会社は従業員の給与から、毎月所得税を源泉徴収します。
しかし、給与所得からは社会保険料等が控除されるため、ほとんどの場合、当初の源泉徴収税額と最終的に納める税額には差が生じます。この差分を導きだし、過不足を調整するのが「年末調整」です。
年末調整には税額を計算するためのさまざまな書類が必要なほか、書き方にもいくつかのポイントがありますので、基本的な知識をしっかり押さえておきましょう。
今回は、年末調整に必要な書類や書き方のポイント、注意点を解説します。
関連記事:年末調整とは|確定申告との違い、対応方法、注意点など基礎からわかりやすく解説!
関連記事:年末調整のキホン|今さら他人に聞けない担当者必見の内容をご紹介
「年末調整のガイドブック」を無料配布中!
「年末調整が複雑で、いまいちよく理解できていない」「対応しているが、抜け漏れがないか不安」というお悩みをおもちではありませんか?
当サイトでは、そのような方に向け、年末調整に必要な書類から記載例、計算のやり方・提出方法まで、年末調整業務を図解でわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。
年末調整業務に不安のある方や、抜け漏れなく対応したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
【社労士監修】HR関連法改正トレンドBOOK 2024年版
2023年は一部企業を対象に人的資本開示が義務化されたほか、HR関連での法改正に動きが見られました。
2024年では新たな制度の適用や既存のルールの変更・拡大がおこなわれます。
人事担当者として知っておきたいHR関連の法改正に関する情報ですが、その範囲は幅広く、忙しい業務の中でなかなか網羅的に把握することは難しいのではないでしょうか。
- 忙しい中でも要点をまとめて情報収集をしたい
- 社労士が監修した正確な情報を知りたい
- HR関連の法改正を把握しておきたい
という方はぜひご確認ください!
人事×ChatGPTの具体的な活用術術を紹介!
ChatGPTをはじめとする生成AIを業務に取り入れることで、業務時間の圧縮や業務量の削減が期待されます。今回は、人事の方が今日から使えるChatGPT活用術として、実際に使えるプロンプトを交えた実践的なノウハウもご紹介します。
▷こんな方におすすめ!
- 人事業務の担当者の人手が足りず困っていて業務効率を上げたい
- ChatGPTに興味はあるけれど、どんなことに使えばよいか分からない
- 業務にChatGPTを取り入れたいが、イメージしているような回答が出てこない
▼当日の視聴予約はこちらから!▼
https://seminar.hrnote.jp/post/95
1. 年末調整に必要な書類とは?
年末調整をおこなうのに必要な書類には、従業員から提出してもらうものと、会社が用意するものの2種類があります。
書類の準備が遅れると、期限までに年末調整をおこなえなくなる可能性がありますので、早めに用意しておくことをおすすめします。
ここでは年末調整に必要な書類をご紹介します。
関連記事:年末調整の必要書類は?書き方・提出先も一からわかりやすく解説!
1-1. 扶養控除等(異動)申告書
その年の12月31日時点で従業員が扶養している親族について記載する書類です。
この書類をもとに、配偶者控除や扶養控除、障害者控除、寡婦控除といった各種控除の対象となるか否かを確認するため、控除適用の有無にかかわらず、従業員全員に提出してもらう必要があります。
扶養控除等(異動)申告書がないと、年末調整そのものをおこなうことができず、従業員は各種控除を受けられなくなります。
重要な書類であることを社内で周知し、忘れずに提出するよう呼びかけましょう。
関連記事:【2022年度版】扶養控除等(異動)申告書とは?書き方を項目別に紹介
1-2. 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
基礎控除、配偶者控除、所得金額調整控除の3つをまとめて申告できる書類です。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書と同じく、こちらも従業員本人に必要事項を記載してもらいます。
この書類の内容に応じて、控除の金額や適用の有無が変化しますので、間違いなく記載してもらいましょう。
1-3. 給与所得者の保険料控除申告書
その年に支払った生命保険料や地震保険料など保険料の一部は、所得から控除することができます。
大体10月~11月頃になると、保険会社等から被保険者宛に控除証明書が郵送されてきますので、そこに記載された内容をもとに、従業員自身に保険料控除申告書を記載してもらいます。
なお、申告書には保険料控除証明書の提出も必要ですので、忘れずに添付するよう通達しておきましょう。
1-4. 住宅借入金等特別控除申告書(条件付き)
住宅ローン等を利用してマイホームを購入、新築、増改築した場合、住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)や特定増改築住宅借入金等特別控除(リフォーム減税)が適用されます。
年末調整で住宅ローン減税またはリフォーム減税を適用するには、住宅借入金等特別控除申告書に必要事項を記載し、融資額残高証明書または年末残高等証明書の2つを添えて提出してもらう必要があります。
前者は住宅金融支援機構(フラット35)、後者は住宅ローンを利用した金融機関等が、年末調整の時期に合わせて送付してきます。
1-5. 前職の源泉徴収票(条件付き)
年度途中から中途入社した従業員については、以前の職場で源泉徴収されている可能性があります。
その場合、前の職場から源泉徴収票を受け取り、提出してもらわなければなりません。
前職の源泉徴収票は退職後1ヶ月以内には受け取り可能になりますので、中途入社した従業員がいる場合は早めに前職の源泉徴収票の提出を求めましょう。
このように、年末調整業務をおこなううえで、必要となる書類は複数あり、作成に慣れていないと従業員の人数分確認するのは大変でしょう。
年末調整の書類作成に不安のある方に向けて、当サイトでは年末調整業務を一からわかりやすく解説した資料を無料でお配りしています。年末調整業務に不安のある方はこちらから「年末調整ガイドブック」をダウンロードしてご活用ください。
2. 年末調整の必須書類の書き方・見本
ここからは年末調整の書き方を、書類別にご紹介します。
スムーズに年末調整手続きを進めるためにも、書類の書き方や見本を確認し、ポイントを把握しておきましょう。
2-1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
申告者(従業員)本人の氏名や個人番号、住所などのほか、源泉控除の対象となる配偶者および扶養者の情報を記載します。
独身の方は、申告者本人の情報のみ記載されていればOKです。
なお、控除対象となる扶養者は16歳以上に限定されています。
16歳未満の扶養親族がいる場合は、用紙最下段の「16歳未満の扶養親族」の欄に当該人物の情報を記載します。
2-2. 給与所得者の保険料控除申告書
控除の対象となる保険に加入している場合に作成する書類です。
保険料控除申告書の項目は以下4つに区分されています。
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
このうち、特に注意が必要なのは1の生命保険料控除です。
平成22年度の税制改正にともない、生命保険料控除制度の改定がおこなわれました。
2012年1月1日以後に新しく契約(または満了にともなう更新)した生命保険には新制度が適用され、それ以前の契約には旧制度が適用される仕組みになっています。
新制度と旧制度では控除区分や控除限度額に違いがあるため、生命保険料控除の欄を埋める時は新旧に分けて記載する必要があります。
新制度と旧制度のどちらが適用されるかは、保険会社から送付される保険料控除証明書に記載されています。
控除証明書は申告書に添付する決まりになっていますので、従業員から申告書を提出されたら証明書と申告書の内容に相違はないか、しっかりチェックしましょう。
2-3. 給与所得者の基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書の書き方
給与所得者(申告者)の合計所得金額のほか、配偶者がいる場合は配偶者の合計所得金額を記載します。
また、以下いずれかの要件を満たせば、所得金額調整控除が適用されます。
- 申告者自身が特別障害者
- 同一生計配偶者が特別障害者
- 扶養親族が特別障害者
- 扶養親族が年齢23歳未満
1~3の場合は特別障害者に該当する事実を、2~4に該当する場合は同一生計配偶者または扶養親族に関する情報をそれぞれ記載します。
3. 年末調整を書くときの注意点
ここからは、年末調整関連の書類を書くときに注意したいポイントを2つご紹介します。
「控除証明書が添付されているか否かの確認」、「マイナンバーの提出を拒否された場合の対応」について解説します。
3-1. 控除証明書が添付されているか
生命保険料控除や地震保険料控除などを受ける場合は、必ず控除証明書を添付しなければなりません。
従業員から保険料控除申告書を受け取ったら、控除証明書がきちんと添付されているかどうかを確認しましょう。
3-2. マイナンバーの提出を拒否された場合の対応
税務署に提出する源泉徴収票や扶養控除等申告書などには、従業員の個人番号(マイナンバー)を記載する必要があります。
ただ、現時点で従業員が勤め先にマイナンバーを提出する義務はないため、従業員本人から提出を拒否された場合、会社側としてはそれを強制することはできません。
その場合、従業員にマイナンバーの提出を求めた経過を記録・保存しておきましょう。
もし税務署に指摘を受けた場合、記録を提示すればマイナンバーを記載しなかった理由の証明になります。
なお、提出を拒否した理由まで記載する必要はなく、提出を求めた日付と、提出を拒否された事実のみを記載すればOKです。
4. よくある質問
ここからは、年末調整の書き方に関してよく生じる疑問について解説します。
従業員が保険料の控除証明書を紛失した場合の対応方法、年末調整の収入金額計算方法について確認していきましょう。
4-1. 従業員が保険料の控除証明書を紛失した場合の対応は?
従業員が保険料の控除証明書を紛失してしまうケースもあるでしょう。従業員からこのような申出があった場合には、発行先に依頼し再発行をしてもらいましょう。
生命保険の場合は加入している生命保険会社、地震保険の場合は加入している損害保険会社、国民年金保険の場合は日本年金機構にて再発行手続きをおこないましょう。
4-2. 年末調整の収入金額計算方法は?
年末調整の収入金額(総支給額)を求めるには、収入金額から「給与所得控除」と「所得金額調整控除額」を差し引きます。加えて、所得の種類によって生じる「特定支出控除額」を差し引くことで、年末調整の収入金額は算出が可能です。
5. 年末調整に必要な書類と書き方のポイントを押さえておこう
年末調整には、扶養控除等(異動)申告書や、給与所得者の保険料控除申告書など、複数の書類が必要になります。
そのほとんどは従業員に記載してもらいますが、会社側は提出された書類に不備がないか、きちんと確認した上で税務署に提出しなければなりません。
中には控除証明書の添付が必要な書類もありますので、年末調整をおこなう際は、正しい知識のもと、漏れや抜けがないかしっかりチェックしましょう。
「年末調整のガイドブック」を無料配布中!
「年末調整が複雑で、いまいちよく理解できていない」「対応しているが、抜け漏れがないか不安」というお悩みをおもちではありませんか?
当サイトでは、そのような方に向け、年末調整に必要な書類から記載例、計算のやり方・提出方法まで、年末調整業務を図解でわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。
年末調整業務に不安のある方や、抜け漏れなく対応したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
--------------------
▼無料ダウンロードはこちら▼
https://hrnote.jp/document/?did=148030