企業は税務署に対してさまざまな書類を提出しなければなりませんが、その一つに法定調書があります。企業であれば法定調書は毎年決められた期日までに提出しなければなりません。
今回は法定調書の提出期限や提出方法、提出先、提出が遅れてしまった場合の対応についてわかりやすく解説します。うっかり出し忘れてしまったということがないように、この記事を参考にしてしっかり理解しておきましょう。
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1. 法定調書とは?
法定調書は企業が税務署に提出しなければならない書類の一つです。この書類の提出は、所得税法・相続税法・租税特別措置法などで定められています。法定調書を提出する理由は、企業や個人事業主のお金の動きを見るためです。
お金を支払った企業や個人事業主が提出しますが、それによってお金を誰がいくら受け取ったかも把握できます。万が一申告漏れや脱税があった際、法定調書を辿ればお金の流れが見えるのです。
平成28年から法定調書にもマイナンバーの記載が必須となりました。従業員や契約しているフリーランスなどは、マイナンバーを提出することが義務となっています。ただ、マイナンバーの提出を拒否された場合は、記載しないまま法定調書を提出することは可能です。
この場合は、マイナンバーの記載を求めた経過を記録しておき、作成の際に義務を怠った訳ではないことをデータとして保存しておきましょう。
法定調書とひとまとめに呼ばれますが、書類の種類は60種類もあります。代表的な法定調書にどのようなものがあるか確認しておきましょう。
関連記事:法定調書合計表とは?提出先や電子申告について徹底解説
1-1. 給与所得の源泉徴収票
正社員やアルバイトを雇用して給料を支払っている場合、雇い主は年末から年明けにかけて源泉徴収票を作成しなければなりません。この時に作成した源泉徴収票のうち、一定の金額を超えるものに関しては、法定調書として税務署に提出する必要があります。
1-2. 退職所得の源泉徴収票
雇用していた従業員に退職金を支払った時も、源泉徴収票の作成が必要です。この場合も給与所得の源泉徴収票と同じように、一定の金額を超える場合は、法定調書として税務署に提出する義務があります。退職した理由が死亡の場合は扱いが異なるため、退職金所得の源泉徴収票を作成する必要はありません。
関連記事:退職所得の源泉徴収票とは何に使う?所得税の計算方法・注意点も解説
1-3. 報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書
フリーランスに対する原稿料や講演料、弁護士や税理士のコンサルタント料、スポーツ選手などの契約金や報酬、賞金などを支払う場合は、報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書を作成します。
一般的には年間5万円を超える報酬の場合は支払調書を法定調書として税務署に提出するのが義務です。報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書は税務署に提出が必要でも、支払先には提出する必要はありません。
1-4. 不動産の使用料等の支払調書
不動産や総トン数20t以上の船舶、航空機などを借受をして、賃借料や権利金、契約金などを支払う場合は、不動産使用料等の支払調書を作成し、税務署に提出しなければなりません。
支払調書の提出が必要になるのは、同じ人に対して年間15万円以上の支払いをした場合です。法人に対して支払いを行う際は、支払調書を提出する必要はありません。
1-5. 不動産等の譲受けの対価の支払調書
不動産を譲り受けた法人や不動産業を営んでいる個人が作成し、税務署に提出する義務があるのが不動産等の譲受毛の対価の支払調書です。売却した側ではなく、購入した側が提出します。支払った金額が年間100万円を超える場合のみ、提出しなければなりません。
1-6. 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
不動産の売買や賃貸をする時に、仲介者に対して仲介手数料を支払った場合、不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書を作成し、提出する必要があります。提出が必要なのは、同じ人に対して15万円以上の手数料を支払った場合のみです。
2. 法定調書の提出方法・提出期限・提出先
法定調書は提出方法や毎年の提出期限、提出先が決められています。提出の必要がある方は、間違って提出しないようにきちんと把握しておきましょう。
2-1. 提出方法
法定調書を提出する際は、それぞれの書類を集計して作成する法定調書合計表を提出する必要があります。これはその一年間で支払った給与や報酬などをまとめたもので、年度ごとに作成しなければなりません。
以下の6種類の法定調書合計表のうち、該当するものを作成する必要があり、全てをまとめて「給与所得の法定調書合計表」と呼ばれます。
- 給与所得の法定調書合計表
- 退職所得の法定調書合計表
- 報酬、料金、契約金及び賞金の法定調書合計表
- 不動産の使用料等の法定調書合計表
- 不動産の譲受けの対価の法定調書合計表
- 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の法定調書合計表
各年度の給与所得の法定調書合計表と、提出する必要がある金額以上の法定調書を、直接提出、郵送、e-Tax(国税電子申告・納税システム)、CDやDVDなどの光ディスク等で提出しましょう。提出する必要がある同一の法定調書が100枚以上の場合は、e-Taxか光ディスク等で提出しなければなりません。
令和4年1月1日以降は、事前に税務署長に届け出を行えば、国税庁長官の認定を受けたクラウドシステムなどに備えられたファイルに法定調書に記載すべき内容を記録して法定調書として提出することも可能です。この場合は税務署長に対して、ファイルの内容を閲覧し、記録する権限を付与する必要があります。
2-2. 提出期限
法定調書の提出期限は、支払いが確定した日が属する年度の翌年1月31日までが原則となっています。
2-3. 提出先
提出先は事業所の所在地を管轄している税務署や、支払い事務を取り扱っている事務所の所在地を管轄している税務署です。
3. 法定調書の提出が遅れたときの対応
提出の必要がある「給与所得の法定調書合計表」と指定の法定調書は、 前章で説明したとおり、支払いが確定した日が属する年度の翌年1月31日までです。
ただ、万が一作成が遅れた場合は、可能な範囲でできるだけ早く提出するようにしましょう。法定調書の提出が遅れた場合でも、確定申告の提出遅れのように追徴課税は発生しません。遅れたとしても提出することが大切です。
追徴課税は発生しませんが、遅れると所得税法により1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科されることがあります。提出の必要があるのであれば、期限を過ぎないようにあらかじめ準備し、余裕を持って提出できるようにしておきましょう。
ちなみに、期限までに間に合ったとしても、内容に不備があって再提出の必要があり、提出期限を過ぎてしまった場合も、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金の対象になってしまうケースがあります。
提出遅れやミスは大きなトラブルにつながる可能性があるため、注意しましょう。当サイトでは年末調整の書類の書き方や手続き方法をわかりやすく解説した資料を無料で配布しているため、複雑な年末調整業務をミスや遅れなくおこないたい方は、こちらから「年末調整ガイドブック」をダウンロードしてご活用ください。
4. 法定調書の提出期限は1月31日!遅れないように準備しよう
法定調書の提出期限は毎年1月31日です。従業員や契約している外部の人に対して支払いを行った場合で、一定以上の金額を超える場合は、提出が遅れないように早めに準備をしておきましょう。不備があれば再提出の可能性もありますから、余裕を持って提出できるようにしておくことが大切です。
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