労働基準法にあわせた勤怠管理を|法律で義務化されている理由とは | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

労働基準法にあわせた勤怠管理を|法律で義務化されている理由とは | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

労働基準法にあわせた勤怠管理を|法律で義務化されている理由とは

640法律に労働者の勤務時間が定められていることは、みなさんもご存知だと思います。

しかし、最近ますます頻繁になった労使トラブルのニュースを聞くたびに、「うちの会社は労働基準法を守れているか?」「自社の勤怠管理は大丈夫だろうか?」と不安に思われる方もいるでしょう。

実際、2019年4月に労働基準法が改正されるなど、労働者の雇用に関する様々な法律は改正される方向へ向かっています。また、2023年4月には、中小企業における月60時間以上の残業についても、割増賃金率が50%に引き上げられることが決まっています。

これらの法改正に対応していくためには、どのように勤怠管理業務をおこなっていくべきなのでしょうか?

今回は、労働基準法や労働安全衛生法に基づいた勤怠管理ルールについてわかりやすく解説します。

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1. 勤怠管理の法的意義

まず、そもそも勤怠管理はどのように法律とかかわっているのでしょうか?

改めて勤怠管理の法的意義についてみていきましょう。

※参考:おさらい!そもそも勤怠管理とは?重要ポイントとその方法

①労働者の保護

長時間労働は健康への悪影響があることから、労働時間の上限規制は先進諸国における労働法の中核をなしてきました。

今改めて勤怠管理の合法性が求められる背景のひとつとして、年々増している過重労働による従業員の健康トラブルがあげられます。

②企業の保護

一方、その目的は、従業員の健康のためだけに労働時間を削減するのではありません。

勤怠管理を通じた適切な労働時間配分や、従業員の健康に直結する勤務時間を把握することで、会社にとって大きいダメージとなる過労死や過労自殺、その他賠償責任につながる業務上過失や離職率の上昇など、さまざまな労使トラブルから企業を守る目的もあるのです。労働者にとっても企業にとっても勤怠管理は重要なので、しっかりとおこなっていきましょう。

2. 勤怠管理に関する法的ポイント

では、勤怠管理をおこなう上で、まず理解しておきたい現行の法的ポイントには何があるでしょうか?

本章では勤怠管理のポイントを3点紹介します。

①労働時間=実際に働いた時間

労働基準法上の労働時間とは、「実労働時間」とされています。就業規則や労働契約に記載されたものではありません。

条文中に「労働時間」の法的定義がはっきりとされてはいないものの、これまでの判例などをみてみると、労働時間=労働契約という考え方に基づき、使用者の指揮命令下に置かれた時間であるとされています。

この労働時間には使用者が黙認・許容した場合の残業だけでなく、自宅に持ち帰った残業や作業前後の着替え時間も含みます。

労働時間の範囲を正確に理解したうえで、労働時間を把握しないと労使トラブルになる可能性もあるため、注意しましょう。

「労働時間の範囲」については、以下の資料にてさらに詳しく解説しておりますので、こちらもご活用ください。

【無料DL:『労働時間の疑問』をもっと詳しく】 ▶︎【一問一答】労働時間でよくある質問を徹底解説

②勤怠管理の法的義務

労働基準法では、使用者には従業員の労働時間を適切に管理する義務があると定めています。

労働基準法では一週間あたりの労働時間が40時間を超えてないこと(第32条)、それを超える場合は労使協定を締結し、労働基準監督署長に届ける必要があること(第36条)などが定められています。そのため、法律で定められている労働時間を超過していないか確認するためにも、労働時間の把握が必要です。

【無料DL:『労働基準法改正』についてもっと詳しく】 ▶︎労働基準法総まとめBOOK|法改正から基本的な内容まで分かりやすく解説!

③法律で定める労働時間把握とは

では、勤怠管理における、具体的な「労働時間の把握」の方法は何があるのでしょうか。

企業には労働安全衛生法に則って以下のような方法で労働時間管理をすることが求められています。

1)使用者がその場で労働日ごとの始業時間と従業時間を確認・記録すること

2)タイムカードやICカードなどの客観的な記録をもとに確認・記録そして、これらの記録に関する資料は3年間の保存することが義務付けられています。(ただし、現状は経過措置として3年間でも問題ありません。)

労働安全衛生法が2019年4月に改正されたことによって、労働時間の客観的な把握をしておく必要があります。

必要になった際に提出できるように保管しておかなければならないため、勤怠管理システムなどを用いて管理しておくと、書類管理などが発生せず、紛失のリスクもおさえられます。

※参考:『タイムカード保管方法』をもっと詳しく!

 

3. 労働基準法の改正について

勤怠管理に関する法律は度々改正されていますが、2023年にも新たに改正される内容があります。

今までの変更点や違反した場合の罰則とあわせて解説いたします。

3-1. 2019年に改正された労働基準法のポイント

  • 時間外労働における上限制限(月45時間、年360時間)
  • 年次有給休暇の5日間の取得義務化

時間外労働を定める際には「36協定」の締結が必要です。また、臨時の特別な事情がある場合は特別条項付き36協定を締結した上で、以下の上限を超えてはいけません。

  • 時間外労働が年720時間以内 
  • 時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満
  • 時間外労働と休⽇労働の合計について、2~6ヵ月の時間外労働の平均がそれぞれ80時間以内 
  • 時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6ヵ月まで

年次有給休暇については、年10日以上有給休暇が付与される労働者に対し、年5日確実に取得させなければならず、取得していない場合は使用者が時季指定して取得させなければなりません。

時間外労働の上限規制は建設業や運送業の一部などで2024年4月まで猶予期間が設けられていますが、有給休暇の取得義務化はすべての企業に適用されているため、注意しましょう。

3-2. 2023年4月から中小企業の時間外労働の割増賃金が引上げられる

2023年4月より、働き方改革関連法成立によって、中小企業でも月60時間以上の時間外労働については法定割増賃金率が50%となることが決まっています。

現在までは、中小企業においては月60時間以内の時間外労働と同じ25%と猶予が設けられていました。

しかし、今回の法改正により、企業の大小に関係なく月60時間以上の時間外労働には法定割増賃金率50%が適用されることになります。

3-3. 勤怠管理における罰則 

労働時間の把握方法に関しては明確な罰則は設けられていません。しかし、厚生労働省は「原則、労働時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」を定めているため、可能な限り尽力する必要があります。

タイムカードやICカード、勤怠管理システムを使用し、客観的で正確な労働時間の管理ができるように努めましょう。

また、時間外労働の上限規制に違反した場合には罰則が設けられています。時間外労働の上限規制に違反すると「6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」が課せられます。

上限規制に対する違反を防ぐためにも、客観的な労働時間の管理ができるようにすることが大切です。

本章で解説したように、法改正を繰り返すことで、年々勤怠管理のルールが複雑になっているため、勤怠管理の担当者は正しい知識を有することが求められます。

当サイトでは、法改正の内容や勤怠管理担当者に求められる対応などをまとめた資料を無料で配布しております。

違法にならない勤怠管理の方法や法改正の内容で不安な点があるご担当者様は、こちらから「働き方改革に対応した勤怠管理対策BOOK」をダウンロードしてご確認ください。

4. 勤怠管理を適切におこなうために

「客観的で適切な方法」とは、具体的にどのような方策をとるのが望ましいのでしょうか。

働き方改革に伴う労働基準法などの改正によって勤怠管理はより煩雑になっています。

そんな中、さまざまな機能を併せ持つ勤怠管理システムを利用することで抜本的な効率化が期待できるといえるでしょう。

勤怠管理システムとは

それでは、今後ますます主流となる勤怠管理システムについてみてみましょう。

多彩な機能

勤怠管理システムでは、出退勤の打刻から集計、申請、承認やシフト設定、給与計算にソフトに取り込むデータ作成までもがウェブ上で完結します。

PCだけでなく、スマートフォンやICカードで遠隔からの入力も可能になります。

勤怠がリアルタイムに把握できる

勤怠管理システムを利用することで、端末からリアルタイムで勤怠状況が確認できます。それにより勤務状況から発生しがちな問題を未然に防ぐことも期待できるでしょう。

打刻忘れだけでなく異常な勤怠を知らせるアラート機能を備えるサービスもあり、業務の効率化だけでなく、コンプライアンス強化にも貢献するといえます。

※参考:クラウド型勤怠管理システムとは?導入メリット・選定のポイント

5. 労働基準法に合わせた勤怠管理システムをご紹介

現在、さまざまな勤怠管理サービスが数多く展開されています。ここでは特に労働基準法について明言しているシステムを選んでご紹介いたします。

ジンジャー勤怠

【特長】

  • 写真撮影による笑顔判定打刻、GPSを活用した打刻方法など、多彩な打刻が可能で、不正打刻の防止にも繋がる
  • 管理者専用アプリを活用すれば、従業員の打刻のリアルタイムのチェックや、直行直帰申請などをラクラク承認
  • クラウド型のタイムカードなので、ブラウザのジンジャー勤怠に自動的に情報が同期される
費用 初期費用300,000円~ トライアル期間あり 月額400円/ユーザ
提供企業 jinjer株式会社
URL https://hcm-jinjer.com/kintai/
無料で資料ダウンロード

1分でわかる!ジンジャー勤怠

Money Forward クラウド勤怠

    【特長】

    • 従業員の勤怠管理データを元に残業や休暇の取得状況をリアルタイムで把握し、より強固な労務管理体制を構築できる。
    • 基本勤務制・シフト制・裁量労働制・フレックスタイム制など、どんな就業ルールでも対応可能。
    • 従業員データなどのインポート機能で、既存ソフトからの乗り換えや給与計算ソフトからのデータ移行も簡単にできる
    費用 初期費用無料 トライアル30日間あり 月額300円/1ユーザー
    提供企業 株式会社マネーフォワード
    URL https://biz.moneyforward.com/attendance/

    follow Smart Touch

    【特長】

    • 法改正などで生じるバ―ジョンアップは無料で提供
    • NTTコムウェアが業界最安値クラスの価格で提供するクラウド型勤務管理サービス
    • パソコン、タブレット、スマホ、ICカードなどでその日から利用開始可能
    • 出退勤情報・勤務管理/シフト管理/集計管理/申請フロー/出張旅費精算/他ソフトとの連携機能など
    費用 初期費用無料 トライアル60日間あり 月額200円/ユーザ
    提供企業 NTTコムウェア株式会社
    URL https://www.nttcom.co.jp/follow_s/follow-smart-touch/

    キングオブタイム

    【特長】

    • 正社員からアルバイトまであらゆるタイプの勤怠管理が可能
    • 異常な勤怠を知らせるアラート機能を持ち、海外拠点も含めた管理が可能
    • 法改正に対応したルールの自動アップデートも含まれています
    • 勤務管理/シフト管理/集計機能/申請管理/他ソフトとの連携機能など
    費用 初期費用無料 トライアル30日間あり 月額300円/ユーザ
    提供企業 株式会社ヒューマンテクノロジーズ
    URL https://www.kingtime.jp/

    就業奉行

    【特長】

    • 改正労働基準法やその他の法制度、ITなどの環境変化への無償バージョンアップ
    • 過重労働対策やメンタルヘルス不全対策に対応する機能
    • さまざまな変形労働時間制、突発的な休暇申請やシフト変更にも対応可能
    • 出勤管理/打刻チェック/シフト管理機能/条例違反アラート/各種申請管理/集計管理/ストレスチェックサービス
    費用 初期費用0円 90日間トライアル 月額350円/ユーザ
    提供企業 株式会社オービックビジネスコンサルタント
    URL https://www.obc.co.jp/bugyo/shugyo

    e-就業ASP

    【特長】

    • 企業の「健康経営」と「働き方改革」を支援
    • 3段階の長時間勤務アラート機能で従業員本人や上司へアラート表示・メール通知が可能
    • 勤怠情報管理/複数勤務形態設定/各種ワークフロー/コンプライアンス対応アラート/給与ソフトとの連携/工数実績管理機能など
    費用 初期費用231,000円 価格はユーザに応じて変動 (参考)200ユーザ利用時 1ユーザ385円/月 ※保守運用費用込み ※オプションメニュー以外の追加費用なし
    提供企業 株式会社ニッポンダイナミックシステムズ
    URL http://www.nds-tyo.co.jp/e-asp/

    皆伝!勤務管理

    【特長】

    • 多彩なチェック機能ー各法令に沿った設定や、客観的時間データを取り込むことで申告の乖離を防止
    • アラート機能で注意や警戒を促し法令違反を未然に防ぐ
    • 勤怠管理/プロジェクト実績管理/申請承認管理/人事・給与パッケージ機能など
    費用 問い合わせ
    提供企業 スミセイ情報システム株式会社
    URL http://www.slcs.co.jp/products/kaiden_working/index.html

    6. 法令順守した勤怠管理をおこないましょう

    法令を順守した勤怠管理は労働者だけでなく、会社も守ることになるため、会社にとって欠かせないものです。労働基準法や労働安全衛生法に則った勤怠管理をして、労働環境の整備をおこないましょう。

    また、法改正によって勤怠管理はより煩雑になりつつあります。

    勤怠管理にお悩みの人事担当者の方は、以下の記事なども参考にしながら導入をご検討されてみてはいかがでしょうか。

    ※参考:国内ほぼ全ての勤怠管理システムを網羅!料金・機能・メリット徹底比較|2022年最新版

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