休憩時間とは、従業員が一定の時間以上に労働をおこなった場合に付与されます。では、従業員が残業した場合でも、休憩時間は付与されるのでしょうか?本記事では、労働基準法で定められた残業や休憩時間に関する規則について解説します。
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目次
1. 労働基準法で定められた休憩時間のルールとは?
ここでは、労働基準法によって定められた休憩時間の付与ルールについて解説します。
休憩時間に関する基準は3種類あります。以下の項目では、労働時間に応じて、どれくらいの休憩時間が発生するのかを解説しますので確認しておきましょう。
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1-1. 労働時間が6時間以下の場合
労働時間が「6時間以下」の場合、法律上は休憩時間を付与する必要はありません。そのため、労働時間が6時間ちょうどだった場合でも、休憩時間は発生しないということになります。
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1-2. 労働時間が6時間を超えて8時間以下の場合
労働時間が6時間を超えて8時間以下の場合、少なくとも45分の休憩時間を付与する必要があります。6時間から1分でも超えると休憩の付与義務が発生するため、注意が必要です。「少なくとも45分」なので、従業員に45分を超えて1時間の休憩時間を付与していても違法ではありません。
1-3. 労働時間が8時間を超える場合
労働時間が8時間を超える場合、少なくとも1時間の休憩時間を付与する必要があります。「少なくとも1時間」であるため、従業員に1時間を超えて2時間の休憩時間を付与していても違法ではありません。
また、労働基準法に明記されている休憩時間の付与ルールは「労働時間が8時間を超える場合」までです。そのため、時間外労働の上限までであれば、1日12時間働いた場合であっても、休憩時間を1時間与えていれば法律違反とはなりません。ただ、長時間労働は従業員の心身に悪影響を及ぼす恐れがあるため、厳正に管理することが必要です。
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2. 休憩時間を付与する際の3原則
前項では、休憩時間の付与義務が発生する基準や、付与しなければならない休憩時間の長さについて解説しました。ここでは、従業員に休憩時間を付与する際の3原則について解説します。
2-1. 途中付与の原則
最初に紹介するのは「途中付与の原則」です。これは休憩時間は労働時間の途中に付与しなければならないという原則です。そのため、終業時間の1時間前に1時間の休憩を与えることは労働基準法違反となります。
2-2. 一斉付与の原則
次に紹介するのは「一斉付与の原則」です。これは「休憩時間は従業員に一斉に付与しなくてはならない」という原則です。本来、休憩時間を交代制で付与するのは認められていません。ただし、以下の業種・業界では適用されません。
- 運輸交通業
- 商業
- 金融広告業
- 映画・演劇業
- 通信業
- 保健衛生業
- 接客娯楽業
- 官公署
また、上記以外の業界であっても、労使協定であらかじめ休憩の取り方について決めている場合、「休憩一斉付与の原則」は適用除外となります。
2-3. 自由利用の原則
最後に紹介するのは「自由利用の原則」です。これは休憩時間中は労働から完全に自由でなくてはならないという原則です。そのため、休憩時間中にもかかわらず、従業員が電話対応をおこなったり、商品の陳列を手伝ったりするのは労働基準法違反となります。
ここまで、休憩時間を付与する際の3原則について解説しました。休憩時間は発生する基準や付与するための規則など、決まり事が多いので注意が必要です。
3. 休憩時間を適切に付与するための対応
ここからは、休憩時間を適切に付与するための対応について解説します。
3-1. 雇用形態にかかわらず休憩は付与する
休憩時間の発生や付与に関する規則は、労働基準法によって定められたものです。労働基準法は雇用形態にかかわらず、全ての労働者に適用されます。そのため、パートやアルバイト、契約社員であっても休憩時間が付与されます。従業員にとって休憩時間の取得は義務です。
そのため、仮に「早く帰りたいので休憩はいらない」という従業員がいたとしても、法律違反になってしまうので、休憩時間は取得させる必要があります。
3-2. 就業形態にかかわらず休憩は付与する
就業形態が時短勤務や裁量労働制であっても、労働基準法に基づいて休憩時間を付与する必要があります。
6時間を超えない時短勤務の場合、休憩時間は必須ではありません。しかし、1分でも残業が発生すると労働基準法違反となってしまうため、休憩時間を付与するケースが大半です。
みなし労働時間が6時間を超える裁量労働制においても、同様に休憩時間を付与しましょう。労働基準法に則り、休憩時間を付与することが重要です。
3-3. 休憩を取れなかったときは時間をずらして付与する
急な対応の発生などで規定の時間に休憩時間を付与できなかった際は、時間をずらして付与しましょう。
たとえば、12時から13時までが休憩時間の従業員を12時30分まで休憩を取れなかった際は、休憩時間の終了は13時ではなく13時30分となります。
3-4. 休憩時間は分割して付与してもよい
業種や業界によっては、まとまった休憩時間を取れないケースもあります。そういった場合は、休憩時間を分割して付与することが可能です。たとえば、労働時間が8時間を超えており、1時間の休憩を取る場合、1時間の休憩を「30分×2」として、分割して付与することが可能です。
ここまで、休憩時間を付与するときのポイントについて紹介しました。このように、休憩時間の付与方法やルールは細かく存在しています。ルールをしっかりと守らないと違法になる可能性もあるため、自社の設けている休憩時間が適切なのかしっかりと確認しましょう。当サイトでは、休憩時間の付与に関してよくある疑問について解説した資料を無料で配布しております。休憩時間を正しく取得させられているか確認したい方は、こちらからダウンロードしてご活用ください。
4. 残業で労働時間8時間を超えた場合、別途休憩時間を付与すべき?
残業時間は労働時間に含まれるため、残業時間が加わることによって休憩時間が変動するケースもあります。すでに従業員に1時間の休憩時間を与えていた場合、残業によって労働時間が8時間を超えたとしても別途休憩時間を付与する必要はありません。
しかし、従業員に45分間の休憩時間を与えているという状況で、残業により労働時間が8時間を超えた場合、1時間の休憩時間が必要になるため、別途、少なくとも15分間の休憩時間を与えなければなりません。具体例は以下の通りです。
例)勤務時間が9時半~17時半の企業が1時間の残業をおこなった場合
元々、勤務時間が9時半〜17時半なので、所定労働時間は7時間15分で休憩は45分必要です。1時間の残業がおこなわれた場合、合計の所定労働時間が8時間15分となり、休憩時間は少なくとも1時間付与する必要が出てきます。すでに45分付与しているので、別途で15分の休憩を付与する必要があります。
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4-1. 深夜残業における休憩時間は?
労働基準法には、労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩を、労働時間の途中で与える必要があることが明記されています。
しかし、日中と深夜、または通常の労働時間と残業を区別した休憩時間は定められていません。そのため、残業によって労働時間が8時間を超える場合、1時間の休憩を付与すれば法的には問題はありません。
ただし、長時間の残業は好ましいものではないため、体調やパフォーマンスを考慮して、適宜休憩を付与したほうがよいでしょう。長時間の残業が発生しないような労働環境を整備していくことも重要です。
5. 残業と休憩時間に関する規則を理解し、従業員が健康的に働ける職場づくりを!
本記事では、休憩時間に関する基準や原則、残業時間と休憩の関係について解説しました。
残業時間や休憩時間について理解を深めることは、知らず知らずのうちに労働基準法違反となるリスクをなくすだけでなく、従業員が健康的に働ける職場を作ることにつながります。正しく休憩時間を付与し、労働基準法を遵守した職場づくりに努めましょう。
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