
手軽に導入できるタイムカード打刻により、勤怠管理をおこなっている企業も多いでしょう。タイムカードの操作方法はそれほど難しくないため、誰でも簡単に打刻できます。
ただし、従業員数が多い場合や多様な働き方を採用している場合、タイムカードでは対応できないケースもあります。タイムカードによる打刻に限界を感じたら、必要に応じてアナログからデジタルへの移行を検討することも重要です。
この記事では、タイムカード打刻のメリット・デメリットや打刻ルールについて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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1. タイムカード打刻のメリットとデメリット
では実際にタイムカードのメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
1-1. タイムカード打刻のメリット
タイムカードの大きなメリットは、出勤時刻と退勤時刻に社員が打刻するだけで、勤怠情報を記録できることです。職場の出入口などにタイムレコーダーを設置しておけば、日々の労働時間を簡単に把握できます。使い方がシンプルであるため、社員に教える手間もかかりません。
導入コストもそれほど高くはないので、気軽に導入できるでしょう。
とくに10名以下の規模が小さい会社の場合、タイムカードでも問題なく勤怠管理をおこなえます。一方、規模が大きい会社の場合、タイムカード集計の手間がかかるため、勤怠管理システムの導入がおすすめです。
※参考:勤怠管理システムを使うと何が変わる?▶︎実際の管理画面でもっと詳しく解説
1-2. タイムカード打刻のデメリット

タイムカードはその仕様上、社員一人ひとりに打刻をしてもらわないといけないアナログな方法です。専用の打刻マシン(タイムレコーダー)へ短時間のうちに社員が集中すると、タイムカードを打つために行列ができることもあります。また、他人が代理で打つという不正打刻や押し忘れといった人為的なアクシデントも起きかねません。
タイムカードでの勤怠管理では、担当者が勤務時間をエクセルや専用のシートに手で入力をして計算をすることになるため、勤怠の締日には集計作業にかなりの時間がかかってしまうでしょう。
備品代などのランニングコストがかかることもデメリットの一つです。個人情報の保護などにより、その後のタイムカードの管理も必要になります。
とくに会社の規模が大きい場合や組織が複雑な場合、打刻によって記録されたタイムカードを一元管理するため、本社や本店へ送る作業にも手間がかかるでしょう。
タイムカードを使用すべきかは、会社の規模や予算によって異なります。メリット・デメリットを把握したうえで、どのような方法で勤怠管理をおこなうか、再度検討をしていくことも大切です。
関連記事:タイムカードを押し忘れたらどうする?押し忘れを放置するリスクや対策方法とは
2. タイムカード打刻にはルール設定が重要
タイムカードを活用して勤怠管理をおこなうなら、打刻ルールを設定しておきましょう。そもそも勤怠管理の目的は、社員ごとの労働時間を正確に把握して正しい給与を支給したり、過剰な長時間労働を防止したりすることです。
極端な話、社員が好きなタイミングで打刻できるような状況では、労働時間を正確に把握することはできません。会社に着いたタイミングで打刻する、制服に着替える前に打刻するなど、設定すべきルールは会社によって異なるため、状況に合わせて検討しましょう。
また、打刻ルールは全社員へ周知しておかなければなりません。とくに新入社員や中途採用の社員は、ルールを知らない可能性が高いので、しっかりと教育しましょう。朝礼やポスターで勤怠管理の重要性を伝えることも重要です。
3. タイムカード打刻ルールの例
前述の通り、タイムカードの打刻ルールは、会社の状況に合わせて設定することが大切です。ここでは打刻ルールの例を紹介します。
3-1. 出勤時・退勤時のルール
出勤時刻と退勤時刻に打刻することは、タイムカードの基本ルールです。基本的には出勤してすぐのタイミングと、業務が終わってすぐのタイミングで打刻してもらいましょう。たとえば、業務が終わってから何時間も雑談してから打刻すると、正確な労働時間を把握できなくなってしまいます。
また、打刻は社員本人がおこなうのが原則です。遅刻しそうなときに同僚に頼んで打刻してもらう代理打刻などは、不正行為であることを周知しておきましょう。
3-2. 休憩時のルール
休憩時間については、打刻しなくても問題はありません。付与すべき休憩時間は労働基準法によって決まっており、その時間を差し引けば、実際の労働時間を算出できるからです。
ただし、休憩をしっかり取れているか確認したい場合や、休憩が長すぎる社員を指導したい場合などは、休憩時間にも打刻させるとよいでしょう。
関連記事:労働時間に休憩は含む?休憩時間の計算方法や残業時の取り扱いについても解説!
3-3. 着替えなどがある場合のルール
会社の指示により指定の制服や作業着に着替える必要がある場合は、着替えの前に打刻をしなければなりません。労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間を指すからです。
つまり、着替えることが社員の義務となっている場合は、労働時間としてカウントされます。逆に、社員の意思で着替える場合は労働時間に該当しません。
また、以下のような時間も労働時間に含まれるため注意しましょう。
- 参加が義務付けられている朝礼の時間
- 上司の指示によっておこなう掃除の時間
- 自席で待機しながら電話番をする時間
3-4. 直行直帰の場合のルール
直行直帰する場合は社員本人が打刻できないので、別の方法を検討しておく必要があります。始業時と終業時にメールや電話で報告するなど、何らかの形で記録できるように配慮しなければなりません。
そもそも直行直帰が多い場合はタイムカードでの勤怠管理が難しいため、リモートでも打刻できる勤怠管理システムを採用するなど、他の方法を検討することも重要です。
4. タイムカード打刻に関して発生しがちな問題
ここでは、タイムカードによる勤怠管理において発生しがちな問題を紹介します。事前に防止策を検討できるよう、チェックしておきましょう。
4-1. 打刻漏れが発生する
打刻漏れや打刻忘れは、タイムカードでの勤怠管理において頻繁に発生します。たとえば、タイムレコーダーの前に行列ができており、打刻を後回しにすることで結局忘れてしまうケースなどが挙げられます。また、タイムレコーダーの設置場所がわかりづらく、ついつい忘れてしまうこともあるかもしれません。
打刻漏れ・打刻忘れが発生すると、タイムカードの集計時に確認する手間が増えてしまいます。社員本人も当日の記憶が曖昧になっており、正確な労働時間を把握できなくなる可能性もあるため注意が必要です。
4-2. 集計に時間がかかる
タイムカードの集計に時間がかかることも大きな問題です。月末や締日になると、担当者は全社員のタイムカードを回収し、集計しなければなりません。規模の大きな会社になるほど回収や集計の手間がかかり、担当者の負担が増えてしまうでしょう。
電卓で計算する場合は、とくに時間がかかります。エクセルなどを活用する場合でも、タイムカードを見ながら入力する必要があるため、担当者がストレスを感じることも多いでしょう。
4-3. ヒューマンエラーが発生する
タイムカードによる勤怠管理においては、ヒューマンエラーが発生しがちです。前述の通り、打刻漏れや打刻忘れなどが発生することはよくあります。また、集計時に計算ミスをしたり、エクセルに入力する際に転記ミスをしたりするケースもあるでしょう。
ミスが発生すると、正しい情報の確認や修正作業のために無駄な時間が発生してしまいます。社員数が多い場合はヒューマンエラーが起こりやすいので、必要に応じてタイムカード以外の方法を導入することも重要です。
4-4. リアルタイムで労働時間を把握するのが難しい
リアルタイムで労働時間を把握できないこともタイムカードの問題点の一つです。タイムカードを活用している場合、集計するまで労働時間の合計を把握することは難しいです。そのため、気づかないうちに過重労働が発生していたり、残業時間の上限規制を超えていたりするケースもあります。
時間外労働の上限規制の超過など、労働基準法に違反すると罰則を受ける恐れもあります。また、過重労働を放置することになり、社員の心身の健康を維持できなくなる可能性もあるため十分に注意しましょう。
5. タイムカード打刻に限界を感じたら勤怠管理システムを導入すべき

ここまで、タイムカード打刻のメリット・デメリットや問題点について解説しました。
タイムカードでの打刻に限界を感じている場合は、勤怠管理システムの導入を検討しましょう。近年、世界的なエコ化志向とインターネットの普及により、ペーパーレス化が進んでいるのも事実です。技術の進歩によって勤怠管理システムも進化しており、人事・総務的な業務が煩雑にならないように技術改革がおこなわれてきています。
たとえば、スマートフォンやタブレットを利用してどこからでも打刻できるシステムや、給与計算まで自動化できるシステムなどが登場してきました。勤怠情報はリアルタイムで更新・集計され、残業時間の上限を超えそうな場合にアラートで知らせてくれるシステムもあります。データを活用して適材適所の人員配置やシフトの作成をおこなうなど、勤怠管理システムで多くの業務を効率化することも可能になってきています。
ただし理解しておくべき点として、導入のコストが必要になることや、費用を投資する分従業員が使いやすいシステムである必要があります。またセキュリティの観点でも安心できるシステムを選定することがポイントです。
6. タイムカード打刻から勤怠管理システムへの移行を検討しよう!
現代の複雑になった雇用形態下において、正確かつ効率的に勤怠管理をおこなうには、勤怠管理者の権限機能が付いた勤怠管理システムを導入するのがおすすめです。
勤怠管理システムは日々進化しており、会社の規模やニーズに合わせて多くのサービスがリリースされています。現状、タイムカードでの打刻情報をエクセルに手動で打ち込んでいるような担当者であれば、クラウド上で勤怠管理できるシステムを比較検討してみるとよいでしょう。
また現在では、国内でも勤怠管理システムは数えきれないほど存在します。なかには、無料で始められるものや機能別で業界に特化したものなど、さまざまな勤怠管理システムが登場してきました。
勤怠管理にお悩みの人事担当者は、以下の記事なども参考にしながら導入を検討してみてください。