毎月の勤怠締め作業について、「支払日に間に合うか不安」「他の業務まで手が回らない」といった悩みを感じている担当者も多いと思います。
できることなら、勤怠の締め作業にかかる工数を削減し、さまざまな業務に取り組めることが、理想的なのではないでしょうか。
本記事では、なぜ勤怠の締め作業は忙しいのか、どうすれば負担を軽減できるのかといったことについて、成功事例を含めて紹介します。
関連記事:勤怠とは?勤怠管理の目的や具体的な方法、注意点について解説
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目次
1. 勤怠の締めとは?作業内容を解説
勤怠の締めとはよく聞きますが、いったい何のことを指しているのでしょうか。
ここでは、勤怠の締め作業の定義や業務内容について解説します。
1-1. 勤怠の締めとは?
勤怠の締めとは、給与計算の対象となる期間内で、従業員ごとの労働時間や残業時間を確認し、数値を確定させる業務のことです。勤怠を締めなければ、次の段階である給与計算へと進むことはできません。勤怠の締めでミスが発生すると、正確な給与額を算出できない、給与の支払い日に間に合わないなどのトラブルにつながるため、丁寧かつ効率的におこなう必要があります。
1-2. 勤怠の締め日とは給与の締め日である
勤怠の締め日と類似した言葉で、給与の締め日という言葉を思い浮かべる方もいるでしょう。
実は、この2つは同じことを指します。
給与計算は勤怠データをもとにおこなわれるため、「勤怠の締め日=給与の締め日」となるのです。
ただし、支払い日は実際に従業員へ給与を支払う日ですので、別の日となります。
計算処理や手続きの過程を考慮して、給与の締め日から支払い日までは最低でも2週間程度開けるのが一般的です。
参考:給与支給日の決め方と締日の関係|エクセライク社会保険労務士法人
1-3.勤怠の締め作業とは
勤怠の締め作業は、まず初めに従業員の労働時間や勤務状況を正しく把握することが重要です。
勤務時間や残業時間深夜労働時間、振替休日や代休、有給休暇の取得状況をもとに、労働時間の計算をおこないます。
打刻漏れや申請ミスなどがある場合は、該当する従業員へ連絡して、正しい勤務時間を確認しなければなりません。
この工程で紙ベースの管理だと、残業や有給の申請書を1枚ずつ確認する工数や上長の承認を待たなければならないなど、時間のロスが生まれてしまうという問題が生じがちです。
1-4. 勤怠管理で締めるべき項目とは?
勤怠管理で締めるべき項目は以下の通りです。
- 労働日ごとの労働時間
- 時間外労働の労働時間
- 休日出勤など法定外労働時間
- 有給休暇の残日数
適切な労働時間の把握をおこなっていることを証明するためにも、これらの確実な記録は重要です。
万一、労基署調査が入っても、慌てずに対応できるという観点からも、締め作業は大きな意味を持ちます。
関連記事:勤怠管理でチェックすべき項目4つや管理方法ごとの特徴を紹介
1-5. 勤怠の締め作業の重要性
勤怠の締めは、従業員ごとの正しい給与を算出するうえでとても重要な作業です。勤怠の締め作業を通して、残業時間や有給休暇の取得日数などを把握することで、毎月の正しい給与額を決定できます。
また、従業員の健康を維持するためにも勤怠の締めは重要です。残業が多すぎたり、有給休暇を取得できていなかったりする場合は、従業員の心身の健康を守るために働き方を改善する必要があるでしょう。
2. なぜ勤怠の締め作業は忙しいのか
勤怠管理の方法によって、締め作業の期間は非常に忙しく感じられることもあります。
本章では、勤怠の締め作業に工数がかかる原因についてご紹介いたします。
2-1. 勤怠の情報収集に時間がかかる
勤怠データの収集は、勤怠を締める際に時間がかかる作業のひとつです。
たとえば、紙媒体で管理している場合、各部署を回って出勤簿やタイムカードの回収をおこなっていると、担当者の負担が大きくなることは容易に想像がつくと思います。
また、事前に記入漏れやミスがないかどうかをチェックしてもらわずに回収してしまうと、差し戻しという手間が生じてしまいます。
各部署の代表者に、あらかじめ勤怠データを確認してもらい、担当者の元へまとめて提出させることで、担当者の工数を削減することができるでしょう。
アナログ的な管理からデジタル的な管理へ移行することも、データ収集の手間を省く手段のひとつです。
2-2. 給与計算を手計算でおこなっている
確認や修正が終わり、正確な勤怠データがそろったところで給与計算に移ります。
給与計算は従業員の給与に直結し、生活にも関わるためミスは許されません。
念入りにWチェックをおこなわなければならないことから、手計算で給与計算をおこなうとかなりの時間を要することになります。
Excelで数式を活用する勤怠管理システムを導入するなど、正確で効率的な計算をおこなう工夫が必要です。
2-3. 勤怠の締め日と支払日が変更になると、対処が必要
何らかの事情により、企業側が締め日と支払日を変更する場合もあるでしょう。
変更する場合は、以下のような対処が求められます。
法律の観点
賃金の支払いについては、労働基準法第24条において
- 通貨で支払うこと
- 直接労働者に支払うこと
- 全額支払うこと
- 毎月1回以上支払うこと
- 一定の期日を定めて支払わなければならないこと
が規定されています。
とくに気を付けるべき点は、「毎月1回以上支払うこと」というルールを守れなくなってしまうことです。
賃金の支払日を変更することにより、法律に抵触してしまう可能性があることをあらかじめ認識しておきましょう。
どうしても変更したい場合には、法律の範囲以内で変更する必要があります。
参照:賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。|厚生労働省
従業員の観点
従業員にとっては、支払日の変更が起こると生活に影響が出る可能性があります。
従業員の負担を少しでも軽減するために、以下の点に注意しましょう。
- 早めに通達する
- 変更月の給与だけは減給になることを伝える
とくに、通常は1ヶ月分の給与が支払われますが、変更月は従来の支払日と間隔が近いために、実質的に減給という形になるということは、きちんと伝えることで、トラブルを回避することができるでしょう。
3. 勤怠の締めを効率化する方法
勤怠の締め作業を効率化するためには、ペーパーレス化を図ったり、勤怠管理システムを導入したりすることが重要です。以下、効率化のポイントを詳しく解説します。
3-1. ペーパーレス化を図る
従来の出勤簿やタイムカードなど、紙媒体で勤怠管理をおこなっている場合は、ペーパーレス化を図ると締め作業を効率化できるでしょう。紙媒体による管理では、書類を収集したり、手作業でデータを集計したりする必要があります。計算ミスや入力ミスなどのヒューマンエラーが発生しやすく、確認や修正の手間も増えるため、早めにペーパーレス化を推進するのがおすすめです。
3-2. 勤怠管理システムを導入する
ペーパーレス化の方法としては、Excelの活用や勤怠管理システムの導入が挙げられます。Excelを活用し、関数の設定などをすれば、労働時間や残業時間の集計が楽になるでしょう。ただし、入力ミスが発生しやすい、法改正の際に計算式を修正する必要があるなどのデメリットもあるため、より効率化したい場合は、勤怠管理システムの導入がおすすめです。
クラウド型の勤怠管理システムであれば、パソコンやスマートフォンからでも簡単に打刻できるため、リモートワークにも対応できます。労働時間や残業時間は自動的に集計されるため、担当者の負担は大きく軽減されるでしょう。法律が改正されたときは自動的にアップデートされるため、担当者が設定を変更する必要はありません。
4. 勤怠の締め作業にはシステムの導入がおすすめ!メリットと成功事例を紹介
先ほど紹介した通り、勤怠の締め作業にかかる工数を軽減するために、勤怠管理システムを導入するのがおすすめです。
ここでは、勤怠管理システムを導入するメリットと、企業における成功事例を紹介します。
4-1. 勤怠の締め作業にシステムを導入するメリット
勤怠管理システムを導入するメリットは以下の通りです。
- 業務を効率化できる
- コスト削減につながる
- 法律に則った勤怠管理が実現できる
- 不正打刻防止につながる
- 人事戦略に活用できる
工数を削減できるだけでなく、企業全体の働き方改革につながることや、不正打刻防止などのセキュリティ対策にも役立つことが特徴です。
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関連記事:勤怠管理システムとは?特徴やメリット・デメリット、選定のポイントをご紹介
4-2. 勤怠管理システムの導入により締め作業を効率化した事例
勤怠管理システムを実際に導入し、成功した事例を紹介します。
お悩み別に掲載していますので、ぜひ参考にしてください。
【悩みその1】勤怠管理に工数がかかり過ぎている
CASE1:紙・エクセルでの管理・集計から開放!大幅に業務工数が削減
【課題】
店舗ごとにエクセルで勤怠を入力し集計、本部へ送信していたため、入力・集計に時間が取られ、入力ミスも発生していた。また、従業員全員のシフト作成に時間をとられていた。
【施策】
勤怠管理をシステム化することで、リアルタイムで人件費の把握ができ、効率的な管理がおこなえるように対応。遠方の店舗のシフトや出勤退状況もタイムリーに確認できるように構築。店舗ごとのシフト作成を簡略化。
【結果】
店舗ごとの勤怠状況がシステムで一括管理できるようになり、勤務表の集計業務がなくなり、業務効率化に貢献。
また、月末に給与計算をしなくても、出退勤の内容と申請の確認だけで済み、毎日の入力が無くなったことによる社員の負担軽減に成功。
CASE2:店舗の利便性向上、スタッフの満足度向上に貢献
【課題】
店舗数は250ほど、従業員数は5,000名近くという状況でも、勤怠管理は紙と電話とFAX。店長は月末になるとタイムカードに記録された勤務実績を電卓で計算、結果は集計表に手書きでまとめられ、タイムカードとともに本部に報告。送られて来た集計表とタイムカードの突き合わせをおこない、必要に応じて再計算したうえで、給与計算システムに入力をしていた。
紙媒体の管理も大きな課題で、月々5,000枚ずつ増えていくタイムカードや集計表は、保管場所を確保するだけでも大変で、捜索の際はかなりの時間がかかっていた。
【施策】
各店舗、iPadを活用し、勤怠管理を実施。
あらゆるデータが本社でリアルタイムに確認可能に。勤怠管理をシステム化することで、あらためて運用ルールをつくり、コンプライアンスの徹底、店舗スタッフの負担軽減、利便性向上に努めた。
【結果】
システム化によりラクになったことで、お客様のための時間が取れるようになったという声が続出。
また本社でも、保管や捜索にも苦労がなくなったうえに、データ化された勤務情報を活用し分析や各種フォローなど、積極的なマネジメントが可能となった。
CASE3:担当者の総残業時間が1ヵ月で15時間ほど減少
【課題】
工場など現場に直行・直帰する従業員の勤怠情報の入力抜け漏れをなくしたい。
さらに勤怠情報の転記・手入力による作業を効率化したいという課題感があった。
【施策】
システム導入により、簡単に勤怠情報の集計結果が得られるようになって業務の効率化を促進できるように。
また、Excelを活用したインターフェースがとても親しみやすく、ストレスなく既存の勤怠管理体制から乗り換えることができた。
【結果】
勤怠記録の記載漏れ、時間が経って記載を忘れてしまうこと、入力間違いなどが劇的に改善し、今では入力ミスの修正がほぼなく運用ができている。
3拠点すべての「担当者の総残業時間が1ヵ月で15時間ほど減少」するという効果があらわれた。
まとめ
紙やタイムカード、エクセルで管理しており、集計作業に工数がかかっていた企業にとって勤怠管理システムを導入することで、あらゆるデータがリアルタイムに一元管理されるため、大幅な工数削減につなげることができる。
タイムカードの保管や過去の勤怠状況を探す際の労力がなくなり、データ化された勤務情報を活用し分析や各種フォローなど、積極的なマネジメントができるようになる。
【悩みその2】勤怠管理にコストがかかりすぎている
CASE1:人件費比率を35%から、30%以下へ引き下げ成功
【課題】
毎月の締め作業の際、勤怠集計の終わった店舗から、タイムカードを本部に郵送し、本部が給与支払いのために集計作業をおこなっていたため、タイムカードの集計に膨大な時間がかかっていた。
最終的には締日後、3人の担当者が5日間かけて集計をしていたが、店舗数増加に伴い集計処理が追いつかなくなり、給与支払日を10日から15日に変更せざるを得なくなった。
【施策】
勤怠管理システムを導入することで、各店舗からのタイムカードの到着を待たずとも、自動で集計できるように。
勤務情報はクラウドシステムを通じて全拠点・全従業員分を管理できるため、集計作業を簡素化できた。
【結果】
各店舗で月初・月中・月末と月に3回ほど人件費の集計をおこなっていたが、リアルタイムかつ自動で人件費が把握できるため、人件費コントロールが容易に。これにより、以前と比べ人件費比率が35%から、30%以下に下げることができた。
CASE2:年間で50万円以上の経費削減を実現!
【課題】
手動のタイムカード形式を長年使用してきたが、リースやバージョンアップで維持費が高くなっていた。
【施策】
勤怠管理システムを導入し、営業が外出先からの打刻ができるように改善。
また、タブレット端末とICカードによる打刻の運用に切り替え、打刻忘れの防止にも対応。
圧倒的な低コストと使い勝手の良さで即導入。
【結果】
短期間で運用開始することができ、年間で50万円以上の経費削減を実現。
CASE3:タイムカードやタイムレコーダーより、コスト低減に成功!
【課題】
紙のカードで機械式のタイムレコーダーを使い打刻を記録。毎月毎月備品在庫の管理をし、名前を事前に記載するなど準備が大変で、漏れがあったり、長期休暇の従業員の用意をし忘れたりと、トラブルも絶えなかった。
【施策】
ICカードリーダーでの打刻に加え、携帯電話やスマートフォンで打刻できるように対応。
サポート窓口に同じ画面をリモートで見ながら支援をしてもらう。
【結果】
集計や管理の労務管理コストも低減。複雑な勤務体系でも運用は簡単に実行可能に。
パソコンスキルのない従業員も1週間で慣れ、勤務状況の確認が楽になった。
まとめ
システムの導入により、人件費がどの程度かかっているかが、リアルタイムで把握することが可能に。そのため、人件費のコントロールができるため、無駄な人件費を減らすことができる。また、集計や管理などにかかっていた分の労務管理コスト削減も見込める。
【悩みその3】社内の勤怠状況の把握・管理ができていない
CASE1:リアルタイムに従業員の勤怠状況を確認し、適正な勤務配置で生産性向上
【課題】
勤務実態が締め日にならないとわからず、給与計算の際、休日、出張、当直、打刻忘れなどの区別を各部署に尋ねるなど、リアルタイムで勤怠状況の把握・管理ができず、またタイムカードの確認作業に多く時間を費やさなければならなかった。
【施策】
勤怠管理システムを導入し、勤怠時間の見える化を実施。
遅刻、打刻忘れ、打刻ミスなどの未確定勤務の判別を簡単にできるようにし、部署ごとの勤務時間の集計を容易に。
日々の出退勤状況がタイムリーにわかるようになった。
【結果】
遅刻、打刻忘れなど、未確定勤務の判別が容易になることで、業務の簡素化につなげることに成功。
その結果、各部署運営の仕事に集中できる時間が増えた。
また、給与計算時の作業工程を大幅に短縮することができた。
CASE2:リアルタイムの勤怠状況把握で超勤時間を明確化!
【課題】
紙媒体に時刻を直接記入しており、超勤時間や労働時間を1ヶ月遅れでしか確認ができない。36協定に抵触する対象者もわからない状態であった。
【施策】
勤怠管理システムを導入することで、申請方式によるタイムリーな超勤時間の管理および休暇取得の管理を実施。また、チェック機能により、超勤対象者がいた場合、メールで上司や管理者へ送信される仕組みを活用。
【結果】
日々打刻や申請により勤務実績がデータ化できた事で、リアルタイムの労働時間を把握できるようになった。
CASE3:指静脈認証を活用し、高精度な勤怠管理を実現!
【課題】
タイムカードや紙の出勤表で勤怠管理をおこなっていたため、どうしても精度の高い管理がおこなえず、月末には各拠点でおこなう計算と、それを本部に集約してからの再計算といった締め作業で大きな事務負担が発生。
【施策】
システムの導入により、出退勤、店舗スタッフの休憩、それぞれに指静脈認証をおこなえるように体制構築。不正打刻やなりすましを防ぎ、リアルタイムかつ厳格な勤怠管理を実現。
【結果】
勤怠データが本部でリアルタイムに確認・集約できるようになった。
そのため、上長や本部がWeb上からすぐにチェックできるため、適正な指導がおこなえるようになり、社員やスタッフが快適に働ける環境づくりと法令遵守に対応した就業管理の実現が可能になった。
まとめ
勤怠管理システムを導入することで、勤怠状況のリアルタイムでの見える化が実現できる。データは自動集計で、各拠点で同時に見ることができるため、収集・集計作業が不要になる。
また、業務体系に合わせてさまざまな打刻方法で対応できるため、管理もシンプルにおこなうことが可能。
さらに、不正打刻やなりすまし、超過勤務などを防ぎ、リアルタイムかつコンプライアンスに沿った厳格な勤怠管理を実現できる。
5. 勤怠管理システムを活用して締め作業を効率化しよう!
本記事では、勤怠管理の締め作業によくあるお悩みの原因を追究するとともに、解決策を提案をしました。
紙媒体での勤怠管理においても、工数削減の余地は十分にありますが、法改正への対応やペーパーレス化、DXを考慮すると、勤怠管理システムを導入するという手段を検討する価値はあるかもしれません。
より良い勤怠締め作業及びバックオフィス業務を実現するため、今回紹介した内容を参考にしてみてください。
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