メルクマールとは「中間目標」「プロセス指標」を意味し、組織の目標を達成するために重要な役割を持ちます。マイルストーンやベンチマーク、KPIと似た意味を持ちますが、活用される場面や使い方に違いがあります。この記事では、ビジネスで用いられるメルクマールの意味やメリット・デメリット、設定方法についてわかりやすく解説します。
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1. メルクマールとは?
ビジネスでメルクマールという言葉を聞いたことがある人も少なくないでしょう。ここでは、メルクマールの語源やその意味、メルクマールが重要とされる理由について詳しく紹介します。
1-1. メルクマールの語源は「ドイツ」
メルクマールは、ドイツ語の「Merkmal」が語源になります。これをカタカナの日本語で表すと「メルクマール」と読むことが可能です。なお、ドイツ語の「Merkmal」は、「特徴」「目印」などを意味します。
1-2. ビジネスでのメルクマールの意味
メルクマールは、ビジネスシーンでは企業が目標達成を目指すための「管理指標」「プロセス指標」「中間目標」などの意味合いで用いられます。仮に最終目標として売上高年間1,000万円と設定した場合、次のようなものがメルクマールに該当します。
- 新規顧客獲得数
- 見込み顧客への架電件数
このように、ビジネスシーンでのメルクマールは、最終目標を達成するためのプロセス指標として用いられます。
1-3. メルクマールが重要視される理由
企業目標を設定したとしても、その内容が抽象的だと、どのように行動すれば目標を達成できるかが具体化されません。そのため、無駄な工程にリソースを割いてしまい、目標達成までに時間がかかってしまうケースもあります。
メルクマールを設定することで、最終目標を達成するために必要なプロセスを明確にすることができます。メルクマールにより、目標への道筋が具体化されることで、すべきタスクがわかりやすくなります。このように、メルクマールは企業目標を効率よく達成するために重要とされます。
2. メルクマールの使い方
メルクマールはビジネスのさまざまな場面で用いられます。メルクマールの使い方を把握することで、意味の理解を深めることが可能です。ここでは、「金融・法律」「医療・医学」「哲学」それぞれでの場面でメルクマールはどのように使われているのかを紹介します。
2-1. 金融・法律でのメルクマールの使い方
金融や法律の業界において、メルクマールは「判断基準」の意味として用いられることが多いです。金融・法律でのメルクマールの使い方の具体例は、次の通りです。
- 金融機関における預金残高は債務返済能力のメルクマール(判断基準)である
- 今回のケースにおいて過去の判例がメルクマール(判断基準)になる
2-2. 医療・医学でのメルクマールの使い方
医療や医学の世界において、メルクマールは「評価指標」の意味で用いられることがあります。医療・医学でのメルクマールの使い方の具体例は、次の通りです。
- 循環器患者に対しては、ヘモグロビン(Hb)をメルクマール(評価指標)として用いる
- 入退院のメルクマール(評価指標)に基づき、退院するまで後2、3日必要である。
2-3. 哲学でのメルクマールの使い方
哲学の分野において、メルクマールは「目印」の意味として使用されることが多いです。他の分野と少し違う意味で用いられる点に注意が必要です。哲学でのメルクマールの使い方の具体例は、次の通りです。
- ソクラテスの姿を、思想変化のメルクマール(目印)として捉える
- 善か悪かどうかのメルクマール(目印)は不明である
3. メルクマールと混同しがちな用語の違い
メルクマールとよく似た用語に「マイルストーン」「ベンチマーク」「KPI」があります。ここでは、メルクマールとそれぞれの用語の違いについて詳しく紹介します。
3-1. メルクマールとマイルストーンの違い
マイルストーンとは、プロジェクトや作業の中間地点を指します。メルクマールとマイルストーンともに、目標達成までの道のりを表す点においては共通しています。しかし、メルクマールは、目標に対する「達成度」が達成基準となります。一方、マイルストーンは、最終目標到達までの「進捗度合い」が達成基準になります。このように、メルクマールとマイルストーンは達成基準において明確な違いがあります。
関連記事:マイルストーンとは?必要性や具体的な使い方をわかりやすく解説
3-2. メルクマールとベンチマークの違い
ベンチマークとは、基準点や水準点を意味し、比較をするときによく用いられます。たとえば、日経平均株価やTOPIXをベンチマークとして、それを上回るか下回るかで、投資成果を判断することがあります。メルクマールもベンチマークも「指標」として機能する点は共通しています。しかし、メルクマールは、比較水準として用いられるものではありません。あくまでも最終目標を達成するためのプロセス指標として使用されます。
3-3. メルクマールとKPIとの違い
KPI(Key Performance Indicator)とは、日本語で「重要業績評価指標」と訳され、最終目標を達成するための中間指標の意味を持ちます。KPIとメルクマールは同じ意味合いで用いられることも多いです。
しかし、KPIは目標管理の場面でよく使用されます。目標管理がしやすいように、KPIは数値や数量で定量的に設定されることが一般的です。それに対して、メルクマールは金融・法律・医療・哲学など、さまざまな場面で使用されます。また、定量的なものだけでなく、物事を数値化できない定性的なものにも使われます。このように、KPIとメルクマールの意味は似ていても、活用される場面や使い方が異なります。
関連記事:KPIとは?メリット・デメリットや設定のポイントをわかりやすく解説!
4. メルクマールを設定するメリット
メルクマールを設定することで、さまざまなメリットが得られます。ここでは、メルクマールを設定するメリットについて詳しく紹介します。
4-1. 課題を明確にできる
メルクマールを設定すると、企業が掲げる最終目標を達成するための道筋が明確になります。また、メルクマールに基づき目標に対する進捗状況を把握することで、達成項目と未達項目が明確にわかります。これにより、なぜ中間目標を達成できていないか追究することで、課題が明確になります。課題に対するアプローチを検討すれば、より効率的に最終目標の達成を目指すことができるようになります。
4-2. 従業員のモチベーション向上につながる
最終目標だけを設定しても、どのように行動すれば達成できるかがわからず、従業員のモチベーションは上がりません。メルクマールを設定し、具体的な行動が明確になることで、すべきタスクが具体化され、主体的に仕事に取り組めるようになり、従業員のモチベーションは高まります。
4-3. KPIの代わりに活用できる
メルクマールは、KPIの代わりとして活用することができます。KPIと同じくメルクマールも、最終目標を達成するための中間目標として活用されるものであるからです。定量的な指標をメルクマールとして設定して目標管理をすれば、KPI管理と同様の効果が期待できます。また、メルクマールが活用されるのは定量的なものに限りません。物事を数値化できない「定性的」なものにもメルクマールは活用できるメリットがあります。
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5. メルクマールを設定するデメリット
メルクマールを設定する場合、メリットだけでなく、デメリットもあります。また、正しく設定しないと、かえって逆効果になる可能性もあります。ここでは、メルクマールを設定するデメリットについて詳しく紹介します。
5-1. 途中での軌道修正が難しくなる
メルクマールを設定することで、すべきタスクが洗い出され、行動が明確になるというメリットがあります。しかし、メルクマールに依存しすぎると、途中での軌道修正が難しくなる恐れがあります。
現代において社会の変化は目まぐるしく、それに伴いメルクマールを設定し直さなければならないケースもあります。しかし、最初に設定したメルクマールに固執してしまうことで、かえって目標達成から遠ざかってしまう可能性もあります。そのため、外部環境や内部環境を分析し、正しくメルクマールが設定されているか定期的にチェックすることが大切です。
5-2. 定性的に設定すると認識齟齬が生まれる
メルクマールは定量的だけでなく、定性的に設定することもできます。しかし、定性的に設定すると、どれだけ目標に近づいているのか判断がしにくくなります。また、人によって解釈が異なることで、認識齟齬が生まれるリスクもあります。組織全体で共通した認識を持てるよう、メルクマールはできる限り定量的に設定することを心がけましょう。
5-3. 確率を設定すると目的を達成できない可能性がある
メルクマールを定量的に設定しようとして、確率を設定しまうケースもあるかもしれません。たとえば、「契約率30%」というメルクマールを設定したとしましょう。契約率は、契約が成立した件数を全体の商談数で除すことで求められます。そのため、契約率を高めようとするあまり、確実に成功する商談のみに参加するようになる可能性があります。この場合、契約率は高まっても、売上が上がらず、組織の目標を達成できない恐れがあります。
このように、メルクマールを確率で設定する場合、懸念点も洗い出しておきましょう。また、「契約率30%」でなく「契約数30」「商談数100」と設定するように、確率を因数分解して、それぞれに対して目標を立てるのも一つの手です。
6. メルクマールの設定手順
メルクマールの設定方法を理解しておくことで、スムーズにメルクマールを設定することができるようになります。ここでは、メルクマールの設定手順について詳しく紹介します。
6-1. 最終目標を設定する
最初に最終目標を設定しましょう。ただし、現実性のない目標を立てると、モチベーションが上がらないだけでなく、途中で挫折してしまう可能性も高まります。また、定性的な目標を設定すると、達成したか否かがわかりづらくなります。そのため、最終目標を設定する際は、現実的かつ定量的な目標を立てましょう。
6-2. メルクマール(中間目標)を設定する
最終目標を設定したら、次にメルクマール(中間目標)を設定します。メルクマールを設定する際は、最終目標の数値を分割して考えると設定が容易になります。メルクマールを設定してみたら、それを達成することで、最終目標にたどり着けるか検証してみましょう。最終目標とメルクマールに乖離があれば、再度設定し直すことが求められます。
6-3. 各メルクマールに対する行動指針を設定する
メルクマールだけでは、今取り掛かるべきタスクがわかりにくいこともあります。そのため、メルクマールを設定したら、それを達成するための具体的な行動指針を定めましょう。メルクマールに対する短期目標を設定することで、次に何をすべきかが明確になり、具体的な行動につながりやすくなります。これにより、従業員のモチベーションを高めながら、効率よくメルクマールおよび最終目標の達成を目指すことができるようになります。
7. メルクマールを達成させるためのコツ
メルクマールを達成させるためにはコツがあります。ここでは、メルクマールを達成させるためのコツについて詳しく紹介します。
7-1. メルクマールは具体的に設定する
メルクマールを設定することで、行動が明確になります。しかし、中間目標であるメルクマールも抽象的だと、中間プロセスを設定する意味が薄れてしまいます。すべきタスクがわかりやすくなるよう、メルクマールは具体的に設定することが大切です。また、定量的に設定することで、評価もしやすくなり、進捗状況を客観的に把握して改善につなげることができます。
7-2. 定期的に情報共有(コミュニケーション)を実施する
メルクマールの達成に向けて、情報の共有を定期的におこないましょう。密にコミュニケーションを取ることで、目標達成への意識を高めることができます。また、自分では気づけないミスや認識間違いに素早く気づき、早い段階で軌道修正をおこなうことも可能です。情報共有をしやすくするため、チャットツールや目標管理ツールといったITツールの導入を検討するのも一つの手です。
7-3. メルクマールの達成度合いに関する評価と分析を実施する
メルクマールは設定するだけでは意味がありません。定期的に振り返りを実施し、達成度合いの評価および分析をおこなうことが大切です。メルクマールに対する達成状況をチェックすることで、成功点と課題点が明確になります。その理由や原因を突き止めることで、次のすべきタスクが明確になり、効率よく最終目標を達成することができるようになります。このように、メルクマールを設定したら、適切なタイミングで振り返りを実施して、次につなげる行動を定めましょう。
8. メルクマールの導入事例
ここでは、メルクマールを導入し、顧客ロイヤルティが向上したA社の事例を紹介します。ネット販売を手掛けるA社はメルクマールの導入前、顧客との関係性に課題を抱えていました。A社は課題解決のため、顧客ロイヤルティを数値化した指標「NPS(Net Promoter Score)」を導入します。
NPSとは「この商品・サービスを親しい友人や家族にどの程度すすめたいと思いますか」という質問に対して10段階で回答してもらい、「批判者」「中立者」「推奨者」に区分して推奨者の割合から批判者の割合を引いた数字(NPSスコア)を導く方法です。NPSの導入は、A社に次のような新しい風を吹かせることとなりました。
- NPSに関する分析をするなかでサイトページの改善点が見つかった
- NPSの担当者のみならず全社員が「顧客の声」を聞く文化が浸透した
新たなメルクマール(NPS)を導入したことによりA社は、手掛ける多くのサービスで顧客ロイヤルティを高めることに成功しました。このように、他社の導入事例を参考に、自社でもメルクマールを導入してみるのがおすすめです。
9. メルクマールを正しく設定して効率よく目標を達成しよう!
メルクマールとは、ビジネスにおいて「中間目標」「プロセス指標」を意味します。メルクマールは、KPIと同じような意味合いで使用されますが、活用される場面や使い方が異なります。メルクマールを正しく設定すれば、企業の最終目標を達成するための行動が明確になります。メルクマールを活用して、効率よく経営目標の達成を目指しましょう。
福利厚生を充実させることは採用・定着にもつながるため重要ですが、よく手段としてとられる賃上げよりも低コストで従業員満足度をあげられる福利厚生サービスがあることをご存知でしょうか。
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