福利厚生制度を充実させることで、従業員満足度を向上させることができます。また、ユニークで面白い福利厚生は、企業のイメージアップにつながり、優秀な人材を確保できる可能性を高めることが可能です。
今回は、福利厚生をユニークにするメリットや注意点を解説します。また、ユニークな福利厚生制度に取り組んでいる企業の事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 福利厚生とは?
ここでは、ユニークな福利厚生について解説する前に、そもそも福利厚生とは何かを紹介します。福利厚生とは、従業員の生活や仕事への満足度を高めるため、企業が従業員とその家族に提供する給与以外のサービスを指します。
1-1. 福利厚生の目的
近年では、少子高齢化や人材流動化の影響を受け、人材確保に悩みを抱えている企業が増えています。福利厚生制度の主な目的は、従業員の生活と健康を安定させ、働きやすい環境を整備することです。従業員が快適に働けていると感じられれば、帰属意識が高まり、離職を防止し、定着率を高めることができます。
また、魅力的な福利厚生制度は、働きやすい会社を探している人を惹きつけ、求人応募者を増加させる効果が期待できます。応募者が増えれば、優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。このように、福利厚生制度は、人材の獲得と定着に役立ちます。
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1-2. 福利厚生の種類
福利厚生には、「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2つに区分することができます。法定福利厚生とは、健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険といった法律で義務付けられた福利厚生のことです。
一方、法定外福利厚生とは、企業が独自で用意する福利厚生のことです。法律で義務付けられていないため、企業が自社の従業員のニーズにあわせて自由に導入することができます。多くの企業で導入されている法定福利厚生の一例は、下記の通りです。
- 通勤手当
- 住宅手当
- 夏季・年末年始休暇
- 慶弔見舞金
- 資格手当
- 社員旅行
- 社食サービス など
このように、法定外福利厚生にはあらゆるものがあります。他の企業にはみられないユニークで面白い福利厚生を導入することで、注目を集めている企業もあります。
関連記事:福利厚生の種類は?法定福利・法定外福利の種類を詳しく解説
2. ユニークな福利厚生制度に取り組む企業例8選
ここでは、実際にユニークで面白い福利厚生制度に取り組んでいる8つの企業の事例を紹介します。
2-1. GMOインターネット株式会社
●GMO Bears:生後57日後から受け入れ可能な託児所。タオルやおむつなど、必要なものはすべて会社にて完備されており、子供がいても安心して働ける環境が整えられています。
GMOインターネット株式会社は、インターネットインフラ事業などを展開している企業です。いつでも無料で飲食が可能な「GMO Yours」や、小さな子どもがいる親でも安心して働ける「GMO Bears」などの福利厚生制度を用意しています。また、プロによるボディケアサービスを格安で受けることができる「GMO Bail Relax」といった制度も導入しています。
2-2. ヤフー株式会社
●株式累積投資制度:毎月一定の金額を、株式(Zホールディングス株式会社)の購入として積み立てることで長期的な資産形成を支援する制度。
ヤフー株式会社はインターネット広告事業やeコマース事業を展開している企業です。「サバティカル休暇」だけでなく、「マタニティー休暇」や、障害者の労働者がより安定したパフォーマンスを発揮できるよう体調維持管理をしやすくすることを目的とした「ノーマライゼーション休暇」など、多様な福利厚生制度を用意しています。
2-3. 株式会社ZOZO
●家族時短:育児や介護、ペットや同居人など、「家族」へのサポートが必要な場合に30分単位で、最大2時間まで仕事の時短が可能。
株式会社ZOZOは、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する企業です。指定のエリア内に住むスタッフに毎月3~5万円を支給する「千葉/つくば/宮崎手当」といったユニークな福利厚生を用意しています。また、ZOZOTOWNでの買い物が割引になる「従業員割引制度」という福利厚生制度も導入しています。
2-4. アクセンチュア株式会社
●長期収入所得補償(LTD):病気やケガ等で長期間働けなくなった際、年収の60%が保証される制度。(最大5年間)
アクセンチュア株式会社は、ストラテジー&コンサルティングやテクノロジー事業などを展開している企業です。多くの施設における割引特典や、健康サポートなど、充実した福利厚生制度を用意しています。
2-5. クックパッド株式会社
●自転車通勤手当:健康増進を目的として、自動車通勤を行う社員に対して、毎月、通勤距離に応じて手当を支給しています。
クックパッド株式会社は、料理レシピの投稿・検索サービスである「クックパッド」を中心に、「毎日の料理を楽しみにする事業」に取り組んでいる企業です。住宅手当や自転車通勤手当の他にも、リフレッシュ休暇制度や保育支援制度といった福利厚生制度を用意しています。
2-6. 株式会社サイバーエージェント
●リフレッシュ休暇 休んでファイブ:心身のリフレッシュや、さらなるチャレンジを目的とした休暇制度。入社3年目以上の社員が毎月5日間の年次有給休暇を取得可能。
株式会社サイバーエージェントは、メディア事業やインターネット広告事業を展開している企業です。退職時に支給する勤続インセンティブ制度(条件あり)や、部活動(CArcle)といった福利厚生制度も用意しています。
2-7. サイボウズ株式会社
●育自分休暇制度:会社を退職する人にチャレンジをしてもらうことを目的とした制度。退職後、最長6年間はサイボウズへの復帰が可能。
サイボウズ株式会社は、グループウェア・チームワーク強化メソッドの開発、販売、運用に関する事業をおこなっている企業です。働き方宣言制度や育自分休暇制度の他にも、社員同士の交流の場を多く設けるなど、チーム力を高めるためのユニークな取り組みがおこなわれています。
2-8. さくらインターネット株式会社
●連続有給手当:有給休暇取得を促進するため、2日以上連続で有給休暇を取得した場合に、1日5,000円を支給する制度。5日間で有給休暇を取得した場合には、計25,000円を支給
さくらインターネット株式会社は、インターネットへの接続サービスの提供などの事業に取り組んでいる企業です。社員個人が「働きがい」を追求できるよう、「さぶりこ(Sakura Business and Life Co-Creation)」と呼ばれる考え方を尊重し、それを基に福利厚生制度が構築されています。ショート30や連続有給手当の他にも、20時間分の残業手当を先払いで支給してもらえる「タイムマネジメント制度」や、その日の勤務時間を10分単位でスライドできる「フレックス制度」といった福利厚生制度が用意されています。
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3. ユニークな福利厚生を導入するメリット
他の企業にはないユニークで面白い福利厚生制度を用意している企業も増えています。その理由は、ユニークな福利厚生を導入することで、メリットが得られるからです。ここでは、ユニークな福利厚生を導入するメリットについて詳しく紹介します。
3-1. 優秀な人材の獲得につながる
ユニークで面白い福利厚生によって企業に独自性を持たせることで、メディアからの注目が集まるようになり、自社の知名度・ブランド力を向上させることが可能です。これにより、求人応募者数が増加し、優秀な人材を確保できる可能性が高まります。また、ユニークな福利厚生に興味・関心を持った労働者を採用することで、自社の価値観にマッチした人材を増やすことができるかもしれません。
3-2. 定着率が向上する
働き方改革やテクノロジーの発展に伴い、働き手の価値観は多様化しています。自社の従業員のニーズにあわせてユニークで柔軟な福利厚生制度を取り入れることで、これまで以上に従業員満足度を高めることが可能です。結果として、離職を防止し、定着率を上昇させることができます。
3-3. 外部利害関係者からの注目が集まる
ユニークで面白い福利厚生制度を導入することで、顧客やステークホルダーなどの外部利害関係者からの注目がより集まるようになります。ユニークな福利厚生制度がきっかけで人脈が広がり、会社を成長させる契機となる可能性もあります。
4. ユニークな福利厚生制度を導入する際のポイント
ただユニークで面白い福利厚生制度を導入したとしても、想定しているような効果が得られない可能性もあります。ここでは、ユニークな福利厚生制度を導入する際のポイントについて詳しく紹介します。
4-1. 目的を明確にする
目的が曖昧なままユニークな福利厚生を導入したとしても、効果が出ず、コストの無駄遣いとなってしまう可能性があります。まずユニークで面白い福利厚生を導入する目的を明確にすることが大切です。
たとえば、「人材獲得」「人材定着」といった福利厚生の目的が考えられます。人材獲得を目的とするのであれば、自社が必要とする人材にあった福利厚生を用意することが重要です。この場合、求人を探している人の目に留まるよう、ユニークで面白い福利厚生制度にするのも一つの手です。
一方、人材定着を目的とするのならば、既存の従業員が必要としている福利厚生を用意する必要があります。このように、目的によって導入すべき福利厚生は異なるので、まずは目的の明確化から始めましょう。
4-2. 従業員のニーズをチェックする
福利厚生費は業務に直結するわけではありません。従業員が導入した福利厚生制度を利用しなければ、投資コストの意味がなくなってしまいます。積極的に用意した福利厚生を利用してもらうため、従業員のニーズを正確に把握することが大切です。従業員のニーズを確認するためには、面談やアンケート調査などの方法が考えられます。従業員のニーズにあわせて福利厚生制度を用意することで、利用率を高め、目的達成につなげることが可能です。
4-3. 定期的に見直しと改善を実施する
労働者のニーズは時代とともに変化します。そのため、福利厚生制度も定期的に見直しをして、改善をおこなう必要があります。適切に見直し・改善を実施するためにも、サービスの利用率をきちんとチェックすることが大切です。サービスの利用率が下がっている場合は、その理由を探り、改善につなげましょう。
4-4. 外部にアピールする
ユニークで面白い福利厚生制度を用意したら、SNSやホームページなどを通じて外部にアピールすることも大切です。また、求人サイトの「福利厚生制度」欄にも、その内容をきちんと記載するようにしましょう。外部に対して適切にアピールすることで、求職者や利害関係者の目に留まり、メリットを得られる可能性が高まります。
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5. ユニークな福利厚生を取り入れて他社と差別化を図ろう
ユニークで面白い福利厚生制度を用意することで、より外部から注目が集まるようになります。また、自社の知名度を上げ、競合他社と差別化を図ることで、自社の商品やサービスを選んでもらえる可能性も高まるかもしれません。しかし、福利厚生制度は従業員に使ってもらわなければ、コストの無駄遣いとなります。ユニークな福利厚生制度を導入する際は、労働者の立場にたって検討することが大切です。