法律に従って勤怠管理をおこなうことは企業の義務です。しかし、最近ますます頻繁になった労使トラブルのニュースを聞くたびに、「うちの会社は労働基準法を守れているか?」「自社の勤怠管理は大丈夫だろうか?」と不安に思うこともあるでしょう。
実際、2019年から施行された働き方改革関連法によって、労働者の雇用に関するさまざまなルールは改正されています。時間外労働や有給休暇などについても改正がおこなわれました。
これらの法改正に対応していくためには、どのように勤怠管理業務をおこなっていくべきなのでしょうか?
今回は、労働基準法や労働安全衛生法に基づいた勤怠管理ルールについてわかりやすく解説します。
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目次
1. 勤怠管理の法的意義
まず、そもそも勤怠管理はどのように法律と関わっているのでしょうか?
改めて勤怠管理の法的意義についてみていきましょう。
※参考:勤怠とは?意味や勤怠管理の目的・具体的な方法について解説
1-1. 労働者の保護
長時間労働は健康への悪影響があることから、労働時間の上限規制は先進諸国における労働法の中核をなしてきました。
今改めて勤怠管理の合法性が求められる背景のひとつとして、年々増している過重労働による従業員の健康トラブルが挙げられます。
1-2. 企業の保護
勤怠管理の目的は、従業員の健康維持だけではありません。
勤怠管理を通じた適切な労働時間配分や、従業員の健康に直結する勤務時間を把握することで、会社にとって大きいダメージとなる過労死や過労自殺、その他賠償責任につながる業務上の過失や離職率の上昇など、さまざまな労使トラブルから企業を守る目的もあるのです。労働者にとっても企業にとっても勤怠管理は重要なので、しっかりとおこなっていきましょう。
2. 勤怠管理に関する法的ポイント
では、勤怠管理をおこなううえで、まず理解しておきたい現行の法的ポイントには何があるでしょうか?
本章では勤怠管理のポイントを3点紹介します。
2-1. 労働時間=実際に働いた時間
労働基準法上の労働時間とは、「実労働時間」とされています。就業規則や労働契約に記載されたものではありません。
「労働時間」の法的定義は、条文中にはっきりと記載されてはいないものの、これまでの判例などをみてみると、労働時間=労働契約という考え方に基づき、使用者の指揮命令下に置かれた時間であるとされています。
この労働時間には、使用者が黙認・許容した場合の残業だけでなく、自宅に持ち帰った残業や作業前後の着替え時間も含みます。
労働時間の範囲を正確に理解したうえで、労働時間を把握しないと労使トラブルになる可能性もあるため、注意しましょう。
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2-2. 勤怠管理の法的義務
労働基準法では、使用者には従業員の労働時間を適切に管理する義務があると定めています。
労働基準法には、一週間あたりの労働時間が40時間を超えてないこと(第32条)、それを超える場合は労使協定を締結し、労働基準監督署長に届ける必要があること(第36条)などが定められています。そのため、法律で定められている労働時間を超過していないか確認するためにも、労働時間の把握が必要です。
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2-3. 労働時間の客観的な把握
では、勤怠管理における、具体的な「労働時間の把握」の方法は何があるのでしょうか。
企業には労働安全衛生法に則って以下のような方法で労働時間管理をすることが求められています。
- 使用者がその場で労働日ごとの始業時間と従業時間を確認・記録すること
- タイムカードやICカードなどの客観的な記録をもとに確認・記録すること
また、これらの記録に関する資料は、5年間保存しなければなりません(ただし、現状は経過措置として3年間でも問題ありません)。
労働安全衛生法が2019年4月に改正されたことによって、労働時間の客観的な把握をしておく必要があります。必要になった際に提出できるように保管しておかなければならないため、勤怠管理システムなどを用いて管理しておくと、書類管理などが発生せず、紛失のリスクも抑えられます。
3. 勤怠管理に関する労働基準法の改正内容
勤怠管理に関する法律は、度々改正されています。以下、今までの変更点や違反した場合の罰則を解説しますので、チェックしておきましょう。
3-1. 2019年に改正された労働基準法のポイント
- 時間外労働における上限制限(月45時間、年360時間)
- 年次有給休暇の5日間の取得義務化
時間外労働を定める際には「36協定」の締結が必要です。また、臨時の特別な事情がある場合は特別条項付き36協定を締結したうえで、以下の上限を超えてはいけません。
- 時間外労働が年720時間以内
- 時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満
- 時間外労働と休⽇労働の合計について、2~6カ月の時間外労働の平均がそれぞれ80時間以内
- 時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは年6カ月まで
年次有給休暇については、年10日以上有給休暇が付与される労働者に対し、年5日確実に取得させなければならず、取得していない場合は使用者が時季指定して取得させなければなりません。
3-2. 2023年4月から中小企業の時間外労働の割増賃金が引き上げられた
働き方改革関連法により、2023年4月より、中小企業でも月60時間以上の時間外労働については法定割増賃金率が50%となりました。
中小企業に対する猶予期間が設けられていたため、以前は25%の割増率で問題ありませんでした。しかし、2023年4月以降は、企業の大小に関係なく、月60時間以上の時間外労働には法定割増賃金率50%が適用されるため注意しましょう。
3-3. 2024年4月から時間外労働の上限規制が全業種に適用される
2024年4月から、時間外労働の上限規制が全業種に適用されます。建設業・運送業・医療業など、一部の業種については上限規制の適用が免除されていましたが、2024年4月で猶予期間は終了しました。特別条項付きの36協定を締結している場合でも、上限規制の範囲内で労働させる必要があるため注意しましょう。
参考:建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制 (旧時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務)|厚生労働省
この機会に勤怠管理システムを導入して管理業務を効率化したり、従業員へ法改正の内容を周知したりすることが重要です。
3-4. 勤怠管理における罰則
労働時間の把握方法に関しては明確な罰則は設けられていません。しかし、厚生労働省は「原則、労働時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」を定めているため、可能な限り尽力する必要があります。
タイムカードやICカード、勤怠管理システムを使用し、客観的で正確な労働時間の管理ができるように努めましょう。
また、時間外労働の上限規制に違反した場合には罰則が設けられています。時間外労働の上限規制に違反すると「6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」が科せられます。
上限規制に対する違反を防ぐためにも、客観的な労働時間の管理ができるようにすることが大切です。
本章で解説したように、法改正を繰り返すことで、年々勤怠管理のルールが複雑になっているため、勤怠管理の担当者は正しい知識を有することが求められます。
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4. 労働基準法に則った勤怠管理のポイント
勤怠管理は、労働基準法に従って適切におこなう必要があります。ここでは、勤怠管理のポイントを紹介しますので理解を深めておきましょう。
4-1. 労働時間は1分単位で把握する
労働時間は、1分単位で把握しなければなりません。労働基準法の第24条によって、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められているからです。労働時間を15分単位で管理したり、5分の遅刻を15分に切り上げて記録したりすると、全額払いの原則に反してしまいます。
労働基準法に違反しないよう、労働時間や残業時間は1分単位で把握しましょう。ただし、1カ月における残業時間・深夜残業時間・休日労働時間について、それぞれの合計に1時間未満の端数がある場合、30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げることは可能です。
4-2. 着替えなどの時間も労働時間に含まれるケースがある
そもそも労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことです。たとえば、会社の指示により指定の制服に着替える必要がある場合などは、着替えの時間も労働時間に含まれます。強制参加の朝礼や上司の指示による掃除の時間なども労働時間に該当するでしょう。
逆に、自分の意志で作業用の服に着替える場合などは、労働時間に該当しません。労働時間に該当する場合は、正しく記録したうえで賃金を支払う必要があります。
4-3. 出勤簿を適切に管理する
出勤簿は法定三帳簿のひとつであり、賃金台帳や労働者名簿とあわせて、適切に管理しなければなりません。出勤簿については、労働基準法の第109条によって重要な書類と位置付けられており、作成と保存が義務付けられています。出勤簿の保存期間は5年間です。紛失しないよう、管理場所を決めてしっかりと保存しましょう。
4-4. パートやアルバイトにも有給休暇を付与する
パートやアルバイトの従業員に対しても、有給休暇を正しく付与しなければなりません。入社してから6カ月以上継続して働いており、出勤率が8割以上である従業員は、有給休暇の付与対象となります。
ただし、有給休暇の付与日数は、継続勤務年数や週所定労働日数によって異なります。出勤日数の少ないパートやアルバイトへの付与日数は、一般の従業員とは異なる可能性が高いため注意しましょう。
5. 労働基準法に則った勤怠管理には便利なシステムが最適
労働基準法に従って勤怠管理をおこなううえでは、便利なシステムを導入するのがおすすめです。働き方改革に伴う労働基準法などの改正によって、勤怠管理はより煩雑になっています。
そのような状況のなか、さまざまな機能を併せ持つ勤怠管理システムを利用することで抜本的な効率化が期待できるでしょう。ここでは、勤怠管理システムの主な特徴や魅力を紹介します。
5-1. 多彩な機能が搭載されている
勤怠管理システムでは、出退勤の打刻から集計、申請、承認やシフト設定、給与計算にソフトに取り込むデータ作成までもがシステム上で完結します。
パソコンだけでなく、スマートフォンやICカードで遠隔からの入力が可能なシステムも多いため、リモートワークにも対応できます。
5-2. 勤怠状況をリアルタイムに把握できる
勤怠管理システムを利用することで、端末からリアルタイムで勤怠状況を確認できます。それにより勤務状況から発生しがちな問題を未然に防ぐことも期待できるでしょう。
打刻忘れだけでなく異常な勤怠を知らせるアラート機能を備えるサービスもあり、業務の効率化だけでなく、コンプライアンス強化にも貢献するといえます。
※参考:クラウド型勤怠管理システムとは?導入メリット・選定のポイント
5-3. 人事・労務に関する業務を効率化できる
勤怠管理システムをうまく活用することで、人事・労務に関する業務を効率化できます。たとえば、従業員ごとの勤怠情報をもとに給与を自動で計算したり、システム上で有給休暇の申請を承認したりできるため、担当者の負担を軽減できるでしょう。
手作業で勤怠情報を入力したり計算したりすることがなくなるため、ヒューマンエラーの防止にもつながります。
5-4. アラートを活用して過重労働を防止できる
アラート機能が搭載された勤怠管理システムを活用すれば、過重労働を防止できます。勤怠管理システムには、毎日の労働時間や残業時間などのデータが蓄積されていき、労働基準法による上限規制を超えそうなときにアラートを発してくれます。
事前にアラートによる通知を受け取れるため、知らないうちに法律違反をしていたという事態を防げるでしょう。勤怠状況をリアルタイムに把握することで、人員の再配置や業務の再配分を検討することも可能です。
5-5. 法律の改正に楽に対応できる
法律の改正に楽に対応できることも勤怠管理システムの魅力です。クラウド型の勤怠管理システムであれば、法律改正があったタイミングで自動でアップデートされ、常に最新のルールを遵守した状態で利用できます。
エクセルなどで勤怠管理をしていると、法律改正のたびに設定を変更する必要がありますが、勤怠管理システムを活用すれば変更の手間はかかりません。
6. 労働基準法に合わせた勤怠管理システムを紹介
現在、さまざまな勤怠管理サービスが数多く展開されています。ここでは、とくに労働基準法を遵守しながら勤怠管理できるシステムを選んで紹介します。
ジンジャー勤怠
【特長】
- 写真撮影による笑顔判定打刻、GPSを活用した打刻方法など、多彩な打刻が可能で、不正打刻の防止にも繋がる
- 管理者専用アプリを活用すれば、従業員の打刻のリアルタイムのチェックや、直行直帰申請などをラクラク承認
- クラウド型のタイムカードなので、ブラウザのジンジャー勤怠に自動的に情報が同期される
費用 | 初期費用300,000円~ トライアル期間あり 月額400円/ユーザ |
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提供企業 | jinjer株式会社 |
URL | https://hcm-jinjer.com/kintai/ |
Money Forward クラウド勤怠
【特長】
- 従業員の勤怠管理データを元に残業や休暇の取得状況をリアルタイムで把握し、より強固な労務管理体制を構築できる。
- 基本勤務制・シフト制・裁量労働制・フレックスタイム制など、どんな就業ルールでも対応可能。
- 従業員データなどのインポート機能で、既存ソフトからの乗り換えや給与計算ソフトからのデータ移行も簡単にできる
費用 | 初期費用無料 トライアル30日間あり 月額300円/1ユーザー |
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提供企業 | 株式会社マネーフォワード |
URL | https://biz.moneyforward.com/attendance/ |
follow Smart Touch
【特長】
- 法改正などで生じるバ―ジョンアップは無料で提供
- NTTコムウェアが業界最安値クラスの価格で提供するクラウド型勤務管理サービス
- パソコン、タブレット、スマホ、ICカードなどでその日から利用開始可能
- 出退勤情報・勤務管理/シフト管理/集計管理/申請フロー/出張旅費精算/他ソフトとの連携機能など
費用 | 初期費用無料 トライアル60日間あり 月額200円/ユーザ |
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提供企業 | NTTコムウェア株式会社 |
URL | https://www.nttcom.co.jp/follow_s/follow-smart-touch/ |
キングオブタイム
【特長】
- 正社員からアルバイトまであらゆるタイプの勤怠管理が可能
- 異常な勤怠を知らせるアラート機能を持ち、海外拠点も含めた管理が可能
- 法改正に対応したルールの自動アップデートも含まれています
- 勤務管理/シフト管理/集計機能/申請管理/他ソフトとの連携機能など
費用 | 初期費用無料 トライアル30日間あり 月額300円/ユーザ |
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提供企業 | 株式会社ヒューマンテクノロジーズ |
URL | https://www.kingtime.jp/ |
奉行Edge 勤怠管理クラウド
【特長】
- Web打刻やスマホアプリでの打刻ができ、柔軟な働き方に対応した勤怠管理を実現
- 追加コスト、アップデートコスト無しで確実な法令対応やマネジメントが可能
- 勤怠計算から給与計算までシームレスな連携により、一気通貫した業務がおこなうことができ、勤怠データは健康管理やメンタルヘルス対策にも活用可能
費用 | 初期費用0円 月額利用料11,800円 |
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提供企業 | 株式会社オービックビジネスコンサルタント |
URL | https://www.obc.co.jp/bugyo-edge/attend |
e-就業ASP
【特長】
- 企業の「健康経営」と「働き方改革」を支援
- 3段階の長時間勤務アラート機能で従業員本人や上司へアラート表示・メール通知が可能
- 勤怠情報管理/複数勤務形態設定/各種ワークフロー/コンプライアンス対応アラート/給与ソフトとの連携/工数実績管理機能など
費用 | 初期費用231,000円 価格はユーザに応じて変動 (参考)200ユーザ利用時 1ユーザ385円/月 ※保守運用費用込み ※オプションメニュー以外の追加費用なし |
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提供企業 | 株式会社ニッポンダイナミックシステムズ |
URL | http://www.nds-tyo.co.jp/e-asp/ |
皆伝!勤務管理
【特長】
- 多彩なチェック機能ー各法令に沿った設定や、客観的時間データを取り込むことで申告の乖離を防止
- アラート機能で注意や警戒を促し法令違反を未然に防ぐ
- 勤怠管理/プロジェクト実績管理/申請承認管理/人事・給与パッケージ機能など
費用 | 問い合わせ |
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提供企業 | スミセイ情報システム株式会社 |
URL | http://www.slcs.co.jp/products/kaiden_working/index.html |
7. 労働基準法を遵守しながら勤怠管理を進めよう!
今回は、勤怠管理の重要性や、労働基準法を遵守しながら勤怠情報を管理するためのポイントを紹介しました。法令を遵守した勤怠管理は、労働者だけでなく会社を守ることにもつながるため、会社にとって欠かせないものです。労働基準法や労働安全衛生法に則った勤怠管理をして、労働環境の整備をおこないましょう。
また、法改正によって勤怠管理はより煩雑になりつつあります。手間のかかる勤怠管理を効率化するためにも、便利なシステムを導入することも重要です。勤怠管理について悩んでいる人事担当者は、以下の記事なども参考にしながら導入を検討してみてください。
※参考:勤怠管理システム53サービス比較!特徴・料金・機能・メリットを紹介
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