
今回は、タイムカードの保管期間や保管の重要性について紹介します。
タイムカードの保管期間は法律で定められており、違反すると処罰される可能性もあるため、正確に把握しておきましょう。
タイムカードによる勤怠管理で頭を悩ませるのが、打刻漏れです。毎月締め日に漏れを確認し、従業員に問い合わせるだけでも多くの時間がかかってしまい、人事業務を圧迫していませんか?
勤怠管理システムでは打刻漏れがあった際にアラートが上がる仕組みになっており、すぐに打刻修正を行えるため、打刻漏れを減らし確認作業にかかる時間を減らすことができます。
実際、4時間かかっていた打刻漏れの確認作業がシステム導入によりゼロになった事例もあります。
「システムで打刻漏れを減らせるのはわかったけど、実際にタイムカードでの労働時間管理とどう違うのかを知りたい」という人事担当者様のために、タイムカードの課題を勤怠管理システムでどのように解決できるのかをまとめた資料を無料で配布しておりますので、ぜひダウンロードしてご覧ください。
目次
1. タイムカードの保管期間は原則5年!
労働基準法では、使用者(会社)に書類の保管義務を定めています。同法第109条には労働時間を管理するための記録(タイムカードなど)の保管について記載されているため、企業は下記の条文に従い、記録が完結してから5年間保管しなければなりません。
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。
また、賃金台帳が源泉徴収簿を兼ねる場合は7年間の保管が必要です。この保管義務に違反した場合、30万円以下の罰金が科せられる場合があります。
1-1. タイムカードの保管期間が5年になったのはいつから?
2020年3月31日までタイムカードの保管期間は3年間でしたが、2020年4月1日の法改正により、5年間に変更になりました。現在は法改正の経過措置として3年間の保存でも問題ないとされていますが、先のことも見据えて5年間タイムカードを保管しておくと安心です。
労働基準法をもっと詳しく!勤怠管理に関する法的ポイントを解説
2. タイムカード保管の起算日はいつから?
タイムカードの保管期間を正確に知るには、タイムカードを保管する起算日を把握しなければなりません。起算日とは、期間を数え始める1日目のことです。
従来まで、タイムカード保管の起算日は「最後の出勤日」など非常にあいまいなものでしたが、令和5年4月1日からは、タイムカード保管の起算日が明確になります。
改正労働基準法施行規則(令和5年4月1日施行)
第五十六条 法第百九条の規定による記録を保存すべき期間の計算についての起算日は次のとおりとする。
一 労働者名簿については、労働者の死亡、退職又は解雇の日
二 賃金台帳については、最後の記入をした日
三 雇入れ又は退職に関する書類については、労働者の退職又は死亡の日
四 災害補償に関する書類については、災害補償を終わつた日
五 賃金その他労働関係に関する重要な書類については、その完結の日
2 前項の規定にかかわらず、賃金台帳又は賃金その他労働関係に関する重要な書類を保存すべき期間の計算については、当該記録に係る賃金の支払期日が同項第二号又は第五号に掲げる日より遅い場合には、当該支払期日を起算日とする。
具体例として、令和2年4月1日〜30日までの1カ月分の記録について、給与の支払いが5月31日の場合、起算日は令和2年6月1日です。よって会社側は、令和2年6月1日から令和7年5月31日までの5年間は保管する義務があります。
2-1. 派遣社員の場合の起算日
派遣社員の場合は、派遣契約終了日が起算日となります。タイムカードに最後に打刻した日などではないため注意しましょう。
派遣社員の勤怠状況は、派遣元企業が作成している台帳で管理されています。この台帳に最後に記載されるのは派遣契約終了日であるため、その日が起算日となるのです。一般の従業員とは扱いが異なるため混同しないようにしましょう。
3. タイムカード保管の重要性

ここでは、タイムカードを保管する重要性について再確認しておきましょう。
3-1. 労使間のトラブルを防止するため
タイムカードの保管は、労使間のトラブルを防止し、会社を守るためにとても重要です。たとえば、未払い残業代のトラブルが起きたとき、保管しておいたタイムカードは、残業時間を証明するための重要な記録となります。実際の裁判でも、保管しておくべき期間内のタイムカードを会社側が提示できなかったため、会社が敗訴したケースもあります。
スタジオツインク事件という裁判(東京地裁 平成23年10月25日判決)では、会社側が法定保管期間内のタイムカードを破棄していたため、労働者側が自ら記録していた勤務時間の記録を覆すだけの証拠を出すことができず、この部分については会社が敗訴しました。
このような例もあるため、法定保管期間内のタイムカードは、保管をしていつでも提示できるような状態にしておくことが大切です。
3-2. 労働基準監督署の調査で提出を求められるため
タイムカードは、労働基準監督署の調査において提出を求められることがあります。労働基準監督署は、適切な労働時間管理がおこなわれているか、従業員に対する不当な扱いがないか、といったポイントをチェックするため、企業側は問題ないことを証明するための書類やデータを提示しなければなりません。
タイムカードを活用して勤怠管理をしている場合は、基本的には提示を求められるでしょう。本来保管しておくべきタイムカードを紛失・破棄してしまっていると指導や罰則を受けるため、しっかりと保管しておくことが重要です。
また、働き方改革が推進されるなか、タイムカードの保管に限らず、法的リスクを回避することが一層重要な世の中になりました。
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4. 有効なタイムカードの保管方法

タイムカードといっても、物理的に打刻しているケースや、Webによる打刻、パソコンのログイン・ログアウトの時刻を勤務時間とするケースなどいろいろあると思います。
Webによる打刻や、パソコンのログイン・ログアウトの時刻を使う場合は、その記録をいつでも印刷できる状態にしておけば大丈夫でしょう。
4-1. 紙のタイムカードは箱に入れてわかりやすく分類する
物理的に打刻しているケースでは、紙のカードが溜まってしまいますが、段ボールに入れて保管する、また可能であればスキャンなどでデータ化して保管するのも手です。
なお、紙のものを保管するときは、いつのタイムカードかがすぐにわかるようにしておくことが大切です。段ボールに入れて保管するのであれば、同じ期間のものをまとめて、段ボールの外側にいつのものかを書いておくべきですし、データ化する場合も、フォルダやファイル名でいつのものかが一目でわかるようにしておくことが求められます。
これは、労働時間の記録の提示を求められた際、スムーズに提示できるようにするためです。
4-2. 勤怠管理システムを活用するのもおすすめ
データで勤怠情報を保存しておく場合は、シフト管理や給与計算、残業管理などもまとめて効率化できる「勤怠管理システム」の導入も有効でしょう。
タイムカードで勤怠管理をすることとシステムを導入することの違いは、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
※参考:5分でわかる勤怠管理システムの全て!タイムカードとの違いを徹底解説!
5. タイムカードの保管期間に関する注意点
タイムカードの保管期間について、以下のような点に注意しましょう。
5-1. アルバイト・派遣社員のタイムカードも保管しておく
パート・アルバイトや派遣社員なども含め、雇用形態を問わず、タイムカードは5年間保管しなければなりません。派遣社員の勤怠状況については、派遣元が管理しているものの、派遣先においても管理する必要があります。
また、裁量労働制や管理監督者として働いている従業員のタイムカードも保管の対象となるため注意しましょう。
5-2. 退職した従業員のタイムカードも保管しておく
退職した従業員のタイムカードについても、法律に従って保管しておく必要があります。退職後に未払いの賃金を請求されることもあるからです。賃金請求権の消滅時効は5年(当面の間は3年)であるため、その間はしっかりと保管しておきましょう。
第百十五条 この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
退職したからといってすぐにタイムカードを破棄してしまうと、正しい労働時間を把握できなくなるため注意が必要です。
5-3. 期間ごとにまとめて管理しておく
タイムカードは、期間ごとにまとめて管理するとよいでしょう。たとえば1年ごとに分け、箱に入れておくと管理しやすくなります。
また、前述のように箱の外側に保管期間を記載しておくと、いつまで保管すべきなのか、いつになったら廃棄すべきなのかをすぐに判断できます。タイムカードを探すためにはかなりの時間がかかるため、しっかりと整理したうえで保管することが大切です。
6. タイムカードの保管期間を理解して正しく管理しよう!
現在は、未払い残業代について労働者の権利意識も高まっています。退職した社員から未払い残業代を請求された際、感情的になって払いたくないという場合もあるかもしれません。
しかし、一円も払いたくないと考えて法定保管期間内のタイムカードを破棄してしまうと、法律違反となるだけでなく、労働者が自分で管理していた記録に対して反証することができなくなるため、かえって会社にとって不利な結果となるでしょう。
現在「働き方改革」で残業についても規制を強化する方向で進んでいますので、法定期間内はタイムカードをしっかりと保管しておくことが大切です。
また、管理体制の整備に悩んでいる場合は、従業員の勤怠情報をデータで保存しておける勤怠管理システムの導入を検討してみましょう。
タイムカードによる勤怠管理で頭を悩ませるのが、打刻漏れです。毎月締め日に漏れを確認し、従業員に問い合わせるだけでも多くの時間がかかってしまい、人事業務を圧迫していませんか?
勤怠管理システムでは打刻漏れがあった際にアラートが上がる仕組みになっており、すぐに打刻修正を行えるため、打刻漏れを減らし確認作業にかかる時間を減らすことができます。
実際、4時間かかっていた打刻漏れの確認作業がシステム導入によりゼロになった事例もあります。
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