労働基準法の第91条とは?条文の内容や対象となるケースを紹介 |HR NOTE

労働基準法の第91条とは?条文の内容や対象となるケースを紹介 |HR NOTE

労働基準法の第91条とは?条文の内容や対象となるケースを紹介

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減給

従業員のミスが原因で多大な影響が及んでしまったり、勤務態度に問題があったりした場合、ペナルティとして減給が行われる場合があります。
減給とは給与を減らすことですが、減給の理由によっては給与から減らせる限度額が設けられています。

今回は労働基準法の第91条で定めている減給の限度額や対象となるケースを紹介します。

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人事担当者など従業員を管理する役割に就いている場合、雇用に関する法律への理解は大変重要です。
例外や特例なども含めて法律の内容を理解しておくと、従業員に何かあったときに、人事担当者として適切な対応を取ることができます。

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1. 労働基準法の第91条「減給の限度額」の内容

給料カット労働基準法の第91条では懲戒処分1回につき減給できる限度額を次のように設けています。[注1]

  • 限度額=平均賃金1日分の1/2

また、ひと月に複数回の問題行動があった場合は、月の賃金総額の10分の1を超える減給はできません。

例えば、月給30万円の従業員に3回の問題行動があったとします。ひとつの問題行動に対しての減給の限度額は1日平均賃金の半額のため5,000円です。この5,000円の減給が3回発生するので、3回の問題行動に対しての限度額は1万5,000円となります。

月給30万円の場合、月の減給限度額は最大3万円のため、1万5,000円であれば減給の限度額内です。

[注1]労働基準法|e-Gov法令検索

2. 労働基準法の第91条による減給の対象となるケース

ショックを受けている男性

労働基準法の第91条で定められている減給の限度額は、懲戒処分による減給に適用されます。

就業規則違反をはじめ、問題行動を起こす従業員に対して減給を行うことが可能です。問題行動とは、無断欠勤や遅刻を繰り返す、ミスが多い、会社の情報を社外に漏えいしたなどが挙げられます。

ただしいずれも就業規則に明記されていないと、問題行動に対して減給を行えない可能性があります。企業と従業員が双方納得するために、就業規則に減給についてのルールを記載しておきましょう。

3. 懲戒処分以外で減給になるケース

人事名簿

懲戒処分以外にも人事評価や異動、さらには会社都合で減給可能な場合があります。
ですが、いずれも従業員からの同意が必要です。

3-1. 人事評価の低下や異動による減給

人事評価の低下や降格による減給もあります。例えば、人事評価が下がりそれに伴って減給されていく、役職が下がることに伴って減給されていくといったケースが考えられます。

この場合も就業規則に減給の可能性が記載されているかが重要です。また、そのことが従業員に周知されているかによっても減給可能かどうかが異なります。

3-2. 給与規定が改訂されたことによる減給

就業規則のなかの給与規定の改訂も減給の原因となります。給与規定を改訂したことによる減給は、原則として事前に従業員全員から個別で同意を得る必要があります。ですが、労働契約法第10条では、給与規定の改訂に合理性があり、変更手続きも適性であることが認められれば、事前の同意がなくとも減給が可能です。

3-3. 会社都合による減給

会社の業績や売上が悪化してしまったことから、人件費を削減する目的で減給が行われる可能性があります。
ただし、会社の都合で言及を行う場合は従業員に対して財務資料ほかを共有したうえで、丁寧に説明し、同意を得る必要があります。

4. 労働基準法の第91条に違反したときの罰則

ペナルティ

労働基準法第91条の定めに反して、平均賃金の1日分の半額以上を減給した場合、30万円以下の罰金が科せられます。そのため、減給する場合は、同条で定められたとおりの限度額に収めるようにしましょう。また、限度額以外にも従業員とのトラブルに発展しないために、減給までのプロセスに注意しましょう。

4-1. 就業規則を確認する

問題行動や人事異動、事業の悪化ほか、さまざまな理由で減給する場合は、就業規則を一度確認しておきます。就業規則にそれぞれの理由によって減給する旨が記載されていなければ、減給は難しいでしょう。

就業規則に減給についての規則がなかったことで、新たに減給の項目を設けた場合は、就業規則の変更届を所轄の労働基準監督署に提出します。

4-2. 減給の根拠を確認する

就業規則に減給の旨が記載されていたら、次に減給の根拠を確認します。例えば問題行動に対して減給をするのであれば、問題行動が実際にあったかどうかを確認します。また、問題行動を起こした従業員に弁明の場を設けることも大切です。人事評価や人事異動が理由による減給も同様です。一方的、恣意的な人事評価、人事異動ではないことをしっかりと説明します。

4-3. 従業員に減給の説明をする

減給をするには、該当の従業員に対していくら減給されるのかや、どういった影響があるかを事前に説明します。この説明に不備があった場合、同意を得られず、不当な減給とみなされる可能性があります。また、従業員に無理強いして得た同意は無効になります。資料などを用いて丁寧に説明して同意を得るようにしましょう。

従業員が減給に同意してくれた場合は、お互いの齟齬をなくすために同意書を交わすとよいでしょう。

4-4. 従業員が減給を拒否した場合

従業員が減給に同意しなかった場合、落ち着いた対応が求められます。同意を急いでしまうと一方的な減給とみなされてしまうかもしれません。例えば同意を急ぐあまり、同意しなければ退職してもらうといった対応は不当な解雇にあたる恐れがあります。

また、なかには同意書の持ち帰りを希望する従業員もいます。そのような場合も、その場でのサインを強制せず、従業員が検討する時間を与えるようにしましょう。

4-5. 妊娠・出産、育児休暇などを理由に減給は違法

妊娠や出産、それに伴う育児休暇の取得などを理由に、降格や人事評価の低下といった不当な扱いや減給は認められていません。男女雇用機会均等法や育児・介護休業法で定められた権利のため、不当な減給をすると違法とみなされてしまいます。

5. 減給はルールを守ったうえで従業員の同意を得て行う

仕事の説明をしている

減給のなかでも懲戒処分による減給は、毎月の平均賃金の1/2までとされています。限度額を超えた減給は労働基準法違反にあたり、30万円の罰金が科せられます。

減給は懲戒処分以外にも行われますが、いずれも従業員の同意を得ることが大切です。従業員の同意を得ない、無理に同意させた場合、減給が認められないうえに、企業としての信頼も落としてしまいます。

減給は従業員に理由をしっかりと説明して同意を得てから行いましょう。

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