ワークエンゲージメントの意味とは?│尺度や測定方法、高める方法などを詳しく解説! |HR NOTE

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ワークエンゲージメントの意味とは?│尺度や測定方法、高める方法などを詳しく解説!

突然ですが、ワークエンゲージメントという言葉を聞いたことはあるでしょうか。

「ワークエンゲージメントの意味が詳しくわかっていない」、「どのようにしたらワークエンゲージメントを向上できるのかわからない」と思っている人が実は多いのが現状です。

この記事ではワークエンゲージメントの意味や測定方法、向上の方法などを詳しく解説します。

関連記事:エンゲージメントとは?│定義や種類、企業事例やメリットについて解説!


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1. ワークエンゲージメントとは

ここでは、ワークエンゲージメントの定義について解説します。

1-1. ワークエンゲージメントの定義

ワークエンゲージメントとは主に「仕事に関連したポジティブで充実した心理状態」を指す状態です。

ワークエンゲージメントは、主に3つの要素から構成されます。仕事へのやりがいを表す「熱意」、仕事に集中して取り組めるかを表す「没頭」、仕事をすることから活力をもらっている状態を表す「活力」です。

これらは短期的に測定するものではなく、継続的にその状態が持続しているかをみて判断します。

1-2. 類似概念との違い

(引用元)ワーク・エンゲイジメントを高める4つの方法

ワークエンゲージメントと類似する概念には、「職務満足感」「ワーカホリズム」「バーンアウト」の3つが存在します。

それぞれの違いを活動水準と仕事への態度・認知の要素で表すと上記の表のようになります。以下にひとつひとつ違いを解説します。

リラックス(職務満足感)

リラックス(職務満足感)とは労働者の仕事への態度・認知が高いが、活動水準が低い状態を指します。ワークエンゲージメントと同じように働きがいを仕事から得ているといえます。

しかし、仕事に「没頭」していないため、活動水準が低くなっています。職務満足感は「仕事そのものへの認知や感情」を指します。それに対し、ワークエンゲージメントは「仕事に取り組んでいる際の認知や感情」を示します。

ワーカホリズム

ワーカホリズムとは労働者の仕事への態度・認知が低いが、活動水準が高い状態を指します。これは「強制退職の不安を回避するため」に労働しているといえます。

ワーカホリズムでは「働きたくないが、働かなければならない」というような強迫観念によって動機づけが行われています。それに対し、ワークエンゲージメントは「働きたい」という気持ちで労働します。

バーンアウト

バーンアウトとは仕事への認知・態度が低く、活動水準も低い状態を指します。仕事に対して誠心誠意、熱意をもって取り組んだが、自分の思った結果が得られなかったことが原因で起こります。

バーンアウト状態では自分を守るために、顧客や同僚に対し人のせいにする言動が増える傾向があります。例を挙げると、問題が起きたら責任を同僚に押し付ける、顧客への悪口が増える、などです。

このような状態では仕事の生産性が低下するだけではなく、周りにも悪影響を及ぼすため注意が必要です。

1-3. ワークエンゲージメントは国民性の違いが出る

日本人は外国の方と比べ、自己批判的である傾向が強いです。そのため、自分に対し厳しく、自己効力感を得にくい特徴があります。さらに外国と比べ周囲と協調することを重要とする傾向があります。

このような文化的背景の違いがあるため、ワークエンゲージメントを高めようと海外のやり方を真似しても上手くいかない可能性があります。そのため、自分の国の文化や自社の社風にあったワークエンゲージメントの高め方を試し、定着させる必要があります。

2. ワークエンゲージメントが重要視される背景

ここでは、ワークエンゲージメントが重要視されている背景を3点説明します。

2-1. 終身雇用制度崩壊による、人材の流動化

以前は終身雇用制・年功序列で一度入った会社で定年まで勤めることが当たり前でした。しかし、終身雇用制が崩壊した現代では、転職することが容易になっています。特に優秀な人材はさらに良い待遇や条件を求め転職することがあります。すると、人手不足に陥り倒産を余儀なくされる企業が増えるでしょう。

ワークエンゲージメントの向上は、仕事に対する満足感に繋がり、優秀な人材を企業に定着させるためにもワークエンゲージメントが重要視されるようになりました。

2-2. 少子高齢化による、労働人口の減少

現代では、少子高齢化が進み労働人口が減少しています。それに伴い、労働市場は売り手市場から買い手市場に変化しました。労働人口を確保しなければ、慢性的な人手不足に陥る可能性があります。

そこで重要なのがワークエンゲージメントです。ワークエンゲージメントが高く、満足度が高い企業は求職者からすると、とても魅力的な要素の一つになります。

2-3. 主体的な人材が必要とされている

ワークエンゲージメントが高い人材は主体的に動くことができます。

主体的な人材は、仕事に対し能動的で、モチベーションが高く、向上心があります。また、自分の意見をはっきりと述べることもできます。

このような人材は周りに良い影響を与えるため、従業員のワークエンゲージメントを高めることはとても重要であるといえます。

2-4. テレワークによるコミュニケーション量の低下

近年ではデジタル化への移行や感染症対策として、テレワークを導入する企業が増加傾向にあります。しかし、テレワークでは空間の共有や対面コミュニケーションが不足し、エンゲージメントの低下も起こりやすくなります。
従業員がこれまでのような居場所作りや関係性構築ができなくなれば、会社への帰属意識は薄れてしまうのです。
帰属意識が低い状態が続くと従業員は能動的な仕事ができず、生産性が下がったり成果物の質の低下が起きたりといった問題も生じやすくなります。また、モチベーション不足やストレスによるパフォーマンス低下が起きやすくなるのも大きな問題です。

3. ワークエンゲージメント向上が企業にもたらすこと

ここでは、ワークエンゲージメントのメリットを4点解説します。

3-1. メンタルヘルスの状態がよくなる

ワークエンゲージメントが向上することにより、仕事で受けるストレスを減らすことができます。

多くの企業が行っているストレス対策はストレスが発生することを前提としています。しかし、ワークエンゲージメントが高い状態においては、仕事に対してポジティブな感情を持っているのでストレス自体が発生しにくいという根本的な解決ができます。

3-2. 離職率の低下

厚生労働省が発表した『労働経済の分析(令和元年版)』において、ワークエンゲージメントが高いことと新卒3年目の離職率には正の相関があることが明らかになりました。

離職率が低くなることで、採用や人材育成にかかるコストを抑えることができ、一人に対し長期的に時間をかけれるので、優秀な人材の育成にも繋がります。

3-3. 帰属意識(コミットメント)が生まれる

ワークエンゲージメントが高い人材は、会社が自分の仕事の成果やアイディアを認めてもらう場を与えてくれると考えるため、帰属意識が高くなります。帰属意識が高いことは愛社精神や忠誠心が高くなります。

このような状態だと従業員のモチベーションが高く、生産性が高まります。さらに組織内のコミュニケーションが促進され、新たな意見が生まれたりすることが期待できます。

3-4. 労働生産性が上がる

ワークエンゲージメントが高い人材は仕事のパフォーマンスが最大化するため、業務の生産性が比較的早い段階で向上します。

モチベーションエンジニアリング研究所が調査した『従業員エンゲージメントとキャリア充足度』に関する調査によると、エンゲージメントの向上は「営業利益率」と「労働生産性」を向上させるということが明らかになりました。

3-5. 顧客満足度の向上

ワークエンゲージメントの向上は社内だけにとどまらず、顧客にも良い影響をもたらします。
すべての従業員が高いエンゲージメントを保持していれば、業務のパフォーマンスも上がりやすくなります。従業員がポジティブに仕事に取り組む姿や自信を持って商品をおすすめする姿を顧客に見せられるのが、ワークエンゲージメントを高めるメリットです。
ワークエンゲージメントが低い状態で提供される商品やサービスに顧客が魅力を感じる可能性は低いものです。しかし、いきいきと働く従業員を目にした顧客は、企業や商品、サービスに対して良い印象や信頼感を抱きやすくなります。
顧客満足度を向上させるためにも、ワークエンゲージメントを高める施策を効率的に実施していきましょう。

4. ワークエンゲージメントの尺度・測定方法

ここではワークエンゲージメントの尺度と測定方法について3つ紹介します。

4-1. UWES(Utrecht Work Engagement Scales)

UWES(Utrecht Work Engagement Scalest)とは「熱意」「没頭」「活力」の3つの要素から計17問の設問でワークエンゲージメントを直接測定する方法です。最も日本では利用されている測定方法です。

具体的には、「私は仕事にのめりこんでいる」「私は仕事に集中している」という設問を7段階評価で選びます。3つの要素それぞれの平均値を「ワークエンゲージメントスコア」としています。

4-2. MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)

MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)のBはバーンアウトを指します。対象者がバーンアウト状態かどうかを測定します。その数値が低いほどバーンアウト状態から遠く、エンゲージメントが高い状態であるといえます。

質問項目は仕事を通じて、力を出し尽くし消耗した状態を測る「疲労感」、クライアントに対する非人道的な態度を測る「シニシズム(社会の風潮を冷笑する態度)」、ヒューマンサービスに関する「達成感」、有能感を測定する「職務効力感」などの計16項目から構成されます。

具体的な質問例としては

・こんな仕事もうやめたいと感じるか

・出勤前、 職場に出るのが嫌になって、 家にいたいと思うことがあるか

・仕事のために心にゆとりがなくなったと感じることがあるか

・体も気持ちも疲れ果てたと思うことがあるか

が挙げられます。

4-3. OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)

OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)は上記に記載したMBI-GSと同じようにバーンアウト状態かを測定することでワークエンゲージメントを測定する方法です。

主な質問内容は「疲労」と「離脱」です。「疲労」の項目が高いと活動水準が下がっている状態です。「離脱」の項目が高いと仕事の認知と態度が低く、仕事に没頭できていない状態です。

この二つの項目が低いとワークエンゲージメントが高いといえます。

具体的な質問例として、

「疲労」に関する質問例

・仕事の前にすでに疲労感を感じていませんか?

・仕事後、ぐったりと疲れ果てていることがありますか?

・やる気に満ちあふれていますか?

「離脱」に関する質問例

・否定的な語りが増えていませんか?

・機械的に労働していませんか?

・他の職業は考えられないと考えていますか?

・仕事に集中して打ち込んでいますか?

が挙げられます。

5. ワークエンゲージメントの高め方

ワークエンゲージメントの高め方は、主に自己効力感から生まれる個人の資源と仕事の満足感から得られる仕事の資源の2つに分類されます。

5-1. 個人の資源

「個人の資源」とはポジティブな心理状態を引き出す個人の内的な要因を示します。例を挙げると「自己効力感」「自尊心」「ポジティブシンキング」が当たります。

個人の資源を高めるために有効な方法として「ジョブ・クラフティング」が挙げられます。「仕事のやり方」、「人間関係」、「仕事へのとらえ方」を修正し、見直すことで主体的に仕事へ関われるようになり、個人の資源を高めることができます。

5-2. 仕事の資源

「仕事の資源」とは仕事を通じた成功体験を得ることや仕事の負担を減らすことで仕事へのモチベーションの向上を促す要因のことで、これを高めることでワークエンゲージメントの向上に繋がります。

具体的な方法としては、パフォーマンスに対する正当な評価やフィードバック、上司や同僚からの適切なサポート、仕事の裁量権が与えられているのか、が挙げられます。

6. ワークエンゲージメント向上を成功させた企業事例

ワークエンゲージメント向上を成功させた企業例を紹介します。

6-1. スターバックス コーヒー ジャパン

スターバックスはパートナーのエンゲージメントが高いことで有名です。その理由は、マニュアル重視の労働ではなく、従業員のエンゲージメントによる行動を重視しているからです。カップにイラストを描くことはマニュアルで決められているわけではありません。従業員の自発的な行動を大事にしているといえます。

また、このような内発的動機には企業が大切している価値観を従業員に周知し、共感を得ることが関係しています。

6-2. 株式会社リクルートホールディングス

リクルートでは企業レベルではなく、部署やチーム単位でのエンゲージメントサーベイを行い、従業員同士でサーベイの結果をもとにしたディスカッションを行います。課題を基にした次なるアクションを一人ひとりが主体的に推進することによりワークエンゲージメントの向上につながります。

7. まとめ

この記事ではワークエンゲージメントについて紹介してきました。ワークエンゲージメントを高めることで従業員だけでなく、企業にとっても様々なメリットがもたらされます。ぜひワークエンゲージメントを意識した組織作りを行ってみてはいかがでしょうか。

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