近年の給与管理の手段として、クラウド型の給与計算ソフトが注目を集めており、低コストで簡単に導入できることが魅力のひとつとして挙げられます。
経理担当者にとって、給与計算は非常に工数がかかる業務です。毎月、毎年決まった日に業務が集中するという負担もあることでしょう。給与計算ソフトを活用することで、煩雑な給与計算業務を効率化でき、経理担当者の工数削減につながります。
そこで今回は、日本国内にあるクラウド型の給与計算ソフトについて、それぞれの機能や特徴などを調べてみました。
給与計算ソフトを導入する際は、ぜひ参考にしてください。
▼給与計算について詳しく知りたい方はこちらの記事も参照ください。
給与計算のアウトソーシングでは従業員数が増えるとその分費用も高くなるため、従業員が増えてきた企業様では「どうにか内製化して給与計算にかかるコストを削減できないか?」とお悩みになることがあるのではないでしょうか。
そのような方に向け、当サイトでは給与計算システム・Excel・アウトソーシングのメリット・デメリットや、システムで給与計算がどのように効率化できるかをまとめた資料を無料で配布しております。
給与計算システム・Excel・アウトソーシングのどれが自社に合っているかを比較検討したい方は、ぜひ資料をダウンロードしてご覧ください。
目次
1. 給与計算ソフトのタイプ別の特徴を比較
給与計算ソフトには、さまざまなタイプがあります。自社に合ったものを導入できるよう、各タイプの特徴を把握しておきましょう。
クラウド型・オンプレミス(インストール)型
製品の提供形態という切り口で分類すると、「クラウド型」「オンプレミス型」の2つに分けられます。
「クラウド型」はオンライン上でサービスが提供されます。自社サーバーの用意が不要で、メンテナンスも提供元が行うため、導入や保守の負担が少ないことがメリットです。
法律が改正されたときにも自動的にアップデートされるため、わざわざ設定を変更する必要はありません。
「オンプレミス型」は一度買ってしまえば追加料金がかからないため、ランニングコストがかかりません。また、自社の環境に合わせたカスタマイズが柔軟にできるのも特徴です。
一方で、インストールする自社サーバーを準備したり、メンテナンスを社内でおこなったりする必要があるため、専門的な知識が求められます。
ERP型・人事労務管理一括型・給与計算特化型
機能タイプという切り口で分類すると、「ERP型」「人事労務管理一括型」「給与計算特化型」の3つに分けられます。
「ERP型」とは、Enterprise Resource Planningの略で、企業全体の業務プロセスを統合的に管理するシステムのことを指します。ERP型の給与計算ソフトの大きな特徴は、たとえば、売り上げの金額に応じた業績賞与を計算したり、人事評価と給与を結び付けて管理できたりすることです。
「人事労務管理型」は、給与管理以外の人事労務領域のデータをまとめて管理できる機能を持っています。たとえば、年末調整や給与明細の作成、マイナンバーの管理などです。
「給与計算特化型」とは、その名の通り、給与計算業務に特化したタイプのシステムです。特化している一方で、他のシステムとAPIを使った連携が可能なケースもあります。
2.給与計算ソフトの選び方と比較ポイント
給与計算ソフトを選定する際は、まず自社の課題を洗い出し、解決できる機能が備わっているかどうかを確認します。また、それ以外にも以下の観点で給与計算ソフトを比較するといいでしょう。
少人数向けか大企業向けかチェックする
自社の規模に合っているかどうかは、給与計算ソフトを選ぶときの重要なポイントです。アカウント数や利用人数の制限があるソフトもあるため、大企業の場合はとくに注意しましょう。
また、従業員が多くなるほど雇用形態や給与体系が多様化し、給与計算に関する業務は複雑化します。給与計算業務を効率化するうえでは、給与額や人事評価などを一元管理できるERP型のソフトを選ぶのがおすすめです。
既存システムと連携できるか確認する
既存のシステムと連携できるかどうかも確認しておきましょう。たとえば、勤怠管理システムと連携できれば、労働時間や残業時間をシステム間で共有し、毎月の給与額を自動的に算出できます。
手作業でデータを入力する必要がなくなるため、業務を大幅に効率化できるでしょう。どのようなシステムと連携できるかは、給与計算ソフトによって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
対応できる業務を比較する
給与計算ソフトによって、対応できる業務は異なります。通常の給与計算だけではなく、給与明細の発行や年末調整、社会保険手続きといった業務に対応しているソフトもあるため、目的に合ったものを導入しましょう。
多くの機能が搭載されたソフトのほうが便利ですが、導入費用が高くなるケースもあるため、予算とのバランスを考えながら選ぶことも重要です。
作成できる帳票を比較する
作成できる帳票についてもチェックしておきましょう。一般的な給与明細はもちろん、源泉徴収票や支給控除一覧表など、多くの帳票に対応している給与計算ソフトもあります。普段の業務で作成している帳票を把握し、作成業務を削減できるようなソフトを選びましょう。
導入費用を比較する
導入費用も重要な比較ポイントのひとつです。アカウント数に応じて費用が発生する従量課金制、人数制限のない定額制など、料金体系は給与計算ソフトによって異なります。また、初期費用だけではなく、月額費用やオプション費用などについてもチェックしておきましょう。
セキュリティ性をチェックする
給与計算に関するデータには個人情報や機密情報が含まれるため、セキュリティ性についてもチェックしておかなければなりません。
ログインするためのパスワード設定の方法や、アクセス権限を設定できるかどうかなど、安心して利用できるかどうか確認しておきましょう。
3. 給与計算ソフトを導入するメリット
給与計算ソフトを導入することには、次のようなメリットがあります。
給与計算に関する業務を効率化できる
煩雑な業務を効率化できることは、給与計算ソフトを導入する大きなメリットです。給与を計算する際は、それぞれの従業員の労働時間や残業時間、雇用形態などを考慮しながら、細かな計算をおこなわなければなりません。給与明細書などの帳票を発行するのに手間がかかるケースも多いでしょう。
給与計算ソフトを導入すれば、面倒な計算や帳票の作成を自動化できます。経理担当者の毎月の負担を軽減でき、残業代の削減にもつながるでしょう。
法律改正にも対応できる
法律改正に簡単に対応できることも、給与計算ソフトのメリットのひとつです。クラウド型の給与計算ソフトであれば、法律が改正されたときに自動的にアップデートされるため、常に最新の状態で使用できます。
たとえば、各種の保険料や源泉所得税率などが変更された場合は、自動的にアップデートされるため、担当者が設定を変更する必要はありません。無駄な業務を減らせるのはもちろん、コンプライアンスの強化にもつながります。
属人化を解消できる
給与計算ソフトは誰でも使いやすいように設計されており、利用するのに特別なスキルや知識は必要ありません。人事労務の経験が少ない初心者でも利用できるため、作業の属人化を解消できるでしょう。電話やチャットによるサポートが充実している給与計算ソフトを選べば、より安心して利用できます。
4. 給与計算ソフトを導入するデメリット
さまざまなメリットがある一方、以下のようなデメリットもあるため注意しましょう。
導入するための費用がかかる
給与計算ソフトを導入すると、初期費用やランニングコストが発生します。どの程度の費用がかかるのか、自社の予算と合っているかを確認してから導入を決めましょう。
ただ、導入費用はかかるものの、担当者の残業代削減や業務効率化も実現できるため、さまざまな視点から総合的に判断することが大切です。
慣れるまでに時間がかかる
新しく給与計算ソフトを導入すると、慣れるまでにある程度の時間がかかります。繁忙期に導入すると現場が混乱してしまう可能性もあるため、計画的に導入の準備を進めることが重要です。また、困ったときにすぐに質問できるよう、導入時や利用時のサポートが充実している給与計算ソフトを選ぶとよいでしょう。
5. クラウド給与計算ソフトおすすめ18選!機能を徹底比較
数多くの給与計算ソフトがありますが、今回はクラウド型のソフトに焦点を当ててピックアップしており、全18サービスを紹介します。調べた範囲での各サービスの料金体系も記載しましたので、ぜひ参考にしてください。
ジンジャー給与|人事・勤怠と簡単情報連携、Web明細発行までをスムーズに!
【特徴】
- 簡単な連携や柔軟な計算式によって、正確な給与計算を実現。
- 初めての方でも導入しやすい料金設定で給与計算の課題を解決。
- 誰でも簡単に使えるようなUI設計で、システムが苦手な方でも操作可能。
【料金】
- 無料トライアル実施
- 基本料金:500円/月
Money Forward クラウド給与|自動だから迷わない、間違えない、安心できる。
【特徴】
- 各種料率・税率の自動アップデート、法令に準拠した自動計算設定で、間違えることなく給与計算が可能。
- 健康保険料率や厚生年金保険料率、所得税率はすべて自動で更新され、常に最新の環境で利用できる。
- Money Forward クラウドシリーズの各サービスごとに連携が手間なく、シームレスに対応可能。
【料金】
- 30日間は無料で利用可能
- スモールビジネス:2,980円/月
- ビジネス:4,980円/月 ※年額プランの料金
- 51名以上は都度問い合わせ
freee人事労務|10万事業所が利用する、給与事務・労務管理システム
【特徴】
- 給与や税金を自動で計算。明細作成や配布も自動化できる。
- 年末調整や算定基礎、労働保険の年度更新など、年1回の業務も自動化できる。
- 勤怠管理から入退社手続き、どの事業所にも必須な法定三帳簿の作成まで対応。
【料金】
- 1ヶ月無料トライアル実施
- 基本料金:1,980円/月(従業員3人まで利用可能)
※4人目から1人あたり月額300円プラス
ジョブカン給与計算|「あったらいいな」を実現した、便利な給与クラウドサービス
【特徴】
- 複雑な給与も自動で計算。料率・税率も法令に合わせて更新されるから安心。
- 明細や源泉徴収票も自動で作成・配布。年末調整や算定基礎など、必要な書類にも対応。
- ジョブカンシリーズの連携で、さらに効率的な業務フローを実現。
【料金】
- 30日間はお試し利用が可能
- 5名までは無料プランもあり(一部機能制限あり)
- 有料プランは月400円/1ユーザ
- ジョブカンシリーズご利用中の方は特別料金をご案内
フリーウェイ給与計算|利用期間に制限なく、従業員5人まで永久無料
【特徴】
- 従業員5人まで、すべての機能を永久無料で利用可能。6人以上でも月額1,980円。
- 税率や保険料率の改正があった場合でも、ワンボタンで更新するだけで常に最新の状態で利用可能。
- シンプルなため簡単に使え、操作方法を解説したマニュアル、動画、よくある質問と回答集も充実していて安心。
【料金】
- 5名まで:無料
- 6名以上利用の場合:1,980円/月
CYBER XEED|給与計算における人事業務改善の第一歩
【特徴】
- 処理はWebを活用し、基礎データを頂いて計算を行い、給与明細書(各種給与帳票・銀行提出資料など)をお届け。
- Web画面からの給与データの入力や、給与マスター保守、給与明細書参照など、ネットワークを最大限活用。毎月の給与計算業務も専任のオペレーターが担当。
- SSL通信による暗号化やパスワード設定など、高レベルのセキュリティを実現。データ管理・計算処理は、プライバシーマークを取得したサービスセンターで実施。
【料金】
- 都度問い合わせ
スマイルワークス|給与計算業務をもっと簡単、スピーディーに
【特徴】
- 給与・賞与から年調・社保まで給与業務をサポート。
- 勤怠情報入力から各種保険や税金の計算、給与・賞与明細書の作成、各種届出表の作成まで、給与業務をトータルにサポート。
- マイナンバー制度にも完全対応。
【料金】
- 初期費用:30,000円
- 月額費用:10,000円
※別途オプション機能あり
給与奉行11|迅速な法令対応で給与計算をサポート
【特徴】
- 法令対応に重点を置き、労働基準法に沿った有休管理、 料率改定に対応した社会保険処理の実現など、安心して利用できる機能を搭載。
- さまざまな雇用形態や独自の給与規定に対応可能な情報管理、計算機能など多数搭載し、管理業務の生産性を向上。
- 就業規則や労働関連法など、規則に沿った労務管理の徹底を支援する機能で、人的ミスのリスクを軽減。
【料金】
- スタンドアロン:250,000円~
- NETWORK Edition:3ライセンス 1,120,000円~
給与計算システム EXPLANNER/S|クラウド型給与計算の中で業界最高クラスのサービスを利用可能
【特徴】
- 30,000本以上の導入実績と40年の歴史で培われたノウハウから生まれたEXPLANNERのクラウドサービス。
- クラウドの活用によってイニシャルコストの大幅削減を実現し、従来よりも低コストでサービス提供可能。
- 職種・役職・雇用形態等により複数の給与形態があっても、各給与形態に応じた給与業務の運用を行うことが可能。
【料金】
- 月額150,000円~
・提供企業:日本電気株式会社 (NEC)
・URL:https://jpn.nec.com/soft/explanner/explanner-s/payroll/index.html
やよいの給与明細オンライン|かんたん、あんしん、たよれる。
【特徴】
- 初心者でも、給与明細書がかんたん、気軽に作成できる。
- 使いやすいシンプルなテンプレートでかんたんにきれいな給与明細書が作成できる
- 税理士に委託しているので給与計算だけでOK。
【料金】
- セルフプラン
・通常1年間5,400円(税抜)
・Web明細書配信は3名まで - ベーシックプラン
・通常1年間15,800円(税抜)
・Web明細書配信は5名まで - トータルプラン
・通常1年間26,900円(税抜)
・Web明細書配信は10名まで - Web給与明細書配信の上限を超える場合、通常月額200円(税抜)/名のところ、今なら無料で追加することができます。(2023年10月まで)
JDL IBEX給与net2|給与計算業務をトータルに効率化
【特徴】
- 個人事業者から中規模企業の給与計算に幅広くご利用いただける本格的な給与ソフト。
- 給料・賞与の計算、給料明細書などの支給書類、賃金台帳などの管理資料の作成、昇給・賞与のシミュレーションなど、給与業務をトータルに効率化。
- マイナンバー管理、年末調整、社会保険算定にも対応。給与に関わるトータルな処理を実現。
【料金】
- 1,260円/月 支払単位:6ヶ月
- 12ヶ月から選択 ※別途オプションあり
PayBook|給与計算を3分で終わらせよう
【特徴】
- ボタンひとつで給与の入力が完了。 固定給、時間給のどちらの計算方式にも対応しており、時間をかけずに入力できる。
- 設定は最低限、今までのように、設定段階で挫折することなく実行可能。
- 環境を選ばず利用可能。Windows7, Windows8 はもちろん、Mac, iPadや各種タブレットPCからでも利用できる。
【料金】
- スタンダード:1,000円/月
- プロ:3,000円/月
GLOVIA きらら人事給与|給与と人事に欠かせない管理機能をワンパッケージ
【特徴】
- 中堅企業に必ず必要となる給与機能(月例給与、賞与、社会保険、年末調整、帳票出力)のみならず、人事機能を基本機能として提供。
- 個人番号の登録/管理画面・帳票出力の機能を標準提供し、マイナンバー制度にもしっかり対応。
- ハードウェア障害などによる業務中断リスクから解放できる。
【料金】
- 12,000円/月
・提供企業:富士通株式会社
・URL:http://www.fujitsu.com/jp/services/application-services/enterprise-applications/glovia/glovia-kirara/lineup/hr-pr/index.html
Sociaクラウド 給与システム|すべての雇用形態に対応
【特徴】
- 役員・社員・アルバイトなど全ての雇用形態に対応。
- 柔軟な計算式設定、自在な集計機能で、給与業務をサポート。
- 管理集計資料も自在に作成。給与明細Webでペーパーレス。就業システムからの連係で業務効率UP。
【料金】
- 都度問い合わせ
Bulas Payroll|給与計算のアウトソーシングならBBS
【特徴】
- 44年のノウハウに基づき開発したクラウド型人事給与システム。
- 万全なセキュリティを施したデータセンターと充実した機能と開発力で安心・安全・合理的な環境を提供。
- 人事申請・通勤手当妥当性診断機能を標準搭載。
【料金】
- 都度問い合わせ
PAYPACS|安心安全のAGSクラウドのソリューション
【特徴】
- 役員、管理職、一般社員、パート社員など異なる給与体系の管理に対応。企業独自の給与規定に則した自動計算が可能なので、業務の効率化とコストの削減が図れる。
- インターネットを介したクラウドサービスなので、法制度改正に関するPCへのバージョンアップ対応は不要。
- 従業員数に関係なく、月額7,000円の固定料金・一定人数以上の利用であれば、人数従量制のシステムに比べて料金がお得。
【料金】
- 月額:7,000円
助っ人!給与|社長、経理担当のためのサポートツール
【特徴】
- ネットワーク上にあるデータに直接アクセスできるので、パソコンや端末など色々な機器・色々な場所で利用できる。
- 複雑な税制改正に随時対応!毎年の年末調整も楽々。
- 創業当初・中小規模企業様に嬉しい従業員数3名まで無料!4名以上も月々1,000円(税抜)~とリーズナブル。
【料金】
- 3名まで:無料
- 10名まで:1,000円/月
- 50名まで:2,000円/月
- 100名まで:3,000円/月
- 150名まで:4,000円/月
A-SaaS クラウド給与システム|税理士のためのクラウド税務・会計・給与計算システム
【特徴】
- 月次の「給与計算」はもちろん「賞与計算」「年末調整」「社会保険算定」に対応、1年間を通じて煩雑な給与業務をトータルにサポート。
- デ-タセンター内にあるデータを会計事務所と顧問先が共用するため、会計事務所と顧問先が給与業務を分担でき、双方がリアルタイムに内容を確認できる。
- バージョンアップなどを意識することなく、常に最新の料率で給料明細書や賞与明細書などを作成することが可能。
【料金】
- 都度問い合わせ
6. クラウド給与計算ソフトを導入して業務を効率化しよう!
いかがでしたでしょうか。 クラウド型の給与計算ソフトを活用することで、経理担当者の業務を効率化でき、法令改正への対応やコンプライアンスの徹底、給与明細書や各種帳票の作成を簡単におこなうことができます。
手間のかかる業務を平準化し、より企業成長に向けたコアな業務に集中することが可能となりますので、どのサービスを導入するかお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
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