雇用保険料の納付手順や期限を担当者向けに詳しく解説 |HR NOTE

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雇用保険料の納付手順や期限を担当者向けに詳しく解説

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雇用保険料の納付方法は一見すると複雑です。計算方法が特殊なため、その年だけでなく前年の処理も必要です。納付期日も意識していないと忘れかねません。

本記事では、納付手順、納付期限、納付方法の種類、遅れてしまったときの対処方法を詳しく解説します。

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1. 雇用保険料の納付手順

書類を見る女性

雇用保険の保険料の基本的な納付方法を解説します。

1-1. 雇用保険料の確定は年度更新で行う

雇用保険料の支払いは「年度更新」です。年度更新とは、まず年度頭にその年度(4月1日から翌年の3月31日まで)の保険料を概算で計算し、その額を申告・納付します。しかしあくまで概算(見込み)であるために、実際に支払うべき金額との間にずれが生じるのが一般的です。

そこで、次の年度頭に前年度の実際の賃金から正しい雇用保険料を算出します。そして前年度の雇用保険料の過不足を精算するのです。

年度更新ではこの両方の作業を毎年行うことになります。そのため前年度に実際いくら賃金を支払い、本来納付するべきだった雇用保険料はいくらだったのかを正確に把握することが重要です。すでに申告・納付した保険料との間にどれだけの差額があるのか明確にし、正しく精算する必要があります。

1-2. 今年度の雇用保険料の概算方法

雇用保険料の概算を行うときに基準となるのは「今年度支払うであろう見込み賃金」です。前年度いくら賃金を支払い、今年度はどのくらい支払う見込みになるのか計算します。

そうすると「今年度支払うであろう見込み賃金」が算出できるため、ここから雇用保険料を算出するのです。

ただし、条件によっては、この見込み賃金を前年度の確定賃金で処理することができます。その条件とは「今年度の見込み賃金が前年度の1/2以上、2倍以下の場合」です。[注1]
そのため、前年ととくに大きな変動の予定がないのであれば、前年度と同額の賃金として処理しても問題ありません。ただし、雇用保険料率は年度初めや年度の途中で変動する可能性が高いので、注意が必要です。 そのほかにも、雇用保険料を算出する際にはいくつかの注意点があります。当サイトでは、雇用保険料を含む社会保険料の計算方法から計算する上での注意点をまとめて解説した資料を無料でお配りしています。給与計算をする上で、社会保険料の計算に不安がある方はこちらから「社会保険料の給与計算マニュアル」をダウンロードしてご活用ください。

[注1]労働保険の年度更新とは:3.年度更新手続き上の留意点(2)継続事業の場合[2]ウ|厚生労働省

1-3. 雇用保険料の申告書への記入方法と注意点

雇用保険料の年度更新手続きには更新申告書と納付書(領収済通知書)への記入が必要です。両書類は毎年企業の登録住所に送付されます。

しかし、発送業務は外部の民間事業に委託されているケースもあるため注意が必要です。もし年度更新の開始時期になっても書類が届かない場合は所轄の労働基準監督署か労働局に問い合わせてください。

書類が手元に届いたら、厚生労働省が毎年公式サイト上に掲載しているリーフレットを確認しましょう。年度ごとの変更点など注意事項も細かく記載されているため、留意しつつ正しく記入していきます。[注2]

とくに注意したい点は納付金額の頭に記入する円マークです。通常はYの字に横線を2本書き足しますが、雇用保険料の納付書では横線は1本だけとなっています。[注3]

注意点として、申告書では訂正が可能ですが、納付書で記載ミスをした場合には書き直しはできません。新しい納付書に書き換えるよう定められています。[注4]

また、申告書と納付書(領収済通知書)を切り離してしまったという場合もあるでしょう。そのときは申込書は所轄の労働局に提出(郵送も可)し、納付書(領収済通知書)は金融機関で納付すれば大丈夫です。[注5]

[注2]労働保険の年度更新 令和4年度事業主の皆様へ(雇用保険用)労働保険年度更新申告書の書き方(全体版)|厚生労働省

[注3]労働保険の年度更新 令和4年度事業主の皆様へ(雇用保険用)労働保険年度更新申告書の書き方(全体版) 8 申告書の書き方|厚生労働省

[注4]労働保険の年度更新 令和4年度事業主の皆様へ(雇用保険用)労働保険年度更新申告書の書き方(全体版) 15 よくある質問Q8|厚生労働省 
[注5]労働保険の年度更新 令和4年度事業主の皆様へ(雇用保険用)労働保険年度更新申告書の書き方(全体版) 15 よくある質問Q9|厚生労働省

1-4. 雇用保険料の申告・納付をする

雇用保険料の納付方法は4つ用意されています。「現金納付」「口座振替」「電子納付(インターネットバンキング・ATM)」「労働保険事務組合への委託」です。

【現金納付】

現金納付は申告書の提出と労働保険料の支払いを同時に行います。現金納付の名のとおり支払いは現金で行うため、まとまった金額が必要です。申告書と納付書(領収済通知書)を切り離してしまった場合はこの納付方法となります。

【口座振替】

口座振替なら、納付手続きを済ませておけば、自動的に保険料を引き落としてもらえます。現金納付よりも最大で2カ月もの大幅なゆとりが生まれるメリットもあります。引き落とし日が現金納付の期日より60日近く遅いのです。[注6]

口座振替の手続きにはまず所轄の労働基準監督署や労働局、または厚生労働省のホームページから申し込み用紙を入手します。申し込み用紙を金融機関に提出すると、引き落とし日の3週間前に引き落とし額を準備しておくようにはがきが届くので、口座に納付額を準備しておきましょう。あとは自動で引き落としてくれるようになります。

ただし、毎年申告書を所轄の労働基準監督署か労働局へ提出する必要があることを忘れてはいけません。e-Govからの電子申請なら、窓口時間にとらわれずいつでもできるので便利です。[注7]

【電子納付】
もし電子申請をするのであれば電子納付も選択できます。ペイジー対応のインターネットバンキングもしくはATMから納付できることから、どこからでも支払うことが可能です。とくに2020年4月から特定の法人は雇用保険料などの申告など、一部手続きに関して電子申請が義務付けられました。厚生労働省の公表を確認し、自社が該当していないかどうかの確認が必要です。[注8]

【労働保険事務組合への委託】
もうひとつ、条件を満たす中小企業の場合は、労働保険事務組合に委託するという方法もあります。この場合は常時勤務する労働者数が条件です。[注9]

雇用保険料の額面に関係なく分割納付を選べるようにもなるので、一度にまとまった金額を用意しにくい中小企業にとっては大いに助かります。条件を満たすようであれば、一度検討するのもおすすめです。

[注6]労働保険料の納付は口座振替が便利です!|厚生労働省
[注7]電子申請について|e-Gov
[注8]2020年4月から特定の法人について電子申請が義務化されます。|厚生労働省
[注9]これらの事務処理を委託することができます。(労働保険事務組合制度)|厚生労働省徳島労働局

1-5. 雇用保険料の納付方法には例外もある

雇用保険料の申告・納付は上記で示した4つのほかにも例外があります。まずは賃金が大幅に変動する場合です。

これは年度途中に事業を拡大したために、人員が大幅に増えたなどの理由があげられます。結果として概算の2倍を超える賃金が発生する見通しになった、もしくは概算申請した保険料より13万円以上の差額が発生するということもあり得ないことではありません。もしこのようなことになった場合「増加概算保険料」を申告・納付することになります。[注10]

雇用保険料の納付方法の例外には、分割で納付する方法もあります。条件は概算の雇用保険料が20万円以上か、労災保険もあわせた労働保険料が40万円以上、労働保険事務組合へ委託しているといった条件を満たしている場合です。[注11]

ただし分割納付できるとはいえ事業の立ち上げ時期により回数は異なります。10月1日以降に成立した場合は延納は認められません。そのため成立した日から3月31日分まで一括納付することになります。

[注10]賃金の見込み額が増加したとき(継続事業)|厚生労働省兵庫労働局
[注11]労働保険料の申告・納付 労働保険料の延納(分割納付)|厚生労働省

1-6. 雇用保険料の納付期限

雇用保険料の納付期限について解説していきます。

1-7. 雇用保険料の年度更新の納付期限

雇用保険料を年度更新で納付するときは、前年度の賃金から算出した「概算の雇用保険料」をその年度の6月1日から7月10日までに納付します。[注12]

必要書類は手続きの開始日である6月1日に間に合うように送付されてくるため、5月の賃金が確定したらすぐに手続きの準備に取り掛かるとよいでしょう。

とくに、前年度の賃金と雇用保険料は4月1日に確定しているので、前年度の処理は早々に済ませておくと慌てずにすみます。納付が遅れないように余裕をもって処理しておくことが大切です。

[注12]労働保険の年度更新とは 1労働保険の年度更新とは|厚生労働省

1-8. 雇用保険料を例外で納付するときの期限

口座振替で納付するのにも申告を済ませる必要があります。年度更新と同様に余裕をもって申告できるよう、準備は早くから済ませておくと安心です。
また、口座振替の手続き期日もきちんと覚えておく必要があります。全期や分割納付の1期を口座振替で済ませるためには2月25日、分割納付の2期は8月14日、3期は10月11日が手続き期日です。[注13]

年度更新の概算保険料を大きく超えた場合の「増加概算保険料」の申告・納付にも期限があります。まずは増加した日から30日以内に「増加概算保険料申告書」を用意しましょう。そして増加分の概算保険料を添えて、所轄の労働基準監督署か労働局、銀行や郵便局などの金融機関に申告・納付します。[注14]

ただし実際には労働基準監督署が把握することはできず、結果として企業任せになっているのが現実です。そのためその年度内に処理せずに、翌年の確定作業時に追加で納付する企業も多くあります。

一度に多額の雇用保険料を用意しきれない、そんな企業向けの分割納付の期限も確認しておきましょう。事業場が成立したかで納付期限が変わります。表にまとめてみました。[注15]

事業場成立時期 前年度以前 4月1日~5月31日 6月1日~9月30日
第1期納付期限 7月10日 成立日の翌日から50日 成立日の翌日から50日
第2期納付期限 10月31日 10月31日 1月31日
第3期納付期限 1月31日 1月31日

10月1日以降に事業が成立した場合は、分納は認められません。管轄の労働基準監督署や労働局に問い合わせて正しく納付を済ませましょう。

[注13]労働保険料は口座振替が便利です!|厚生労働省
[注14]賃金の見込み額が増加したとき(継続事業)|厚生労働省兵庫労働局
[注15]労働保険料の申告・納付 労働保険料の延納(分割納付)|厚生労働省

2. 雇用保険料の納付が遅れたときの対処方法

ショックを受ける男性

うっかりしていて雇用保険料の納付を忘れてしまったとき、どのように対応すればよいのでしょうか。対処方法を解説します。

2-1. 雇用保険料を納付し忘れたときの対処方法

正規の期日に遅れた場合はまずは督促状が届きます。督促状の期日(納期限から約3週間後)までに支払えば延滞金は発生しません。

また、2年を経過すれば時効により消滅するとされていますが、払わなければ先のリスクを背負うことになります。優先的に処理をして納付を済ませましょう。

2-2. 雇用保険料を納付できないときの対処方法

災害、盗難、事業の休業などで雇用保険を支払いきれなくなることもあります。そのような場合には管轄の労働局に申請することで、支払い期限に猶予をもらえる場合があるため覚えておきましょう。

ただし、申請者である事業者の財産や収支の状況によって期限は変わります。基本的には1年以内と短期であり、再度猶予が認められたとしてもあわせて最長2年以内です。[注16]

まずは管轄の労働局に相談してみることも大切です。

[注16]労働保険料等を一時に納付できない方のための猶予制度について|厚生労働省

3. 雇用保険料の納付は確実に

エクセレントにチェックマーク

雇用保険料の申告・納付は早めに準備しておきたい事柄です。延滞したときのリスクも大きいことから、自社にあった納付方法でスムーズに済ませましょう。

納付方法によるメリットもあるので、利用できるところは取り入れてみてください。

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