現在は、どこの企業も人材不足で採用に苦戦する時代です。特に、各業界でIT化が進んできた影響により、あらゆる業界でIT人材が求められるようになりました。
しかし、そもそもITエンジニアの母数が少ないため、ITエンジニアを採用することは簡単ではありません。
中途のITエンジニアを採用したくても、自社に転職してもらえるような何か魅力がない限りは、中途のITエンジニアを採用するのは難しいといえるでしょう。
そこで、最近注目されているのが「新卒のITエンジニア採用」です。新卒のITエンジニア採用は、中途ITエンジニアに比べスキルは劣るものの、可能性にあふれています。
そこで本記事では、「新卒ITエンジニアを採用する際に、知っておきたい内容」をお伝えします。
目次
1. ITエンジニア採用はなぜ難しいのか
人手不足により、人材の採用そのものが難しいといわれている昨今ですが、なかでもIT人材採用は、さらに難しいといわれています。
ここでは、その要因にはどのようなものがあるのかを紐解いていきたいと思います。
1-1. 人材不足
現在、どの業界・職種においても人材不足が深刻です。なかでも、IT人材の人材不足はさらに深刻で、ITエンジニアを採用することも非常に困難といわれています。
IT市場の拡大により、そもそもIT人材が少ない
日常のさまざまな場面において「IT化」が進んできています。IT化が進むことによって人々の生活は格段に便利になりました。
しかし、IT化が進んできたということは、それだけ多くのITサービスをつくり出す人材が必要になります。
しかし現状として、ITサービスを生み出す「生産側の人員供給が追いついていない」という事実があります。
以下の数値は経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」における2015~2018年のIT人材の供給人数と不足人数です。
IT人材の需要の増加は加速しているのに対し、供給人数の増加率が停滞しているため、不足人数は年々増えるばかりです。
(引用:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」)
2030年には、需要は高まり続けるものの、超高齢社会で生産人口が減る影響により、供給人数が減少し、不足人数が約59万人までになるといわれています。
IT人材不足は今後ますます深刻化するでしょう。
1-2. 優秀人材が、転職市場にいない
ただでさえ希少なITエンジニア人材。優秀なITエンジニアは、何が何でも手放したくないと考える企業がほとんどなのではないでしょうか。
企業は優秀なITエンジニアに会社に留まってもらうため、さまざまな待遇を施してでも、ITエンジニアの転職を阻もうとします。
ITエンジニアも高待遇の企業で働くことは理想的といえるので、リスクを犯してまで転職をしようとは思いません。
その結果、優秀なITエンジニアが転職市場にいないという状況が起こるのです。
1-3. 会社に属さない、フリーランスのITエンジニア増加傾向
今のトレンドでもありますが、働き方の自由さを求めて、フリーランスで働くことを希望するITエンジニアが非常に多くなってきました。会社の型にはまることなく自由に働くことで、自分のスキルを全面に押し出すことができます。
うまく自身の能力をうまく売り出すことができれば、会社に属して月給をもらうよりも多くの給与を得ることができます。
2. 【最新】24卒ITエンジニア志望学生の動向
ITエンジニア採用を成功させるためには、ITエンジニア志望の学生の「就職活動に対する意識や取り組み方」を把握することが非常に重要です。
ここでは、レバテックルーキーが2024年入社予定のITエンジニア就活生248名を対象におこなった意識調査を基に、24卒ITエンジニア志望学生の動向についてご紹介していきます。
2-1. 約7割の学生が、2022年7月までに就職活動を開始している
近年、学生の就職活動開始時期が早期化していると言われています。今回のレバテックルーキーの調査では、ITエンジニア志望学生においても「就職活動の早期化」の傾向が強くみられることが明らかになりました。
<「就職活動の早期化」を示す3つの調査結果>
- 約7割の学生が、2022年7月までに就職活動を開始している。
- 既に本選考への需要が高く、約6割の学生が早期内定獲得を希望する
- 全体の13.7%の学生が「2022年内に就職活動を終わらせたい」と回答
「就職活動の早期化」が進む現在において、他社よりも早く優秀なITエンジニア志望学生と接点を持っておくことの重要性が高まっています。本記事で後述する「新卒ITエンジニアの手法比較」を基に、自社に合った「ITエンジニア志望学生との接点づくり」に取り組んいただければ幸いです。
【参考】レバテックルーキー「【24年度卒エンジニア就活意識調査】約7割の学生が、2022年7月までに就職活動を開始」
2-2. ITエンジニア志望学生の約半数は、 「5社〜8社」の選考を受ける予定
また、レバテックルーキーがおこなった調査によると、「内定承諾までの比較検討する企業数」で最も多かった回答は「5~8社(45.3%)」となりました。そのほかの回答としては、「1~4社」が23.5%、「9~12社」が20.2%となっています。そのため、24卒のITエンジニア志望学生の9割近くは1~12社を比較検討したうえで、就職先を決めたいと考えていることが予測されます。
また、「最低でも何社の内定が欲しいですか」という質問に対して、全体の66.4%の学生が「2~4社」と回答しています。
これらの事から、複数内定を持っている学生を自社に引き込むための「魅力の伝え方」や「採用手法の選択」の重要性が高まっていることが伺えます。
【参考】レバテックルーキー「【24年度卒エンジニア就活意識調査】約7割の学生が、2022年7月までに就職活動を開始」
3. 新卒ITエンジニアの手法比較
ITエンジニアを採用する際には、さまざまな手法を検討されると思います。
ここでは、ITエンジニア採用の際に活用してみてほしい手法のメリット・デメリットをまとめてみました。
3-1. 理系に特化したサービスを利用する
ITエンジニア採用を考える採用担当者様は、まず理系学生を採用したいと考えると思います。実際、ITエンジニアという職種に興味を持つ学生は理系学生が多いと言われています。
そこで、活用したいのは理系採用に特化したサービスを利用することです。
理系特化サービスは入り口から理系学生のみに限定されたうえで母集団形成をすることができます。理系学生は専門分野の基礎知識を有しているため、採用した際に、教育段階が一段減るといえます。
一方で、理系学生は母数が少ないので、理系特化サービスを利用するとはいえ、十分な人数を集めることができるという保証はできないというデメリットもあります。
3-2. ダイレクトリクルーティングを活用する
ダイレクトリクルーティングは、ターゲット人材を獲得するために、採用担当者が自らが主体的に動き、学生を採用することです。イメージしやすい方法としては、学生に企業側からスカウトを送ることができるサービスの活用などです。
前述した通り、理系学生はそもそも母数が少なく、待っているだけでは集まりません。
また、むやみにいろんな採用手法を使うよりも安価で採用することができるというメリットもあります。
一方で、採用担当者が自ら動くため、その工数がかかってしまうというデメリットもあります。採用担当者が1.2名しかいない企業だとより、そこに工数を費やすことは難しいかもしれません。
3-3. 地方学生の採用を検討する
地方には、国公立大学があり、そこに在籍している学生は多いです。
しかし、地方学生は首都圏の学生に比べ、情報量が少ないこと・首都圏に就活に出るのには時間と交通費がかかることから、就活に対して消極的であることが多く、優秀な学生でも就職活動の動き出しが遅いケースがあります。
あまり多くの企業からアプローチされていない地方の学生に対してアクションを取ることで、優秀な学生を採用することができるかもしれません。
ですが、地方の学生に会いに行くために担当者も地方に出向かなければならない、来てもらうにしても場合によっては交通費を負担しなければならないというデメリットもあります。
3-4. 外国人採用を検討する
近年注目されているのが、日本語が堪能な外国人留学生の採用です。
ネイティブの日本人に比べればやはり多少の言語の難はあるかもしれませんが、意欲に関しては圧倒的に外国人留学生のほうが高い傾向にあります。さらに、アジア圏からの留学生だったとしても、英語が話せる人材が多い点も評価されています。
そのため国内の外国人留学生の採用も激化しており、近年では「日本語を学んでいて、本当は日本への留学願望を持っているけれど金銭的な問題などで留学できない外国人」を採用するために、海外の現地に採用担当が出向いているケースもあります。
しかし、文化面の問題などから細かいところでの意思疎通が難しかったり、ビザ関連の手続きが複雑で難しいというデメリットもあります。
また、将来的には母国に帰りたいと思っている学生なのか、日本でずっと仕事がしたい学生なのかも見極める必要があります。
3-5. 文系学生に興味を持ってもらえるような伝え方を考える
理系学生がそもそも少ないため、特にIT系のITエンジニアであれば、近年は文理学生問わず採用している企業も多くいます。
文系学生はコミュニケーションスキルが高い学生が多いといわれており、一つのプロダクトをつくりだすときに、コミュニケーション力が功を奏すこともあります。
ここで、ポイントとなるのは、いかに文系学生にも興味を持ってもらえるような伝え方をできるかどうかです。
確かに、文系学生の中にも、学生時代にプログラミングをやっていた・コードをいじれる・そもそもITエンジニアに興味があるという学生はいます。
しかし、文系学生の大半は「ITエンジニアなんて私には向いていない」「興味無い」「難しそう」と思っており、そもそもの選択肢にないことがほとんどです。そのような文系学生に、「ITエンジニア大募集」「文系もOK」といったとしても関心を引くことは難しいでしょう。
むやみにITエンジニアという言葉を使わずに、その他の点で文系学生にも興味・関心を持ってもらえるような伝え方を考えてみることも大切かもしれません。
3-6. Web面接を検討する
Web面接は、PCやスマホを通して、Web上でおこなう面接のことです。Web面接は、場所を問わずに面接を受けることができるので、研究などで忙しいITエンジニア学生でも、気軽に受けることができます。
また、Web面接システムは、Web面接以外にも活用できます。Web説明会やオンライン研修、Web会議に活用可能です。一定金額で、いろいろな使い方ができることもメリットの一つです。
しかし、システムなので、社員が操作に慣れ、日常的に使われるようになるまでは、大変かもしれません。「結局ほとんど使わなかった」ということを防ぐために、サポートが手厚いシステムを選ぶことをおすすめします。
4. おすすめの5サービス・媒体を紹介
新卒のITエンジニアを採用する際に注目すべき点をご紹介してきました。
それを踏まえた上でここでは、ITエンジニアを採用する際に活用したい手法をご紹介します。
4-1. 地方学生採用支援サービス
ちほりけ:地方理系学生特化型新卒紹介サービス
【特徴】
- つながりを持ちにくい地方の理系学生に特化して紹介をしてくれるサービス
- 他社の手が付いていないことも多いため、承諾率が高い
- 学生が貴社に向かうための交通費を紹介会社側で負担するため、集まりやすい
HIGH-FIVE:クリエイティブ人材の新卒採用代行(RPO)サービス
【特徴】
- 総合職・デザイナー職・プログラマー職などのノンコア業務の面接代行
- AIによる面接プロセスに進む人材を自動でスクリーニングの実績あり
- ニーズに合わせて柔軟なオーダーメイドのプランをご提案。需要の増加や減少に合わせて採用サポートを拡張・縮小が可能。
4-2. 理系学生特化型就活ナビサイト
理系ナビ2024:会員の約6割が上位校のキャリア情報支援サイト
【特徴】
- インターンシップの先行公開をすることができる
- プログラマーやシステムITエンジニア、テクニカルサポートなど、さまざまなITエンジニア採用を検討可能
- 情報誌『理系ナビ』を全国の理系学部学科を有する大学・大学院の研究室・事務室に無料で配布・郵送しているため、理系学生に抜群の認知度がある
4-3. ダイレクトリクルーティング
paiza新卒:独自テストで学生の技術レベルを可視化できる
【特徴】
- ITエンジニア業界を志望している、IT素養の高い学生だけが登録・応募している
- paiza独自のコーディングテストを受けてもらうことで、学生のスキルレベルを可視化。応募者のスキルをみて安心してアプローチできる。
- 初期/掲載費用は0円。成果費用も40万円〜。
サポーターズ:国内最大級のITエンジニア学生データベースを保有する新卒採用支援サービス
【特徴】
- 1on1イベント、大規模イベント、スカウト、人材紹介と多様なソリューションから自社に合うサービスを選べる
- 7000名以上のITエンジニア学生が登録する国内最大級のエンジニア学生データベース
- テックカンファレンス、ハッカソン、技術勉強会などのエンジニア学生向けイベントを年間150回以上開催しているため意欲的な学生が多数登録
レバテック:ITエンジニア・デザイナーに特化したエージェント
【特徴】
- 新卒採用、中途採用、派遣、フリーランス(業務委託)など、採用ニーズに合わせた人材を紹介してくれる。
- Web ITエンジニアやインフラITエンジニアなど職種別の専門チームが採用をサポートし人材のミスマッチを防げる。
- コンサルタントが採用課題や開発状況に合わせて採用要件を整理し、求人票/案件票の魅力付けまでおこなってくれる。
5. 自社に適した新卒ITエンジニア採用を
いかがでしたでしょうか。
新卒のITエンジニア採用は教育をしなくてはいけないという難しさがありますが、うまく教育体制を整えることで自社から優秀人材を生み出すことができるかもしれません。
新卒のITエンジニア採用をおこなうにはさまざまな手法があり、それぞれの手法にメリットとデメリットがあります。ぜひ、貴社の特徴などもふくめ、自社にあった手法で新卒ITエンジニア手法を検討していただければと思います。
本記事が、そのような新卒ITエンジニア採用の参考になれば幸いです。
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