みなさんこんにちは。株式会社ベーシック執行役員の角田(@takeshisumida_)です。
昨今、Twitterの「ビジネス」での活用が急速に増えてきていると感じている方も多いのではないでしょうか。
ここでいうビジネスでの活用とは、いわゆる企業公式アカウントの運営という意味ではなく、所属している会社を公言した上で、実名や顔出しで、仕事に関する発信をする人が広がってきていることを指しています。
この動きは個人の活動に留まらず、全社で組織的にTwitterでの発信に取り組んでいる会社も多くなってきています。
私が所属するベーシックも、2019年から本格的にTwitterでの情報発信をおこない始めており、ありがたいことに今では全社的にTwitterに取り組んでいる先駆けの企業の一つとして認知されています。
そしてそのTwitterの取り組みは、実際にベーシックに様々なビジネス上の好影響をもたらしました。
そこで本記事では「企業がTwitterに取り組む意義」について、ベーシックでの活動を事例としながらご紹介していきたいと思います。
経営層や人事として働いている方で、
- 今後Twitterを活用していくことを考えていた
- 実際にTwitterを活用しはじめているがうまくいっていない
- 会社知名度を向上させる手段を何かしら探していた
などに当てはまる方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
全社でTwitterに取り組む意義とは
まず、ベーシックにおける事例から、企業がビジネスとしてTwitterに取り組む意義を以下の3つに分類しました。
①サービス認知
Twitterという情報発信の面が増えたことにより、ベーシックで提供している各種サービスを、導入検討の候補として第一想起してもらえる頻度が増えました。
また、Twitter上での直接的な露出にとどまらず、Twitterでの活動の広がりに呼応して、検索エンジン上でのいわゆる指名検索数も右肩上がりに増えていきました。
②広報
今まで接点のなかったメディアや企業から、Twitter経由で登壇・取材・寄稿の依頼を受ける機会が急増しました。
これは、それまでおこなっていた広報活動の延長の中では発生し得なかったことです。
結果的に、優秀ながらこれまで外部的には知られていなかった多くの社員に、Twitterを通じてスポットライトが当たる形となりました。
③採用
3つ目が採用です。そしてこれが3つの意義の中でも最も大きかったと考えています。
元々ベーシックでは、採用において2つの問題点を抱えていました。
1つは、会社の知名度が低いことにより採用候補者の母集団形成に苦労していたことです。
もう1つは、そのような中で採用を推し進めることにより、当初の期待やカルチャーとのミスマッチが起こり、結果的に入社した社員が定着しない場合も多かったことです。
これがTwitterの活動を本格化以降、会社知名度が上がることにより直接応募者が増えるのはもちろん、コーポレートページや採用サイトを通じただけでは見えない、よりリアルな各社員の考え方や会社としての風土が候補者にダイレクトに伝わり、入社後のミスマッチが起きることが目に見えて減りました。
それでは、この3つの中でも特に意義が大きかった考えている「採用」の部分について、もう少し深掘っていきたいと思います。
Twitterが採用に与える影響とは
さて、一口に「採用」と言っても影響があった事象は複数に及ぶため、具体的な例を以下に記していきたいと思います。
直接応募とリファラル採用が激増した
上述のような背景から、これまでのベーシックの採用はいわゆる人材紹介会社に大きく依存していました。
会社知名度が低いことにより自社の採用サイトからの直接応募が少ないのはもちろん、いわゆるリファラル採用として友人・知人に声を掛けたとしても求心力が弱かったためです。
この状況がTwitterを始めたことにより大きく変わりました。
具体的には、2018年は採用人員の約6割を占めていた人材紹介会社経由の割合が、2019年には2割台にまで減少しています。
代わって特に大きく割合が増加したのが「リファラル採用」です。
リファラル採用自体2019年にプロジェクト化して本腰を入れて取り組んでいるため、増加は複合要因ではあるのですが、Twitterでの会社知名度の向上が、これまでと比べて明らかに候補者からの惹きを強くしているのは確かです。
現在ではベーシックにおける採用人員の三分の一は、リファラル経由で占められています。
Twitter自体が新たな採用ルートになった
SNSでの繋がりを活かしているため、こちらも大きな括りではリファラルと言えるのかもしれませんが、Twitter自体が新たな採用ルートになりました。
インターネットを通じて様々なことが募集できるサービス「bosyu」を活用したTwitter上でのダイレクトな応募の呼びかけも、そのような活動の一つです。
実は、あの国内有数のWebマーケティングメディアである「ferret」なんですが、営業がまだまだ足りていません😰
事業として伸びる余地しかないのに人手不足で伸びないのはとてももったいないので、つまりメディア営業のプロの方は今すぐ来てください🙏https://t.co/8a0qMWcDZ7 #bosyu転職 #Twitter転職
— すみだ@basic|コーポレート管掌 (@takeshisumida_) July 10, 2020
また、昨今「Twitter転職」という言葉が定着し始めているように、候補者自身がTwitter上で転職活動をしていることを公言する流れができてきています。
このような流れを受け、募集要件に見合う特定のTwitterのアカウントに対して直接声を掛けさせていただき、採用に繋がる機会も増えました。
これは知名度とは違う話ですが、同様にTwitterに対して本腰を入れて取り組んでいなければ起き得なかったアクションです。
社員が出戻ってきた
Twitterの活動を本格化後、過去に退職した複数の社員が出戻り社員として再び入社しています。
これらの社員が口を揃えて言う戻ってきた大きな理由が、「当時と比べて会社がよくなっていることをTwitterを通じて肌で感じられた」ということです。
もちろん辞めた理由にもよりますが、前述した「カルチャーマッチ」という意味で言うと、かつて共に働いていた出戻り社員ほど確かなものはありません。
会社知名度の向上の為はもちろん、かつての仲間が今の会社の雰囲気を正しく知れるという意味でもTwitterは有用だと考えています。(ベーシックは基本スタンスとして出戻り社員を歓迎しています。)
去年退職した社員が、今日付けでまた会社に戻ってきた。
外の世界を見た上で、それでもまた古巣がいいと思ってくれるのは嬉しいし、そういう風に思われる会社にしていきたい。#出戻り歓迎
— すみだ@basic|コーポレート管掌 (@takeshisumida_) August 19, 2019
全社でTwitterに取り組む際のコツ
ひとえに全社でTwitterに取り組むと言っても、なかなか自然発生的には起きません。
また、たとえ始めたとしても、当然のことながらその活動は継続するものでなければ意味はありません。
そこで次に、全社でTwitterで取り組む上でのコツのようなものも合わせて紹介していきたいと思います。
統一ルールを決める
せっかく全社で取り組むのであれば、「あの会社よく見る」という状態をいかに作れるかを意識しないと、活動の効果が半減です。
王道はプロフィール写真に統一感を出すことでしょう。
ベーシックでも、写真の背景を会社にある青い壁で極力統一するようにしています。
あくまで任意ですが、より促進をするために、社内報で紹介することで盛り上がりを作ったり、プロジェクトチームが随時撮影のサポートをおこなったりしています。
写真以外でも、名前やプロフィールに会社名を入れたり、名前の後の@の表記を揃えたりして、統一感を出すことが挙げられます。
強制しない
ベーシックでは、Twitterをすることを社員に強制はしていません。
あくまで全社に呼びかけその意義を伝えた上で、ビジネス用途としてTwitterをするかしないかは各自に任せています。
またTwitterをする人に対しても、ツイート内容について会社として具体的な指示をおこなうことも、何かしら禁止事項を設けることもしていません。
もちろんプレスリリースやメディアへの掲載などの全社的なニュースについては都度共有し、ツイートを呼びかけることはおこないますが、そのツイートの仕方については完全に個人任せにしています。
これは、義務的になればなるほど運用することに疲れてくる可能性がありますし、なにより指示もしくは制限された個性のないツイートは、見る人にとってもつまらないと思っているからです。
あくまで個人として楽しんでやってもらうことが、運用を継続していく上で重要だと考えています。
成果を適切な場で共有する
Twitterに限らず、このような全社的な取り組みでありがちなのが、呼びかけっぱなしになり、いつのまにか成果もよく分からないまま形骸化するということです。
ベーシックでは四半期に一度「全体会」と呼ばれる全社員が集まるイベントをおこなっており、ここで各部からの方針発表をおこないます。
その場を利用して上位メンバーのフォロワー数の推移や、Twitter上で起きたポジティブな反応、実際会社にとって成果が出た事象などを、定期的に社員に状況を共有しています。
活動が確実に良い結果に結びついていることを社員が認識することで、継続するモチベーションの向上や、新たな活動参加者を促すようにしているのです。
読んでいて「あぁ、ベーシックっていい会社なんだな」と思ったので、採用広報に「社員note」は最高だと改めて思った。
「デザインをする人」ではなく「頼れる右腕」になるには|hikaru-sun|note(ノート) https://t.co/35MHOpZ29F
— えとみほ (@etomiho) September 14, 2019
適度な競争環境を作る
ベーシックでは社員の約3分の1がTwitterにアクティブな状態です。
アカウント数にして50以上あり、この数では各人が他の社員のTwitterの活動を把握するのは少々困難です。
そこで、Twitterに取り組む社員専用のSlackチャンネルを作り、広報が主体となり、毎週フォロワー数の推移をそこで共有するようにしています。
またフォロワー数のレポートのみならず、各自が持つTwitterに関する知見や、大きく伸びたツイートなどを、自由に共有し合うようにしています。
このことにより、お互いが切磋琢磨し合いながらTwitterに取り組める雰囲気作りをおこなっています。
ベーシックではTwitterに力を入れており、社員のフォロワー数を毎週グラフと共にTwitter部というslackチャンネルで投稿しております。
しかもフォロワーの取得、グラフは完全に自動化!
(自動化に関してはニーズあればnote化しようかな) pic.twitter.com/YmfMhvmx4S— 鈴木 諒(ちょるる)採用広報 社内報コミュニティ運営 (@chorururyo) August 19, 2020
責任者が率先垂範する
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、このような全社的なTwitterの取り組みにおいては、その活動を引っ張る責任者の率先垂範が何より重要です。
皆様も日々感じていることかもしれませんが、SNSというものがすでに世の中にいくつもある中で、その全てを継続的に使用するということ自体少々難易度が高いことです。
そのような中で、新たに全社的にTwitterをしているという状態を作るということは、これまでご紹介した上述の施策は打ちつつも、各自に任せているだけでうまくいく会社は恐らく少ないでしょう。
活動を提唱し推し進める責任者は、とにかく誰よりもTwitterをするのはもちろん、何かしら定量的な形(フォロワー数、バズ 等)でも圧倒的に成果を上げ、常に背中を見せるということが、全社としてのモチベーションを高く維持するための何よりの肝だと考えています。
Twitterに取り組む会社は増えていますが、一方で活動が続いていないケースも多いように思います。
全社での取り組みで大切なのはTwitterを「させる」のではなく「効果や楽しさを伝える」こと。その上でやろうといい出した社員がひと時たりともTwitterの手を抜かないこと。はい、今日もTwitterします。— すみだ@basic|コーポレート管掌 (@takeshisumida_) August 16, 2020
全社でTwitterに取り組む際の注意点
さて、ここまで読んでいただいた皆様に、若干元も子も無いことを最後にお伝えしてしまうのですが、「全ての会社においてTwitterの運用が効果的であるとは必ずしも言い切れない」と思っています。
少なくとも企業規模は相関性があると思います。
要するに、大きい会社であればあるほど会社に与える影響度は低いと考えています。
ベーシックの場合も100人ちょっとの会社規模だからこそ、Twitterが追加で与える露出の効果が大きかったですが、これが私もかつて在籍していたような数万人規模の大企業であれば、そもそも持っている知名度の大きさや通常の広報での露出の多さで、社員個々のTwitterが与える影響は極めて限られます。
むしろその場合は、社員の意思が統一し切れないことによる外部向けメッセージの不整合や、最悪の場合いわゆる炎上により、会社にマイナスの影響を与えるリスクもはらんでいます。
もちろん企業規模に関わらず、炎上リスクというものはTwitterにおいては常につきまとっています。
そのような炎上の事態に陥らないようにするためにも、たかがTwitterと思わず、全社でやるならやるで、「経営判断」として、目的や運用の足並みをしっかりと揃えつつ、同時に社員が楽しんで継続できる仕組み作りをおこなうことが大事だと思っています。
ベーシックでの事例も踏まえ、特に小〜中規模の会社については、基本的にはTwitterで得られるメリットが、炎上リスクのデメリットを大きく上回ると考えます。
今回ご紹介したベーシックでの取り組みを参考に、Twitterのビジネスでの活用がうまくいく企業が1社でも増えれば何よりです。