同一労働同一賃金はいつから施行された?具体的なルールや対策方法を解説 |HR NOTE

同一労働同一賃金はいつから施行された?具体的なルールや対策方法を解説 |HR NOTE

同一労働同一賃金はいつから施行された?具体的なルールや対策方法を解説

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改正された法律の施行

すでにすべての企業に適用されている同一労働同一賃金の原則。いつ、どのような段階を踏んで法が整備されたのか、具体的なルールや対策方法はどのように定められているかを見ていきましょう。

厚生労働省による同一労働同一賃金のガイドラインをベースに、ポイントを解説していきます。

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同一労働同一賃金に罰則はありませんが、放置すると損害賠償のリスクが高くなります。

同一労働同一賃金とは、「正社員と非正規社員を平等に扱う概念」のように認識されていても、具体的にどのような対策が必要かわからない方も多いのではないでしょうか?

本資料では、どのような状態が「不平等」とみなされうるのかや、企業が対応すべきことを4つの手順に分けて解説しております。

自社でどのような対応が必要か確認したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

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1. 同一労働同一賃金とは

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同一労働同一賃金は、同じ労働を行った従業員に対しては、同じ待遇を取らなければならない、という制度です。同一労働同一賃金の考え方は、労働者の能力や経験、性別、人種、国籍などの要素に基づく差別的な賃金体系を是正するために多くの国や地域で提唱されています。日本においては、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消を目的としています。

1-1. 同一労働同一賃金の対象者

同一労働同一賃金の対象者は、パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者です。

1-1-1. パートタイム労働者

パートタイム労働者は、正規の労働時間よりも短い時間で働く労働者のことを指します。週や月の労働時間が短いため、正規雇用労働者と比較して社会保険の加入や有給休暇の取得などの待遇面で差異が生じることがあります。

1-1-2. 有期雇用労働者

有期雇用労働者とは、一定期間の契約を結んで働く労働者のことを指します。契約期間が定められており、契約満了時に更新される場合や解雇される場合があります。

1-1-3. 派遣労働者

派遣労働者は、派遣会社に雇用され、派遣先の企業で一時的な労働を行う労働者のことを指します。派遣労働者は派遣元と派遣先の企業の間にある三者間の雇用関係となります。派遣法や労働契約に基づいて、派遣労働者の待遇や報酬が決まるため、公平な待遇の確保が重要です。

これらの労働者は、雇用形態によって待遇や報酬に差が生じることがありますが、同一労働同一賃金に基づき、同じ労働を同じ条件でおこなう場合は、公平な待遇と平等な賃金を提供することが求められます。

1-2. 同一労働の定義

「同一労働」には、業務内容や業務範囲、配置転換の有無、責任の有無といった幅広い要素が含まれます。単純に「同じ仕事をしているすべての従業員の待遇を同一にしなければならない」ということではありません。例えば、正社員には転勤があるが派遣社員には転勤がない場合、通常の業務内容が同じであっても待遇が異なることが合理的に認められます。

一概に待遇を等しくしなければならないわけではなく、同一労働同一賃金においては明確な理由なく差をつけることが禁止されています。、基本給、賞与、手当、福利厚生、教育訓練など、それぞれの待遇について根拠を明確にすることが大切です。

なお、同一労働同一賃金はあくまでも同一の企業内における決まりです。類似の労働を行っていたとしても、勤務先の企業が異なれば当然待遇も異なります。これについては問題ありません。

2. 同一労働同一賃金はいつ施行された?

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同一労働同一賃金は、2018年6月29日の働き方改革関連法の成立によって施行が決定されました。実際の施行時期は大企業と中小企業で異なりますが、現在ではすべての企業に適用されています。

なお、大企業と中小企業の分類は中小企業基本法によって定められており、以下に該当しない企業は大企業です。

引用:FAQ「中小企業の定義について」|中小企業庁

2-1. 大企業

大企業に同一労働同一賃金が施行されたのは、2020年4月1日です。

同じく働き方改革関連法案で定められた「時間外労働の上限規制」や「年5日の年次有給休暇の確実な取得」などの制度がありますが、それらは2019年4月から施行されているため、時期が異なります。

2-2. 中小事業主

中小企業や小規模事業者に対しては、2021年4月1日から同一労働同一賃金が適用されています。

中小事業主の場合、有給休暇の確実な取得は2019年4月1日から、時間外労働の上限規制は2020年4月1日から、月60時間を超える残業に対する割増賃金率引き上げは2023年4月1日からと、働き方改革関連法にもとづく制度の適用日がまちまちです。どの変更もすでに施行済みですが、対応が後手に回らないよう注意しましょう。

3. 同一労働同一賃金ガイドラインのポイント

ポイント

同一労働同一賃金に対応するために、厚生労働省ではガイドラインを用意しています。ガイドラインをもとに、同一労働同一賃金を実現するためのポイントを見ていきましょう。

3-1. 給与・賞与格差

同一の労働を行っている労働者は、雇用形態や所定労働時間にかかわらず、基本給、賞与、手当について格差があってはいけません。それぞれの賃金がどのような根拠によって支払われるのかを明確にし、条件が同一の従業員に対しては同額を支払う必要があります。

なお「正社員とパートや有期雇用労働者では、将来の役割への期待が異なるので別個の賃金規定を適用する」という運用は認められません。異なる賃金規定を設ける場合は、職務内容や転勤の有無、責任の重さといった客観的な事実に基づいて設定する必要があります。

3-2. 福利厚生格差

社員食堂や休憩室、更衣室、ロッカーなどの社内設備については、雇用形態にかかわらず同じように利用できる体制を整えなければいけません。また、慶弔休暇、健康診断時の就業免除、病気休職なども、雇用形態に関わらず付与する必要があります。

長期勤続などを理由とした法定外有給休暇についても、条件を満たす従業員に対しては雇用形態を問わず付与しましょう。

3-3. 教育訓練格差

実務に必要な知識やスキルを身につけるための教育訓練は、同じ仕事についているすべての従業員が受けられるようにしなければなりません。

例えば、コールセンターで正社員とパート社員が同じように顧客からの電話を受けていたとします。このとき、コールセンター業務のスキルアップ研修をおこなうのであれば、正社員にもパート社員にも等しく受講させる必要があります。

一方、同じコールセンターであっても、正社員がパート社員のマネジメントを行っていて、マネジメント研修をおこなうのであれば、正社員のみの参加で問題ありません。

ご紹介した3つの例以外にも、さまざまなケースで同一労働同一賃金の原則に反していないか、ガイドラインから読み取らなければなりません。しかし、ガイドラインを読み込む時間がない、読んでみたけど正しく理解できているか自信がない、とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本サイトでは、同一労働同一賃金について法改正で大きく変わったポイントをわかりやすくまとめた「同一労働同一賃金対応の手引き」を無料で配布しています。法改正のポイントだけでなく、対象者を確認するチャートなど企業が対応すべきことを手順に沿ってまとめています。こちらからダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

4. 同一賃金同一労働のための対策

対策

同一労働同一賃金を実現するために、企業が取るべき具体的な対策方法を3つのステップにわけて紹介します。

4-1. 社内の状況を確認する

同一賃金同一労働を実現するためには、まず、現状の確認をおこないましょう。そもそも対象となるパート社員や有期雇用の従業員、派遣社員などがいない場合や、それらの従業員が正社員とまったく違う業務を行っている場合は、対策を取る必要がありません。

対象となる従業員が在籍している場合は、給与、賞与、各種手当、福利厚生、教育訓練などの待遇について正社員との差を比較します。

差があった場合は、なぜ差がついているのか確認します。給与、賞与、手当に関しては、それぞれを支給する根拠や算出方法に基づいて、合理的な説明ができるかどうか検討しましょう。差が生じる理由が説明できるようであれば、問題なく対策できているといえます。逆に、合理的に説明できない場合は、規定の見直しが必要です。

4-2. 就業規則や賃金体系を見直す

従業員間で待遇差がある場合、就業規則や賃金体系を見直す必要があります。その際、従業員の意見を取り入れながら改善していくのがおすすめです。率直な意見や要望を聞き入れることで、公正な労働環境を築くことができます。

なお、見直しについては、厚生労働省の支援を利用できます。無料相談窓口「働き方改革推進支援センター」、非正規雇用の従業員の処遇改善に役立つ「キャリアアップ助成金」、無料の「職務分析・職務評価の導入支援」を活用しましょう。

4-3. コミュニケーションの強化

従業員との定期的なフィードバックやコミュニケーションを通じて、賃金体系や評価基準の透明性を高めます。また、こまめにコミュニケーションをとることで疑問や不満を直接聞き出すきっかけにもなります。従業員の意見と取り入れながら、適宜説明や調整をおこなうことで職場の心理的安全性も高まるでしょう。

5. 同一労働同一賃金はすべての企業が守るべき原則

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同一労働同一賃金は、すでにすべての企業に対して義務化されています。社内で適切な対応ができているかどうか、改めて確認してみましょう。

それぞれの部署の働き方や業務内容は、随時変化していく可能性があります。定期的に現状の確認をおこない、必要に応じた対策を取っていくことが大切です。

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