経理担当者は、経費と原価の違いを理解して仕訳を行う必要があります。しかし経費と原価について深く理解できなていないという人もいるでしょう。
ここでは、経理になって日の浅い担当者に向けて、原価とはどのような費用かを簡潔に解説します。原価の基礎知識や原価と費用の違い、原価の詳細な種類も解説するため、参考にしてください。
「経理担当者になってまだ日が浅いため、基本知識をしっかりつけたい!」
「法改正に関する情報収集が大変で、しっかりと対応できているか不安・・・」
「仕訳や勘定科目など、基本的なこともついうっかり間違えてしまうことがある」
などなど日々の経理業務に関して不安になることがございませんでしょうか。
特に経費精算は毎月頻繁に発生する経理業務ですが、細かいルールや規定があり、注意が必要です。また直近の電子帳簿保存法やインボイス制度など毎年のように行われる法改正に対して、情報を収集し適切に理解する必要があります。
そこで今回は、仕訳や勘定科目などの基礎知識から、経理担当者なら知っておきたい法律知識などを網羅的にまとめた資料をご用意しました。
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1.経費と原価の違いとは?
原価とは、サービス・製品や商品を生み出すためにかかる費用を指します。一方、経費は、サービス・製品や商品を販売する際に、間接的に生じた費用です。
企業が利益を算出する際には、経費と原価を正しく識別して、それぞれをわけて計算する必要があります。また、経費や原価がどれくらいかかっているかを正しく理解できれば、利益の追求のための戦略を立てやすくなります。
1-1.そもそも原価とは
原価とは、使い道が明確に決まっている費用です。たとえば特定の製品のパーツに支払う材料費や、製品の組み立てにかかる人件費は、原価に含まれます。ちなみに費用は売上を得るために支払うもので、「販売費および一般管理費」または「営業外費用」などと呼ばれます。
原価と費用は、いずれも売上を得るために必要という点が共通しています。
1-2.そもそも経費とは
販売費および一般管理費に含まれるなかで、売上を得るために間接的に要した費用が経費です。経費の一例としては、人件費、消耗品費、福利厚生費、交通費などが挙げられます。
なお販売費とは、サービス・製品や商品の販売にかかる費用で、一般管理費は、人事・経理・総務などの管理部門の業務にかかわる費用を指します。
2.原価の種類
原価には、標準原価と実際原価の2種類の計算方法があります。それぞれの原価を、目的に応じて使いわけましょう。
2-1.標準原価
標準原価とは、標準値をもとに想定した原価の目安です。標準値とは調査にもとづき決められた固定値です。同じタイプの業務においては作業者の経歴やスキル、受注価格などに影響されず、常に同じ標準値を使います。
標準原価は「標準作業時間×標準時間コスト」で算出されます。標準原価のメリットは原価管理をしやすい点です。一方、標準原価は、実情との隔たりが出やすいため注意しましょう。
2-2.実際原価
実際原価とは、実績値をもとに算出する原価です。実状に即した原価を算出したい場合は、標準原価よりも実際原価が適しています。
実際原価は原価を構成する費目ごとに実測値を割り出して求めるのが一般的です。実績値に基づいて計算される実際原価は計算の精度が高い特徴がある一方で、算出に時間がかかりやすいデメリットがあります。
3.原価計算とは
原価計算とは、サービスや製品を生み出すためにかかった費用を費目別に合算する作業です。財務諸表の作成だけでなく、効率的な費用分配に役立ちます。
企業は財務諸表の作成を法律で義務づけられており、財務諸表を構成する損益計算書には原価を記載する項目あります。そのため、正確な原価計算をしなければいけません。
また、原価計算により費用がかかっている費目がわかると、効率化すべき業務やコストダウンすべき費用項目を把握しやすくなります。
4.原価計算の流れ
実際原価を求める際は、3段階にわけて細かく原価を仕訳していきます。ここでは、仕訳の過程を解説します。
4-1.費目別計算
費目別計算とは、一定期間に発生した原価要素を製造原価の費目別に分類する手法です。また、費目は「形態別分類」と「製品との関連における分類」に2つにわけられます。それぞれについて詳しく解説します。
4-1-1.形態別分類
形態別分類には、製造原価にあたる材料費・労務費・経費と、販売費及び一般管理費が含まれます。
材料費とは、買入部品費や素材費、製造機械を動かす際の燃料費などを指します。労務費は、製造作業にかかわる人件費で、給与や賞与などです。また、経費は、材料費・労務費以外の原価要素で電力量や旅費交通費などが該当します。
4-1-2.製品との関連における分類
製品との関連における分類は、直接費と間接費に分類できます。直接費とは、どのような製品どれだけ費用を使ったか、はっきり把握できる費用を指します。一方、製造工程全体を支えるための費用は間接費です。たとえば、商品固有の材料は直接費、洗浄剤のような消耗品は間接費となります。
4-2.原価部門別計算
原価部門別計算では、費目別計算で分類した原価要素を「製造部門」と「補助部門」とにわけけて計算します。
製造部門は製品の製造が直接行われる部門です。具体的には機械加工や組立などの作業が該当します。一方補助部門は製造部門のサポート的な位置づけで、修理部門、事務、労務部門、企画部門などが補助部門に分類されます。
なお間接費をきちんと分類するためには企業ごとに仕訳のルールを決め、間接費を各部門に振りわけることが大切です。
4-3.製品別計算
製品別計算は、製品単位での製造原価を算出する手法です。製品別計算は総合原価計算か個別原価計算のいずれかで計算します。なお総合原価計算はさらに、単純総合原価計算と等級別総合原価計算に分類されます。
4-3-1.単純総合原価計算
単純総合原価計算は、種類が同じ製品を繰り返し製造する場合に適した計算方法です。ラインごとの製造費用を合算し、一定期間で製造した製品数で割ることで製品1つ当たりの原価を算出できます。
4-3-2.等級別総合原価計算
等級別総合原価計算も単純総合原価計算と同じく、大量生産に適した計算方法ですが、構造や大きさなどが異なる等級が、複数種存在する場合に適しています。それぞれの等級ごとに適切な係数を決め、等級ごとに製品1つあたりの原価を算出する方法です。
4-3-3.個別原価計算
総合原価計算は大量生産であるのに対して、個別原価計算は顧客の注文に応じて製品を製造する個別受注生産形態に適用できます。特定製造指図書に記載された製品ごとに、原価を算出するのが特徴です。
5.売上原価と製造原価の違い
原価は、売上原価と製造原価の2種類にわけられます。混同されがちな原価の違いを、把握しましょう。
5-1.売上原価とは
売上原価とは、実際に売れた商品や製品や、対価を得た場合にかかる原価です。たとえば倉庫に保管している在庫は売上原価に含まれません。「期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高」で求められます。
売上原価は営業利益を算出する際に必要です。なぜなら営業利益は「売上高-売上原価-販管費」で算出されるためです。
5-1-1.販管費との違い
売上原価は、売上高にする原価で、販売されたサービス・製品や商品を生み出すために「直接的に」かかった費用です。
一方で販管費とは販売費及び一般管理費のことで、間接的にかかった費用を指します。販管費や一般管理費と販売費に分けられ、一般管理費には地代家賃、水道光熱費、旅費交通費などが該当します。販売費は広告宣伝費や運送費、販売手数料などが含まれるルールとなっています。
5-2.製造原価とは
製造原価とは、在庫分も含めて一定期間に製造した製品にかかわる原価を指します。売上原価では在庫品の分を原価に含めませんが、製造原価は在庫品も含んで原価を算出する違いに注意しましょう。
また、売上原価は主に小売業で、製造原価は製造業で用いられるのも1つの特徴です。
6.売上原価と製造原価の分類
売上原価と製造原価を構成する費目について、具体例を挙げて紹介します。業種ごとの売上原価の分類についても、注目しましょう。
6-1.売上原価の分類は業種によって異なる
売上原価に含める範囲は、業種によって異なります。たとえば、飲食業界の売上原価には、食材や調味料などにかかる材料費が該当します。一方、ホールスタッフの人件費は、一般的に売上原価には含めません。
コンサルタントのようなノウハウや知識を売り物にするサービス業では、売上原価が発生することはほとんどないでしょう。
以下では、売上原価に含まれる費用の分類例を紹介します。
6-1-1.材料費
売上原価の材料費とは、実際に売れた、取引がなされた分の製品や商品・サービスの創出にかかった費用です。製造業の場合は、出荷した製品にかかわる「部材の費用、製造に利用した燃料や消耗品にかかわる費用」が、売上原価の材料費に相当します。
たとえば小売業では、100円で500個の商品を仕入れて400個売れたとすると、40,000円が売上原価の材料費といえます。
6-1-2.人件費
人件費を売上原価に含むかどうかは、業種により変わります。製造業では製造スタッフの人件費は、売上原価に含まれ「直接労務費」と呼ばれます。
また、サポート部門のスタッフの人件費も売上原価です。サポート部門の労力も、製品の品質を維持し売上に貢献していると判断されるためです。なお、人件費の一例として、給与、賞与、退職金、福利厚生費などが挙げられます。
6-1-3.減価償却費や水道光熱費
売上原価には、製造工場や機械の減価償却費や、水道光熱費も含まれます。減価償却費とは、資産価値が時間とともに目減りするという考え方のもと資産計上する手法です。
水道光熱費には製造ラインを動かすエネルギーや製造ラインの照明、空調などにかかる電気代などが含まれます。
6-2.製造原価の分類
6-2-1.材料費
売上原価とは異なり、製造原価の材料費には在庫分も含まれます。たとえば、製造業で材料に100,000円投じたとします。半分の50,000円の製品しか売れなかったとしても、製造原価の材料費は100,000円となります。
具体的な材料費には、糸や布、アルミなどの金属、金具やネジ、各種化合物、食材などが挙げられます。また、燃料や消耗品も材料費です。
6-2-2.労務費
製造原価における労務費は、製造にかかわるスタッフの人件費です。売上原価と異なり、サポート部門のスタッフの人件費は、労務費に含めません。
労務費には直接労務費と間接労務費があります。直接労務費は、製造にかかわる人件費です。間接労務費には、機械のメンテナンスや修理にかかった費用、なんらかのアクシデントで作業ができない場合の賃金などが含まれます。
6-2-3.経費
製造原価のなかで、材料費や労務費に分類できないものを経費と呼びます。たとえば、工場の賃料や、備品や消耗品の購入費用、減価償却扱いになる機械や装置などの費用は経費です。また、水道光熱費や雑費、旅費交通費なども経費に含まれます。
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7.まとめ
企業が利益を算出するためには、経費と原価にわけて費用を算出する必要があります。また、原価計算は財務会計に必須で、コストダウンや効率化すべき業務の抽出にも役立ちます。
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