新型コロナウイルスの流行や働き方の多様化により、自宅などで業務を行うテレワークを導入する企業が多くなりました。
しかし、テレワーカーは出社しないため、入退室の管理システムやタイムカードによる勤怠管理ができません。
テレワークを導入したものの「勤務実態が把握できずに悩んでいる」という企業も多いでしょう。
そこで、この記事ではテレワーカーの勤怠報告について、5つの連絡方法や注意点をまとめて紹介します。
関連記事:勤怠とは?勤怠管理の目的や具体的な方法、注意点について解説
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目次
1. 勤怠報告とは
そもそも勤怠とは「仕事に励むことと怠けること」「出勤と欠勤、出退勤」の意味があり、ビジネスシーンにおいて勤怠報告は欠勤や遅刻、出退勤を連絡するときに使用します。
また、テレワークを導入している企業では、テレワークの開始・終了や業務内容の報告、勤務状況を共有するために勤怠報告を行います。
2. 勤怠報告を行う意味
勤怠報告はなぜ行わなければならないのでしょうか。
ここでは勤怠報告を行う意味をお伝えします。
2-1. 従業員の労働時間を管理するため
勤怠報告は正確な勤怠管理のために必要です。
労働基準法第37条には、法定労働時間は「1日8時間、週40時間」と定められており、時間外労働についても、2019年に施行された改正労働安全衛生法により上限は原則「月45時間年360時間」までとされました。
このような法定労働時間や時間外労働の上限を守りながら従業員が働いているか、また賃金が正しく支払われているかについて、企業は客観的に把握し管理することが義務付けられています。
特に、労働者ごとに労働日数や労働時間の記録は3年間保存しなければなりません。
企業の人事担当者が従業員の正確な勤怠管理を行うためにも、日々の勤怠報告は欠かせません。
関連記事:勤怠管理の法律上のルールとは?違反した場合や管理方法について
2-2. 過重労働の抑止
正確な勤怠報告は過重労働の抑止にもなります。
過重労働が問題視されるようになり、時間外労働の上限などが設定されたことで、上限を上回っていれば罰則が発生するようになりました。
出勤や欠勤、出退勤を連絡し、労働時間を記録することは従業員の勤怠管理の基礎となります。
従業員の労働を正確に把握することで働きすぎを回避し、健康問題や生産性の改善、ライフワークバランスの満足度を高めるきっかけにもなるでしょう。
3. 勤怠管理で把握する項目とは
従業員の勤怠を正確に管理するためには、単に出勤や欠勤を連絡してもらうだけでなく、時間外労働時間や深夜労働時間、休日労働などについても把握する必要があります。
具体的には下記の項目について把握しておきましょう。
- 出勤・欠勤
- 休日出勤の日数
- 始業時刻・終業時刻
- 遅刻や早退の回数
- 労働時間
- 休憩時間
- 時間外労働時間・深夜労働時間・休日労働時間
- 有給の取得日数・残りの日数
勤怠管理において把握しておくべき項目は上記の通りです。項目も多く、従業員数が少なくともリアルタイムで正確に把握しておくにはかなりの労力がかかります。
また、各項目について具体的にどのように集計して管理すれば良いのかわからないというお困りの方もいらっしゃるでしょう。
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関連記事:勤怠管理でチェックすべき項目4つや管理方法ごとの特徴を紹介
3-1. テレワークでは勤務実態の把握が難しい
企業には従業員の勤怠管理が義務付けられていますが、テレワーカーは出社しないため、入退室の管理システムやタイムカードによる勤怠管理ができません。
さらに、企業側はテレワーカーの勤務実態が把握しづらく、労働時間や残業時間などはテレワーカーの自己申告になりがちであることも問題視されています。
このように、テレワークでは勤怠管理が難しいことから、管理不足によってテレワーカーの過剰労働やサービス残業につながるケースがあります。
4. 勤怠報告する5つの連絡方法
テレワーカーの勤怠をしっかりと管理するためにも、会社に出勤して業務を行うのと同じように、出退勤や休憩の開始・終了の連絡を行いましょう。
ここでは、勤怠報告をする際に使われる連絡方法を紹介します。
関連記事:勤怠管理をする上での休憩時間の決まりとは?トラブル例や注意点を解説
4-1. メール
勤怠報告にメールを使う企業が多くみられます。特に、これまでタイムカードなどで勤務時間を管理していた企業が、テレワーク導入をきっかけに勤怠報告メールを取り入れた、というケースが多いとされています。
手軽に取り入れられる方法ですが、メールの場合はたとえ社員同士の場合でも定型句を挿入することが一般的とされているため、簡単な内容であっても読むのに時間がかかったり、他のメールに埋もれてしまったりする可能性があるでしょう。
勤怠報告にメールを使うメリット・デメリットは下記の通りです。
メリット |
デメリット |
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4-2. チャットツール
メールよりも素早く勤怠報告ができることから、チャットツールを連絡方法として選ぶ企業も増えています。
チャットツールはメールのような定型句を挿入する必要もなく、効率的に勤怠報告や業務の不明点の相談にも活用できます。
近年ではチャットアプリやSNSの普及により、メールや電話よりもチャットでのコミュニケーションに慣れている世代も増えているため、若い世代が多い企業ではチャットツールの方が連絡がしやすいこともあるでしょう。
勤怠報告にチャットツールを使うメリット・デメリットは下記の通りです。
メリット |
デメリット |
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4-3. 電話
電話による勤怠報告を採用している企業もあります。
コミュニケーションが取りづらいリモートワークにおいて、電話で直接会話ができる点はメリットですが、「電話をするタイミングをつかみにくい」「電話連絡を頻繁に求められる」という不満が生まれやすい面もあります。
勤怠報告に電話を使うメリット・デメリットは下記の通りです。
メリット |
デメリット |
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4-4. 表計算ソフト
出退勤や休憩の開始・終了の連絡にエクセルやスプレッドシートなどの表計算ソフトを使う企業も多いです。
エクセルやスプレッドシートを利用して勤怠管理表を作成し、従業員に業務開始時刻・業務終了時刻・休憩の開始・終了を記録してもらう方法です。
表計算ソフトであることを生かして集計も自動化できるため、勤怠管理表さえあれば毎日の作業は時刻を入力するだけ、という手軽さが大きなポイントでしょう。
ただし、改正労働安全衛生法が改正されたことにより、「従業員の労働時間の客観的な把握が使用者の義務」と明記されました。
そのため、エクセルやスプレッドシートなど表計算ソフトでの勤怠管理は推奨されていないことも留意しましょう。
勤怠報告に表計算ソフトを使うメリット・デメリットは下記の通りです。
メリット |
デメリット |
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4-5. 勤怠管理システム
リモートワークなど従業員の働き方が多様化したことから、勤怠管理システムを導入する企業もあります。
勤怠管理システムなら出勤・退勤などの打刻や残業時間の集計までシステム上で可能になるため、勤怠管理をする側の負担を軽減し、コスト削減にもつながります。他にも、従業員のICカードやスマホを使えば不正打刻や打刻忘れを防ぎ、勤怠状況をリアルタイムで把握できます。
このようにメリットが多い一方、勤怠管理システムの導入にはコストがかかることや、管理者がシステムを使いこなし、従業員に周知するための時間や手間がかかることがデメリットでしょう。
勤怠報告に勤怠管理システムを使うメリット・デメリットは下記の通りです。
メリット |
デメリット |
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5. 勤怠報告をする際の注意点
勤怠管理には原則として「客観的な記録」が求められます。
そのため、勤怠の連絡方法には従業員の人数や働き方などさまざまな要件を考慮し、最適な方法を選ぶことが重要です。
連絡方法を検討する際の注意点は下記の通りです。
- 勤怠を客観的に記録できる
- 打刻忘れやミス・不正を防ぐことができる
- 従業員と管理者、どちらにも使いやすいものか
- 給与計算への反映や残業時間などの集計が人事担当者の負担なくできるか
- 従業員の勤務形態に合っている
勤怠管理システムならより正確で客観性のあるデータで管理できますが、システムの導入には費用がかかるため、基本的な機能だけでなく、自社に合わせた任意の設定ができるか、従業員の勤務形態に合っているかなども見極めてから取り入れましょう。
6. メールやチャットツールを使った勤怠報告のポイント
最後に、テレワークの業務開始・終了報告をメールやチャットツールで行う際のポイントをご紹介します。ぜひ、メールやチャットツールを使った開始・終了報告の参考にしてください。
6-1. 簡潔な内容にする
メールやチャットを受け取る上司は日々多くの社員からの勤怠報告に目を通しています。
そのため、箇条書きや改行を使って簡潔でわかりやすい内容にし、目を通す時間が短くて済むように配慮しましょう。
メールの場合はひと目でわかる件名にすることも重要です。
場合によっては一言添える
テレワークの場合、従業員同士のちょっとしたコミュニケーションが取りづらいことが課題の一つです。
勤怠報告の連絡は文字のやり取りではありますが、従業員同士の貴重なコミュニケーションのきっかけになるでしょう。
簡潔な内容のメールにすることが重要ですが、ときには自分の状態や仕事に関する雑談など一言添えると和やかになる場合もあります。
7. 勤怠報告の方法はさまざま!自社にあった方法を見つけよう
テレワークを導入している企業では、テレワークの開始・終了や業務内容の報告、勤務状況を共有するために勤怠報告を行います。
勤怠報告の連絡方法にはさまざまな方法がありますが、従業員の人数や働き方などさまざまな要件を考慮し、最適な方法を選ぶことが重要でしょう。
勤務実態の把握が難しいテレワーカーの勤怠を正確に管理するためにも、この機会に勤怠報告を見直してみてはいかがでしょうか。