労働基準法の第76条「休業補償」とは?支給金額や支給期間をわかりやすく解説 |HR NOTE

労働基準法の第76条「休業補償」とは?支給金額や支給期間をわかりやすく解説 |HR NOTE

労働基準法の第76条「休業補償」とは?支給金額や支給期間をわかりやすく解説

ケガ

労働災害が発生した場合、労災保険から療養期間中は「休業補償」を受け取ることができます。しかし、休業中は治療費などの出費がかさんでしまうこと、仕事ができないことで収入が減ってしまう可能性などが考えられます。
また、休業中にどのくらいの補償金額を受け取れるかどうかもわからないと、休んでいる期間も不安は大きくなることでしょう。

厚生労働省が発表する「2021年労働災害発生状況のまとめ」では、休業4日以上の死傷者数が前年比14.3%増と1998年以降最多となっています。[注1]

今回は、年々増加する労働災害に密接に関係している「休業補償」について、わかりやすく解説していきます。

[注1]令和3年の労働災害発生状況|厚生労働省

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人事担当者など従業員を管理する役割に就いている場合、雇用に関する法律への理解は大変重要です。
例外や特例なども含めて法律の内容を理解しておくと、従業員に何かあったときに、人事担当者として適切な対応を取ることができます。

今回は、労働基準法の改正から基本的な内容までを解説した「労働基準法総まとめBOOK」をご用意しました。

労働基準法の改正から基本的な内容まで、分かりやすく解説しています。より良い職場環境を目指すためにも、ぜひご一読ください。

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1. 労働基準法の第76条「休業補償」とは

休業補償

労働者が第75条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行なわなければならない。
引用:労働基準法 第七十六条(休業補償)|e-Gov法令検索

休業補償とは、仕事中にケガや病気をして働けなくなった場合に支給される補償をいいます。

補償される金額は、平均賃金の100分の60と決まっていて、課税対象にはなりません。

なお、労働基準法第76条では「労働災害による休業の補償は事業主が行う」と定められています。[注2]

しかし、企業の経営状況によっては「休業補償が厳しい」ケースがあります。
それを補うために企業は労災保険に加入しなければなりません。

労災保険は公的な保険制度で、労働者を1人でも雇い入れれば、加入が義務付けられます。

企業側は労災保険を使って、労働者に休業補償を支払っているのです。

[注2]労働基準法|e-Gov法令検索

2. 休業の定義

産休を取る妊婦さん

休業と一言で表しても、その意味を理解していない人が多くいるのではないでしょうか。

休業とは「労働者が企業と雇用契約を結んだまま仕事を休むこと」をいいます。簡単にいうと働く気持ちはあるのに働けない状態です。

働くことができない状態とは以下の2つがあります。

  1. 労働者の都合で働けない
  2. 企業側の都合で働かせることができない

労働者が働けない休業には、仕事中や通勤途中で発生したケガや病気、妊娠・出産などがあげられます。

企業側の都合で働かせることができない休業には、大規模災害のような回避できないケースもあれば、経営不振などがあります。

次に休業のカテゴリと休業における公的な補償内容を紹介していきます。

2-1. 休業のカテゴリ

労働基準法では「休業」を4つのカテゴリに分類しています。休業の要件と対象者について、それぞれ詳しく解説します。

①仕事上で発生したケガや病気の療養のための休業

労働者が通勤中・仕事中にケガや病気になり、働くことができなくなった場合の休業をいいます。

通勤中に発生した事由は通勤災害。仕事中に発生した場合は労働災害と呼ばれます。

②産前産後休業

妊娠している女性を保護する観点から認められている休業です。

休業日数は、出産前であれば出産予定日を含む6週間(双子以上の場青は14週間)以内です。

なお、出産予定日より出産した日が後にずれ込んだ場合は、その差日数も産前休業にカウントされます。

そして、出産した後の休業、いわゆる産後休業は8週間以内と決められています。[注3]

[注3]生命保険文化センター:産前産後休業や育児休業制度を知りたい|公益財団法人

③育児休業

育てる対象の子どもが満1歳(保育所に入れないなど、一定の条件時は最長満2歳)の誕生日の前日まで認められている休業をいいます。

父親と母親がともに育児休暇を取得する場合、1歳2カ月まで休業期間が延長可能です。

この延長を「パパ・ママ育休プラス制度」と呼びます。

父親・母親それぞれが取得できる休業期間(母親は産後休業期間を含む)は、上限が1年間と決められています。

また、出生時育児休業(産後パパ育休)は、育児休業とは別で取得可能です。

子どもの出生日から8週間を過ぎる前日までの期間内で、4週間まで取得できます。2回まで分割取得も可能です。[注3][注4]

[注3]生命保険文化センター:産前産後休業や育児休業制度を知りたい|公益財団法人

[注4]育児休業給付の内容と支給申請手続/2022(令和4)年10月1日施行版|厚生労働省

④介護休業

介護が必要な状態の家族を介護するための休業をいいます。

介護が必要な状態の基準は、ケガや病気、または身体的もしくは精神的な傷害で2週間以上、常に介護が必要な状態をさします。

介護の対象となる範囲は以下のとおりです。

  • 配偶者(内縁も対象)
  • 実の父母
  • 子ども
  • 義理の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

続いて、介護休業を取得できる条件は以下の2点です。

  • 企業側に1年以上雇用されていること
  • 休業を開始する予定日から起算して93日を経過する日から6カ月を経過するまでに労働契約の満了が決まっていないこと

3. 企業が負担する休業補償の金額

労災保険からの休業補償は、休業してから4日目以降に給与の100分の60に相当する金額が支給されます。

では、休業1日〜3日目までの休業補償はどうなるのでしょうか。

回答としては、休業1日〜3日までの休業補償は企業側で負担しています。

企業が負担する休業補償

  1. 休業1日~3日目までは、企業側が平均賃金の100分の60以上を補償
  2. 休業してから4日目以降は100分の40を企業が負担

労災保険からの支給がなければ、労働者の生活が厳しくなるため、企業側がこの「待期期間」の休業補償を行うことが一般的です。

4. 休業補償とよく間違われる「休業手当」とは

ショックを受ける男性

休業補償とよく間違われる制度で「休業手当」があります。

労働基準法第26条には、次のように規定されています。

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間 中当該労働者に、 その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
引用:労働基準法 第二十六条(休業手当) |e-Gov法令検索

「使用者の責に帰すべき事由」とは、企業の諸事情で労働者が働けなくなったことをいいます。

例として以下のケースなどが該当します。

  • 企業側の故意や過失による休業
  • 経営悪化による休業
  • 仕事に必要な労働者が不足している場合の休業
  • 親会社の経営悪化を受けての休業
  • 設備や工場の機械トラブル・欠陥・検査による休業

例外として「企業側の指示による休業」でも、休業手当が発生しないこともあります。

たとえば、台風や自然災害で電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合は、不可抗力とみなされて「使用者の責任には該当しない」とされることが多くあります。

5. 労働基準法の第76条による休業補償の金額

お金

労働者が通勤災害や労働災害で休業する場合、企業側は平均賃金の100分の60相当の額を支給することが定められています。[注2]

ここでは、休業補償の金額や算出方法について解説します。

[注2]労働基準法|e-Gov法令検索

5-1. 休業補償で支給される金額

休業補償で決められている給付は、平均賃金の100分の60です。

仕事中にケガや病気が発生した場合は、休業1日目~3日間は企業側が支払い、4日目以降は労災保険で支払われます。

しかし、現状では労働者は休業補償の100分の60と休業特別支給金の100分の20を合わせた100分の80に当たる額を受け取ることが可能です。

5-2. 支給される金額の算出方法

支給される金額の算出方法は、平均賃金が計算式のベースです。[注2]

平均賃金とは労働災害が発生した日から直近3カ月に支払われた給与を指します。
例:7月に労働災害で休業した労働者の平均賃金の出し方(給与は毎月25万円)

給与締切日:月末

算定期間 月の給与 月の日数 給与総額
4月1日~4月30日 4月分 30日 250,000円
5月1日~5月31日 5月分 31日 250,000円
6月1日~6月30日 6月分 30日 250,000円
合計 91日 750,000円

計算式:25万円×3カ月÷91日=8,241円7,582銭
※1円未満は切り上げるので、平均賃金は8,242円です。

  • 労災保険の給付:8,242円×0.6=4,945円2銭
  • 特別支給金  :8,242円×0.2=1,648円4銭
    ※1円未満は切り捨てるので、総額の6,593円が1日当たりに支給される休業補償です。

[注2]労働基準法|e-Gov法令検索

6. 労働基準法の第76条による休業補償の支払い期間

砂時計とお金

休業補償は、休業開始後4日目から休業の続く限り支給されます。基本的に条件がそろっている限り、補償がなくなることはありません。

ただし、療養期間がはじまってから1年6カ月が過ぎて、なお一定の障害が残っている場合は傷病年金の支給が開始されます。[注2]

ここからは、休業補償が継続する条件を紹介します。

[注2]労働基準法|e-Gov法令検索

6-1. 休業補償が継続する3つの条件

休業補償は次の3つの条件をクリアしていれば、補償が継続されます。

  1. 仕事や通勤中に発生したケガや病気で療養している
  2. 働くことができない
  3. 給与をもらっていない

上記3つの条件を満たしていれば、休業補償を受け取ることができますが、1つでも条件を満たさなくなった場合は休業補償がなくなります。

7. 労働者保護のため、休業補償の内容はしっかり確認しておこう

条件・チェックリスト

休業補償は、仕事や通勤中に発生した事故や病気で働けなくなった労働者の生活を守るために、治療費などとは別に支給される補償制度です。

休業が長く続いている場合は、毎月1度、休業補償の請求書を労働基準監督署に送付する義務があります。請求漏れが発生しないよう気を付けましょう。

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今回は、労働基準法の改正から基本的な内容までを解説した「労働基準法総まとめBOOK」をご用意しました。

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