶかは、企業戦略や従業員のニーズに大きく依存するでしょう。それぞれの選択肢が企業の財務内容や従業員の満足度に与える影響は異なります。

各選択肢がもつ具体的な効果を比較して、自社にとってどちらの選択肢が効果的か判断しましょう。

給与の増額

福利厚生の充実

従業員

・仕事のモチベーション向上

・プライベートの予算増額により生活が充実

・長期的な満足度向上

・企業への信頼を高める

企業

・社内の活性化

・採用活動において他社との差別化

・非課税による税制上のコストを抑制

留意点

・従業員の課税負担増加

・企業の人件費増加

・新たな導入コストや管理コストが発生

給与の増額は、従業員の仕事へのモチベーション向上に効果的であり、社内の活性化につなげられます。ただし、固定費である人件費が増加するため、企業の収支状況へ大きな負担になりかねません。

福利厚生の充実は、従業員の生活全般を支援することや安心して働ける労働環境を提供することで、従業員からの会社への信頼度を高められます。また、企業のブランディングにもつながり、採用活動において自社の魅力としてアピールできるでしょう。

注意点としては、新たな導入コストや管理コストが発生するため、費用対効果を慎重に判断する必要があります。

6. 福利厚生と給与の違いをしっかりと理解しておこう!

今回は、福利厚生と給与の違いについて解説しました。どちらも従業員に提供するものですが、意味や目的は大きく異なります。課税対象となるかどうかも異なるため、違いをしっかりと認識したうえで適切な処理をすることが重要です。

また、従業員の給与をアップするべきか、福利厚生を充実させるべきかは、企業の戦略や従業員のニーズによって異なります。従業員の満足度を高めたい、社内の活性化を図りたいなど、目的を明確にしたうえで最適な選択をしていきましょう。

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