求人募集数に対して応募がはるかに少ない超売り手市場が社会問題になっている現在、採用難は企業にとって人材確保は頭を抱える課題の一つになっています。
採用難の背景にはどんなことが影響しているのでしょうか?
人材確保が難しい現在において、採用を成功させるためには、どんなポイントをおさえることが必要になってくるのでしょうか。
本記事では、超売り手市場で採用難な中、採用活動を成功させるための方法をご紹介します。
目次
1.採用難の原因とは
超売り手市場と言われる現在、各企業の採用担当者は採用予定人材を集めるのに非常に苦労をしています。特に中小企業とよばれる規模が小さめの会社はより苦戦する傾向にあります。
第35回ワークス大卒求人倍率調査(リクルート社調べ)によると、大卒求人倍率が1.88倍であるのに比べ、中小企業の求人倍率は9倍を超えていることが分かります。
このような深刻な採用難の原因は、一体どこにあるのでしょうか?
原因1:生産人口の減少
少子高齢化が進んでいるだけでなく、いわゆる「団塊」と呼ばれる世代が退職を迎えることで、労働人口が減少傾向にあります。
今後も労働人口は減り続けることが予想されますが、課題として、そもそもの母集団形成をするための対象となる人材数が減っていることがあります。
近年、この生産人工の減少を改善するために、外国人の在留条件の見直しなどがおこなわれ人材確保の動きがありますが、まだまだ労働人口減少の影響は大きく残っています。
原因2:企業とのミスマッチ
ヘイズ・グローバル・スキル・インデックス2015年世界31ヶ国労働需要効率調査(ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社)によると、日本はアジア・太平洋地域で最も採用のミスマッチが起きている国であると述べられています。
それではミスマッチが起きる原因はどのようなものがあるのでしょうか?
1. 求められるスキルが高度化
ミスマッチが多くなるもっとも高い割合として、企業が求める人材要件が高すぎるという点があります。
従来、日本では、1つの専門性を磨き、その後マネージメントスキルを身に着けることが推奨されていました。
しかし、近年はいくつかの専門性を持つ人材が求められ、それにあう人材があまりいないという点があります。人材の募集はしているものの、その募集要項に見合った人材がいないため、ずっとそのポジションが飽き続けてしまっているということもあります。
2. スキルにあった賃金形態になっていない
日本では、近年働き方改革が進み、以前と比べると仕事のあり方が大きく変わってきましたが、それでもなお、年功序列での賃金形態が一般的です。スキルではなく、役職にあわせた賃金形態になっています。
そのため、ハイスキルな人は日本で働くよりも、スキルに見合った賃金形態をとる企業が多い海外の企業に転職する機会が増えました。いわゆる人材の海外流出がおこっているといえます。
3. 多様化した就労条件にあわない
以前であれば、正社員もしくは派遣はコアタイム勤務が主流でした。しかし今は働き方が変わってきています。
在宅勤務や時短勤務、フレックスタイムなど様々な就労形態にあわせて変化が求められます。
毎日の仕事量が異なる中で、コアタイムにこだわりすぎると就労条件が合わないということで敬遠されてしまいます。
2.採用難解決のためにおさえておくべきポイント
「労働人口が減る」「求める人物像のレベルが高度化して見合う人材がいない」さらには「賃金形態がスキルにあっていない」といったことが原因となり、採用が難しくなっています。
しかし、そうはいっても人材を確保しなけれは企業は存続することができません。
それでは、採用難を解決するためにどうしたら良いのでしょうか?ここでは、採用難解決のためにおさえておくべきポイントをご紹介します。
1.多様化を理解
暮らし方、働き方が多様化してきた現在。古い風習には良いことがたくさんありますが、考え方も多様化するようになった今となっては、昔のやり方ばかりを押し付けてしまっては人が寄ってきません。
例えば、「正社員は副業を認めない」「コアタイムで毎日同じ時間だけ働く」など時代の流れに沿わない社風やシステムは魅力を感じてもらうことが難しく、採用活動の妨げになります。
会社としては、従業員がいかに気持ちよく効率的に生産性を高めることができるかが重要です。社風や伝統を重んじつつ、変えることができるところは変えながら時代にあった採用活動をおこなう必要があります。
2.企業にとっての採用人物像を再考する
簡単なようで難しいのが企業の求める人物像です。
10人いれば10通りの考え方があります。採用するにあたっても、担当者や面接官によって求める人物像が違うこともよくあります。
求める人物像がブレてしまうと採用はうまくいきません。求める人物像と異なる新入社員が入っても、会社にとってのメリットはあまりきたいすることができません。
それを防ぐためにも企業にとって必要な人物像がどのような人物像なのかを考え、採用担当全員で共有することが大切です。
3.採用業務を見直す
就職活動は毎年変化します。「面接の開始時期が早くなる」「内定を早くだせるようになる」など、制度の変化にあわせて採用業務の見直しが必要になります。
また、採用内容も多様化しています。「人材紹介を使う」「合同説明会をひらく」「インターンシップをおこなう」など母集団形成から面接の進め方まで採用制度を見直すことも重要です。
採用業務にかかっている費用とその効果を考え、効率的な採用業務を行いましょう。
効率的に採用業務をおこなうことができれば、会社の生産性を高めるなど会社が本来やってほしいと思う業務に集中することができます。
4.離職率をおさえる
採用難の時代なので、新しく入ってくる人の数にはあまり期待することができません。そのような状況で、離職が多いとどうしようもなくなってしまいます。
採用難の今だからこそ、採用した人は少しでも長く会社にいてもらい、生産性向上をめざすことも大切です。
離職率を減らすには、日ごろからコミュニケーションなどを十分にとり、従業員が何を考え、何に困っているのか、どうしたらいいのかを考える必要があるでしょう。
5.採用の幅を広げる
採用は新卒採用、中途採用だけではありません。外国人枠も広がりつつあります。法律の改正により、外国人労働者の職種が増えるだけでなく、在留期間を延ばすことも可能になりました。
また、外国人だけでなく、しょうがい者枠などもあります。例えば、足に障害があるが手は不自由なく動くという方の場合は、移動をしなくても済むい仕事であれば、他の人とかわらない労働力となります。
適材適所を考え、様々な人が働ける環境づくりが重要です。
3.採用難を解決する具体的な方法
採用難だからと言って、人材が確保できない状態が続いてしまうと、企業の存続にかかわってしまいます。
採用難でも希望にあった人材を確保するためには具体的にどのようにすればよいのでしょうか?「新卒採用」「中途採用」にわけて採用難を解決する具体的な方法をご紹介します。
【新卒採用編】
地方学生の採用を検討してみる
超売り手市場で学生が集まらないと頭を抱えている採用担当者が多い中、ひそかに注目を集めているのが地方学生の採用です。
地方の学生は学業に専念している人が多いのが特徴です。都会の学生に比べて遊びの誘惑が少なく、学業第一であることが多いです。
また、地方の場合、都会に比べて情報チャンネルが少ないため、自分で色々工夫をしながら情報を得るなど、自ら能動的に動いて情報を収集することば多く、自走できる人材が多いといった特徴もあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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☑【新卒採用】地方学生を採用するメリットとアプローチ方法とは?
インターンシップを検討してみる
インターンシップとはある一定期間、実際に仕事を体験してもらう機会を学生に与え、就労や企業の雰囲気に触れてもら疑似社会体験のことです。
インターンシップのメリットとしては、会社案内などに比べて実際の職場雰囲気に触れることができるため、学生の入社イメージをつけることができる、そしてそのことより、入社してから「こんなはずではなかった」というような後悔や早期退社を減らすことができます。
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☑【最新】2019年度インターンシップの市況報告|改めてインターン実施のメリットをまとめてみた
送客サービスを活用する
送客サービスは、採用ターゲットにあった学生を説明会や選考に動員してくれるサービスです。本サービスにより手間をかけずに母集団形成をおこないやすくなります。
また、成功してからはじめて報酬が発生するという成功報酬型であるため、費用対効果は大きく、採用の選考フェーズにあわせて送客のプランをつくってくれるという特徴があります。
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☑新卒採用に役立つ送客サービスとは?活用事例とサービスもご紹介
【中途採用編】
第二新卒を採用する
第二新卒とは、明確な定義はないものの、「新卒で3年以内に離職した、または25歳以下の人材」のことをさします。
第二新卒を採用するメリットは、ビジネスマナーなど教育にかけるコストを減らすことができるところにあります。また、前職の期間が短いため、社風などの影響が少なく、自社になじみやすいという特徴もあります。
新卒に比べ即戦力になりやすい、今持っているスキルよりもポテンシャルを重視して採用することができるので、方向性さえあえば、将来を担う人材となる可能性があります。
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☑第二新卒が注目の理由とは?背景やメリット、特化型サービスを紹介
外国人の正社員を検討する
労働人口不足を補うために外国人を採用する企業が増えてきました。
政府も労働人口を確保する一つの手段と認識し、在留条件や期間の緩和など外国人が日本で働きやすい環境を整備しつつあります。単なる通訳など言語に特化したしごとだけでなく、エンジニアなど幅広い職種での雇用が広がっています。
言葉が通じないなど採用における難しさもありますが、一生懸命働く人が多いなどメリットも多いです。
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ダイレクトリクルーティングに着手
ダイレクトリクルーティングとは、従来の受動的な採用活動とは異なり、攻めの採用活動と言われ、企業による積極的な人材採用をさします。
基本的には、自分たちで求職者に対するアプローチ手段を考え、自ら動くことが必要になります。
手間がかかる、始めたころは何をどうすればよいか作業のノウハウもないため苦労するケースが多いですが、自分たちでコントロールできる領域が増え、うまくコントロールできれば、効率的に希望する人材を獲得することができます。
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まとめ
超売り手市場の現在において、ほとんどの企業の採用担当者は採用難でお悩みのことと思います。
労働人口の低下や企業が求める人材の高度化など多様な原因があり、一つの対策では解決できません。企業ごとに自分たちが求める人物像を明確にし、自社の状況を確認することが重要です。
本記事では、採用難である原因を紹介し、それぞれに対策案を提案しました。また、新卒、中途採用、アルバイトなど職種によって行うべき対策が異なるため、それぞれにわけて対策案および、具体的な対策ツールを紹介しました。
自分たちにあった人材を見つけるためにはまず、自分たちの求める人材像を共有することが大切です。ターゲットと違うと、企業としても生産性を高めることができないし、新入社員もこんなはずではなかったのに、と早期退職につながるリスクが高まってしまいます。
採用難だからこそ、逆に自分たちがどのような人物を求めるのか、なぜ必要と感じるのかをじっくり見直すいい機会です。本記事が貴社の今後を担う人材育成のためにお役立ちになれば幸いです。