福利厚生の家賃補助とは?平均相場がいくらかやメリット・デメリットも紹介 |HR NOTE

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福利厚生の家賃補助とは?平均相場がいくらかやメリット・デメリットも紹介

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「福利厚生の家賃補助はどういうもの?」

「福利厚生として家賃補助をする際の適切な金額は?」

上記のような疑問を感じている担当者も多いでしょう。

家賃補助は、企業が独自にルールを決められる制度であるものの、適切に導入しないと会社側の負担が増えたり社員から不満の声が上がったりする可能性もあります。

そのため、家賃補助について細かく知ったうえで導入を考えるのがベストです。

今回は、福利厚生の家賃補助について解説します。最後まで読むことで、企業として家賃補助を導入するかどうかを検討する判断材料になるでしょう。

賃上げよりも低コストで福利厚生を充実させる方法とは?

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1. 福利厚生の家賃補助とは

福利厚生の家賃補助は、会社側が社員の住宅に関する費用を一部負担する制度です。法定外福利厚生に当たる制度で、企業が独自にルールを決めて導入できます。

家賃補助と似た言葉に住宅補助がありますが、どちらも意味は同じです。会社によって使われる言葉が違うだけで、基本的には同じものとして扱われます。

ほかに似ている言葉として社宅がありますが、家賃補助とは違う言葉です。社宅は会社側があらかじめ用意した住宅に、従業員が住む制度を指します。

家賃補助は社員が住む住宅の費用を負担する一方で、社宅は住宅そのものを用意する点が主な違いです。

1-1. 家賃補助がない企業も増えている

家賃補助の福利厚生を導入していない企業も増えつつあります。要因のひとつは、同一労働同一賃金の考え方が浸透してきたことです。同じ仕事をしているなら賃金や待遇を同じにすべきという考え方にもとづき、正社員にのみ支給していた家賃補助を廃止する企業も出てきました。

働き方改革の影響で、リモートワークを推進する企業が増えたことも要因のひとつです。従来の家賃補助を廃止して、リモートワークを支援するような福利厚生に切り替える企業も増えてきました。

2. 福利厚生の家賃補助の平均相場

厚生労働省の「令和2年就労条件総合調査」によると、家賃補助の平均相場は17,800円とされています。

企業規模

支給額

1,000人以上

21,300円

300~999人

17,000円

100~299人

16,400円

30 ~ 99人

14,200円

家賃相場の平均額

17,800円

参考:令和2年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省

家賃補助は、企業規模が大きいほど支給額も大きくなるのが特徴です。最も少ない30〜99人では14,200円、最も多い1,000人以上では21,300円と、それぞれを見比べると7,100円の差があります。

3. 福利厚生の家賃補助の上限目安

福利厚生の家賃補助について、上限金額や条件が法的に定められていないため、企業側が自由に決められます。しかし、金額を一律に支給するケースでは、以下のように10,000円〜30,000円を上限目安にするのがベターです。

対象

家賃補助の上限目安

持ち家や賃貸

20,000円

勤続年数

入社1年目:30,000円

入社2年目:20,000円

入社3年目:10,000円

社員の年齢や扶養状況

扶養家族がいる:30,000円

世帯主のみ:15,000円

また、社員の出費金額に応じて上限目安を決めることもあります。「月額費用の4分の1を負担して支給するが、20,000円を超えるときは20,000円が上限となる」などのケースも珍しくありません。

3-1. 家賃補助は福利厚生費として計上できる?

現金で支給する家賃補助を、福利厚生費として計上することはできません。たとえば、従業員が自分で契約しているアパートの家賃について、企業がその一部を負担するような場合は、課税対象である給与として計上する必要があります。

福利厚生費として計上できるのは、社宅や寮を設置して、家賃の一部を補助するような場合です。ただし、従業員の負担が家賃の50%未満の場合は課税対象となるなど、条件があるため注意しましょう。

4. 福利厚生で家賃補助を導入するメリット

福利厚生で家賃補助を導入するメリットは、以下の通りです。

  1. 企業のブランドイメージが向上する
  2. 人材の確保や離職率低下につながる
  3. 社員のモチベーションを高められる
  4. 社員の収入が増える

それぞれ詳しく解説します。

4-1. 企業のブランドイメージが向上する

福利厚生で家賃補助を導入すると、企業のイメージアップにつながります。求人情報に「家賃補助あり」と記載されていれば、求職者が「福利厚生が充実している」と判断する可能性が高いためです。

結果として企業への応募者が増え、採用活動も効率的に進められます。

4-2. 人材の確保や離職率低下につながる

家賃補助を始めとした福利厚生は採用時のアピールポイントとなり、複数の応募者の注目を集められます。応募者が増えれば優秀な人材がいる確率も高くなるため、採用活動も有利に進められるはずです。

また、福利厚生には離職率を長期的に低下させる効果があります。仕事の環境が良くなり、社員に「辞めたい」と思わせにくくなるためです。

以上のように、福利厚生は人材の確保のような短期的な目的から、離職率低下のような長期的な目的まで、さまざまな効果を発揮します。

4-3. 社員のモチベーションを高められる

福利厚生の家賃補助には、社員のモチベーションを高める効果があります。家賃補助は給与の手取額を増やす形で支給されるため、受け取る社員の満足度が高まるのがポイントです。

家賃補助によって経済的な負担が軽くなるのも含め、社員が業務へのモチベーションを高めるきっかけになります。また、家賃補助はあくまでも家賃を負担する制度なので、社宅と違って住む場所を自由に選べるのが利点です。

会社の近くに住んで通勤の負担を抑えたり、自分好みの場所に住んだりすることでストレスを軽減でき、結果としてモチベーションの向上につながります。

4-4. 社員の収入が増える

家賃補助は給与に上乗せされる形で支給されるため、必然的に社員の収入が増えます。月に20,000円の家賃補助を支給する例では、社員の年収が24万円増加する計算です。

社員の収入が増えることで離職率を下げたり、家賃や住宅ローンのような大きな負担を減らしてストレスを軽減したりするメリットにつながります。

5. 福利厚生で家賃補助を導入するデメリット

福利厚生で家賃補助を導入するメリットは、以下の通りです。

  1. 会社側の金銭的な負担が増える
  2. 一度導入すると廃止が難しい
  3. 支払う保険料や税金が増える
  4. 支給条件の設定が難しい

それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

5-1. 会社側の金銭的な負担が増える

家賃補助は福利厚生のなかでも高額なので、費用を用意する会社側の負担になりやすいです。また、福利厚生を管理する人員も確保しなければいけません。

家賃補助は社員に対して満足度やモチベーションを上げる効果がある一方で、会社側の負担になることを理解する必要があります。

5-2. 一度導入すると廃止が難しい

家賃補助を一度導入すると廃止が難しい点もデメリットです。

家賃補助の廃止は社員の待遇を下げる要因になるため、不利益変更として扱われる可能性があります。不利益変更とは、会社側が一方的に労働条件を変える行為です。

不利益変更を実施する際は、社員からの同意を得なければいけません。また、家庭の状況や雇用形態によっては、社員が待遇に不平等を覚えることもあります。

結果として満足度が低下し、離職率の上昇につながる恐れも否定できません。そのため、家賃補助を廃止する際はほかの制度を導入し、社員の不満や不安を和らげる工夫が必要です。

生活面で補助するなら食事費の負担や通勤手当の導入、住宅に関する補助を継続するなら社宅など、いろいろな方法があります。

5-3. 支払う保険料や税金が増える

家賃補助は給与所得として計算されるため、家賃補助の支給額が多いほど保険料や税金が増えます。会社側が社員に毎月1万円の家賃補助を支給する例では、1年で12万円分の税金や保険料を支払わなければいけません。

なかでも社会保険料は社員と会社側が折半して払うため、会社側の負担も増えます。しかし、借り上げ社宅制度を導入すればある程度の対策が可能です。

社宅制度とは、会社側が賃貸物件を契約して社員に提供しつつ、家賃の一部を負担する制度を指します。社員が支払う家賃の割合が大きいほど、会社側の税負担も軽減される仕組みです。

5-4. 支給条件の設定が難しい

支給条件の設定が難しいことも、家賃補助を導入するデメリットのひとつです。どのような雇用形態の従業員に対して支給するか、どの程度の金額を支給するか、といった条件設定に悩む場面もあるでしょう。

条件を設定するときは、同一労働同一賃金の考え方に従って、待遇における公平性を保つことが重要です。正社員のみに支給するなどの条件を設定する場合は、非正規社員に支給しない理由を明確にしておきましょう。

6. 福利厚生の家賃補助の支給条件・対象を決める基準

福利厚生の家賃補助の支給条件や対象を決める基準は、以下の通りです。

  1. 家賃補助が必要な社員であるか
  2. 自宅から勤務地までの距離が遠いか
  3. 対象が賃貸に住んでいるか
  4. 住宅の世帯主か

それぞれの基準について詳しく解説します。

6-1. 家賃補助が必要な社員であるか

家賃補助を支給する際は、対象が家賃補助を本当に必要としているかを確認しましょう。家賃補助は、社員間の住宅に掛かる支出の差を正すためにあります。

ほかの社員と比べて給与水準が低い新入社員や単身者は、家賃補助が支給されやすいです。引越し手当や別居手当など、費用の負担が大きい転勤をおこなう社員にも優先的に支給される傾向にあります。

一方で勤務地が一つだけの中小企業では、家や勤務地に関わる社員間の支出差が生まれにくいです。そのため、基本的には一定額を一律で支給します。

6-2. 自宅から勤務地までの距離が遠いか

自宅から勤務地までの距離も家賃補助を支給するかを判断する基準です。

基本的に、自宅から勤務地までの距離が遠い社員は、家賃補助を支給されにくい傾向にあります。家賃補助により、勤務地の近くに住まわせる狙いがあるためです。

勤務地の近くに賃貸を借りるケースでは、会社側はアクセスに優れた立地を勤務地とする傾向にあります。そのため、家賃が高いエリアに住むことも珍しくありません。

それでも勤務地の近くに住まわせる理由は、通勤時間の長さによる事故や労働災害などのリスクを減らすためです。通勤中にトラブルが起こると企業側が責任を問われ、多額の支払いを求められる可能性も否定できません。

福利厚生の家賃補助は通勤時のトラブルを間接的に解決できるため、会社側にとって金銭的な意味でも利点が大きいです。

6-3. 対象が賃貸に住んでいるか

従業員が賃貸に住んでいるかどうかも、福利厚生の家賃補助を支給する基準です。家賃補助は、基本的に賃貸契約を必要とする住宅が支給の対象になります。

賃貸契約が必要な住宅であれば、マンションや一戸建てなど、どのような住宅に住んでいるかは問いません。マイホームを購入する社員に対しては、別の福利厚生を使って住宅ローンの費用を補助する企業もあります。

6-4. 住宅の世帯主か

福利厚生の家賃補助は、基本的に世帯主に対して支給します。支給条件を満たしている社員でも、以下に該当する場合は家賃補助を受けるのが難しいでしょう。

  • 親の扶養に入っていて実家から通勤している
  • 親の扶養に入っていて世帯主の住宅から通勤している
  • 一人暮らしであるものの住民票を移していない
  • 第三者と同棲していて同居人の住宅から通勤している

社内基準を満たした通勤が困難で引っ越しを考えているケースでは、上記に該当していても家賃補助を受けられる可能性があります。しかし、社員が家賃を支払っていても、住宅に掛かる費用に対して責任を持つ立場でなければ基本的に家賃補助の対象になりません。

7. 家賃補助に関連した福利厚生

ここでは、家賃補助に関連した福利厚生として、社宅制度と引っ越し手当を紹介します。それぞれの制度の詳細は以下の通りです。

7-1. 社宅制度

社宅制度とは、従業員に対して住む場所を提供する制度のことです。家賃の一部を支給する家賃補助とは異なり、具体的な場所を提供することが社宅制度の大きな特徴といえるでしょう。

社宅には、企業が賃貸物件を一括して借りて従業員へ転貸する「借り上げ社宅」や、新築したり買い取ったりした建物を従業員へ貸し出す「社有社宅」などがあります。どちらにしても大きなコストがかかるため、予算を確認したうえで導入を検討しましょう。

7-1. 引っ越し手当

引っ越し手当とは、従業員が転居する際の費用の一部を負担する制度です。転勤のために引っ越すことになった際や、遠方に住んでいる新入社員が転居する際などに、費用を負担するケースが多いでしょう。

支給する範囲や金額などについては、就業規則に明記しておくことが大切です。

8. 福利厚生で家賃補助を導入して満足度を高めよう!

今回は、福利厚生としての家賃補助について解説しました。家賃補助を導入すれば、従業員の生活費をサポートすることができ、モチベーションアップや帰属意識の向上につながります。ただし、制度を運用していくためには大きなコストがかかるため、経営状況や予算を把握したうえで慎重に判断しなければなりません。

また、支給対象者については、同一労働同一賃金の考え方にもとづいて、不公平がないように注意しましょう。せっかく福利厚生を導入したのに、従業員の不満が高まっては意味がありません。家賃補助を導入するときは、全従業員が納得できるようなルール設定をすることが重要です。

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