タイムカードによる不正打刻は厳重に取り締まるべきですが、アナログ管理の部分もあり、案外簡単におこなわれてしまいがちです。
今回は、勤怠管理において「なぜ不正打刻が発生してしまうのか」「どうすれば未然に防ぐことができるのか」というポイントについて解説します。
また、タイムカードによる不正打刻を防止するための抜本的な解決策として検討すべき、勤怠管理システムの重要性と、9つの最新サービスを紹介します。
数多くある勤怠管理システムの中から、自社に見合うシステムを探す際、何を基準にして選べばいいのか、悩まれる方も多いのではないでしょうか。
そのような方のために今回、社労士監修のもと、「勤怠管理システムの比較表」をご用意いたしました。資料には以下のことがまとめられています。
・勤怠管理システムの5つの選定ポイント ・社労士のお客様のシステム導入失敗談 ・法対応の観点において、システム選定で注意すべきこと
お客様の声をもとに作成した、比較表も付属しています。これから勤怠管理システムの導入を検討されている方はぜひご活用ください。
目次
1. 勤怠管理で気をつけたい不正打刻の事例

勤怠管理をするうえで気をつけたい不正打刻には、どのような事例があるのでしょうか。また、打刻における問題が起こってしまう背景には、どのような理由があるのでしょうか。ここでは、実際に起こりやすい不正打刻の事例を3つ紹介します。
1-1. タイムカードを代理で打刻する
従業員本人ではなく、別の従業員が代理で打刻することは、不正打刻の代表的な事例です。たとえば遅刻しそうなときに、すでに出社している同僚に頼んで打刻してもらうケースなどが考えられます。
代理打刻が発生すると、出退勤時刻を正確に記録できなくなるのはもちろん、働いていない時間に対しても賃金を支給することになってしまいます。紙のタイムカードを利用していると簡単に代理打刻ができてしまうため、不正が頻発している場合は対策を検討しなければなりません。
1-2. 出勤時刻・退勤時刻を書き換える
出勤時刻や退勤時刻を勝手に書き換える、という不正が発生することもあります。出退勤時刻の書き換えは、手書きやエクセルなどのタイムシートを活用している場合に発生しやすい事例です。
従業員が自由に書き込める場合、遅刻をなかったことにしたり、残業時間を多く記入したりすることもできます。残業代の不正受給などにつながるため、記入するときや修正するときのルールを設定しておくことが重要です。
1-3. 会社の都合で改ざんする
従業員が不正をおこなうケースだけではなく、会社の都合で改ざんがおこなわれるケースもあります。たとえば、残業代を支払いたくないために、従業員が記入した残業時間を不正に書き換えるなどの事例が考えられます。
従業員が働いた分の賃金を正しく支給しないことは、労働基準法違反です。6カ月以下の懲役や30万円以下の罰金が科せられる可能性もあるため絶対に避けましょう。
ここまで紹介したような不正打刻は、数年間にわたりおこなわれている事例もあります。しかし、不正打刻は法律違反であり、発覚した際には「懲戒解雇処分」が妥当とされています。早めに手を打ち、健全な勤怠管理をするためにも、不正打刻をさせない環境をつくることが重要なポイントです。
勤怠管理における重要なポイントなどについては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
※参考:おさらい!そもそも勤怠管理とは?重要ポイントとその方法
2. 勤怠管理において不正打刻が起きる原因

そもそも、なぜ不正打刻がおこってしまうのでしょうか。ここでは、不正打刻が発生する原因について詳しく解説します。
2-1. 賃金を多く受け取りたい
不正打刻が発生する背景には、「働かずしてお金を手に入れたい」という願望や、「固定給が低い」という理由が見え隠れしています。
しかし、どのような思惑があるにせよ、先ほども述べたように不正打刻はまじめに働いている人たちを裏切る行為であり、法律上では詐欺罪に該当してしまうものです。人事や労務担当者としては、不正打刻が発生しないような仕組みづくりを徹底する必要があります。
2-2. 勤怠管理の方法に問題がある
勤怠管理の方法に問題があることも不正打刻が発生する原因のひとつです。前述の通り、一般的なタイムカードを利用していると、代理打刻などの不正が発生しやすいため注意しなければなりません。
また、不正打刻を見つけるには紙のタイムカードをひとつずつ確認し、記載されている出退勤時間と予定されていたシフトなどを確認する必要があります。ときには管理監督者へ連絡し、実際の出勤時間や退勤時間を確認する手間が発生するでしょう。勤務時間が少ない割に残業代が多いなど、実態調査として管理者が調べることが唯一の手段なのです。
2-3. 職場環境に問題がある
職場環境の問題が不正打刻につながるケースもあります。たとえば、サービス残業が多く発生している会社では、働いた時間分の報酬を手に入れるために「サービス残業」VS「不正打刻」といったバトルが繰り広げられていることもあるかもしれません。
このようなことを未然に防ぐためにも、不正打刻をさせないクリーンな職場環境をつくっていくことも重要になってくるでしょう。
管理監督の目の厳しさや、不正を許さない風土など、従業員が不正に打刻をしないような心理的な制限も必要かもしれません。こうした効率的な勤怠管理の妨げになる不正打刻問題を解決するために、抜本的な改善施策として注目されているのが「勤怠管理システム」です。
【無料DL:タイムカードと勤怠管理システムの違いとは?】 ▶︎勤怠管理システムを使用した タイムカードの課題解決BOOK
3. 勤怠管理において不正打刻が発生したときの対処方法
勤怠管理において不正打刻が発生したときは、事実確認をおこない、必要に応じて指導するなど、正しく対応しなければなりません。具体的な対応手順は以下の通りです。
3-1. 事実確認をおこなう
不正打刻が発覚したときは、対象の従業員や上司、同僚などに対してヒアリングをおこない、事実関係を確認しましょう。具体的な対応を検討する前に、実際の出退勤時刻や残業の有無などを確認することが重要です。
単純な打刻ミスであったり、特別な理由が存在したりする可能性もあるため、しっかりとヒアリングしておきましょう。
3-2. 注意・指導をおこなう
従業員が悪意をもって不正打刻をしていた場合は、注意や指導をおこないます。勤怠管理の重要性を伝えたうえで、出退勤時刻を書き換えたり、残業代を不正に受け取ったりすることは違法であることを理解させなければなりません。
また、悪質な場合は懲戒解雇を検討することも可能ですが、いきなり解雇という重い処分を与えることは認められないケースもあります。まずは注意や指導をおこない、改善を促すことが重要です。
3-3. 懲戒解雇を検討する
懲戒解雇とは、従業員が不正をおこなったことなどを理由に労働契約を解除することです。懲戒処分のひとつであり、従業員に対する最も重い罰則として位置付けられます。
前述の通り、いきなり解雇するとトラブルが発生しやすいため、減給や降格など、軽い処分から順番に与えていくのが一般的です。繰り返し注意したり、軽い処分を与えたりしても状況が改善されない場合は、懲戒解雇を検討しましょう。
3-4. 過払い分を返金してもらう
残業代などを払いすぎている場合は、過払い分を返金してもらう必要があります。返金を要求せずに放置すると、ルールが曖昧になってしまい、不正打刻が横行する環境になってしまうかもしれません。
他の従業員のモチベーションやモラルが低下するケースもあるため、厳しく対応するようにしましょう。
4. 勤怠管理システムで不正打刻を防止

悪質な不正打刻は、不正打刻をしている従業員だけでなく、管理者・監査者の管理監督不足として、会社の信用を落としてしまうような損害にもつながりかねません。このような事態を避けるには、不正打刻を確実に防ぐことが求められます。
勤怠管理システムを導入することは、起こりがちな不正打刻の問題も解決できる方法のひとつです。勤怠管理システムには多様な打刻方法があり、会社のセキュリティーカードや定期券で使っているような「ICカード」での打刻、スマートフォンやタブレット端末から「アプリ」を利用しての打刻、指紋や静脈を読み込んでの「生体認証」を利用した打刻、パソコンでログインしてパスワードを入力しておこなう「Webブラウザ」での打刻などがあり、同時に勤怠管理の効率化も実現できます。
上記に挙げたような打刻デバイスにはメリット・デメリットがありますが、タイムカードでの打刻と比較をしてみると、現行の多くの不正打刻を防ぐことが可能です。
また、勤怠管理システムを導入することで従業員の勤怠を一括で管理することもできるので、タイムカードよりも効率よく集計・管理できるでしょう。
▶最新の打刻方法に関する記事はこちら!
5. 不正打刻の防止に役立つ9つの最新勤怠管理システム
不正打刻を防止する手段として、勤怠管理システムの活用を紹介しました。
勤怠管理システムの導入は、不正打刻の防止に役立つだけではなく、勤怠データの集計や、給与計算ソフトへの連携など、これまで人事担当者様が月末月初に時間をかけていた集計作業を大幅に削減することができます。
そこで、ここでは不正打刻の防止、業務工数削減やコスト削減などに役立つ、クラウド型の勤怠管理システムを紹介します。
それぞれの勤怠管理システムの特徴や金額をわかりやすく比較しているので、不正打刻を未然に防止したい担当者はぜひ参考にしてください。
5-1. ジンジャー勤怠管理|位置情報や画像認証などマルチデバイス対応で不正打刻防止のクラウド型勤怠管理システム
- PC、スマホ、タブレットなど複数の打刻方法に対応。顔認証やGPS打刻などの機能により不正打刻を防ぐこともできます。
- 従業員一人ひとりの労働時間をリアルタイムで確認することができるため、月の途中で現時点の労働時間を確認することができ、長時間労働を未然に防ぐ仕組みづくりも可能です。
- 打刻漏れがあった場合や労働時間が一定時間を超過した場合、アラートで知らせることが可能で、管理者が従業員に個別で連絡をする手間を削減できます。
【料金】
こちらからお問い合わせください。
サービス名:ジンジャー勤怠管理 提供企業:jinjer株式会社 URL:https://hcm-jinjer.com/kintai/
5-2. Money Forward クラウド勤怠│働き方改革をサポートする勤怠管理システム
【特徴】
- 従業員の勤怠管理データを元に残業や休暇の取得状況をリアルタイムで把握し、より強固な労務管理体制を構築できる。
- 基本勤務制・シフト制・裁量労働制・フレックスタイム制など、どんな就業ルールでも対応可能。
- 従業員データなどのインポート機能で、既存ソフトからの乗り換えや給与計算ソフトからのデータ移行も簡単にできる。
【料金】
- 初期費用:無料
- 月額:300円/1ユーザー
- 1か月の無料トライアルあり
5-3. キングオブタイム|働き方が変わる勤怠管理システム
【特徴】
- 生体認証(指紋、正静脈)を利用すれば、100%成りすましによる打刻を防止。
- ICカードやPWにより不正打刻を防止できる。
- 次世代の2次元カラーコード「カメレオンコード」と、iPadのカメラ機能により、顔認証による打刻ができるようになる。
【料金】
- 初期費用:無料
- 月額:300円(税抜)/1ユーザー
- 30日間の無料体験実施中
サービス名:キングオブタイム 提供企業:株式会社ヒューマンテクノロジーズ URL:https://www.kingtime.jp/
5-4. タッチオンタイム|勤怠管理が驚くほど楽になる、クラウド勤怠管理システム
【特徴】
- タッチオンタイム専用のタッチオンタイムレコーダーで、指紋認証、ICカード、パスワードの3通りの打刻が選べて、不正打刻を防止。
- 職種、業種、業態、規模を選ばずに活用することができるので、どんな企業でも簡単に利用ができる。
- 導入から運用をしっかりサポート。ヒアリングをおこない、企業にあった運用方法をご案内。
【料金】
- 初期費用:無料
- 月額:300円(税抜)/1ユーザー
- 30日間の無料お試し実施中
サービス名:タッチオンタイム 提供企業:株式会社デジジャパン URL:https://www.kintaisystem.com/
5-5. フリーウェイタイムレコーダー|従業員のICカードやスマホを使えるクラウド勤怠管理システム
【特徴】
- FeliCa対応のICカードで打刻が可能。従業員が持っているスマホやICカードでの打刻ができるので、不正打刻を防止しやすくなる。
- 出退勤時間の収集や集計を自動化。紙で管理をするよりも業務効率が向上。
- パソコンとネットさえあれば、いつでもどこでも勤務実績を確認できる。
【料金】
- 初期費用:無料
- 月額:980円(税抜)従業員数11~20名 ※従業員数が10名増えるごとに、月額利用料が500円(税抜)加算
- 10人までなら無料で利用可能
サービス名:フリーウェイタイムレコーダー 提供企業:株式会社フリーウェイジャパン URL:http://freeway-timerecorder.com/
5-6. タイムバリュー|不正打刻の防止にも対応の勤怠管理システム
【特徴】
- ICカードリーダーの導入で、スタッフの携帯電話が打刻に必要になり、本人以外の打刻を未然に防げる。
- スタッフの打刻データは、管理者の管理画面で確認することができるので、打刻者の不正をすぐに見つけることができる。
- タイムカードでは時間がかかっていた集計作業も、自動集計が可能になり工数の大幅な削減が可能。
【料金】
- 初期費用:無料
- 月額:290円(税抜)/ユーザー
サービス名:タイムバリュー 提供企業:株式会社シスプロ URL:http://www.timevalue-syspro.net/
5-7. ジョブカン勤怠管理|すべての「働く」を支える勤怠管理システム
- 指静脈認証打刻を活用すれば、従業員本人の指でしか打刻ができないので、不正打刻を防止。
- 従業員の休暇や残業の申請を一元管理。従業員はLINEから有給休暇の残日数の確認ができる。
- 時間になっても出勤打刻がない従業員などに、アラートメールを送信。管理画面から従業員の状態をリアルタイムで管理。
【料金】
- 初期費用:無料
- 月額:200円~(税抜)/1ユーザ シフト管理、休暇/申請管理、工数管理は別途オプション料金:各+100円/月
サービス名:ジョブカン勤怠管理 提供企業:株式会社Donuts URL:https://jobcan.ne.jp
5-8. Clouza(クラウザ)|カンタンに使える、勤怠管理クラウドサービス
【特徴】
- PC、スマホ、タブレットなどのデバイスでの打刻と位置情報の確認ができるので、不正打刻がないかを確認ができる。
- 打刻管理だけでなく、シスト管理を同じシステム内でカンタンに設定できる。
- 給与計算ソフトとの連携や、PDFの出力など、さまざまな用途によってレポートの出力ができる。
【料金】
- 初期費用:無料
- 月額:200円(税抜)/1ユーザー
- 30日間の無料お試し体験実施中
サービス名:Clouza(クラウザ) 提供企業:アマノビジネスソリューションズ株式会社 URL:https://clouza.jp/
5-9. RecoRu(レコル)|使いやすさと導入のしやすさを追求した勤怠管理システム
【特徴】
- 指紋・静脈認証ができる専用のタイムレコーダーで、高セキュリティな本人認証を実現し、不正打刻を防止
- 使いやすさ重視の設計で、日々の勤怠チェックや毎月の集計作業を効率化し、事務負担を大幅軽減
- 専門のサポート担当者がいるので、操作方法や自社にあった使い方など、気軽に相談できる。
【料金】
- 初期費用:0円
- 月額:100円(税抜)/1ユーザー ※最低利用料金は3,000円~
サービス名:RecoRu(レコル) 提供企業:中央システム株式会社 URL:https://www.recoru.in/
6. 勤怠管理システムの導入で不正打刻がない職場に
今回は、不正打刻が発生する原因や対策などを解説しました。不正打刻を発生させないためには、打刻ツールをタイムカードから勤怠管理システムなどに変更して、従業員が不正打刻をできないような環境を整えることが重要になってきます。
タイムカードでの打刻では、不正打刻が実際におこなわれていたとしても、管理者側で確認することが難しく、見逃してしまっていることも多くあるかもしれません。以前は、組織によっては残業時間を付けないために、従業員に定時で打刻をした後で残業をしているという話を耳にすることもありました。
このような不正打刻や、労働時間の改ざんを企業が見落とすことは、「働き方改革」に取り組まなければいけない今の時代では、企業としての信用を失ってしまうことになってしまいます。このようなことにもならないためにも、勤怠管理システムの導入を検討してみましょう。
また現在では、国内でも勤怠管理システムは数えきれないほど存在します。無料で始められるものや機能別で業界に特化したものなど、さまざまな勤怠管理システムが登場してきました。勤怠管理にお悩みの人事担当者は、以下の記事なども参考にしながら導入を検討してみてください。