派遣社員は福利厚生を利用できる!正社員との違い・種類・条件を解説 |HR NOTE

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派遣社員は福利厚生を利用できる!正社員との違い・種類・条件を解説

  • 労務
  • 福利厚生

「派遣社員は福利厚生を利用できるの?」

「派遣社員が福利厚生を利用するのに条件はあるの?」

「派遣社員と正社員の福利厚生には違いがある?」

上記のような悩みを抱える、労務担当者は多いでしょう。

結論として、派遣社員も福利厚生を利用できます。また正社員と同一の業務内容であれば、同等の福利厚生を受けられるよう配慮すべきことが義務付けられました。

本記事では、派遣社員と正社員における福利厚生の違い、種類や条件について解説しています。福利厚生について適切に理解し、派遣社員が働きやすい職場作りの参考にしてください。

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1. 福利厚生とは?

福利厚生とは

福利厚生とは、従業員とその家族の生活や健康を支えるために提供するサービスのことです。従業員の定着率アップやモチベーションの向上などを目的として導入している企業も多いでしょう。

福利厚生は、法定福利厚生と法定外福利厚生の2つに分けられます。

名称

内容

法定福利厚生

法律により定められたもの

社会保険、厚生年金、有給消化

法定外福利厚生

企業独自に設けられたもの

通勤手当、住宅手当、自己啓発

それぞれの特徴について簡単に確認しておきましょう。

1-1. 法定福利厚生

法定福利厚生とは、法律により導入することが義務付けられているものです。企業は、以下のような法定福利厚生を整備しなければなりません。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

法定福利厚生を整備していない場合、罰則を受ける可能性もあるため注意しましょう。

1-2. 法定外福利厚生

法定外福利厚生とは、導入するかどうかを企業が自由に判断できるものです。法律上の義務ではないため、導入しなくても問題はありません。ただ、従業員の健康やモチベーションを維持するために、導入している企業も多いでしょう。

主な法定外福利厚生としては、次のようなサービスが挙げられます。

  • 住宅補助
  • 昼食補助
  • レジャー施設利用
  • 育児・介護支援
  • スキルアップ支援

どのような法定外福利厚生を取り入れるべきかは企業によって異なります。従業員のニーズに合わせて最適なサービスを導入することが重要です。

2. 派遣社員も福利厚生を受けられる

正社員だけではなく、派遣社員も福利厚生を受けられます。ただし、法定福利厚生の一部には、条件を満たした従業員のみが利用できるものもあるため注意してください。たとえば、社会保険であれば、週所定労働時間や月所定労働日数がフルタイムの4分の3以上ある従業員などに限られます。

2-1. 2020年に労働者派遣法が改正された

「福利厚生=正社員」という印象があるかもしれませんが、実際は異なります。雇用形態に関わらず、企業に勤務している人に適用されるものです。

間違った解釈をしてしまう背景には、過去に正社員と派遣社員で法定外福利厚生に差が生まれていたことが原因でしょう。

しかし、2020年の労働者派遣法の改正により待遇差が改善され、派遣社員も正社員と同様の福利厚生を利用できるようになりました。

参考:労働者派遣法の改正について|厚生労働省

参考:パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。|政府広報オンライン

3. 正社員と派遣社員の福利厚生の違い

正社員と派遣社員の福利厚生に違いはありません

2020年の労働者派遣法の改正により同一労働同一賃金が採用され、同じ業務内容であれば雇用形態に関係なく、同じ賃金になることが定められました。正社員との待遇差改善を目的として、派遣社員の福利厚生も正社員と同一となる仕組みです。

ただし派遣社員は、派遣元と派遣先のどちらの福利厚生を受けるのかを選択できます。それぞれの特徴やメリット・デメリットは下表の通りです。

名称

決め方

派遣先均等・均衡方式

派遣先の企業の福利厚生と同一にする

労使協定方式

派遣元の企業が定める労使協定に基づき決定する

派遣先均等・均衡方式と労使協定方式を比較するために、それぞれのメリット、デメリットを紹介します。

名称

メリット

デメリット

派遣先均等・均衡方式

派遣先に魅力的な福利厚生があれば、派遣元に人材が集まりやすい

情報を共有してもらうため、派遣先に負担がかかる

労使協定方式

派遣先の負担が少ない

派遣先との待遇差に不満が生まれやすい

派遣元はどちらかを必ず採用する必要があるため、検討の参考にしてください。

4. 正社員と派遣社員の福利厚生に差を付けることは違法

正社員と派遣社員で、賃金や福利厚生の不合理な差を付けることは違法となります。法律に違反しないために、均等待遇と均衡待遇について適切に理解しましょう。

名称

内容

判断基準

均等待遇

業務内容が同一であれば、賃金と待遇も同一になる

・転勤の有無

・通常の業務内容

・権限、責任の範囲

均衡待遇

業務内容が異なれば、賃金と待遇が異なる

均等待遇の判断基準に加えて

・保有資格

・前職での経験

もちろん合理的な理由があれば、賃金や待遇に差を設けて問題ありません。判断基準を参考に、正社員と派遣社員で不合理な待遇差が生まれていないか確認しましょう。

以下で、合理的とされる判断基準と不合理とされる基準を紹介します。

合理的な基準

・国家資格を保有している従業員の賃金を、保有していない従業員より高く設定する

・転勤する可能性のある従業員の賃金を、転勤がない従業員より高く設定する

不合理な基準

・国家資格を保有している従業員の賃金を、保有していない従業員より高く設定したが、業務に直接関係しない

・正社員という雇用形態のみを理由として、派遣社員より賃金を高く設定する

正社員と派遣社員で賃金が異なることはあるでしょう。しかし、従業員から質問された場合に、合理的に説明できるか確認してください。

5. 派遣社員が福利厚生を利用できる条件

派遣社員が福利厚生を利用できる条件は下表の通りです。福利厚生を利用するためには、条件を満たす必要があります。従業員が適切に利用できるように理解しておきましょう。

法定福利厚生

利用条件

健康保険

厚生年金

①もしくは②のどちらかに該当する

①1週間の所定労働時間が、正社員の3/4以上

 契約期間が2カ月以上であること

②週の所定労働時間が20時間以上

 2カ月を超える雇用の見込みがある

 月額賃金(所定)が8.8万円以上

 学生以外(定時制や夜学などを除く)

 従業員が101人以上の事業所に勤めている(2024年10月 から51人以上に変更)

介護保険

40歳になった月から加入

雇用保険

①と②の両方に該当する

①31日以上の雇用が見込まれる

②1週間の所定労働時間が20時間以上

労災保険

条件なし

従業員を1人以上雇用する企業は必ず保険に加入

年次有給休暇

①と②の両方に該当する

①入社日から6カ月経過

(企業によっては6カ月より前に付与する場合あり)

②労働日数の80%以上出勤している

産前産後休業

雇用形態に関係なく利用可能

育児休業

①〜③の要件に該当する

①同一企業で1年以上雇用契約がある

②子どもが1歳の誕生日を迎えた後も、引き続き雇用予定がある

③子どもが1歳6カ月になる前(最長2歳まで延長可)までに契約満了し、かつ契約更新されないことが明らかでない

以下、それぞれの福利厚生について簡単に解説します。

5-1. 社会保険

社会保険とは、万が一の病気や怪我に備えるための公的な保険の総称です。社会保険には、以下の5つが含まれます。

  • 健康保険
  • 厚生年金
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

正社員だけではなく、派遣社員の健康や生活を守ることは企業の義務です。派遣社員が一定の条件を満たす場合は、社会保険に加入させるようにしましょう。

5-2. 年次有給休暇

入社から6カ月経過したタイミングで、労働日数の80%以上出勤している派遣社員に対しては、法律に従って年次有給休暇を付与しなければなりません。

フルタイムで働く派遣社員の場合は、正社員と同様、入社から6カ月経過した時点で10日の有給休暇を付与する必要があります。週所定労働日数が少ない派遣社員に対しても、働き方に応じて比例付与しなければなりません。

5-3. 産前産後休業

産前産後休業も雇用形態に関係なく利用できる福利厚生のひとつです。派遣社員から希望があった場合は、産前に6週間の休暇を付与する必要があります。また、産後については、希望の有無に関わらず8週間の休暇を与えなければなりません。

5-4. 育児休業

同一企業で1年以上の雇用契約があるなど、一定の条件を満たす派遣社員は育児休業を取得できます。この制度を利用すれば、原則としては子どもが満1歳になるまで休暇を取得可能です。さらに休業が必要な場合は、子どもが1歳6カ月になるまで休暇を取得できます。

6. 派遣社員が利用できる法定外福利厚生

法定外福利厚生は企業独自に設けている制度であるため、派遣社員が利用できるものは企業ごとに異なります。

以下は代表的な法定外福利厚生の例です。自社で福利厚生を検討する際の参考にしてください。

項目

名称

休暇

・リフレッシュ休暇

・ボランティア休暇

・慶弔休暇

自己啓発

・資格取得支援

・社内外でセミナー参加

余暇活動

・社員旅行

・運動会

・保養施設の利用、補助

住宅

・家賃補助

・社宅手配

働きか方

・フレックス制度

・時短勤務

・時差出勤

・テレワーク制度

・ノー残業デー

法定外福利厚生は、企業の独自性をアピールできるポイントの一つです。既存社員、就職希望者に魅力を感じてもらえるようにしましょう。

法定外福利厚生を利用できるメリットは次章で解説します。

7. 派遣社員が福利厚生を利用できることによる3つのメリット

派遣社員が法定外福利厚生を利用できるメリットは、以下の3つです。

  1. 正社員との待遇差改善
  2. 派遣社員の生産性向上
  3. 優秀な人材の確保

法定外のため設置義務はありませんが、派遣社員が長期間にわたって勤務したいと思える職場にすることで、かけたコスト以上の価値を得られるでしょう。

派遣社員がいない間は売上が低下したり、新たな派遣社員を採用するために人件費が必要になったりするためです。

7-1. 正社員との待遇差改善

1つ目のメリットは、正社員との待遇差改善です。

職場内で人によって利用できる福利厚生に差があると、疎外感を感じる派遣社員もいるでしょう。同一労働で、同じ待遇を受けられるのであれば、派遣社員が安心して勤務できます。

また、待遇差がなくなると、職場内で立場に関係なくスムーズにコミュニケーションを取れるでしょう。

7-2. 派遣社員の生産性向上

2つ目のメリットは、派遣社員の生産性向上です。

法定外福利厚生には、派遣社員の気分がリフレッシュできたり、自己成長をサポートしたりするものがあります。

上記の効果により、派遣社員はメリハリを持って勤務でき、自己成長できることで勤務意欲が向上するでしょう。その結果、派遣社員の生産性向上が期待できます。

7-3. 優秀な人材の確保

優秀な人材確保につながることもメリットのひとつです。福利厚生が充実しており、派遣社員も平等に利用できる状態であれば、長く働きたいと思ってもらえるでしょう。

契約更新を希望する派遣社員が増え、優秀な人材に継続勤務してもらえることを期待できます。

8. 派遣社員にも福利厚生を提供しよう!

従業員の満足

今回は、派遣社員も福利厚生を利用できることについて解説しました。一定の条件を満たしていれば、正社員と同様、派遣社員も福利厚生を利用できます。企業側としては同一労働同一賃金の考え方に従って、雇用形態に関わらず平等な待遇となるよう配慮しなければなりません。

派遣社員が働きやすい環境を構築することで、企業全体のチームワークが強化されたり、モチベーションが向上したりするため、適切に福利厚生を提供するようにしましょう。

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