「福利厚生が良い企業の特徴とは?」
「従業員から人気の高い待遇や社内制度とは?」
企業の福利厚生について、疑問を持っている会社役員、労務担当者の方は多いでしょう。例えば、住宅手当や昼食補助、人間ドック費用補助などは従業員からの人気が高い待遇の一つです。
一方で、最低限の福利厚生が充実していない企業は、優秀な人材の確保に苦労します。また、離職率が高くなったり、従業員同士のコミュニケーションが円滑におこなわれず、生産性が低下したりなどのデメリットにつながりかねません。
そこで本記事では、福利厚生が良いとされる基準や人気の福利厚生ランキングについて解説します。福利厚生の最低ライン、導入のメリット、目指すべきポイントについても紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。
福利厚生を充実させることは採用・定着にもつながるため重要ですが、よく手段としてとられる賃上げよりも低コストで従業員満足度をあげられる福利厚生サービスがあることをご存知でしょうか。
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1. 福利厚生が良いとされる基準
一般的に、福利厚生が良いとされる基準は以下のとおりです。
- 法定外福利厚生が受けられる
- 従業員のニーズに合っている
ここからは、それぞれの内容について解説していきます。
1-1. 法定外福利厚生が受けられる
福利厚生が良いとされる企業は、法定外福利厚生が充実している特徴があります。
そもそも、福利厚生には、法定福利厚生と法定外福利厚生の2種類があります。法定福利厚生は、労働基準法により定められている最低限の福利厚生です。
種類 |
内容 |
義務 |
法定福利厚生 |
健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、子ども・子育て拠出金 |
労働基準法により定められている義務 |
法定外福利厚生 |
住宅手当、通勤費補助、人間ドック費用補助など |
企業の意思によるため義務ではない |
厚生労働省の調査によると、全産業の従業員一人あたりの2021年(令和3年)度における法定外福利厚生費の平均は4,882円/月です。そのため、少なくとも平均以上の法定外福利厚生費を投じている企業は、「福利厚生が充実している」と言えるでしょう。
参照:厚生労働白書:31法定外福利費の推移/法定外福利費の内訳の推移|厚生労働省
1-2. 従業員のニーズに合っている
福利厚生が良い企業の基準として、従業員のニーズや時代に合った制度を導入していることが挙げられます。従業員の不満や希望に対してアンテナを張ることが大切です。
例えば、短時間勤務やリモートワークの導入は、従業員のニーズが高いうえ、日本政府が進めている働き方改革に沿っています。アンケート調査やヒアリング調査を通して、従業員の「こんな制度があったらいいな」という思いを拾いましょう。
2. 従業員に人気の福利厚生・待遇ランキング
従業員に人気の福利厚生・待遇ランキングはこちらです。
- 人間ドックの費用補助
- 慶弔休暇・慶弔見舞金
- リフレッシュ休暇
- 家賃補助・住宅手当
- 病気・育児・介護休暇
- 昼食補助
- 財形貯蓄制度
このランキングは、独立法人 労働政策研究・研修機構の調査をもとに作成しています。ここからは、それぞれの内容について詳しく解説していきます。
参照:企業における福利厚生施策の実態に関する調査―企業/従業員アンケート調査結果―|独立法人 労働政策研究・研修機構
2-1. 人間ドックの費用補助
独立法人 労働政策研究・研修機構の調査によると、「人間ドック受診の補助」が福利厚生において「特に必要である」と回答した方は21.8%で、アンケート項目全体のトップです。
この結果からもわかるように、人間ドックなどの健康診断の費用を負担する福利厚生は従業員から人気があります。
参照:企業における福利厚生施策の実態に関する調査―企業/従業員アンケート調査結果―|独立法人 労働政策研究・研修機構
2-2. 慶弔休暇・慶弔見舞金
慶弔休暇とは、従業員やその家族にお祝い事やご不幸があったときに、従業員が取得できる休暇のことです。また、慶弔見舞金はそのときに支給される手当のことをいいます。
中小企業庁の調査によると、2020年度時点で慶弔休暇は87.7%、慶弔見舞金は86.0%の企業が導入しています。
2-3. リフレッシュ休暇
リフレッシュ休暇とは、従業員が心身ともにリフレッシュしてもらうことを目的とした休暇制度のことです。法定福利厚生の有給とは別物で、基本的には従業員が自由に日時を選択できます。
家族旅行や趣味などで時間を使ってもらうことで、就業時のモチベーションアップや生産性の向上が期待できます。
2-4. 家賃補助・住宅手当
従業員が借りている物件の家賃やマイホームの住宅ローンを補助します。また、借り上げ社宅や社有社宅に従業員を住まわす場合もあります。
ほとんどの方にとって、生活費の大部分は住宅関連の費用です。家賃補助や住宅手当は従業員からの満足度も高いため、業界や職種に関わらず多くの企業が導入している福利厚生です。
2-5. 病気・育児・介護休暇
病気休暇は、従業員や家族が病気になったときに休みが取れる制度です。仕事から離れて治療に専念することで、職場復帰が早くなることが期待できます。
育児休暇は、出産後のストレス軽減や子どもに接する時間を作ることを目的とした制度です。2022年に育児・介護休業法が改正されたことにより、男性でも育児休暇が取りやすい環境が整えられています。
介護休暇は、家族の介護のために休みが取れる制度です。ライフステージや家庭の事情に配慮した福利厚生は、従業員から人気があります。
2-6. 昼食補助
従業員の食費負担を軽減するための福利厚生です。例えば、社内食堂を設置したり、ケータリングサービスや食事補助チケットを導入したりします。
栄養バランスを考えた食事を提供することで、従業員の健康増進につながります。
2-7. 財形貯蓄制度
財形貯蓄制度とは、企業と国が協力して従業員の資産形成を手助けする制度です。財形貯蓄制度には、目的別に3つの種類があります。
- 一般財形貯蓄
- 財形住宅貯蓄
- 財形年金貯蓄
給料から天引きする形で貯蓄ができるため、自分の力で貯金ができない従業員におすすめです。また、所得税を抑えられるメリットもあります。
3. 福利厚生の最低ラインは?最低限の必須項目
福利厚生の最低ラインは法定福利厚生です。そのため、労働基準法によって義務付けられている法定福利厚生の以下の6つは、必ず導入する必要があります。
- 健康保険
- 介護保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労災保険
- 子ども・子育て拠出金
厚生労働省の調査では、全産業の従業員一人あたりの2021年(令和3年)度における法定福利厚生費の平均は50,283円/月です。福利厚生費の最低限については、この平均値を参考にしてください。
参照:厚生労働白書:31法定外福利費の推移/法定外福利費の内訳の推移|厚生労働省
4. 福利厚生が良い企業にするメリット
企業が従業員に対しての福利厚生を充実させるメリットは以下の3つです。
- 離職が抑制される
- 優秀な人材を採用できる
- 従業員のモチベーションが上がる
4-1. 離職が抑制される
企業の福利厚生を充実させると、従業員の離職率を下げられます。日常生活の負担を軽減させたり、働きやすい環境を整えたりすることで、従業員は「この企業のために働きたい!」という思いが生まれるためです。
また、従業員の家族も参加できるイベントや交流会を開催することで、従業員の家族同士のつながりにより離職が抑制されるケースもあるでしょう。企業の強みやサービスを分析して福利厚生を充実させることで、従業員の定着を図ることができます。
4-2. 優秀な人材を採用できる
福利厚生が良いと、採用活動で優秀な人材を採用できるメリットがあります。就活生の多くは給与と賞与以外のインセンティブとして福利厚生に注目しているためです。
例えば、ある企業の年収が就活生の希望額よりも50万円少ない場合でも、福利厚生費が年間70万円相当の価値があれば、入社の可能性は高まります。優秀な人材の確保を課題として抱えている企業は、積極的に福利厚生を充実させましょう。
4-3. 従業員のモチベーションが上がる
福利厚生を充実させると、従業員のモチベーションを上げられます。企業から大切にされていると感じられるうえ、働きやすい環境が整うためです。
例えば、リフレッシュ休暇の導入は効果的です。従業員は心身ともに安定した状態になることで、次の目標に向かって努力しやすい心持ちとなります。
結果として、企業全体の生産性が上がり、業績の向上につながるのです。
5. 福利厚生が良い企業を目指すためのポイント
福利厚生が良い企業を目指すためのポイントは以下の2つです。
- アンケート調査・ヒアリング調査をする
- 福利厚生の一部を外部委託する
5-1. アンケート調査・ヒアリング調査をする
福利厚生が良い企業を目指すなら、従業員の意見やニーズを把握する必要があります。例えば、従業員へのアンケート調査やヒアリング調査が効果的です。
調査をするときは、「従業員がどのような福利厚生を最も重視しているか」や「現在の福利厚生に対する満足度」などのように、目的を明確にしましょう。また、率直な意見を組み入れたい場合は、匿名性を高めて調査する必要があります。
5-2. 福利厚生の一部を外部委託する
福利厚生の良い企業を目指すポイントとして、専門家に福利厚生の一部を委託する方法もあります。
例えば、食堂を社内に作ることが難しい場合は、提携しているレストランの食事クーポンを配布することも可能です。また、専門性の高いヘルスケアに関する福利厚生は、医療機関や専門家に外部委託するのが一般的となっています。
法定外福利厚生を含めて、自社ですべての福利厚生制度を完結させるのは、コストやリソースの面から難しいでしょう。そのため、自社のコストとリソースを分析したうえで、採算が合えば外部委託も検討するなどして、福利厚生の内容を決めることが望ましいです。
福利厚生を充実させることは採用・定着にもつながるため重要ですが、よく手段としてとられる賃上げよりも低コストで従業員満足度をあげられる福利厚生サービスがあることをご存知でしょうか。
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