従業員が打刻を忘れると、確認や修正の作業が発生し、人事・労務担当者のその他重要な業務をおこなう時間が削られてしまいます。打刻を押し忘れる従業員が多い場合は、必ずいくつかの理由があるため、適切な対策を講じることが大切です。
本記事では効率的な勤怠管理に向けて、打刻忘れが起きやすい理由、適切な対策や対応を解説します。
関連記事:打刻とは?意味や打刻忘れが起きたときの対応について徹底解説
タイムカードによる勤怠管理で頭を悩ませるのが、打刻漏れです。毎月締め日に漏れを確認し、従業員に問い合わせるだけでも多くの時間がかかってしまい、人事業務を圧迫していませんか?
勤怠管理システムでは打刻漏れがあった際にアラートが上がる仕組みになっており、すぐに打刻修正を行えるため、打刻漏れを減らし確認作業にかかる時間を減らすことができます。
実際、4時間かかっていた打刻漏れの確認作業がシステム導入によりゼロになった事例もあります。
「システムで打刻漏れを減らせるのはわかったけど、実際にタイムカードでの労働時間管理とどう違うのかを知りたい」という人事担当者様のために、タイムカードの課題を勤怠管理システムでどのように解決できるのかをまとめた資料を無料で配布しておりますので、ぜひダウンロードしてご覧ください。
目次
1. 打刻忘れが発生する理由
打刻とは、タイムカードやICカード、勤怠管理システムなど、さまざまな媒体で出退勤時刻を記録することです。管理方法によって、打刻忘れが起きている理由は異なるでしょう。
ここでは、とくに打刻を忘れることにつながりやすい8つの理由を解説します。
1-1. 打刻機が目立たない位置にあるため
タイムカードで記録する場合は、出勤・退勤時に打刻機のある場所まで打刻しに行く必要があります。従業員の目につきにくい位置に打刻機が置かれている場合、打刻忘れが起きやすくなります。
また、打刻機の周囲に備品が乱雑に置かれていると打刻がしにくくなり、後回しにすることで結局忘れてしまうこともあるため注意しましょう。
1-2. 打刻に手間がかかるため
たとえば、タイムカードで勤怠管理をしている場合、従業員同士の出退勤のタイミングが重なった際に、列になり打刻機に並ぶ時間が発生してしまいます。空いてから打刻しようと思い、結局忘れてしまうケースもあるでしょう。
また、エクセルで打刻管理をしている場合は、数値を自身で打ち込む必要があり、工数がかかるので打刻忘れやミスが発生しやすくなります。
1-3. 打刻の習慣が根付いていないため
従業員の入れ替わりが激しい企業や、新しい勤怠管理方法に変更したばかりの企業では、従業員間で打刻の習慣化ができていない場合も多いです。打刻忘れを減らすには、従業員全体にルーティンとして打刻作業を根付かせる必要があります。
1-4. 打刻の重要性が理解されていないため
打刻の重要性が理解されていないことも、打刻忘れが発生する理由の一つです。
打刻をする意味や必要性を知らない従業員が多いと、打刻忘れや打刻漏れが多発してしまうでしょう。とくに新入社員などは打刻の重要性を理解しておらず、タイムカードをずさんに扱っているかもしれません。
打刻は、勤怠管理や給与計算に関わる重要な業務であることを、きちんと周知しておくことが大切です。
1-5. 直行直帰が多いため
外回りの営業や出張に出る従業員は直行直帰をすることが多く、物理的に打刻をすることができません。また、リモートワークを採用したものの打刻ルールを決めておらず、打刻が漏れてしまうケースもあります。
電話やメールなどによる連絡を義務付けていても、ついつい忘れてしまう従業員もいるでしょう。出退勤時に周囲に他の従業員がいないことも、連絡を忘れてしまう理由の一つです。
1-6. 従業員によって勤務時間が異なるため
従業員によって勤務時間が異なる場合、打刻忘れが発生しやすくなります。一斉に出勤・退勤する場合は、打刻するために全員がタイムカードのある場所へ向かうため、打刻を忘れることは比較的少ないでしょう。
一方でフレックスタイム制やシフト制などを導入している場合は、それぞれのタイミングで打刻する必要があり、打刻したかどうかを従業員同士で確認することも難しいので、打刻漏れが発生する可能性が高まります。
1-7. 打刻方法がわかりにくいため
とくに従業員の入れ替わりが激しい企業の場合、エクセルや勤怠管理システムの使い方に慣れていない従業員も多く、打刻忘れが発生しやすいでしょう。
また、エクセルシートに打ち込むべき欄が多い場合や、打刻を完了させるまでに手間がかかるシステムを利用している場合などは、ミスや打刻忘れにつながりやすいです。
1-8. 業務に追われている
業務に追われていると、打刻することを忘れてしまう従業員が増えます。打刻をリマインドすることはもちろん、そもそもの業務状況を改善することも検討するとよいでしょう。
関連記事:打刻漏れが発生する理由とは?対策やミスが発生した際の対処法を解説
2. 打刻忘れを防止するための対策
打刻の押し忘れを減らしたい場合、従業員の意識を改めるだけで改善を図ることは難しいでしょう。そのため、打刻忘れが発生しないよう、仕組み化を図ることが大切です。
打刻を忘れる原因を踏まえたうえで、以下のような効果的な改善策を講じてみましょう。
2-1. 打刻機の位置を変更してみる
打刻機で勤怠管理をしている場合は、なるべく出退勤時に従業員の目につきやすい場所へと機械を移動させましょう。とくにオフィスの出入口付近や、周囲が備品で埋もれない場所を選択するのがおすすめです。
適切な位置に設置しておけば、打刻機が目に留まらず素通りしてしまうケースを防ぐことができます。
2-2. 打刻の重要性を周知する
そもそも打刻の重要性を理解していない従業員が多いと、いくら仕組みをつくっても効果を発揮しません。打刻は、労働時間を正確に記録して、賃金を正しく支給するためにも不可欠です。
賃金の未払いを防げるなど、従業員側のメリットも含めて、打刻の重要性を伝えるとよいでしょう。
2-3. 打刻忘れを注意するポスターを掲示する
出退勤時や業務時間中に視界に入る場所に、ポスターを貼ることも効果的です。業務が多忙な場合でも、ふと目に留まる掲示物があることで、打刻の押し忘れを防げます。従業員同士で注意喚起するきっかけにもなるでしょう。
2-4. 打刻忘れのチェック担当者を決める
打刻忘れについてチェックする担当者を決めておくのも効果的な方法です。チームや部署ごとに担当者を決めておけば、打刻漏れや打刻忘れを効率よく防止できるでしょう。
担当者を固定するのではなく当番制にすると、全員がチェックする側・される側になるため、打刻に対する意識がより高まります。
2-5. 自動リマインダーアプリを活用する
自動リマインダーアプリとは、設定した時刻に通知やアラームを発してくれるアプリのことです。スマートフォン・パソコンなどにアプリやツールを導入しておき、出退勤時刻にリマインダーを設定しておけば、打刻忘れを防止できるでしょう。
関連記事:GPS打刻とは|GPS機能の勤怠管理システム・アプリのメリット
2-6. 勤怠管理システムを導入する
勤怠管理システムで打刻をする場合は、タイムレコーダーに並ぶ時間や、エクセルで数値を手入力するといった手間を削減できます。手軽に打刻をおこなえることから、打刻へのハードルが下がり、後回しにして忘れてしまうケースを防止できます。
また、打刻を忘れた社員に対して、自動でアラートをおこなえる機能も搭載されているため、再発防止の観点からも効果的です。
ここまで打刻忘れが起きる理由、打刻忘れを減らすための改善策をお伝えしましたが、「勤怠管理システムに変えると、具体的にはどのように管理ができるのか」とイメージがつきにくい方もいらっしゃると思います。
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3. 打刻を忘れた従業員に必要な対応
従業員が打刻を忘れた場合、人事・労務管理の担当者は適切な処置をおこなわなければいけません。独断による対応をしてしまうと、労働基準法に違反し、罰則を受ける可能性もあります。適切な労働環境を維持するためにも、ルールに基づいた対応を検討しましょう。
3-1. 忘れた本人に直接確認を取る
打刻忘れに気付いたら、直ぐに記録の修正対応をおこないましょう。時間が経つと従業員の記憶が薄れてしまううえ、修正対応を失念してしまう可能性があります。
まずは打刻履歴のない従業員に対して、事実確認をおこないましょう。憶測で出退勤の時間を勝手に修正することは厳禁です。原則、従業員の労働時間を客観的に把握することが労働基準法によって定められているためです。
3-2. 確認をしたうえで勤務時間の修正対応をする
打刻に使用しているのがタイムカードであれば、そのまま手書きで時刻を記載しておけば、給与計算の際も正しい時刻で集計できます。
一方、タイムレコーダーを勤怠管理システムと連携している場合は、労働時間をシステム上で管理しているので、タイムカードそのものを修正しても集計に反映されません。その場合は、勤怠管理システムにログインし、手動で当該従業員のデータを修正する必要があります。
もしくは、システム上で従業員側から打刻修正を申請できるものもあるため、自社の運用に合う方法を選択しましょう。なお、データの修正方法はシステムによって異なるので、初めてデータ修正をおこなう際は、マニュアルを確認したうえで作業をおこなう必要があります。
3-3. しっかりと注意をする
打刻を忘れた社員には、理由を確認した後にしっかりと注意をおこなうことが大切です。打刻の重要性や、管理されている事実を再認識させるためです。従業員にはその後の対策まで周知し、再発を防止しましょう。
3-4. 度重なる打刻忘れの場合、始末書を提出させる
繰り返し打刻を押し忘れてしまう従業員には、始末書を提出させることも手段の一つです。
ただし、再発を防ぐため従業員に対して直接罰金を科すことなどは、法律違反にあたります。始末書の提出や、人事評価材料の一部にするなど、ペナルティを科す場合は慎重に検討しましょう。
4. 打刻忘れが発生することによる損失
従業員の打刻忘れが頻発すると、会社に損失やリスクが発生します。以下のような損失を避けるためにも、打刻忘れを防ぐ取り組みは重要です。
4-1. 給与計算が煩雑になり、担当者の手間がかかる
打刻忘れがあると、その従業員の正確な労働時間を把握することが難しくなります。給与計算時まで打刻忘れに気づけなかった場合は、該当する従業員への個別確認や、それぞれの修正作業が必要となり、その分の手間がかかります。
担当者の業務負担を防ぐためにも、打刻忘れを未然に防止する仕組み作りが重要です。
4-2. 賃金の支払いミスが発生する可能性がある
打刻忘れがあると、実際に勤務していた時間が記録されないため、残業や休日出勤などの労働時間が適切に反映されない可能性があります。たとえば、残業をしていたにも関わらず打刻が正しくされていないと、その日は定時上がりとみなすか、残業をしていたとみなすか、判断が難しくなります。
給与の計算・支払ミスの可能性が高まることはもちろん、ミスや確認方法によっては従業員との信頼関係を損ねる原因にもなるので注意が必要です。
4-3. 労働基準法に違反する可能性が高まる
打刻忘れの発生により、従業員の正確な労働時間の把握が難しくなるため、法定労働時間や休憩時間の遵守が困難になります。労働時間を客観的に把握することは企業の義務であるので、しっかりと対応しなければなりません。
また、本来与えるべき休憩を与えずに労働させることは、労働基準法違反です。法的なリスクを避けるためにも、打刻忘れを防ぐ必要があります。
参照:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準|厚生労働省
5. 打刻忘れを理由としてペナルティを与えてもよい?
打刻忘れをした従業員に対して、減給などのペナルティを与えることは可能なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
5-1. 働いた分の給与は支払わなければならない
従業員が打刻を忘れていたとしても、基本的に欠勤や遅刻の扱いにすることはできません。労働基準法第24条では賃金全額払いの原則が定められており、実際に従業員を労働させた時間に対しては、その時間分の給与を支払う必要があります。
(賃金の支払)
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
打刻をしたかどうかではなく、実際に働いていたかどうかという事実が優先されるため、注意しましょう。
関連記事:賃金支払いの5原則とは?違反したときの罰則や例外を詳しく紹介
5-2. 打刻忘れが頻発している場合は一定の範囲で減給できる
何度も打刻忘れを繰り返すような従業員に対しては、減給の懲戒処分を適用することも可能です。何度も注意したり、始末書を提出させたりしても改善されない場合は、減給処分を検討しましょう。ただし、事前に就業規則にルールを記載しておかなければなりません。
また、減給額には限度があります。1回の減給額は、平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。さらに、減給の総額は、1賃金支払期における総額の10分の1を超えることもできないため注意しましょう。
(制裁規定の制限)
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
関連記事:労働基準法第91条に基づく減給の制裁規定の制限とは?違反した場合の罰則も解説!
6. 打刻忘れの理由を把握したうえで適切な対策をとろう
今回は、打刻忘れが発生する理由や、打刻忘れを防止する方法などを紹介しました。打刻忘れが頻発していると、正確な労働時間を記録できなくなり、最悪の場合、労働基準法違反として罰則を受ける可能性もあります。
ただ、打刻を忘れないよう意識をしていても、勤怠管理方法やオフィス環境などのさまざまな外的要因によって、打刻忘れをゼロにすることは難しいでしょう。
まずは社内で打刻忘れが起きている理由を分析し、打刻を忘れない仕組みをつくることが最も大切です。また、打刻忘れが発生した場合も、正しい対応をとり、適切な勤怠管理を実現させましょう。
タイムカードによる勤怠管理で頭を悩ませるのが、打刻漏れです。毎月締め日に漏れを確認し、従業員に問い合わせるだけでも多くの時間がかかってしまい、人事業務を圧迫していませんか?
勤怠管理システムでは打刻漏れがあった際にアラートが上がる仕組みになっており、すぐに打刻修正を行えるため、打刻漏れを減らし確認作業にかかる時間を減らすことができます。
実際、4時間かかっていた打刻漏れの確認作業がシステム導入によりゼロになった事例もあります。
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