会社の従業員として働いている方のほとんどは雇用保険に加入していると思います。そんな雇用保険ですが、雇用保険料率の引き上げがあったことを知っていますか。給与明細を詳しく見ていない方や、どのようにして雇用保険料を算出しているか知らない方は、引き上げがあったことを知らないかもしれません。
本記事では雇用保険料率がどれくらい引き上げられたのかについて解説していきます。また、なぜ引き上げが行われたのか、どういった影響があるのかについても紹介しているので、ぜひご確認ください。
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保険料率の見直しが毎年あるため、更新をし損ねてしまうと支払いの過不足が生じ、従業員の信頼を損なうことにもつながります。
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1. 雇用保険料率はどのくらい引き上げられた?
雇用保険料率は2022年4月と10月の2回に分けて引き上げが行われました。また2023年5月からも引き上げられております。それぞれどれくらい引き上げられたかについて紹介いたします。
1-1. 2022年4月
2022年4月の引き上げでは、労働者側の雇用保険料率に変化はありませんでした。しかし、事業主が負担する保険料率が0.5/1000だけ引き上げられています。労働者側の負担が増えているわけではないので、引き上げがあったことに気づかなかった人も多いかもしれません。
しかし、事業主側からすると全ての従業員の雇用保険料率が一律で引き上げられたことになるので非常に大きな負担となっています。また、今回の引き上げでは業種による違いはありません。全ての業種の雇用保険料率が一律で引き上げられました。
1-2. 2022年10月
2022年10月の引き上げでは、労働者と事業主共に2/1000だけ雇用保険料率が引き上げられています。労働者の負担も大きくなっているので、明細を見て気づいた人もいるかもしれません。
つまり、2022年全体で考えると労働者は2/1000、事業主は2.5/1000だけ雇用保険料率の引き上げがあったことになります。また、今回の引き上げでも業種による引き上げ率の違いなどはありません。
1-3. 2023年4月
2023年4月は、全体的にさらに引き上げられ、労働者と事業主共に1/1000引き上げられています。労働者、事業者ともに負担が増えています。
2. 雇用保険料率引き上げの理由
雇用保険料率が引き上げられた理由は、いくつか考えられます。世界的な物価高による不景気なども理由として考えられるので、一概に判断するのは難しいですが、最も大きな影響は新型コロナウイルスにあるといわれています。
そもそも雇用保険とは失業した人や収入がなくなった人を守るために作られたものです。失業した人が多くなれば、それだけ雇用保険を財源とした失業保険の給付などが多くなります。失業保険の給付が多くなれば、財源が不足してしまうので安定して給付を行うことができなくなってしまいます。それを防ぐために雇用保険料率を引き上げて、安定した財源の確保を行いました。これが雇用保険料率を引き上げた理由です。
ニュースなどを見ればわかると思いますが、新型コロナウイルスはいろんな事業に影響を及ぼしました。飲食店は休業を余儀なくされるところもありましたし、観光事業に関してはそもそも外出が制限されたことで大打撃を受けました。その結果、会社を存続させるために従業員のリストラや事業縮小、あるいは負債を少しでも減らすために廃業をした会社も少なくありません。
新型コロナウイルスが原因で失業してしまった人は数多くいます。そういった人が増えて失業保険の給付が増えた結果、雇用保険料率の引き上げという結果に繋がったのです。
また、雇用保険料率は業種によって異なり、より失業保険を受け取る可能性の高い建築業などは高く設定されています。しかし、今回の引き上げでは業種による違いはありませんでした。その理由は、新型コロナウイルスの影響は建築業などの特定の業種に限定して起こったものではないからです。もちろん、業種によって影響の大きさの違いはありますが、非常に幅広い業種に影響を与えたため、全ての労働者や事業主の雇用保険料率を引き上げが行われました。
また、雇用保険料率は定期的に見直されています。現在でも新型コロナウイルスは猛威を奮っていますが、過剰な自粛を要請したり、営業時間を短縮したりするケースも少なくなりました。そのため、徐々にではありますが新型コロナウイルス前の状況に戻りつつあります。
景気が回復してくると新型コロナウイルスによる失業者もある程度減っていくと考えられます。その結果、再度雇用保険料率の見直しが行われ、引き下げられることがあるかもしれません。逆に景気次第ではさらなる引き上げが起こる可能性もあります。
雇用保険料率がどのように変化していくのか、今まで気にしていなかったという人は社会情勢と合わせてチェックするようにしてください。
このように雇用保険料を含む社会保険料は、日々見直しがおこなわれており、人事労務担当の方は改定後の保険料率を把握することが必要となります。
とはいえ、税率の改定の度に確認する手間や、給与計算ソフトにしっかりと反映されているかチェックする手間を低減したいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方に向けて、社会保険料の概要・計算方法のおさらいや、税率改定における業務負担をシステムで改善する方法の解説資料を無料で配布しています。
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3. 雇用保険料率引き上げによる影響
雇用保険料引き上げの影響はまだ如実に現れてはいません。しかし、今後もこの雇用保険料率のまま運用が行われるのなら、色んな面で影響が出る可能性が考えられます。
3-1. 家計や企業の負担が増える
労働者側の立場で考えてみると、賃金が30万円の場合は雇用保険料が900円から1,500円に増えることになります。それほど大きくないと感じるかもしれませんが、年間を通して考えると負担額は決して少なくありません。
また、企業側の立場で考えてみると、従業員数が多ければ多いほど負担額は大きくなっていきます。そのため、企業側の負担はさらに大きなものになると考えられます。
3-2. 正規雇用減少
現在は多種多様な働き方に注目が集まっており、正規雇用にこだわる必要性も薄くなってきました。しかし、正規雇用で働きたいと考えている人が多いのも事実です。しかし、正規雇用をするとなるとそれだけ雇用保険料の負担額が多くなってしまいます。
引き上げによって1人1人の雇用保険料が高くなってしまうと、そもそも正規雇用をしたいと考える企業が少なくなるかもしれません。その結果、失業してしまった人がもう一度正規雇用を目指すのが難しくなってしまう可能性があるのです。
3-3. 最低賃金の見直しの効果がなくなる
最低賃金の見直しにも力が入れられており、今までよりも高い給料で働きやすくなりつつあります。しかし、最低賃金が高くなっても雇用保険料が高くなっていれば、手元に残るお金は増えません。このまま雇用保険料率が高くなっていくのであれば、最低賃金が増えても手元に残るお金を減るという事態にもなりかねないのです。
こういった事態になると労働者の待遇はなかなか改善されません。結果として、働きづらく失業しやすい世の中になってしまい、失業保険料の給付率が高まり、雇用保険料が高くなるという悪循環に陥る可能性があるのです。
4. 雇用保険料率の引き上げへの対策は専用システムを導入
雇用保険料率の引き上げは労働者、企業ともに大きな負担となります。そして引き上げによって雇用保険料の計算をし直さなくてはいけない企業もあるでしょう。今まで以上に作業負担が増えてしまうかもしれません。
そこでおすすめなのがシステムの導入です。雇用保険料を自動で計算してくれるシステムを導入すれば、事務作業員の負担を大きく減らすことができます。さらにヒューマンエラーによる計算ミスもなくなるので、数多くのメリットがあります。雇用保険料率の引き上げによって業務量が増えて困っているという方は、これを機会に作業効率化が図れるシステムの導入を検討してみてください。
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