人事経験1〜3年の人事担当者の方に、仕事に対する熱意や困難を乗り越えたエピソードをお伺いする企画「新米人事特集」。第5弾の取材対象者は、株式会社ランクアップの新卒採用を担当している森田さんにインタビューを実施しました。
同社は「たった一人の悩みを解決することで世界中の人たちの幸せに貢献する」を企業理念とし、化粧品ブランド「MANARA(マナラ)」、メンズスキンケアブランド「R_homme(アールオム)」、ニキビの原因を取り除くスキンケアブランド「ACNAL(アクナル)」といった事業を展開しています。
新型コロナウイルスの影響により、ここ数年の新卒採用活動が大きく変化する中で、入社後すぐに人事になった森田さん。この2年間の人事としての活躍について詳しく掘り下げながら、森田さんが人事として活動する中で芽生えた考え方や大切にしている価値観についてお聞きしました。
森田 健一|株式会社ランクアップ 新卒採用担当
1997年大阪生まれ大阪育ち。大学時代に学部代表留学でベトナムのホーチミン経済大学院へ派遣。その後TOEIC990点を取得し、国際寮の副寮長に任命される。大手からベンチャーまで幅広く就職活動を行うが株式会社ランクアップにて長期インターンを経験後入社し新卒で人事部へ配属。年間700名以上の学生と会い、大学やセミナーでの講演を行う。内定者育成や組織開発のプロジェクトメンバーの傍ら、フレッシュ人事チャンネルという就活Youtuberとして企画・運営・登壇。その活躍ぶりからNewsPicksにも取材をされる、異例の新卒3年目人事ルーキー。
目次
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
「理念」に惹かれランクアップへ入社。新卒1年目から異例の人事部へ
ーまず、森田さんがランクアップに入社した経緯について教えてください。
森田さん:就職活動を開始した当時、私はかなりの大手志望の学生でした。
まだ新型コロナウイルスの感染拡大前で景気が良かったこと、1年の留学経験からTOEICで満点を取っていたこともあり、外資系企業や大手企業からの受けも非常に良かったのです。
ただ同時に、就職活動が終わり始めた段階で「業務が既に細分化されている大手企業よりも、もっと幅広く業務に取り組むことのできる環境があるのではないか」とも感じていました。
大学で国際寮の寮長をやっていた経験があるのですが、何か自分で一から新しく提案したり、周囲を巻き込みながら物事を進めていくことがとても好きだったんですね。
そんなとき、ランクアップで働いていた友人から「うちの話聞いてみなよ」と紹介されたんです。
実際に会って話を聞いてみて、製品に対する想い、顧客ファーストを有言実行する社員の方々の姿、そして裁量権の大きい環境に惹かれて、最終的に入社を決めました。
ーありがとうございます。入社当初から人事配属を希望されていたのでしょうか?
森田さん:いいえ、人事は全く考えていませんでしたね(笑)。入社式の後に所属部署の発表があったのですが、ものすごく驚きました。新卒が人事部に配属されることは異例のことでした。
発表後に、なぜ人事部配属なのか話を聞きに行きましたが、内定者で企画した企業説明会の満足度が高かったり、対学生に話をする際に物怖じせず自身の思いを素直に伝えられたりする部分を評価いただいていたようです。
ランクアップでは、内定者全員が次の代の新卒採用活動に携わる仕組みになっており、内定者の時に僕自身はとても楽しく採用活動に取り組ませていただいていたこともあったので、そのことが人事としてのキャリアに繋がったのだと思っています。
ー全くの未経験から人事になったと思うのですが、不安などは無かったでしょうか。
森田さん:正直、上手くやっていける自信は、全くありませんでした。
なぜかというと、配属当初は2名の先輩がいたのですが、1名が急遽退職する運びとなり、何もわからない状態から配属早々にほぼ1人で新卒採用を任される事になったからです(笑)。
その先輩から業務を引き継いだ1週間後には、人事担当者として取引先とのミーティングに参加し、担当が変わったことの説明をしないといけない、といった状況でした。
正直色々と教わりながら業務に臨みたいと考えていましたが、実際は現場で仕事を覚えていったので自身の置かれた状況にとても焦りましたね。
もちろん上司や先輩は温かくサポートをしてくださいましたが、迷いながらもとにかくスピーディーに動き続けなければいけないジェットコースターのような毎日でした。もう懐かしい話ですが・・・(笑)
ー配属直後は、まずどのような業務に取り組んだのでしょうか。
森田さん:まずは「そもそも人事業務とは何をおこなうのか」といった知識を付けるとともに、採用活動でお世話になっているエージェントや媒体の担当者が誰なのか、といった現在の採用状況の把握から始めました。
その後、次年度卒業の学生に向けたインターンのコンテンツを内定者と一緒に企画しながら、採用活動をスタートしました。そして、この時は採用活動と並行しながら、人事として内定者を育成する役割も担っていました。
1年目の自分が内定者に何を教えられるのか、と毎日が不安でいっぱいでしたね。
ー内定者の育成やフィードバックは、具体的にどのように進めていたのでしょうか。
森田さん:自身の内定者時代の経験が役に立っていて、説明会のコンテンツ作成においては自信をもってフィードバックできる部分もありました。
ただ一方で、学生のためを思った企画に関して意見が割れた際の判断に迷うことも多々あり、自信がないまま話をすることで内定者たちを戸惑わせることも度々あったと思います。
特にマネジメントについては全く知見がなく、内定者と揉めたこともありました。後輩との関係は悪くなかったのですが、マネジメントは苦手意識を持っていたので、当時、上司に何度も「内定者の育成からは外れたい」と掛け合うこともあったほどです。今では上司とは思い出話なのですが。。。(笑)
しかし、ここで辞めてしまったら、これからずっと苦手意識を持ってしまい心残りのままだったので、今は続けて良かったと思っています。
一つ下の後輩たちが採用活動を続けて参加してくれたことに、とても感謝しています。
コロナ禍で不安な学生たちを少しでも安心させるため「フレッシュ人事」としてYouTubeをスタート
ー採用活動を始める中で、ご自身でYoutubeを始めたというお話をお聞きしました。
森田さん:はい、そうです。コロナ禍で、就活の進め方に対して例年以上に不安を感じている学生さんを少しでも安心させられないかと考え、配属された直後の社会人1年目5月からYouTubeを始めました。
就職活動の進め方はコロナ禍になって大きく状況が変わりましたので、少しでも学生さんの役に立ちたいという想いで、今も投稿を継続しています。
ーYouTubeでは、どのようなコンテンツを発信しているのでしょうか。
森田さん:自己分析のやり方や、キャリアに対する考え方など、学生自身が就職活動を前向きに進められるようなマインド系の話を発信するケースが多いです。
長尺コンテンツは頭に残りづらいと考えているので、基本的に10分以内でぱっと見てわかる動画作りを意識しています。
また、弊社の広報をすることに重きを置いているわけではなく、その時期にあった学生さんの悩みに答えられるコンテンツを発信するよう心がけています。
具体的には、コロナでおうち時間が増えたことにより、気分が下がりがちになった学生さん向けに就職活動を楽しく進めていくためのコンテンツ、TOEICの勉強方法や適性検査の勉強方法を含めたSPIなどのテスト対策についてのコンテンツ、OBOG訪問のように弊社の社員に就職活動時代に関するインタビューや現在携わっている職務の紹介をするコンテンツなどがあります。
実は企画・運営・撮影は全て1人でおこなっており、社員や皆さんの協力のおかげもあって現在は合計で35本ほどの動画を投稿しており、YouTubeショートにも挑戦をしております。
「参考になった」「元気になった」といったコメントや、「社内の雰囲気が良く伝わった」というコメントもいただけて、YouTubeをやり始めてみて非常に良かったな!と思っています。
ー動画投稿を通してどんな良い効果がありましたか。
森田さん:動画は資産として残り、永続的に再生数が増えていくものです。そのため、過去動画がきっかけで、結果としてメディアの方に取材していただけたりするなど、副次的な効果も多くありました。
また、動画投稿が学生の新卒採用におけるエントリー数に直接繋がったかどうか正確な数字はわかりませんが、学生の志望度向上には繋がっていると感じています。
動画の中で、先輩と後輩がラフに会話する様子を流すこともしているため、その雰囲気に興味を持ち、「フレッシュ人事さんの企業に入りたい」といった声もいただいたりしました。
最近では、動画投稿をきっかけに、大学でキャリアに関する講義をやらせていただいたりもしていますので、もっと会社をしってもらう機会も作っていけたら良いなと考えています。
このように、現在の学生さんが感じていることや必要としているものについて生の声をいただける点や、結果として様々なメディアから取材を頂くことで会社としての広報の役割を果たせる点から、動画投稿は続けていきたいと思います。
1年目の壁を乗り越え、新しいことを中々できなかった2年目の反省を踏まえ、チャレンジしてもがく3年目
ー1年目、2年目と業務を進める中で、どのような壁にぶつかり、それをどのように乗り越えていったのでしょうか。
森田さん:1年目は、何もわからない状態から採用に関する企画・運営や内定者とのコミュニケーションを取っていたので、本当に手探りの状況でした。すぐそばに相談できる人も少なく、一から進めるのはとても大変でしたね。
また、新型コロナウイルスの影響で、これまでオフラインでの採用活動がメインだったところからオンラインに切り替えていった年だったので、そういった意味でも先が見えない状況が続いていました。
この1年目の現場で苦しかった経験から、2年目は改めてこれまでの価値観に囚われずに、新しい発想で新卒採用を進めることが大事だと考えるようになりました。
YouTubeでの動画投稿を継続したり、普段のインターン企画や採用設計の中でも、枠にはまった考え方をしてしまわないように、今の状況にあわせた採用活動をおこなうことを心がけました。
現在3年目になり、その期待にまだまだ応えることができていない自分の仕事の質に対して、まだまだだなと感じることも多いです。
ようやく少しずつ行動が伴ってきた部分もあるかと思いますが、これからも1年目、2年目での経験を活かしながら、また何か面白いことを仕掛けていきたいと思っています。
ー森田さんが人事業務における自信を付けることができた理由は、どのようなところにあるのでしょうか。
森田さん:会社として、トライ&エラーを許容してくれた部分は非常に大きいと考えています。
1年目で配属された後に、すぐ実務をこなす必要があったため、ミスをしながらでも試行錯誤して進めることができたので、少しずつ自信を持てるようになったのだと思います。
また、内定者とコミュニケーションを取り続けることで、より人事に関する専門的な知識が付いたことも要因だと思っています。
実際に大型のWEB配信イベントに参加した際、結果として他社と比較して視聴回数やエントリー数が多かったり、弊社説明会の学生さんの滞在時間やコメント数が良かったという結果も自信に繋がりました。
行動指針である「明るく元気」を体現できる人事でありたい
ー人事として会社の「顔」と見られることも多いかと思います。その中で気を付けていることや意識していることは何でしょうか。
森田さん:弊社は、「挑戦、誠実、明るく元気」を大切なスピリットとしています。その中で、個人的に最も大事だと考えているのは、「明るく元気」です。明るさは、勢いをもって物事を始めたり、チームワークを円滑に進めることにつながっております。
そのため、まず自らが第一声を明るく元気に挨拶して入室する事であったり、お取引先さまの社員とも気持ちよくコミュニケーションを取ることは、とても意識しています。
ー新卒採用担当として、学生さんと接するときに気を付けていることはありますか。
森田さん:絶対に「否定しない」ということですね。学生さんが今感じていることをしっかり聞くことを大事にしています。
前提として、弊社は社員の関わりが密な会社でチームプレーを大切にする会社ですので、家族のような雰囲気に合うかどうか、カルチャーに合うかどうかをしっかり見極めた上で採用したいと考えています。
その中で、気付きを促すために疑問を投げかけるということはしながら、学生さんの心の内側をしっかり見ていきたいと思っています。
理念を大事にしている会社であるからこそ、学生さんの素の部分を見たいと考えており、実際の友達との関係や立ち位置などはどうなのか?という所まで聞くようにしています。
ー学生さんに素になってもらうために、意識されていることはありますか?
森田さん:まず自分からオープンになるということはもちろん、話しやすい雰囲気を作るために、たとえば「最近就職活動、大変だよね」といったように共感から入るようにしています。
私自身、就活生時代は素を隠して、いわゆる“武装”をしていた時期もありましたが、自分のことをよく見て理解してくれたり、悩んでいたらすぐ連絡をくれたりする採用担当の方には、次第に素が出せるようになりました。
なので、面接以外でも深く関わる機会を設けて、寄り添い、学生さんの本音を引き出していくことが大事だと思っています。
あとは、素をだして自己理解が進むことは学生さんにとってのメリットだけでなく、私たち人事にとっても長く仕事をする上で絶対に外せない事だと思っております。
ー今後、人事として活動する中での想いや目標、実現していきたいことについて教えてください。
森田さん:結果として学生さんから人気があって、出会って良かったと思われるような人事でありたいと思っています。
よく出会う学生たちに「人生は毎日がオーディションだよ」と伝えているのですが、これは弊社代表の言葉で、とても気に入っています。
誰も見ていないだろうと思うような場面でも、必ず誰か見ているから、コツコツを仕事をしつつワクワクしながら生きていきたいと思っています。
また、こういった話を少しでも共有して、どんな学生さんにも自信をもって生きてもらえるように行動していきたいです。
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。