健康診断は福利厚生費に計上できる!条件や注意点を解説 |HR NOTE

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健康診断は福利厚生費に計上できる!条件や注意点を解説

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「健康診断を福利厚生にできるのだろうか」

「健康診断を福利厚生費に計上するにはどうしたらいいか知りたい」

「従業員の健康診断の勘定科目がわからない」

上記のような疑問を持っている人も多いでしょう。

健康診断は福利厚生費に計上できますが、内容次第では給与や役員報酬になることがあります。福利厚生費にする条件を理解しないで実施すると、経費にできないことがあるため注意が必要です。

本記事では、健康診断を福利厚生費にする条件や注意点を解説します。最後まで読むことで、健康診断を福利厚生費とするための知識を身につけ、適切に対応しましょう。

▼そもそも福利厚生とは何かを知りたい方はこちら

福利厚生とは何か?種類や導入形態を簡単にわかりやすく解説!

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1. 健康診断の費用は福利厚生費にできる

会社が従業員のために実施する健康診断の費用は、福利厚生費として計上できます。会社は労働安全衛生法によって健康診断の実施が義務付けられており、従業員の健康管理は健全な経営に大切な要素の一つです。

会社が健康診断の費用を負担しなければいけない決まりはないため、従業員の実費で受けさせることもできます。しかし実費では健康診断を受けない従業員もいるので、会社側が経費として負担するほうがよいでしょう。

参照:労働安全衛生法 | e-Gov法令検索

1-1. 個人事業主の場合は計上できない

法人企業の場合、健康診断の費用を福利厚生費として計上することは可能ですが、個人事業主の場合は計上できません。自己負担で受ける必要があるため注意しましょう。

ただし、従業員を雇っている場合、その従業員のためにかかった健康診断の費用は福利厚生費として計上可能です。

1-2. 健康診断を実施しないときの罰則

前述の通り、従業員のために健康診断を実施することは企業の義務です。法律に従って健康診断を実施しないと、50万円以下の罰金が科せられる可能性もあるため注意しましょう。

従業員に対する罰則はありませんが、健康診断の重要性をしっかりと伝え、受診を促すことが大切です。

関連記事:福利厚生の最低ラインは?最低限必要な制度や整備のポイントを解説

2. 健康診断の対象社員

健康診断の対象者は以下のとおりです。

  1. 正社員
  2. 派遣社員
  3. アルバイト・パート
  4. 役員

正社員はもちろん、派遣社員や役員なども健康診断の対象になるため注意しましょう。

2-1. 正社員

正社員は配属や勤務年数などに関係なく全員が健康診断の対象です。年に1回、また雇用直前か直後に実施する必要があります。

ただし、新卒社員は入社前3カ月以内に受診した場合、雇用時の診断を省略可能です。

2-2. 派遣社員

派遣社員の場合は派遣元会社と労働契約を結んでいるので、派遣先の会社は健康診断を実施する義務を負いません。

ただし、グループ会社からの出向社員などは健康診断の対象となることがあるので、出向元に確認しましょう。

関連記事:派遣社員は福利厚生を利用できる!正社員との違い・種類・条件を解説

2-3. アルバイト・パート

アルバイトやパートの場合、契約期間が1年以上であり、週の労働時間が正社員の4分の3以上である場合は健康診断の対象です。

勤務時間が4分3未満の場合は実施しなくても構いません。ただし、2分の1以上であれば健康診断実施の努力義務があります。

関連記事:パート・アルバイトも福利厚生は利用できる!適用条件や種類を詳しく解説

2-4. 役員

役員も基本的に健康診断の対象ですが、代表取締役や社長は従業員ではなく事業主であるため、実施の義務はありません

事業主は健康診断を受けなくても法律違反になりませんが、大病は会社の経営に支障をきたすため、定期的に受けることが望ましいでしょう。

3. 健康診断の種類

健康診断には大きく分けて以下の2種類があります。

  • 一般健康診断
  • 特殊健康診断

それぞれ実施項目やタイミングが異なるため、違いをよく理解しましょう。

3-1. 一般健康診断

一般健康診断とは業務内容や職種などに関係なく受診するものです。一般健康診断にはさらに以下の5種類があります

  • 定期健康診断(年1回)
  • 雇い入れ時の健康診断
  • 特定業務従事者の健康診断
  • 海外派遣労働者の健康診断
  • 給食従業員の検便

特定業務従事者とは、有害物質を扱う業務や深夜業などに従事する人のことです。海外派遣労働者の健康診断は、6カ月以上海外に派遣される従業員に対して、出国時と入国時に実施します。

一般健康診断で実施するのは主に以下の項目です。

  • 既往歴および業務歴の調査
  • 自覚症状および他覚症状の有無の検査
  • 胸部エックス線検査および喀痰(かくたん)検査(定期健康診断では省略可能)
  • 身長・体重・腹囲・視力および聴力の検査(定期健康診断では体重・視力・聴力以外の省略可能)
  • 血圧測定
  • 貧血検査(定期健康診断では省略可能)
  • 血中脂質検査(定期健康診断では省略可能)
  • 肝機能検査(定期健康診断では省略可能)
  • 血糖検査(定期健康診断では省略可能)
  • 心電図検査(定期健康診断では省略可能)
  • 尿検査

子宮頸がん検査、乳がん検査などはオプション検査となり、原則従業員の自己負担です。

3-2. 特殊健康診断

特殊健康診断は、人体にリスクのある業務に従事する従業員が受診します。たとえば以下の業務などです。

  • 高気圧業務
  • 放射線業務
  • 特定化学物質業務
  • 石綿業務
  • 鉛業務
  • 四アルキル鉛業務
  • 有機溶剤業務

特殊健康診断は、上記の業務への雇い入れ時や配置換え時、また6カ月以内に1度のタイミングで実施する必要があります。一般健康診断の定期健康診断とはタイミングが異なるので注意しましょう。

特殊健康診断の項目は従事している業務によって異なります。業務の内容に合わせて必要な項目を手配しましょう。

4. 健康診断を福利厚生費として計上する条件

健康診断を福利厚生費として計上するには、次の3つの条件を満たす必要があります。

  1. 健康診断の対象者全員が同じ内容で受診できること
  2. 会社が直接医療機関に費用を支払うこと
  3. 常識の範囲内の金額であること

3つすべての条件を満たさなければ福利厚生費に計上できないため、それぞれの内容をよく理解しましょう。

4-1. 健康診断の対象者全員が同じ内容で受診できること

役職や勤務年数に関係なく、健康診断の対象である従業員が全員同じ内容で受診できるようにしなければいけません。たとえば、役員だけ胃カメラの検査を会社負担で受けられるなどの差別がある場合は、福利厚生費の対象から外れます。

正社員とアルバイト・パートで、健康診断の項目を変えるのも不可です。立場に関係なく、全員が同じ内容の健康診断を受けられるようにしましょう。

4-2. 会社が直接医療機関に費用を支払うこと

オプション検査を除き、健康診断の費用は会社が直接医療機関に払わなければいけません

従業員が自費で払い、領収書を提出して会社が還付する方法は不可です。必ず会社が直接医療機関に費用を払いましょう。

4-3. 常識の範囲内の金額であること

常識範囲内の金額であることも福利厚生費にする条件の一つです。

健康診断の費用は医療機関によって異なります。しかし、一般的には5,000円から15,000円程度で、通常は2万円以下です。2万円より高い場合は常識の範囲外と判断され、福利厚生費にできない可能性があるため注意しましょう。

関連記事:福利厚生は非課税?要件・事例・経理処理を詳しく解説

5. 健康診断を福利厚生費にする場合の注意点

健康診断を福利厚生費にする場合の注意点は以下の7つです。

  1. 配偶者の健康診断は福利厚生費の対象外になる
  2. 消費税がかかる
  3. 結果の記録は会社も保管する必要がある
  4. 福利厚生費ではなく給与や役員報酬になることがある
  5. 健康診断を業務時間に含めるか明確にしておく
  6. 健康診断について就業規則に明記する
  7. 健康診断を希望しない旨の記録を残す

それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。

5-1. 配偶者の健康診断は福利厚生費の対象外になる

従業員の配偶者の健康診断は福利厚生費の対象外です。法律で義務付けられているのはあくまでも従業員のみで、従業員の配偶者は義務に含まれていません。

会社によっては配偶者の健康診断も負担していることがありますが、「福利厚生費」ではなく「給与」扱いであり、所得税の対象です。源泉徴収を忘れないようにしましょう。

関連記事:福利厚生と給与の違いは?どちらか判断する基準を紹介!

5-2. 消費税がかかる

健康診断の費用を福利厚生費に計上する場合、消費税がかかります

軽減税率は適用されないため、標準税率である10%が課税されることに注意しましょう。

5-3. 結果の記録は会社も保管する必要がある

健康診断結果の記録は、従業員の同意のもと個人票を作って保管する必要があります

保管期間は5年です。書面か電磁データのどちらかで保管しましょう。

5-4. 福利厚生費ではなく給与や役員報酬になることがある

以下のような場合は福利厚生費には計上できず、給与や役員報酬になることがあります

  • 役員のみを対象に健康診断を実施した
  • 役員のみを対象に人間ドックを実施した
  • 宿泊付きなど常識の範囲内に当てはまらない高額な人間ドックを実施した

人間ドック自体は必ずしも福利厚生費外にはなりませんが、従業員全員が対象ではない場合や、非常に高額な人間ドックの場合は給与や役員報酬扱いとなります。

5-5. 健康診断を業務時間に含めるか明確にしておく

健康診断を業務時間に含めるかどうかは、企業の判断で自由に決定できます。ルールを明確にしたうえで従業員へ周知しておきましょう。

ただし、仕事の一貫として捉えられることが多く、健康診断にかかる時間を業務時間に含め、その間の賃金を支払うことが一般的です。また、特殊健康診断については、業務時間に含めるべきことが法律によって定められています。

5-6. 健康診断について就業規則に明記する

健康診断については、就業規則に明記しておくとよいでしょう。受診を拒否したり、好きな病院で受けたいと希望したりする従業員が出てくるケースもあるからです。

受診日時や受診方法などを明確にしておけば、ルールに従ってスムーズに健康診断を実施できるでしょう。

5-7. 健康診断を希望しない旨の記録を残す

健康診断の受診を拒否する従業員がいる場合は、その旨を記録しておくのがおすすめです。たとえば、「希望する・希望しない」といった項目を設けた書類を配布して、◯を付けてもらうとよいでしょう。

健康診断を実施することは企業の義務であるため、従業員の意思で受けていないことを証明できるように準備しておくことが大切です。

6. 健康診断を福利厚生に取り入れて社員の健康を守ろう

健康診断は福利厚生費に計上できます。勤務状態によっては正社員だけでなくアルバイトやパートも健康診断の対象です。

健康診断を福利厚生費に計上するには条件があるため、実施前に医療機関へ金額や項目を確かめましょう。福利厚生費にできない場合、給与や役員報酬に該当します。

健康診断は従業員の健康を守るために大切です。対象の従業員全員がきちんと受診できるよう、しっかり体制を整えましょう。

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