MBBとは?MBOとの違いや注目される背景、メリット・デメリットを解説! |HR NOTE

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MBBとは?MBOとの違いや注目される背景、メリット・デメリットを解説!

  • 組織
  • タレントマネジメント

MBBとは、従業員の思いや価値観を重んじる目標管理制度の一つです。従業員のモチベーションを高めながら、成長も促すマネジメント方法として注目を集めています。MBBの意味や目的を理解し、正しい方法で導入することが大切です。本記事では、MBBとMBOの違いや注目される理由・背景、メリット・デメリット、導入手順をわかりやすく解説します。

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1. MBB(思いのマネジメント)とは?

みんなで考えを共有

MBBとは「Management By Belief」の略で、「思いのマネジメント」ともよばれる目標管理制度の一つです。MBBの目的は、従業員が仕事に対して持つ思いや価値観を組織全体に共有し、従業員と組織の両者の成長を促すことです。また、MBBにより、個々の能力や長所を発揮できる目標設定ができるため、従業員の成長と成果の実現につなげやすくなります。従業員の思いを反映させた目標設定をすることで、従業員から主体的に業務に取り組むようになり、モチベーションの向上や、パフォーマンスの最大化が期待できます。ここからは、MBBとMBOの違いについて紹介します。

1-1. MBBとMBOの違い

MBOとは「Management By Objectives」の略で、経営学者のピーター・ドラッカー氏によって提唱された、個人やグルーブごとに目標を設定したうえで、その達成度合いで評価を決める目標管理制度のことです。具体的には、上司と部下でミーティングなどを実施し、相互が納得しながら目標を設定し、実行・評価をおこないます。

MBBとMBOはどちらも目標管理をするための手法ですが、アプローチに違いがあります。MBBの場合、目標達成よりも、信頼関係の形成やビジョンの共有が重視されます。また、部下がどうなりたいのか、その思いが強く目標に反映されるので、組織力やモチベーションを向上させたい場合に向いています。一方、MBOは目標に対するプロセスや成果が重視されるため、行動や結果に対する評価を重視したい場合に向いています。

このように、MBBとMBOの違いは、従業員個人の価値観や思いが色濃く反映されているかどうかにあります。また、MBBは、MBOの目標設定過程に、従業員一人ひとりの個人的な価値観や考え方が加えられたものともいえるでしょう。

関連記事:MBO(目標管理制度)とは?実施手順や注意点を詳しく解説

2. MBBの特徴

社員の成長

MBBの特徴を理解することで、導入するかどうか適切に検討ができるようになります。ここでは、MBBの特徴について詳しく紹介します。

2-1. 従業員と企業の価値観を共有できる

会社の求める理想像に基づいて目標を設定する場合、従業員一人ひとりの価値観や考えが反映されず、従業員は組織から目標を一方的に押し付けられた形となり、仕事へのモチベーションが低下してしまう可能性があります。

MBBの場合は、信頼関係の構築を重視するため、上司と部下の相互理解から始めます。それぞれの考え方を共有したうえで目標設定をおこなうので、従業員と企業の価値観がリンクし、組織力が向上します。

2-2. 一人ひとりの社員の思いが尊重される

規則や成果のみが重視される目標管理制度の場合、自分のやりたいことが反映されていないので、自己実現のために離職・転職を考える従業員もいるかもしれません。MBBでは従業員一人ひとりがどのように考えているかを目標に組み込みます。従業員の思いが尊重された目標が設定されるので、主体的に目標に向かって取り組めるようになります。これにより、パフォーマンスの向上が期待できます。また、やりたいことを実現できているという感覚から帰属意識が高まり、定着率の上昇にもつながります。

3. MBBが注目される理由や背景

背景

ここでは、MBBが注目されるようになった理由や背景について詳しく紹介します。

3-1. 終身雇用や年功序列制度が崩壊した

MBBが注目される背景の一つとして、終身雇用や年功序列制度が崩壊したことが挙げられます。時代の変化とともに生涯を通して同じ企業で働くケースは減少傾向にあり、転職をすることが一般的な考え方になっています。

総務省の統計によると、2023年の転職率は4.8%で、6期連続で上昇しています。また、転職希望者は15.3%で、10期連続上昇、過去最高の数値となりました。このように、MBBは、時代の変化に対応できる目標管理制度として注目を集めているのです。

参考:直近の転職者及び転職等希望者の動向について|総務省統計局労働力人口統計室

3-2. 成果主義が主流になりつつある

成果主義が主流になりつつあることも、MBBが注目される理由の一つです。成果主義とは、年齢や勤続年数、学歴などに関係なく、従業員の成果や成績に基づいて、人事評価をおこなう制度のことです。成果主義は、1990年代のバブル崩壊による業績の悪化に伴い、人件費などのコスト削減から注目されるようになりました。MBBは、従業員の思いや価値観を尊重してマネジメントするため、成果主義にマッチしやすい手法として注目されています。

3-3. 人材のグローバル化が進んでいる

人材のグローバル化が進んでいることも、MBBが注目される背景の一つです。国内の外国人労働者は、年々増加傾向にあります。2023年には200万人を超え、過去最高の人数を記録しました。グローバルな人材を活用するためには、個人を尊重するマネジメントが求められます。仕事に対する意欲を削がないよう、従業員一人ひとりの文化や価値観などの多様性を尊重しなければいけません。一人ひとりの思いを尊重するMBBは、人材のグローバル化が進む中でも有効なマネジメント方法の一つといえます。

参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)|厚生労働省

3-4. デジタル技術が急激に進歩している

近年ではデジタル技術が目まぐるしく進歩を遂げており、あらゆる便利なITツールが登場しています。たとえば、Web会議システムやチャットツールを使用すれば、リモートでも対面時と同様のコミュニケーションを取ることができます。また、タスク管理ツールやモチベーション管理システムなども登場しており、複雑な目標管理も効率よくおこなうことが可能です。このように、デジタル技術の発展により、多様な目標管理を実現できるようになったことも、MBBが注目される背景の一つです。

3-5. 目標管理制度への注目が高まっている

近年では少子高齢化や人材流動化の影響もあり、人材確保に課題を抱えている企業も少なくありません。優秀な人材を外部に流出させないためにも、従業員のエンゲージメントや自己実現などに着目した目標管理制度に注目が集まっています。

組織から一方的に押し付けられた目標では、従業員のモチベーションは下がってしまい、離職・転職につながる原因となります。しかし、個人それぞれが目標を立てても、組織の目標と合致しなければ、企業経営は上手くいきません。そこで、組織と個人の価値観をリンクさせることに重きを置いたMBBが注目されています。

関連記事:目標管理の重要性や実施することによるメリットを詳しく紹介

4. MBBを導入するメリット

メリット

MBBを導入することで、さまざまなメリットが得られます。ここでは、MBBを導入するメリットについて詳しく紹介します。

4-1. MBO(目標管理制度)との併用で相乗効果を狙える

MBBとMBOを併用すれば、MBOの弱みを補填できるため相乗効果が狙えます。MBOは、組織の目標達成度が重視される目標管理制度です。結果が明確なため、評価をしやすいことがメリットです。しかし、従業員が目標を押しつけられていると感じる恐れがあります。MBOの「設定目標を達成する評価」の視点に、MBBの「従業員の思いや価値観の尊重」を加えることで、MBOのデメリットを解消することが可能です。また、相乗効果が期待できるだけではなく、目標達成がより現実的にもなります。

4-2. 組織力の強化が期待できる

MBBは、信頼関係の構築やビジョンの共有を重視したマネジメント方法です。互いの思いを尊重することで組織の風通しもよくなり、共通の意識を持って行動することができるようになります。このように、MBBを導入することで、すべての従業員が同じ方向を向いて目標達成へと取り組むようになるので、組織力の強化が期待できます。

4-3. 従業員のモチベーションを高められる

MBBを導入することで、自分の意思で目標を決めるため、納得感を持って業務に取り組めるようになります。また、目標達成までのビジョンが見えやすいため、自主的に行動もしやすくなります。さらに、組織のリーダーにとっても、MBBを採用することで、部下の自主性を引き出しやすくなるというメリットが得られます。このように、MBBを導入すれば、さまざまな立場の従業員のモチベーションを高めることが可能です。

4-4. 離職率が低下する

MBBを導入することで、従業員の思いが強く反映された目標管理を実現することができるようになります。仕事へのモチベーションが高まり、従業員エンゲージメントも向上します。自社への帰属意識が高まることで、離職率の低下や定着率の上昇にもつながります。

関連記事:従業員エンゲージメントとは?向上施策や調査方法とその手順をわかりやすく解説!

4-5. イノベーションの促進ができる

MBBの導入により、個人の価値観や思いが尊重されることで、従業員は自分で考えて行動するようになり、主体性を高めることが可能です。また、社員同士の信頼関係が構築されることで、組織が強固になり、コミュニケーションも活発化するようになります。結果として、従業員は組織を信頼し、新しいことや困難な課題にチャレンジしやすくなります。このように、MBBの導入は、イノベーションの促進にもつながります。

5. MBBを導入するデメリット

デメリット

MBBを導入する場合、メリットだけでなく、デメリットが生じる可能性もあります。ここでは、MBBを導入するデメリットについて詳しく紹介します。

5-1. 組織のビジョンが明確でなければ効果が発揮されない

MBBを導入しても、組織のビジョンが明確でなければ、従業員にどのように行動すべきか、指針を示すことができません。従業員の思いが強くあっても、それを組織の考えに反映できず、MBBに基づく目標管理を実現することができなくなります。MBBを導入する場合、まず組織のビジョンの明確化を進めることが大切です。

5-2. チームメンバーの意見が統一されていないと機能しない

チームメンバーの意見が統一されていなければ、組織としてまとまりがなくなり、目標達成が困難になります。後から軌道修正しようとしても、時間と労力が必要になります。結果として、組織全体のモチベーションやパフォーマンスが低下するリスクが考えられます。MBBを導入する場合、あらかじめ組織のビジョンを明確にするだけでなく、採用・教育などの活動を通じて、チーム全体の足並みを揃えておくことも重要です。

6. MBBを導入する際のポイント

ポイントの確認

MBBは適切な方法で導入しなければ、想定しているような効果が得られません。場合によっては、生産性の低下などのデメリットが生じる恐れもあります。ここでは、MBBを導入する際のポイントについて詳しく紹介します。

6-1. はっきりとした目的意識を持つ

従業員に目的意識がなければ、仕事において何を実現したいかが明確になりません。MBBが機能しなくなる原因にもなります。そのため、1on1ミーティングを実施したり、研修・セミナーを開催したりするなど、従業員にはっきりとした仕事に対する目的意識を持たせることが大切です。従業員に強い思いが芽生えることで、MBBの効果を高めることができます。

関連記事:1on1ミーティングとは?メリット・デメリットや効果的な実施方法をわかりやすく解説!

6-2. ワークライフインテグレーションを大切にする

仕事とプライベートを結合して充実させる、ワークライフインテグレーションの考え方を取り入れることも重要です。両者を完全に分けずに融合させることで、経験や学びを仕事に活かせます。仕事とプライベートの時間や意識などの棲み分けは必要ですが、どちらかに偏らないようバランスを取りながら、つながりを意識することがポイントです。

6-3. シャドウ・ワークを尊重する

MBBの目的である従業員の「思い」を引き出すため、シャドウ・ワークを積極的に活用することも推奨されます。シャドウ・ワークとは、報酬の発生しない、従業員が自主的に取り組む業務のことです。シャドウ・ワークでは従業員が主体的に仕事に取り組むため、成果や成長につながりやすくなります。また、シャドウ・ワークを通じて得たスキルや成果が、新たなイノベーションを生み出す可能性も考えられます。

7. MBBの導入手順

手順

MBBの導入方法を理解しておくことで、MBBをスムーズに導入することができます。ここでは、MBBの導入手順について詳しく紹介します。

7-1. MBBを導入するための環境を整える

MBBを導入できても、賃金・報酬制度や人事評価制度などがMBBに対応していなければ、導入効果は小さくなってしまいます。まずはMBBの効果がきちんと発揮できるような仕事環境の整備が重要です。たとえば、成果を出した従業員への表彰や、インセンティブの支給などが挙げられます。採用する制度によっては、就業規則の改定や雇用契約書の変更などが必要になるケースもあるため注意が必要です。

7-2. 目標を設定する

企業と従業員それぞれの価値観をリンクさせた目標を設定しましょう。双方をリンクさせることで、組織のなりたい姿に向かって、従業員のモチベーションを向上させる効果が期待できます。従業員が掲げる目標は、「社会の役に立ちたい」「優しい人でありたい」など、漠然とした内容でも問題ありません。MBBの効果を発揮させるため、従業員個人の目標と、企業の目標を一部分でもリンクさせることが重要です。

7-3. フレームワークを活用して行動を具体的にする

目標を達成するためのプロセスを洗い出し、どのように行動するかフレームワークを活用して明確にしましょう。目標を細分化し具体的にすることで、どのように行動すべきかがわかりやすくなります。フレームワークの例として、思考を整理する「マンダラチャート」や、思考や情報の流れを可視化する「マインドマップ」があります。フレームワークにはあらゆる種類があるので、自社のニーズにあったものを採用するようにしましょう。

7-4. PDCAサイクルを導入する

目標を達成するための進捗管理には、PDCAサイクルを用いるのが有効的です。PDCAサイクルでは、以下の手順を繰り返し実行します。

  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(検証)
  • Action(改善)

MBBは、従業員一人ひとりの価値観や思いに紐づいているため、日常的にポジティブに行動しやすくなります。日頃の行動に、目標を落とし込めているかどうかが重要です。MBBがうまく機能していない場合は、問題点を洗い出し、早い段階で修正しましょう。

8. MBBを正しく理解して適切な目標管理を実現しよう!

異なる方向性で、違うことをする

MBBとは、従業員の思いを強く反映させた目標管理制度を指します。MBBを導入することで、従業員が主体的に仕事に取り組むようになり、モチベーションやパフォーマンスの向上が期待できます。ただし、組織のビジョンが明確化されていなかったり、従業員一人ひとりの考えが別の方向を向いていたりすると、MBBが上手く機能しない可能性があります。MBBを導入する場合、その土台となる労働環境を整備することから始めてみましょう。

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