「給与前払いサービスを導入したいけど、どのようなサービスがあるの?」そのように感じている人事担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
給与前払いサービスとは、従業員が働いた分の給与を給与支払日より前に受け取ることができる仕組みのことです。
今回は「給与前払いサービス」について、給与前払いの仕組みからサービスまで紹介いたします。
目次
企業が実施すべきことについて詳しく解説!
労働人口が減少が続く日本において、「人手不足」は多くの企業に共通する社会課題です。企業成長のためには、この社会課題に対して、各社ならではの対策を進める必要があります。そこで、本講演では、経済産業省で「デジタル人材育成プラットフォーム」の制度設計をおこなう金杉氏にご登壇いただき、企業が現状の社会課題を正しく把握し、正しく対策を立てるために必要となるスタンスについてお話いただきます。また、企業が実際に利用できる国の支援制度や施策についても併せてご紹介します。
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1. 給与前払いサービスを検討するときに、ここだけはチェック!
給与前払いサービスを検討するときに、チェックしておきたい4つのポイントをご紹介します。
1-1. 給与前払いサービスによる運用工数
給与前払いサービスには、採用応募数の増加、離職率の低下という効果が期待できます。ただ、その一方で多くの運用工数がかかってしまうという懸念があります。
たとえば、給与前払いサービスを導入すれば、活用促進のためにその利用方法を従業員に説明する必要が出てきます。
サービスによっては、この説明会の開催を手伝ってくれるサービスもあります。
給与前払いサービスによって、どれだけ運用工数がかかるのかが異なるので、サービス提供者に確認する必要があるでしょう。
1-2. 費用はどれくらいなのか
給与前払いサービスでは、企業もしくは従業員から費用負担が発生します。
導入費用・月額利用料0円といった給与前払いサービスでは、従業員が利用するごとに手数料がかかり、基本的にはその手数料は従業員負担となるケースが多いです。あまりにも手数料が高ければ、従業員の不満につながるので、注意が必要です。
では、手数料がどれくらいかかるか、本記事に掲載されている21サービスの料金体系をもとに、以下の表にまとめてみました。
手数料 | 最大価格 | 324円 |
最小価格 | 108円(ATM手数料) |
※HR NOTE編集部による独自調査結果です ※2019年3月25日時点のデータになります
一方で、導入企業が費用負担するサービスの場合は、企業が初期費用や月額費用を支払う必要があります。
では、初期費用と月額費用はどれくらいかかるか、本記事に掲載されている21サービスの料金体系をもとに、以下の表にまとめてみました。
初期費用 | 最大価格 | 20万円 |
最小価格 | 無料 | |
月額費用 | 最大価格 | 50,000円 |
最小価格 | 無料 |
※HR NOTE編集部による独自調査結果です ※2020年1月時点のデータになります
無料のものから数十万円と費用のかかるものもありますが、必ずしも無料のサービスが良いとは限りません。
企業の状況によっては、無料ではなくても、サポートが手厚いほうが良いというケースもあります。
双方にメリット・デメリットがあり、どちらが良いというものではありません。
それぞれの企業で判断して選ぶようにしましょう。
1-3. 連携している銀行の種類と数はどうか
給与前払いサービスは銀行口座に賃金が振り込まれ、従業員がその口座から賃金を引き落とすという仕組みです。
給与前払いサービスを提供している企業によって、連携している銀行が異なるので、利用できる銀行の種類や数を確認する必要があります。
従業員が口座を持っていない銀行であると、わざわざ口座開設をする手間が発生してしまうので、利用者数が多いメジャーな銀行と連携しているかどうかは確認しておく必要があるでしょう。
1-4. サービスのサポート体制は整っているか
多くの給与前払いサービスには、導入後のサポートがついています。しかし、そのサポート内容は、サービスによって大きく異なります。
導入までのサポートが手厚いサービス、導入後も電話やチャットでサポートしてくれるサービスなどが存在します。
どこまでサポートしてくれるのかは、サービス提供者に確認したほうが良いでしょう。
2. 給与前払いサービス導入によって期待される効果
2-1. 採用応募数の増加
「給与支払い方法を日払いにすると、応募数が約3.7倍アップした」と先述したように、給与前払いサービスを導入することで、採用応募数の増加が期待できます。
株式会社ヒューマントラストが提供する(キュリカ)でも、導入先の企業の応募者数が約2倍になったとのことです。地域によって差があり、店舗によっては応募者数が約6倍になっています。
【参考文献】手間をかけずに、前払いサービスの導入が可能|キュリカ導入企業様の声
2-2. 離職率の低下
給与前払いサービスを利用することで、離職率が低下する理由は2つです。
- アルバイトを掛け持ちしている人にとっては、給与前払い可能な企業のほうが退職する優先度が低くなる
- アルバイトで退職率が高いのは、入社直後ですが、給与前払いにより従業員のモチベーションを保ち、退職を抑止することができる
最初は日払いで従業員のモチベーションを保ち、徐々に仕事のやりがいや組織に対するエンゲージメントを上げていくことをおすすめいたします。
2-3. 給与計算の時間を削減できる
給与前払いサービスは、日払い希望者の従業員の振込み対応や給与計算をスマホひとつで申請ができます。
勤怠管理や給与計算のサービスと自動連携させることで大幅な業務改善も可能です。
給与前払いサービスを利用することで、社内の経費や売上管理といった本来の業務に集中できるようになり、生産性の向上に役立ちます。
【参考文献】Payme|企業様の声
3. 給与前払いサービスを徹底比較
ここでは、20の給与前払いサービスをご紹介します。
プリポケ|サービス手数料1.5%で求人応募数・スタッフ定着率がUP!
【特徴】
- 伊藤忠商事100%子会社が提供する安心安全の給与前払サービス
- 従業員がシンプルな画面で簡単に操作でき、スマホで24時間いつでも前払いの申し込みができる
- 振込業務を委託可能な立替払い型プランは、費用をかけずに運用工数を大幅に削減可能
【金額】
- 初期導入費用無料
- 立替払い型プラン 手数料:従業員からの前払申請金額×1.5%
- 直接払い型プラン 月額:10,000円、利用料:200円/回
※料金は全て税抜表示です。振込手数料は別途ご負担頂きます。
楽天早トク給与|ポイントがもらえて、従業員の満足度や求人の応募率がさらにアップ!
※1 企業様によっては月間受取回数に上限を設けている場合がございます。 ※2 楽天銀行口座で前払い金を受け取る場合が対象です。(楽天銀行受け取りの場合、従業員の方は申請1回につき5ポイントの楽天ポイントを受け取ることが可能)
【特徴】
- 勤怠データを管理画面からアップロードするだけなため手間がかからず、システムに即時反映。企業より連携された勤怠実績を基に申請可能額を算出するため、過払いの心配も無い。
- 管理画面の使い方から、従業員への案内チラシメール作成、コールセンターでのフォロー体制など手厚いサポートが受けられるので、導入から運用までをスムーズに実現可能。
- 従業員は24時間365日カンタンに前払い申請が可能で、メール対応のみのサポートも多い中、電話でのサポート窓口があるので、Webに不慣れな方でも安心。
【金額】
月額費用:25,000円(税別) 従量課金:「1申請あたり固定料金500円」「変動料金2.5%」のどちらかを選択
プリペイ|チャージ式クレジットカード使用で給与をすぐに受けとることができる給与前払いサービス
【特徴】
- 銀行振込に加えて、チャージ型のクレジットカードを使用して即時前払い給料の受け取りが可能。チャージ手数料は銀行振込手数料と同じレベル
- スマホと電話から常時前払い申請が可能。チャージ型クレジットカードなら即時入金。銀行振込ならオプションで当日入金も可能
- CSVファイルを用いて、勤怠管理ソフトとの連携が可能。プリペイの使用のありなしに関わらず一括で処理でき、管理が楽になる
【金額】
- 企業負担 初期費用:20万円 ※今だけ無料
- 従業員負担 振込手数料:200円/回 プリペイ利用料:問い合わせ
Payme|PC・スマホから申請することで、最短即日着金できる給与前払いサービス
【特徴】
- 導入費用・運用費用が無料なので、継続的な運用が費用負担なしにできる
- 入会審査やカード発行が不要でスマホから簡単に前払い申請が可能。最短即日の入金ができる
- シンプルな管理画面で誰でも簡単に業務ができる。また、勤怠データをCSVやバッチ処理、APIを用いることでインポートを自動化させることも可能
【金額】
- 企業負担 初期費用:無料 運用費用:無料
- 従業員負担 お問い合わせ
速払い|10年以上という業界最長の運用実績を持つ給与前払いサービス
【特徴】
- 新規に口座を新設することなく利用できる。また、送金スケジュールや個人ごとの金額設定など柔軟なカスタマイズが可能
- 現行の給与支払方法を変更することなく導入でき、勤怠システムとのデータ連係で業務負荷が軽減できる
- 従業員からの問い合わせ対応や案内資料の作成など、サポート体制が充実しており、業務負荷をかけることなく前払いが実現できる
【金額】 都度お問い合わせ
前給|圧倒的な導入実績と信頼。初期導入コストの不要な給与前払いサービス
【特徴】
- 初期導入コストがかからず、月々わずかな手数料で利用できる
- 従業員情報や勤務実績の登録は無料の簡易ツールを利用する事で一括登録可能。利用開始後のデータ取り込みも簡単にでき、業務負荷をかけることない運用できる
- 従業員が新規に口座を開設する必要がなく、携帯電話やPCからの申請で最短翌日の受け取りが可能
【金額】 都度お問い合わせ
キュリカ|対応ATMは全国65,000台以上。日本初の給与前払いサービス
【特徴】
- 勤怠システムとのデータ連携で、加算額の算出は全て自動化。従業員への案内業務支援を用意
- 全国65,000台以上のATMで引き出し可能。事前申請なしで最短で当日に現金を受け取ることができる
- 専用のアプリで引き出し可能額を確認可能。利用履歴も確認でき、日々の管理を簡単にできる
【金額】
- 企業負担 初期費用:無料 月額システム利用料:お問い合わせ
- 従業員負担 お問い合わせ
即給 byGMO|三井住友銀行と連携、初期導入費用無料の給与前払事務代行サービス
【特徴】
- 三井住友銀行がシステム提供するリアルタイム振込を実現。
- 導入社数は業界最大級の1,500社以上。
- 新規口座やカードの発行不要、いつもの給与口座での受け取り可能。
【金額】
- 企業負担 初期費用:無料 月額費用:お問い合わせ
- 従業員負担 お問い合わせ
まえばらいドットコム|出退勤管理から給与前払いまでお任せ!人事管理の効率化を実現!
【特徴】
- 出退勤の管理・給与計算・給与前払いまでワンストップでサービスを提供し、人事管理を効率化
- 携帯電話を用いた出退勤管理システムで従業員の出退勤情報をリアルタイムに収集。給与前払いシステムとの連携で、従業員はいつでも前払いの申請が可能
- 携帯・PCからの申請で最短翌日に入金
【金額】 都度お問い合わせ
前払いできるくん|働いた分お給料を好きなときに受け取れる前払いサービス
【特徴】
- 準備資金、導入資金、運用資金が不要。最短一週間で利用可能
- 従業員からの問い合わせは専門スタッフが対応するため、前払い業務をおこなう専用の事務員は不要
- インターネットに繋がるPC、携帯電話があれば24時間365日申請が可能。最短即日の振込ができる
【金額】
- 企業負担 初期費用:無料 運用費用:無料
- 従業員負担 お問い合わせ
フレックスチャージ|必要なときに必要な金額を受け取れる仮払いサービス
【特徴】
- PCや携帯電話から限度額の範囲内で必要なときに必要な額を簡単、手軽に受け取れる
- インターネット環境があれば利用可能。システム投資の必要がないので低コストで仮払いシステムが導入できる
- 仮払いはWeb上でおこなうことができるので、事務負荷を低減する事ができる
【金額】
都度お問い合わせ
CRIA|初期費用・月額費用・従量費用無料で導入できる給与即時払いサービス
【特徴】
- スマホアプリを利用していつでも前払いの申請が可能。最短で当時振込ができる
- 初期費用・月額費用・従量費用が無料。また、前払いの資金を事前に準備する必要がないためキャッシュフローを圧迫しない
- 従業員向けのスマホアプリ、企業向けの管理画面がわかりやすいユーザーインターフェースで使いやすい
【金額】
- 企業負担 初期費用:無料 運用費用:無料
- 従業員負担 お問い合わせ
エスプリ|給与支払期間を変更せずに導入できる給与前払いサービス
【特徴】
- 専用決済口座への振り込みで運用できるため、新たな銀行口座を開設することなく導入が可能
- アルバイトスタッフへの給与振り込みの代行も可能。振込手続きの業務負荷を軽減できる
- 企業と従業員の両方が手数料を負担。従業員は定額の手数料を負担するため、福利厚生サービスの側面が強い
【金額】
- 企業負担 初期費用:40,000円 月額費用:5,000円
- 従業員負担 手数料:108円 or 324円 ※支払いまでの期間により異なる
ほぼ日払い君|必要なときに必要な分だけ引き出せる前払いサービス
【特徴】
- 給与口座がジャパンネット銀行の場合24時間365日リアルタイムでの受け取りが可能。その他の金融機関でも営業時間内ならリアルタイムでの受け取りができる
- スマホ、PCから簡単に申請、上司の承認なしで給与振込口座に入金される。新しく口座をつくる必要がない
- 初期費用、月額費用がかからず、負担なく給与前払いシステムが導入できる
【金額】 都度お問い合わせ
Advanced Pay SAISON|給与受け取りの自由度アップで、働くひとを笑顔にする給与受取サービス
【特徴】
- 従業員の勤怠データを連携するだけで運用可能。前払資金も給与支給日まで立替をするためキャッシュフローを圧迫しない
- 専用のWebサイトにアクセスするだけで申請可能。最短当日に振り込みできる
- 初期導入費、月額料金無料。新規の口座開設や前払い資金の準備が不要なため、コストをかけず導入できる
【金額】
- 企業負担 初期費用:無料
- 従業員負担 お問い合わせ
デジペイメント|ユーザー数12万人以上!給与を簡単に前払いできる給与前払いサービス
【特徴】
- ランニングコストなしに前払いシステムが導入できる
- 事務作業は定型作業のみ。勤怠ソフトとAPI連携可能で、事務作業の負担を大幅に軽減できる
- PC、スマホの他自動音声電話での支払い申請が可能。スマホが不慣れでも安心して利用できる
【金額】 都度お問い合わせ
エニペイ|デジタル給与払いに対応予定の新サービス
【特徴】
- 給与振込を一括で代行してくれるため、送金手数料が当社への振込1回分で済む
- 従業員は、クレジットカードや生活費などの支払日に併せて、給与を好きなタイミングで受け取ることができる
- 従業員に他にない「新しい給与体系を提供することで、採用応募者数や定着率のアップに貢献できる
【金額】 都度お問い合わせ
サービス名:エニペイ 提供会社:株式会社Payment Technology URL:https://pay-tech.co.jp/anypay/
4. 給与前払いサービスが増加している背景
従業員から「給与を前払いで渡してほしい」と要望された際に、給与前払いサービスを利用せずに自社で給与を前払いしようとすると、様々な工数が発生するでしょう。
従業員から要望に受けた際に、その従業員の勤怠情報をもとにその日までの給与を計算し、支払いをおこなうことになります。また、所定の給与支払日の支払額は、前払いで支払われた金額を差し引かなければなりません。
要望に応じて都度これらの対応をおこなうのは大幅な工数がかかってしまいます。
給与前払いサービスを導入することで、これらの手間をかけずに、従業員に給与の前払いができるようになります。
また、料金形態はさまざまですが、費用を抑えて給与の前払いに対応できるといった理由でからも給与前払いサービスの利用が進んでいるようです。
5. 給与前払いサービスってどんな仕組み?
ここでは、給与前払いサービスの仕組みについてご紹介します。
- 給与前払いサービスを利用するには、まず前払い費用のための口座を開設する必要があります。従業員に対しての前払いは、すべて開設した口座から支払われます。
- 従業員が給与前払いサービスを利用したい場合は、ジンジャー給与前払いで申請をおこないます。申請した分は、最短で当日に振り込まれます。
- ジンジャー給与前払いに勤怠・給与データなどの従業員データが連携されるので、働いた分以上の前払い申請はおこなうことができません。
- 導入企業は、口座維持費用をジンジャー給与前払いに月額費用として支払います。
6. 給与前払いサービスは貸金業ではないのか?
6-1. 貸金業って何?
貸金業とは、金銭の貸付けや金銭の貸借の媒介をおこなうことです。貸金業をおこなうためには、登録する必要があり、無登録営業をおこなうと罰則が適用されます。
手形の売買や売渡担保は、形式的には売買ですが、実質は資金の貸付けで、貸金業に含まれます。また、金銭の貸付けに利息がなかったとしても、貸金業に該当します。
【参考文献】『貸金業』の定義と登録制・無登録営業への罰則|みずほ中央法律事務所
6-2. 給与前払いサービスは貸金業に該当するの?
2018年12月20日に経済産業省から発表された、「給与前払いサービス」に関する金融庁からの回答によると、給与前払いサービスは貸金業に該当しません。
下記の条件は、給与前払いサービスが貸金業に該当しないために必要な条件です。
- 従業員の勤怠実績に応じた賃金相当額を上限とした給与支払日までの極めて短期間の給与の前払いの立替えである
- 導入企業の支払い能力を補完するための資金の立替えをおこなっているものではない
- 手数料についても導入企業の信用力によらず一定に決められている
【参考文献】グレーゾーン解消制度「給与前払いサービス」|経済産業省
7. まとめ
今回の記事では、
- 給与前払いサービスの導入検討前にチェックしておきたいポイント
- 給与前払いサービスの徹底比較
- 給与前払いの仕組み
についてご紹介しました。
給与前払いサービスを導入することで、採用応募数が増加したり、離職率が低下したりといった効果が期待できます。また、給与前払いは「従業員を信用リスクから守る」「新社会人にお金の考え方に教育する」ことにも役立ちます。
給与前払いサービスの検討に、少しでもお役に立てていれば幸いです。
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