労働基準法における「退職の自由」とは?意味や注意点を紹介 |HR NOTE

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労働基準法における「退職の自由」とは?意味や注意点を紹介

退職

企業にとって従業員は重要な資源です。ですが、さまざまな理由で従業員が退職を希望することがあります。このようなときに、企業は適切な対応を取ることが求められます。今回は労働基準法における退職の自由や意味、注意点を紹介します。

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人事担当者など従業員を管理する役割に就いている場合、雇用に関する法律への理解は大変重要です。
例外や特例なども含めて法律の内容を理解しておくと、従業員に何かあったときに、人事担当者として適切な対応を取ることができます。

今回は、労働基準法の改正から基本的な内容までを解説した「労働基準法総まとめBOOK」をご用意しました。

労働基準法の改正から基本的な内容まで、分かりやすく解説しています。より良い職場環境を目指すためにも、ぜひご一読ください。

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1. 労働基準法における「退職の自由」とは?

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日本では労働者が退職を希望する場合、自由に退職できます。労働基準法第137条では、1年を超える有期雇用契約の労働者を対象に、契約初日から1年を経過していれば、いつでも退職が可能としています。[注1]

また労働基準法は、契約と実際の労働内容が異なった場合に、すぐに契約を解除できることも第15条で定めています。

[注1]労働基準法|e-Gov法令検索

1-1. 憲法から読み取る退職の自由の解釈

憲法では次の2つを定めています。[注2]

  • 奴隷的拘束の禁止
  • 職業選択の自由

つまり、日本では退職を拒み拘束することは禁止されているうえに、職業を選択する自由が保障されているため、従業員は自由に退職をして新しい仕事に就けるのです。

[注2]日本国憲法|e-Gov法令検索

1-2. 退職については民法にも定めがある

退職については民法でも定められています。民法では第627条にて雇用期間に定めがない無期雇用契約の労働者を対象に、自由に退職できることを保障しています。[注3]

この場合、労働者は退職日から2週間前に退職の意思を告げることで退職が可能になります。

[注3] 民法|e-Gov法令検索

1-3. 民法における有期雇用の労働者の退職に関する定め

民法では無期雇用契約の労働者だけでなく、有期雇用の労働者に対する退職についても定めています。民法第628条ではやむを得ない事情があった場合に契約解除を申し出られるとしています。[注3]

この場合のやむを得ない事情とは次のようなケースが考えられます。

  • 賃金の未払い
  • 劣悪な職場環境
  • 病気の治療
  • 引越し
  • 結婚
  • 出産

やむを得ない事情として認められない場合、労働者から即時の退職は申し込めない可能性があります。また、やむを得ない事情が認められていないにもかかわらず退職をしてしまうと、損害賠償が発生する場合もあります。

ただし、民法で定められているやむを得ない事情がなくとも、労働基準法で定められているとおり、1年を超える有期雇用契約であれば、契約日から1年経過しているためいつでも退職を申し出られます。

[注3] 民法|e-Gov法令検索

2. 労働基準法における「退職の自由」に関する注意点

注意喚起

労働基準法や憲法では退職の自由が設けられています。そのため、従業員が退職を申し出てきた際に強引な引き留めをしてしまうと、その後のトラブルにつながりかねません。

2-1. 強引な引き止めは違法になるケースがある

退職は労働基準法や憲法で認められている権利です。そのため、強引な引き止めをしたところで、法的な拘束力は認められないうえに、会社の評判を落としかねません。

とくに退職にあたっての強引な引き止めトラブルとして次のようなケースが考えられます。

  • 後任が決まらないから退職を認めない
  • 残りの給与を未払いにする
  • 離職票を発行しない
  • 有給消化を許可しない
  • 損害賠償請求をする
  • 懲戒解雇にする

これらはいずれも効力が認められないうえに、給与の未払いや有給消化の拒否は労働基準法に違反しています。後任が決まっていないから退職を認めないというのも、退職の自由に反します。

ですが、引継ぎができなければ業務に支障が発生する可能性があるため、退職を希望している従業員としっかり話し合ったうえで退職日を決めましょう。また、損害賠償を請求するには退職と損害の因果関係を証明する必要があり、一般的に証明は難しいとされています。

3. 労働基準法における「退職の自由」に違反したときの罰則

注意する男女

労働基準法で退職の自由が認められているにもかかわらず、さまざまな方法で引き止めを行った場合、労働基準法違反として罰則が科せられる可能性があります。

退職にまつわる罰則を把握して、正しく退職を希望する従業員と接しましょう。

3-1. 退職を理由として賃金の未払いにすると30万円以下の罰金

退職を理由に賃金を未払いにすると、罰金30万円以下の罰則が科せられます。これは退職に関わらず、賃金を次の5つの原則に基づかずに支払っている場合、適用される罰則です。

  • 通貨で支払う
  • 直接労働者に支払う
  • 全額を支払う
  • 毎月1回以上の給料日を設ける
  • 一定の期日を定めて支払う

3-2. 退職を理由に有給を認めないと懲役もしくは罰金

退職をするなら有給消化を認めないといった行動をとってしまうと、6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられます。労働基準法の第39条では合理的な理由なく有給消化を拒否できないと定めています。

3-3. 懲戒解雇処分の合理性がなければ懲役もしくは罰金

懲戒解雇処分で退職すると就業規則によっては退職金を受け取れなかったり、離職票に重責解雇と記されてしまったりと、従業員に不利となります。

そのため、退職を希望する従業員に対して懲戒解雇処分をチラつかせて引き止めようとするケースがあります。ですが、懲戒解雇処分を下すには客観的にみて合理性を欠いていない、社会通念上必要であるか、といった点を満たさなければなりません。この2つを満たさずに一方的に懲戒解雇処分を下した場合、6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられます。

3-4. 民法の定めに違反する

民法では退職の自由を定めていますが、それにもかかわらず退職を認めない場合は、民法に違反してしまいます。民法には罰則が設けられていないため、懲役や罰金を科せられることはありませんが、損害賠償を請求される可能性があります。

4. 退職の自由を把握して円満な退職につなげよう

退職する女性

日本は憲法で拘束を禁止し職業選択の自由を保障しているため、労働者には退職の自由があります。労働基準法では1年を超える有期雇用契約の労働者を対象に、契約初日から1年経過して以降はいつでも退職が可能としています。また、民法では無期雇用契約の労働者は退職の14日前に退職の意思を伝えることで退職できるとしています。

このように退職の自由は認められているため、従業員からの退職届を拒否したり強引に引き止めたりしないようにしましょう。強引な引き止めは違法になり、罰金や懲役が科される可能性があります。退職を希望する従業員に対しては丁寧に向き合って、円満な退職につなげてください。

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例外や特例なども含めて法律の内容を理解しておくと、従業員に何かあったときに、人事担当者として適切な対応を取ることができます。

今回は、労働基準法の改正から基本的な内容までを解説した「労働基準法総まとめBOOK」をご用意しました。

労働基準法の改正から基本的な内容まで、分かりやすく解説しています。より良い職場環境を目指すためにも、ぜひご一読ください。

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