労働基準法の災害補償とは?労災保険との関係性や補償金額・期間について解説! |HR NOTE

労働基準法の災害補償とは?労災保険との関係性や補償金額・期間について解説! |HR NOTE

労働基準法の災害補償とは?労災保険との関係性や補償金額・期間について解説!

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診察をしてもらっている

労働基準法では災害補償について細かく定められています。業務上のケガや病気といった労働災害が生じたら、法律に基づき正しく補償をおこなう必要があります。この記事では、労働基準法の災害補償の範囲や補償金額・期間についてわかりやすく解説します。また、労働基準法と労災保険の災害補償の違いや関係性についても紹介します。

法改正から基本的な内容まで分かりやすく解説!
労働基準法総まとめBOOK

労働基準法の内容を詳細に把握していますか?

人事担当者など従業員を管理する役割に就いている場合、雇用に関する法律への理解は大変重要です。
例外や特例なども含めて法律の内容を理解しておくと、従業員に何かあったときに、人事担当者として適切な対応を取ることができます。

今回は、労働基準法の改正から基本的な内容までを解説した「労働基準法総まとめBOOK」をご用意しました。

労働基準法の改正から基本的な内容まで、分かりやすく解説しています。より良い職場環境を目指すためにも、ぜひご一読ください。

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1. 労働基準法の災害補償とは?

天秤とガベルが法律を表している

労働者が業務によってケガをしたり、病気になったりした場合、労働基準法第8章に記載されている各補償内容に基づき、使用者は当該労働者に対して補償をおこなわなければなりません。労働基準法8章の災害補償は、第75条から第88条の13条にわたって、細かく補償内容が決められています。ここでは、労働基準法の災害補償の対象になるケースと、対象外になるケースをそれぞれ紹介します。

1-1. 労働基準法の災害補償の対象となるケース

労働基準法で定めている「災害」とは、次のようなケースです。

  • 仕事中に発生したケガ
  • 仕事中に発生した病気
  • 通勤中・勤務時間内で外出したときの事故(例外あり)

原則として、働いているときに事故などによりケガや病気になった場合に、労働基準法の災害補償を受けることができます。最近では長時間残業による過労死や劣悪な職場環境、人間関係による精神疾患なども災害として認められるケースが増えています。また、仕事時間外の通勤時の事故も、会社で仕事をするために出かけているので、労働災害(通勤災害)と認められる可能性があります。

1-2. 労働基準法の災害補償の対象にならないケース

持病を患わっており、勤務時間中に病気になった場合、業務が原因によるものと判断されず、労働基準法の災害補償の対象にならない場合があります。また、私物を忘れて家に取りに戻る途中で事故が発生した場合も、労働に関係ないため、災害補償の対象にならない可能性があります。ただし、社員証や制服など、仕事に必要なものを取りに戻る途中で事故にあった場合は、災害補償が認められるケースもあるので注意しましょう。

2. 労働基準法の災害補償の対象かどうか判断する基準

デスクワークで腰痛が生じている

労働基準法の災害補償の対象か否かは「業務遂行性」と「業務起因性」に該当するかしないかで決まります。ここでは、それぞれの意味とどのような場面が該当しないかを詳しく解説します。

2-1. 業務遂行性

業務遂行性とは、使用者の指揮命令下に労働者が置かれていたかどうかを指します。労働者が直接仕事に取り組んでいる場合は、業務遂行性が認められます。また、出張や営業回りなども、労働者は直接拘束されているわけではありませんが、使用者の命令に基づき移動・作業をしているため、業務遂行性があると判断されます。一方、休日にオフィスの施設で買い物などをしている場合は、完全に私用であるので、業務遂行制は認められません。

2-2. 業務起因性

業務起因性とは、仕事が原因でケガや病気が生じたかどうかを指します。たとえば、労働者が病気になった場合、「長時間残業していた」「休日出勤の頻度が多かった」「夜勤と日勤を何度も繰り返していた」などのように、不規則な勤務実態があれば、業務と病気の関連性があると判断され、業務起因性が認められます。一方、入社前から「持病」として腰痛を持っていた場合、腰痛が悪化したとしても、仕事との関連性が認められず、業務起因性がないと判断される可能性もあります。このように、労働基準法の災害補償の対象となるかどうかは、業務遂行性と業務起因性を総合的に勘案して決定されます。

参考:業務災害とは(業務上の疾病について)|厚生労働省

3. 労働基準法の災害補償の種類と補償金額

労災が発生し申請書類を書こうとしている

労働基準法では災害補償の種類や、その補償金額について細かく定められています。ここでは、労働基準法の災害補償の種類とその補償金額について詳しく紹介します。

名称

労働基準法 8章

補償対象の事柄

災害補償の支給額

療養補償

第75条第一項

仕事中にケガをしたり、病気にかかったりしたとき

治療・療養に必要な費用

休業補償

第76条第一項

労働者が労働基準法8章第75条により、療養中で就労できず賃金を受けられないとき

労働者の平均賃金の100分の60

障害補償

第77条

労働者が仕事中に負傷、または病気にかかり、身体に障害が残ったとき

障害の等級により補償日数が上乗せされる。

最高で平均賃金の1,340日分

遺族補償

第79条

労働者が仕事中に死亡したとき

※災害補償は遺族に支給

平均賃金の1,000日分

葬祭料

第80条

労働者が仕事中に死亡したとき

※葬祭をおこなう人に支給

平均賃金の60日分

3-1. 療養補償(労基法第75条)

療養補償とは、労働基準法第75条に基づき、労働者が仕事中にケガや病気になった場合に使用者から支給される療養費用のことです。療養補償の補償金額は、ケガや病気の療養のために必要となる費用です。なお、療養補償の対象となる病気や療養の範囲は、労働基準法施行規則で明確に定められているので、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

(療養補償)
第七十五条 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
② 前項に規定する業務上の疾病及び療養の範囲は、厚生労働省令で定める。

引用:労働基準法第75条|e-Gov

3-2. 休業補償(労基法第76条)

休業補償とは、労働基準法第78条に則り、労働者が業務上のケガや病気により療養することとなり、働けなくなった場合に使用者から支払われる給付のことです。休業補償の補償金額は、休業1日につき平均賃金の60%です。なお、使用者には安全配慮義務があることから、民法第536条に基づき労働者より賃金の全額の補償を請求される可能性もあるので留意しておきましょう。

(休業補償)
第七十六条 労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。(省略)

引用:労働基準法第76条一部抜粋|e-Gov

(債務者の危険負担等)
第五百三十六条 (省略)
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。(省略)

引用:民法第536条一部抜粋|e-Gov

関連記事:労働基準法の第76条「休業補償」とは?支給金額や支給期間をわかりやすく解説

3-3. 障害補償(労基法第77条)

障害補償とは、労働基準法第77条により、労働者が仕事中にケガや病気になった後、回復したけれど身体に障害が残った場合に使用者から支給される給付のことです。障害補償の補償金額は、障害等級(第1級~第14級)に応じて異なります。

たとえば、障害等級第1級に該当することになった場合、平均賃金の1,340日分を上乗せして補償をおこなう必要があります。なお、労働基準法第78条に則り、休業補償や障害補償は、労働者に重大な過失があったために支給しなければならない場合は、行政官庁の認定を受ければ、補償の責任を免れることができます。

(障害補償)
第七十七条 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治つた場合において、その身体に障害が存するときは、使用者は、その障害の程度に応じて、平均賃金に別表第二に定める日数を乗じて得た金額の障害補償を行わなければならない。

引用:労働基準法第77条|e-Gov

(休業補償及び障害補償の例外)
第七十八条 労働者が重大な過失によつて業務上負傷し、又は疾病にかかり、且つ使用者がその過失について行政官庁の認定を受けた場合においては、休業補償又は障害補償を行わなくてもよい。

引用:労働基準法第78条|e-Gov

3-4. 遺族補償(労基法第79条)

遺族補償とは、労働基準法第79条に基づき、労働者が業務中に亡くなった場合に使用者から遺族に対して支払われる給付のことです。遺族補償の補償金額は、平均賃金の1,000日分です。

(遺族補償)
第七十九条 労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、遺族に対して、平均賃金の千日分の遺族補償を行わなければならない。

引用:労働基準法第79条|e-Gov

3-5. 葬祭料(労基法第80条)

葬祭料とは、労働基準法第80条に則り、労働者が仕事中に死亡した場合に使用者から葬祭をおこなう者に対して支払われる金銭のことです。葬祭料の金額は、平均賃金の60日分です。

(葬祭料)
第八十条 労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、葬祭を行う者に対して、平均賃金の六十日分の葬祭料を支払わなければならない。

引用:労働基準法第80条|e-Gov

4. 労働基準法の災害補償の計算方法

仕事中にケガが生じた

労働基準法の災害補償はどのように計算すべきか気になる人もいるかもしれません。ここでは、労働基準法の災害補償の計算方法について詳しく紹介します。

4-1. 平均賃金を算出する

まずは災害補償の基礎となる平均賃金を計算する必要があります。平均賃金とは、労働基準法第12条で定められていて、原則として、直近3カ月の賃金総額をその総日数で除した金額のことです。

たとえば、直近3カ月の賃金総額が90万円、その総日数が90日であれば、平均賃金は1万円となります。なお、平均賃金の計算には、臨時に支払われる賃金を含めないなど、注意点も多くあるので、法律をよく確認し、正しく計算できる仕組みを整備しておくことが大切です。

第十二条 この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。(省略)

引用:労働基準法第12条一部抜粋|e-Gov

関連記事:労働基準法の平均賃金とは?計算方法や端数処理、最低保障額をわかりやすく解説!

4-2. 災害補償額を計算する

平均賃金が計算できたら、該当する災害補償に対する補償金額を算出します。たとえば、休業補償は、平均賃金に休業日数と60%を掛けることで補償金額を計算できます。平均賃金が1日1万円、休業日数が10日の場合、休業補償は総額で6万円と計算されます。

また、葬祭料の補償金額は、平均賃金60日分です。そのため、平均賃金が1日1万円の場合、葬祭料は60万円となります。このように、平均賃金を計算し、災害補償の種類を確認できれば、正しく補償金額を計算することが可能です。

5. 労働基準法と労災保険の災害補償の違い・関係について

2つの違い

労働基準法と労災保険の災害補償の違いについて、よくわからないという人もいるかもしれません。ここでは、労働基準法と労災保険の災害補償の違いと関係について詳しく紹介します。

5-1. 労災保険が労働基準法の災害補償を代行している

労働基準法第8章に「使用者の災害補償責任」が定められています。仕事によって起きたケガや病気については、使用者が労働者に災害補償をしなければなりません。経営状況によっては負担が大きく、正しく支給できない可能性もあります。

そのため、使用者の災害補償の責任を確実にするために、労災保険法(労働者災害補償保険法)によって、労災保険の加入義務が定められています。また、労働基準法第84条により、労災保険によって相当額の給付がおこなわれる場合、使用者は労働基準法の災害補償の責任を免れることが可能です。このように、労災保険は、労働基準法の災害補償を代行する役割があります。

(他の法律との関係)
第八十四条 この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)又は厚生労働省令で指定する法令に基づいてこの法律の災害補償に相当する給付が行なわれるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。(省略)

引用:労働基準法第84条一部抜粋|e-Gov

5-2. 労災保険の補償範囲は労働基準法よりも広い

労働基準法の災害補償の範囲は、「療養補償」「休業補償」「障害補償」「遺族補償」「葬祭料」です。労災保険は、これらの災害補償をカバーしているだけでなく、傷病補償や介護補償、二次健康診断等給付などにも対応しています。そのため、労働基準法の災害補償に該当しない場合でも、労災保険によって補償を受けられる可能性もあるのです。

参考:労災保険と労基法上の災害補償の比較|厚生労働省

5-3. 労災保険には待機期間がある

労災保険には待期期間の定めがあります。たとえば、労働基準法の休業補償の対象となる事象が発生した場合、労災保険から補償を受けられます。しかし、補償金が支給されるのは、休業してから4日目以降です。そのため、休業の初日から3日目までは、労災保険から補償を受けられません。しかし、休業補償は療養期間中すべてに支払う必要があるので、その3日間は使用者が全額負担しなければならないため注意しましょう。

6. 労働基準法の災害補償に関する注意点やポイント

労働基準法の災害補償には、いくつか気を付けるべき点があります。ここでは、労働基準法の災害補償に関する注意点やポイントについて詳しく紹介します。

6-1. 災害補償に関する定めは就業規則に明記しておく

労働基準法第89条に則り、常時従業員数10人以上の場合、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出をおこなう義務があります。また、就業規則には、災害補償の定めをする場合、その内容を含めなければなりません。

たとえば、労働者を保護するため、就業規則に明記すれば、災害補償の額を法定以上に設定することもできます。ただし、就業規則で法定を下回る設定をしたとしても、その部分は無効になるので気を付けましょう。

(作成及び届出の義務)
第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
(省略)
八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
引用:労働基準法第89条一部抜粋|e-Gov

6-2. 災害補償に関係する書類は5年間の保存が必要

労働基準法第109条により、災害補償に関係する書類は、5年間保管しなければなりません。ただし、労働基準法第109条には経過措置が定められているため、当面の間は5年間でなく3年間の保存でも問題ありません。ただし、経過措置はいつ終了するか未定であるので、できる限り5年間保管しておくようにしましょう。なお、保管期限の起算日は、災害補償が終了した日になります。

(記録の保存)
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。

引用:労働基準法第109条|e-Gov

関連記事:労働基準法第109条の重要な書類の保存期間は何年?法改正や経過措置、違反した場合の罰則を解説!

6-3. 打切補償や分割保障がある

労働基準法第81条に基づき、療養補償を受けている労働者が、療養開始から3年経過してもケガや病気が治らない場合、労働者に対して平均賃金の1,200日分の打切補償を支払えば、その後の補償の責任を免れることができます。

また、労働基準法第82条に則り、障害補償・遺族補償を受ける労働者または遺族に対して、支払い能力があることを証明し、補償対象者の同意が得られれば、6年の期間をかけて補償をおこなうことも可能です。このように、打切補償や分割保障も理解しておくと、災害補償を支払わなければならない事態が起きても、柔軟に対応できるかもしれません。

(打切補償)
第八十一条 第七十五条の規定によつて補償を受ける労働者が、療養開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の千二百日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。

引用:労働基準法第81条|e-Gov

(分割補償)
第八十二条 使用者は、支払能力のあることを証明し、補償を受けるべき者の同意を得た場合においては、第七十七条又は第七十九条の規定による補償に替え、平均賃金に別表第三に定める日数を乗じて得た金額を、六年にわたり毎年補償することができる。

引用:労働基準法第81条|e-Gov

6-4. 災害補償請求権には時効がある

労働基準法第115条により、労働基準法の災害補償に関する請求権は2年が時効です。一方、労災保険における災害補償請求権の時効に関しては、次のように給付金の種類によって異なります。このように、災害補償請求権には時効が定められているので注意しましょう。

給付金

時効

療養(補償)給付

療養の費用を支出した日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年

休業(補償)給付

賃金を受けない日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年

遺族(補償)年金

被災労働者が亡くなった日の翌日から5年

遺族(補償)一時金

被災労働者が亡くなった日の翌日から5年

葬祭料(葬祭給付)

被災労働者が亡くなった日の翌日から2年

未支給の保険給付・特別支給金

それぞれの保険給付と同じ

傷病(補償)年金

監督署長の職権により移行されるため請求時効はない。

障害(補償)給付

傷病が治癒した日の翌日から5年

介護(補償)給付

介護を受けた月の翌月の1日から2年

二次健康診断等給付金

一次健康診断の受診日から3ヶ月以内

引用:7-5 労災保険の各種給付の請求はいつまでできますか。|厚生労働省

(時効)
第百十五条 この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。

引用:労働基準法第115条|e-Gov

6-5. 災害補償に関して不服があれば異議を申し立てられる

労働基準法第85条により、災害補償に関して異議のある者は、行政官庁に仲裁・審査の申し立てをおこなうことができます。また、当該仲裁や審査の結果に対しても不服があれば、労働基準法第86条に基づき、労働者災害補償保険審査官に仲裁・審査を申し立てることも可能です。このように、災害補償に関して納得がいかない場合の仲裁・審査手続きについても押さえておきましょう。

(審査及び仲裁)
第八十五条 業務上の負傷、疾病又は死亡の認定、療養の方法、補償金額の決定その他補償の実施に関して異議のある者は、行政官庁に対して、審査又は事件の仲裁を申し立てることができる。(省略)
引用:労働基準法第85条一部抜粋|e-Gov

第八十六条 前条の規定による審査及び仲裁の結果に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官の審査又は仲裁を申し立てることができる。(省略)

引用:労働基準法第86条一部抜粋|e-Gov

7. 労働基準法の災害補償に関連するよくある質問

はてなマークの影にビックリマークが現れているここでは、労働基準法の災害補償に関連するよくある質問への回答を紹介します。

7-1. 退職後は補償を受け取れない?

労働基準法第83条に則り、災害補償を受ける権利は、労働者の退職の有無によって変更されません。そのため、退職後であっても、災害補償を受ける権利は保持されるため、条件を満たしていれば、補償を受け取ることが可能です。

(補償を受ける権利)
第八十三条 補償を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。(省略)

引用:労働基準法第83条一部抜粋|e-Gov

7-2. 出張中・休憩中は労災補償に該当する?

出張中の労災においては、基本的に認定されます。ただし、社員が指定の交通機関・宿泊施設を利用していない場合や、業務から完全に逸脱している場合(業務をせず観光している、泥酔しているなど)は、労災として認められません。

一方、休憩中の労災においては、発生した場所が重要となります。社内もしくは、営業活動などで社外にいる際の事故は労災として認められることもあります。仕事場以外の場所にて怪我をするなどの事故は労災認定されない可能性もあります。

7-3. 労災保険は慰謝料にも対応している?

そもそも労災において、慰謝料は基本的に請求できない仕組みではありますが、例外として企業側が明らかな不法行為、もしくは安全配慮義務違反の債務不履行責任があることが確認された場合に認められることもあります。具体的には、「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」などの請求が生じうることがあります。

なお、精神面における損害に対する慰謝料に関しては、労災保険の対象外となります。そのため、民事上の損害賠償請求が課されるケースもあります。万が一の出来事に備えて、労災上乗せ保険や、任意保険に加入しておくと安心でしょう。

8. 労働基準法の災害補償は企業が責任を果たすべき義務!

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労働基準法の災害補償とは、労働者が仕事中にケガや病気になった場合に、使用者から支払われる給付のことです。災害補償に該当するかどうかは、業務遂行性と業務起因性の観点から、総合的に判断されます。災害補償をきちんと実施しなければ、労働基準法に基づき懲役や罰金といった罰則が課せられる恐れもあるので、正しく補償をおこないましょう。

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例外や特例なども含めて法律の内容を理解しておくと、従業員に何かあったときに、人事担当者として適切な対応を取ることができます。

今回は、労働基準法の改正から基本的な内容までを解説した「労働基準法総まとめBOOK」をご用意しました。

労働基準法の改正から基本的な内容まで、分かりやすく解説しています。より良い職場環境を目指すためにも、ぜひご一読ください。

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