試用期間でも解雇できる?認められる理由・認められない理由を紹介 |HR NOTE

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試用期間でも解雇できる?認められる理由・認められない理由を紹介

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試用期間とは、企業が内定を出した人材に対して「能力・適性・就労態度」などを見極めるために設けられた、お試しの雇用期間です。

試用期間は労働基準法で義務化されているわけではなく、労使間で交わされる労働契約書・雇用契約書などに、詳細を明記する必要があります。試用期間中であっても労働契約は成立しているため、社会通念上相当であると認められない限り、従業員を解雇することは難しいです。

この記事では、試用期間中にどうしても従業員を解雇したいと思った場合、どのような対応をしたら良いのか、正当な解雇事由や判例について紹介します。

従業員の解雇は慎重に行う必要があります

労働者保護の観点から、解雇には様々な法規定があり、解雇の理由に合理性が無ければ認められません。

当サイトでは、解雇の種類や解雇を適切に進めるための手順をまとめた資料を無料で配布しております。合理性がないとみなされた解雇の例も紹介しておりますので、法律に則った解雇の対応を知りたい方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

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1. 試用期間とは

試用期間とは、新しく採用した従業員に実際の業務を任せてみて、本当に採用するかどうかを見極めるお試し期間のことです。

短い選考期間で従業員の業務適性を見極めることは困難なため、一般的に1~3カ月ほど試用期間を設けて、お互いにマッチするか確認をします。

1-1. 試用期間中の雇用条件

試用期間中の諸条件(給与・待遇・就労時間)は、本採用時とまったく同じに設定することもあれば、本採用時と給与・待遇に差をつけることもあります。

試用期間中は給与を低めに設定をして、本採用時に正規の給与・待遇に引き上げて採用をおこなうケースもあります。都道府県労働局長の許可を受ければ、試用期間中は最低賃金を下回ることも可能です。(最低賃金から2割減)

1-2. 試用期間中でも解雇できる?

試用期間中の従業員を解雇することは可能です。試用期間中は解約権留保付労働契約とみなされ、企業側が雇用契約を解除できる権利を保有している状態となります。

ただし、試用期間だからといって幅広い事由で従業員を解雇することはできません。基本的には本採用と同じで社会通念上相当であると認められなければ、その解雇は権利濫用とされます。しかし、実際のところでは、試用期間経過後に企業側が本採用を拒否したことを認めた判例もあります。

試用期間中の解雇方法
試用期間開始後14日間は即時解雇できますが、14日を超えてからは30日前に解雇予告通知書を作成、または解雇予告手当の支払いをおこなう必要があります。なお、天災地変の場合にも労災所長の認定を得たうえであれば、解雇予告が不要です。
 
これは労働基準法の20条の1項、2項に定められています。これらの条件は、雇用時に労使で取り交わす労働契約書の書面上に詳細を記載をし、事前に従業員にしっかりと説明をすることが大切です。
———-
<例>試用期間の労働契約書に記載する内容
  • 試用期間(試用期間を延長することはあるか)
  • 勤務地、業務内容、勤務時間、休憩時間、休日休暇、所定労働時間や残業について
  •  基本給、諸手当退職(解雇の事由含む)に関する事項
  •  本採用の可否⇒試用期間中に期待されるスキル、成果。出勤状況や勤務態度、健康状態など

本採用の可否に関する項目は企業によって異なりますが、おおよそ「勤務状況」「能力」「健康状態」の3点が挙げられます。

2. 試用期間中の解雇が認められるケース

試用期間中に従業員を解雇したい場合は、正当な解雇事由で解雇をしないと、後々従業員に「不当解雇だ」と訴えられ、多額な請求をされる可能性があります。

企業の就業規則には、解雇事由を明記することが義務付けられてるため、就業規則に記載のない解雇事由で解雇をすることはできません。

解雇事由は従業員に隠すことができず、従業員に解雇事由を求められた場合は「なぜ解雇をしたのか」を明記した証明書を発行する必要があります。

本章では、不当解雇にならない正当な解雇事由とはどのようなものか確認してみましょう。

2-1. 病気やケガで休職復帰後も就業が難しい場合

不慮の事故、病気やケガが原因で一時的に働けないときは休職をすることが一般的です。

業務中のケガや事故で休職をした場合は、療養のため休業期間とその後30日間は従業員を解雇することができません。ただし、療養開始後3年を経過しても、傷病が治らない場合には打ち切り補償を支払うことで、解雇制限が解除されます。また、労災の傷病補償年金が支給されている場合も解雇可能です。

「休職後に簡単な仕事から徐々に復職することも難しいだろう」と判断されたときのみ、やむを得ず解雇を選択することができます。

ここで企業が注意したいのは、お医者さんが「しばらく休職すれば復職できるよ」と言っているのに、休職を認めずいきなり解雇することです。

企業側に一方的な解雇の権利はなく、病気やケガで従業員が休んだとしても、まずは負荷のかからない業務から与えて復職できるようサポートしなければなりません。

負荷の少ない業務がそもそも社内にないのであれば、わざわざ設けるべき義務などはありませんが、病気やケガからの復帰を目指す従業員のためを考えるのであれば、企業として可能な範囲でサポートすべきでしょう。

じきに元通り勤務できるのにいきなり解雇すると、不当解雇になる可能性が高いので注意が必要です。

2-2. 勤怠不良である場合

正当な理由がない遅刻・欠席を繰り返し、企業が指導をしているにも関わらず改善しない場合は正当な解雇事由として認められます。

ただし、何カ月の間に何回遅刻をしたら解雇できるなどと、明確な回数が決められているわけではありません。

遅刻や欠席を繰り返した人に対して指導をしても直らない場合のみ、正当な解雇事由となります。明確には、2週間以上の無断欠勤に関しては、解雇予告をおこなう必要がないと厚生労働省が認めています。

企業が指導や教育を何もしていないのに解雇してしまうと、不当解雇にあたってしまう可能性があるので注意しましょう。

2-3. 職務経歴書の内容や過去の経歴を詐称していた場合

企業に応募する際に提出した履歴書や職務経歴書の内容、保有資格などに嘘があった場合は経歴詐称となります。

たとえば、資格取得していないのに資格が必要な業務に当たっていた場合は重大な経歴詐称として、正当な理由での解雇をすることができるでしょう。

ただし、経歴詐称が発覚したとしても内容によっては解雇できない場合もあります。たとえば、学歴詐称があったとしても、そもそも学歴不問として採用した場合は解雇が認められない可能性もあります。

2-4. 協調性がない場合

業務を進めるうえで協調性は非常に重要です。企業が従業員に指導したとしても反抗をし続け、改善の見込みがない場合のみ解雇事由として認められます。

「行為が繰り返しおこなわれている」「指導、教育をして本人が努力をしても改善しない」「協調性がないことで他の業務に支障が出た」というような点を加味しつつ、協調性のない従業員に対し指導をする必要があります。

2-5. 期待していた能力がなく一定の成績が出せない場合

「既存社員の営業職が、入社直後から月平均100万円売り上げているのに、数カ月教育をしても10万円も売れなかった」など、数値によって成績を把握できる職種は一番イメージが湧きやすいでしょう。

教育期間を設けて指導を実施し、配置転換を試みたにも関わらず成績が明らかに悪い場合は、正当な解雇事由とみなされます。

「試用期間中に最低でも月3件のアポをとること」「試用期間の3カ月間で資格の試験に合格すること」など、明確な基準を設けて、その基準に達しない人材は解雇すると記載するケースもあります。

ここまで解説してきました通り、正当な理由がない限り試用期間中の解雇は認められず、最悪の場合は訴えられてしまうことがおわかりいただけたことと思います。

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3. 試用期間中の解雇が認められにくいケース

前述のように、試用期間中に正当な解雇事由があれば従業員を解雇できます。しかし次のような場合は、解雇が認められにくいため注意しましょう。

3-1. 未経験入社・新卒採用者に対してスキル・能力不足で解雇をする

業界や職種未経験で入社した中途社員や、社会人経験が初めての新卒採用者は、始めは仕事ができなくて当たり前です。

未経験採用を実施したにも関わらず、適切な指導・教育をせずに「能力不足なので解雇します」と判断するのは非常に危険です。

未経験採用の中途入社者が、試用期間中に求める水準に達しなかったからといって本採用をしない場合でも、不当解雇として訴えられる可能性が高いので注意しましょう。

3-2. 業界経験者の採用だったとしてもプロセスを見ずに結果だけで解雇判断をする

業界や同職種の経験者を中途採用するとき、試用期間中も期待値が高くなり、本採用の判断基準が厳しくなるケースがあります。

たしかに、同業経験がある従業員には優良な成績を期待することもありますが、プロセスが問題ないのに成果だけで解雇判断をすることは不当解雇となる可能性が高いでしょう。

たとえば、営業プロセスは指導通りきちんとこなし、アポ数や提案数など企業が定めたKPIは問題なく達成したにもかかわらず、目標成績に到達しなかった場合、未達という結果だけで本採用を拒否してしまうと非常に危険です。

「結果だけでなくプロセス行動に問題はなかったか」「試用期間中に成果が出なかったとしても、今後改善する見込みがあるかどうか」「成果を出せていない採用者に対して適切な指導、配置転換などおこなっていたか」など、企業側も自己防衛として適切な応対をすることが重要です。

3-3. 試用期間の途中で解雇をする

試用期間は従業員が新しい環境、業務に慣れるための猶予期間であり、企業と従業員が適切にマッチングするかお互いに見極める期間です。

この試用期間の終了を待たずして、一方的に解雇してしまうと、「企業が従業員に与えるべき試用期間を十分に与えなかった」と判断され、不当解雇となる可能性があります。

試用期間中に正当な理由もなく従業員が休み続ける、指導をしても一切態度を改めないなど、明らかな理由がない限り解雇はできません。

まずは試用期間の満了時まで、企業努力として従業員に適切な指導、教育をしていくことが重要です。

ここまで使用期間中の解雇について解説してきましたが、解雇は妥当性が重視されるため、どのような手順を踏めば妥当と考えられるか理解しておく必要があります。

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4. 試用期間中に解雇するときのポイント

試用期間中に解雇するときは、以下のようなポイントに注意しましょう。

4-1. 本採用後よりは解雇しやすい

試用期間中の解雇は、本採用後の解雇よりは認められやすいでしょう。試用期間中に指導や教育をおこなったにもかかわらず、能力不足や勤怠不良が改善されない場合は、本採用の前に解雇を検討することが大切です。

ただし前述の通り、どのような理由でも解雇が認められるわけではありません。客観的かつ合理的な理由が求められるため注意しましょう。

4-2. 14日以内であれば予告する必要はない

従業員を解雇する際は、基本的に30日以上前に解雇予告をする必要があります。すぐに解雇したい場合は、賃金の30日分の解雇予告手当を支払わなければなりません。

ただし、試用期間がスタートしてから14日以内であれば、解雇予告や解雇予告手当は不要です。とはいえ、正当な理由なく解雇することはできないため注意しましょう。

4-3. 離職票を発行する必要がある

試用期間中の従業員を解雇するときは、一般的な従業員が退職するときと同様、離職票を発行する必要があります。ハローワークで手続きをおこない、従業員へ離職票を交付しなければならないため、すみやかに処理することが重要です。

そのほか、社会保険に関する手続きを進める必要もあるため、忘れないようにしましょう。

5. 試用期間中でも正しい手続きで解雇しよう!

試用期間は新しく加わる従業員が、本当に自社に合っている人材か見極める期間ですが、企業が従業員を一方的に解雇できるわけではありません。

何の項目を見極めるために試用期間を設けるのか、試用期間中に従業員がキャッチアップできなかった際に、誰がどのように指導・教育にあたるのか、社内で細かく決めておくことが必要です。

むやみやたらに解雇をしてしまうと、不当解雇として訴えられ、企業が大きな損失を得ることもあるため、「何が正当な解雇事由として認められるか」を覚えておくことが重要でしょう。

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労働者保護の観点から、解雇には様々な法規定があり、解雇の理由に合理性が無ければ認められません。

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