【令和6年版】扶養控除等(異動)申告書とは?書き方を項目別に紹介 |HR NOTE

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【令和6年版】扶養控除等(異動)申告書とは?書き方を項目別に紹介

  • 労務
  • 給与計算

書類をめくる人

扶養控除等(異動)申告書は、給与を受け取る所得者が、扶養控除などを受けるために提出する書類です。
毎年、年末調整のタイミングで必要となるため、従業員にスムーズに提出してもらうよう、事前に準備しておく必要があります。

本記事では、扶養控除等(異動)申告書の書き方について項目別に紹介しています。

年末の忙しいタイミングに扶養控除等(異動)申告書をスムーズに回収できるように、ポイントを理解しておきましょう。

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1. 扶養控除等(異動)申告書とは?

書類に記入

扶養控除等(異動)申告書とは、給与の支払いを受ける所得者が扶養控除などを受けるために会社に提出する書類です。

基本的には「年末調整」のタイミングで、翌年分を毎年提出してもらう必要があります。
例外として、下記の場合も扶養控除等(異動)申告書の再提出を求めなければなりません。

  • 新しい従業員が就職または転職してきた場合
  • 扶養控除等(異動)申告書の記載内容に変更がある場合

新しい従業員が就職または転職してきた場合、最初に給与を支払う「前日まで」に提出してもらいます。
また、結婚や出産、離婚など、扶養控除等(異動)申告書に記載された内容に変更がある場合は、所得税が変わる可能性があるため、訂正したうえで再提出してもらいましょう。

1-1. 扶養控除等(異動)申告書を提出する対象者

扶養控除等(異動)申告書を提出する対象者は、年末調整をするすべての従業員です。本来、扶養控除等(異動)申告書は生計を一にする合計所得金額が48万円以下の親族がいる場合や配偶者がいる場合、本人が障害者である場合などに所得税を控除するための手続きに用いる書類です。
しかし、控除の対象者を確認するために、年末調整をするすべての従業員から回収しなければなりません。
扶養控除・配偶者控除・障害者控除の対象外であっても提出をさせなければならないため、年末調整の対象となる従業員全員から回収しなければならない書類と覚えておきましょう。

1-2. 扶養控除等(異動)申告書はどこでもらえる?

扶養控除等(異動)申告書は、基本的には会社側から従業員へ配布します。書式がない場合は、国税庁のホームページからダウンロードしましょう。

参照:給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁

1-3. 扶養控除等(異動)申告書はいつ提出する?

扶養控除等(異動)申告書は、翌年1月分の給与から源泉徴収する所得税を算出するために必要となるため、そのタイミングまでに回収しなければなりません。直前で焦らないよう、従業員には早めに提出してもらうよう周知しておきましょう。一般的には、年末調整関係の他の書類と一緒に12月末までに提出してもらいます。

従業員から回収した扶養控除等(異動)申告書は、本来、税務署長や市区町村長へ提出することになっていますが、とくに求められない場合は提出する必要はありません。ただし、会社で保管しておく必要はあるため、紛失しないよう決められた場所で管理しておきましょう。

1-4. 扶養控除等(異動)申告書を出さないとどうなる?

扶養控除等(異動)申告書を提出してもらわないと、その従業員が損をする可能性があります。給与から源泉徴収する所得税は、源泉徴収税額表に基づいて決めます。この表の課税区分には甲欄と乙欄があるのですが、扶養控除等(異動)申告書の提出がない場合は、税額が高くなる乙欄が自動的に適用されてしまうのです。

また、扶養控除等(異動)申告書の提出がないと、会社で年末調整を実施することができません。従業員に確定申告をしてもらう必要が出てくるため、基本的には提出してもらうようにしましょう。

2. 扶養控除等(異動)申告書により受けられる控除

扶養控除等(異動)申告書により、以下のような控除を受けられます。従業員にとって大きなメリットとなるため、忘れずに提出してもらいましょう。

2-1. 扶養控除

扶養控除とは、従業員に所得税法上の扶養親族がいる場合に受けられる控除です。親族全員が対象となるわけではなく、従業員本人と生計を一にしていることや、所得が一定金額以下であることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。

2-2. 配偶者控除

配偶者控除とは、従業員に配偶者がいる場合に受けられる控除です。配偶者の所得が一定金額以下であるなど、条件を満たしている場合に、配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができます。

2-3. 障害者控除

従業員本人や配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者に該当する場合は、障害者控除を受けられます。障害者の区分は、障害者・特別障害者・同居特別障害者の3つに分かれており、それぞれに対応した控除を受けることが可能です。

2-4. 寡婦控除

寡婦とは、配偶者と離婚や死別しており、独身である女性のことです。従業員本人が寡婦に該当する場合は、寡婦控除を受けることができます。なお、2020年の税制改正により「一般の寡婦」「特別の寡婦」という区分はなくなり、「寡婦控除」に統一されました。

2-5. ひとり親控除

ひとり親控除は、2020年から新しく追加された控除です。従業員本人がひとり親に該当する場合に、控除を受けられます。先ほどの寡婦控除とは異なり、男性でも女性でも受けることが可能です。

2-6. 勤労学生控除

従業員本人が大学や専門学校などに通いながら働いている場合は、勤労学生控除を受けることができます。勤労学生控除を受けるためには、特定の学校に通っていること、1年間の所得金額が75万円以下であることなどの条件を満たす必要があります。

3. 扶養控除等(異動)申告書の書き方を項目別に紹介

項目本章では、扶養控除等(異動)申告書の書き方について解説しています。
扶養控除等(異動)申告書は下記4つの項目に分けて、記載をします。

  1. 氏名・住所・個人番号など
  2. 源泉控除対象配偶者・控除対象扶養親族
  3. 障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生
  4. 住民税に関する事項

各項目ごとに記入方法を説明しているので、国税庁が公開している記入例とともに参考にしてみてください。

参照:《記載例》令和6年分扶養控除等申告書|国税庁

3-1. 氏名・住所・個人番号などの書き方

「氏名、住所などの記入」欄には、給与の支払者と給与所得者の情報を記入します。

所轄税務署長等

「①所轄税務署長等」には、給与の支払者の所在地の所轄税務署長及び、給与所得者が在住している市区町村長を記載します。

給与の支払者

「②給与の支払者」に関係する部分は、給与の支払者の名称(氏名)、法人または個人番号、所在地を記載します。
基本的に、①と②の項目は会社側が記入するものなので、給与所得者は記載しなくても構いません。

給与所得であるあなた

「③給与所得であるあなた」に関係する部分は、自分の氏名や個人番号(マイナンバー)、所在地、世帯主の氏名と続柄、配偶者の有無などを記載しましょう。

従たる給与についての扶養控除等申告書の提出

「④従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」においては、下記2つに該当する場合は丸をつけましょう。

  • ダブルワークなどで2箇所以上から給与を受け取っている
  • 他の給与の支払者に「扶養控除等申告書」を提出している

④の部分に丸をつけないと、控除がしきれない可能性があるため、上記2点に当てはまる場合は、必ず丸をつけましょう。

3-2. 源泉控除対象配偶者・控除対象扶養親族の書き方

「源泉控除対象配偶者・控除対象扶養親族」の欄には、源泉控除対象配偶者および控除対象扶養親族に関する情報を記入します。

A.源泉控除対象配偶者

「A.源泉控除対象配偶者」には、給与所得者とその配偶者が下記に該当していた場合に記載します。

  • 給与所得者が受け取った合計所得金額の見積額が900万円以下である
  • 給与所得者と生計を一にしている
  • 青色事業専従者として給与の支払いが行われていない
  • 白色事業専従者ではない
  • 配偶者の合計所得金額の見積額が95万円以下である

上記の内容に全て該当している場合は、項目に配偶者の情報を記入します。給与所得者(申告者)と所在地が同じ場合は、「同上」と記入しても問題ありません。

右項目の「異動月日及び事由」は、その年の間に異動があった場合に記入します。異動がなかった場合は、空欄の状態で提出しましょう。

B.控除対象扶養親族

「B.控除対象扶養親族」には、給与所得者とその扶養親族が下記に該当していた場合に記載します。

  • 16歳以上の扶養親族である
  • 給与所得者と生計を一にしている
  • 青色事業専従者として給与の支払いが行われていない
  • 白色事業専従者ではない
  • 扶養親族の合計所得金額の見積額が48万円以下である

上記の内容に全て該当している場合は、項目に扶養親族の情報を記入します。扶養親族が、進学などの理由で別居している場合は、「非住居者である親族」欄に丸をつけて提出します。

また、扶養親族の年齢によって、チェック項目が異なります。

  • 19歳以上23歳未満:特定扶養親族にチェック
  • 70歳未満:その他にチェック
  • 70歳以上:同居老親等にチェック

扶養親族がどの項目に当てはまるか、事前に確認しておきましょう。

関連記事:配偶者控除等申告書の作成方法や注意点をわかりやすく解説

3-3. 障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生の書き方

「障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生」の欄には、該当する人が配偶者または扶養親族にいる場合に記載します。「障害者」の項目は下記3つあります。

  • 一般障害者
  • 特別障害者
  • 同居特別障害者

上記に該当する場合はチェックし、必要に応じて人数を記入します。障害者の控除は、16歳以上の扶養親族だけでなく、16歳未満の扶養親族においても適用されるため、漏れがないように気をつけましょう。

上記の項目を該当する場合は、障害者手帳の種類および等級を記入する必要があります。そのほかに、寡婦やひとり親、勤労学生のいずれかに該当する場合は同様にチェックしましょう。

「異動月日及び事由」欄には、「源泉控除対象配偶者・控除対象扶養親族」と同様に、異動がなかった場合は空欄の状態で提出します。

3-4. 住民税に関する事項の書き方

「住民税に関する事項」には、16歳未満の扶養親族について記入します。この項目に関しては、所得税ではなく「住民税」を計算する目的から記入の必要があります。

16歳未満の扶養親族がいる場合、対象となる子どもの氏名や個人番号などの情報を記入しましょう。記入された扶養控除等申告書を従業員から回収した後は、年末調整の計算をおこないます。

計算はミスなくしなければ正しい税額を納めることができないため、重要な業務ですが、計算方法が複雑で正しくできているか不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。

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4. 扶養控除等(異動)申告書を書くとき・回収するときの注意点

電球ポイント本章では、扶養控除等(異動)申告書を書くときや回収するときの注意点について解説しています。
扶養控除等(異動)申告書に関する主な注意点は下記2つです。

  • ダブルワークをしている従業員への対応方法
  • パート・アルバイトからの回収の必要性
  • 年末調整後、家族の扶養が外れる人がいる場合の対応方法

それぞれ詳しく解説しているので、参考にしてください。

4-1. ダブルワークをしている従業員への対応方法

新型コロナウイルスが流行して以降、副業が一時的にブームとなったため、ダブルワークをしている従業員も少なからずいるのではないでしょうか?
ダブルワークをしている従業員は、勤務している会社すべてに提出する必要はなく、どこか一社に扶養控除等(異動)申告書を提出します。そのため、従業員が他の会社へ提出している場合は、扶養控除等(異動)申告書を回収する必要はありません。

4-2. パート・アルバイトからの回収の必要性

パートやアルバイトの従業員も、基本的には提出の対象になります。
しかし、前述のとおり、複数の会社でダブルワークをしながらパートやアルバイトをしており、他の勤務先で扶養控除等(異動)申告書を提出していた場合は、自社にて回収する必要はありません。

 4-3. 年末調整後、家族の扶養が外れる人がいる場合の対応方法 

年末調整後に従業員の扶養親族だった人が扶養親族でなくなるなどの変更がある場合、その年の源泉徴収票を作成・交付する前であれば、変更内容を加えた扶養控除等(異動)申告書の再提出をしてもらい、年末調整をやり直します。源泉徴収票を交付した後の場合、従業員自身に確定申告をしてもらいます。

また、被扶養者削除の手続きをする場合、同時に企業が健康保険被扶養者(異動)届兼国民年金第3号被保険者関係届を提出しなければなりません。提出方法は電子申請、CDまたはDVDの電子媒体、郵送、窓口持参があります。提出先は事務センターもしくは管轄の年金事務所です。

提出期限はありませんが、扶養が外れることが発生する都度提出しなければなりません。健康保険被扶養者(異動)届兼国民年金第3号被保険者関係届のExcelフォーマットは以下の国税庁のホームページで公開されています。

参照:健康保険 被扶養者(異動)届 国民年金第3号被保険者関係届(エクセル)|国税庁

5. 扶養控除等(異動)申告書は余裕を持って回収しよう

本記事では、扶養控除等(異動)申告書の各項目の書き方について解説しました。
扶養控除等(異動)申告書は忙しい年末に回収する必要があるため、早めにに配布し、間違いのないように記入してもらいましょう。
本記事を参考に、扶養控除等(異動)申告書の書き方を従業員へ周知しておくことも大切です。

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