社員の異動希望を1年以内に100%叶える!ナイルの人事制度「フミダス」誕生の背景とは? |HR NOTE

社員の異動希望を1年以内に100%叶える!ナイルの人事制度「フミダス」誕生の背景とは? |HR NOTE

社員の異動希望を1年以内に100%叶える!ナイルの人事制度「フミダス」誕生の背景とは?

「デジタル革命で社会を良くする事業家集団」のビジョンを掲げて複数の事業を展開しているナイル株式会社。

同社には、社内にいながら複数のキャリアの選択肢を選ぶことができ、活躍した社員が次のキャリアステップに進むための社内異動を支援するカルチャーが根付いています。

そして今回、ナイルの歴史の中で「暗黙の文化」として存在していた社内異動推進の取り組みに対し、『フミダス』という名の人事制度として公式にリリース。

なぜ、あらためて『フミダス』として制度化されたのか。その意図や背景、制度の内容について、人事責任者の土居健太郎さんにお伺いしました。

【人物紹介】土居 健太郎 | ナイル株式会社 取締役 兼 人事本部 本部長
2008年に東京大学工学部中退後、フリーターとして活躍。2009年、成り行きでナイル株式会社に入社。2010年より事業部長としてデジタルマーケティング事業の立ち上げを牽引。2015年、同社取締役に就任。2016年からはメディア事業部に異動、自社サービス「Appliv」サービス責任者を経て、同事業における新規サービスの立ち上げを担当。2021年1月に人事本部 本部長に就任、現在は人事責任者として主に採用と組織開発を担当。著書に「10年つかえるSEOの基本」(技術評論社)がある。
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これまでもあった「前向きな文化」を制度として明文化した理由

―まずは、新しく制定した人事制度『フミダス』について、概要を教えてください。


土居さん
ある部署で活躍している社員の中で、「違う業務にチャレンジしてキャリアの幅を広げたい」と考えている人を対象に、社内異動という形でその希望を支援する制度です。

制度名は、「挑戦者が一歩踏み出せるように」との願いを込めて『フミダス』としました。


―具体的には、どのような支援をおこなうのでしょうか?


土居さん一定の条件はつけますが、基本的には活躍人材の異動希望を1年以内に100%実現します。

一般的に、異動希望が出されたときの会社の対応は「場合によっては検討します」なのに対して、フミダスは「期限付きで必ずコミットします」とするのが特徴です。

キャリアのステップアップのためなら、100%叶えるためにベストを尽くします。


―100%はすごいですね。制度制定に至った背景は何だったのですか?


土居さんキャリアアップやキャリアチェンジにはさまざまな形があります。

所属チームのリーダーになり、部署のマネージャーになり、さらにその上を目指していくのも一つの形ですし、非連続なキャリアを求めて業務や環境を変えていくキャリアがあってもいいでしょう。

ナイルにはさまざまな事業部、ポジションがあるので、これまでも「社内で希望するキャリアを実現したい」と相談を受けたときには、できるだけネクストキャリアを後押しできるような社内異動を実現してきました。

つまり、これまで文化として根付いていたことを制度として明文化しただけなんです。

明文化した理由としては、暗黙知であった社内異動を制度化することで、ナイルの中でもさまざまなキャリア形成が可能だと、社員に周知できると考えたためです。

―なるほど。では、以前から異動事例が多くあったのですね。


土居さん
そうですね。新規事業を立ち上げる際には、中途採用と並行して、社内から最適な能力を持つ人材を異動につなげるケースが多くありました。

車のサブスクリプションサービス「おトクにマイカー 定額カルモくん」を展開するモビリティサービス事業部を立ち上げた際にも、

  • デジタルマーケティング事業部の編集者
  • Webコンサルタント
  • メディアテクノロジー事業本部のマーケター

など、既存事業部から人材が異動しています。

みんなこれまでの経験を活かしつつキャリアの幅を広げられている点で、異動して良かったと言ってくれています。

 

<異動によって新たな挑戦をしている社員の声>

  • モビリティサービス事業部 コンテンツ責任者 兼 広報責任者 伊藤 真二(元デジタルマーケティング事業部 編集者)
    オウンドメディア運営や広報の経験があったわけではないのですが、編集経験とコミット力を買ってくれて、未熟と知りつつも新規事業部の重要な役割を任せてくれているのはとてもありがたいです。メディア運営や広報など新しい領域へのスキルの広がりと、新規事業のグロースに貢献できていることにやりがいを感じています。

  • モビリティサービス事業部 マーケター 平塚 直樹(元デジタルマーケティング事業部 Webコンサルタント)
    コンサルタントとしてクライアントの事業を支援する立場を長年経験した身として、実績と自信は付きましたがコンフォートゾーンから抜けられず成長に壁を感じていました。そんな悩みを人事が親身に聞いてくれて、新規事業でマーケターを務めるという新たなチャレンジの場をくれたことに感謝しています。

参考)
社内異動によって歩み始めた新たなキャリア――Webコンサルタントが描くマーケターとしての展望

 

 

異動先でバリューを発揮できるようになるまでの仕組み

―編集者の経験を活かしてメディアの責任者になる、Webコンサルタントの経験を活かしてマーケターになる、といった近しい領域での異動が多いのでしょうか。


土居さんそうですね、既存事業から新規事業の近しい領域の中で別のポジションに動くのが主流となっています。

今後については、異動してまた戻ってきたり、異動先からまた別の部署に異動したりと、流動性のある柔軟な異動も実現していきたいですね。

私自身も、デジタルマーケティング事業部の責任者からメディア事業のプロダクト責任者経験を経て、現在は人事部門の責任者になっています。

このように、事業部側と管理側を行ったり来たりするようなキャリアがあってもいいですし、エンジニア出身者がビジネスサイドのマネジメントをするようなステップアップもおもしろいと思います。

それまでの経験の延長に留まらない、大胆なキャリアチェンジも少しずつ増やしていきたいと思っています。


―ただ、キャリアチェンジする場合、異動前と同等のバリューを発揮するまでには時間がかかりますよね。


土居さんもちろん、新しいことや不慣れなことに取り組む場合、それまで発揮できていたバリューと同等のレベルに達するまでに相応の時間がかかるのは当然です。

この期間は、中途採用の人がナイルという会社に慣れて、業務に慣れるまでの期間と考え方は同じです。

ただ、だからといって、「異動したらバリューが落ちるから、給与も下がります」では、誰も異動を希望しません。

よって、キャッチアップに一定期間要することを見込んだ上で、異動先で求める成果とゴールを伝え、それを実現できることを前提にそれまでの給与は維持します。

これまでの経験と一切重なるところがなく、ゼロからスキルを身につける必要がある部署へ異動する場合は、「異動希望から1年のあいだに最低限達していてほしいレベル」を伝えて、それが実現できているか否かでスタート時の待遇を判断することになるでしょう。

自分のキャリアを能動的に作る、上昇志向の高い人材が集まる組織に

―一方で、異動を希望する人が在籍している部署からは、「活躍している人材が抜けると困る…」という声もありそうですよね。


土居さんたしかに、それが現部署の本音だと思います。

ナイルに限らずどの会社でも、活躍している人には重要な仕事が集まってくるので、本人が異動したくても簡単には実現しにくい傾向にありますよね。

「自分が抜けると現部署の仕事が回らないから」と遠慮して、異動希望すら出せずにいる人や、異動したいと上司に伝えても引き止められて諦めてしまう人も多いでしょう。

社内で新しいキャリアに進む選択肢があった人でも、そのチャンスをもらえなければ、社内でのキャリア形成を諦めて転職を選んでしまうことにもつながります。

事業に貢献して信用を得た人が、優先的に次のチャレンジの権利を得ることができる。それが本質的な組織の在り方であり、活躍した人と組織、双方の機会損失を防ぐ最善の方法です。


―たしかに、優秀な人材であるほど、どのポジションであれ、社内で活躍してくれることが最善ですね。


土居さん有力な人材の異動によって戦力がマイナス1になる部署があったとしても、異動先の戦力がプラス1になるわけですから、会社としてはマイナスになりません。

ナイルのように、事業が複数あって、同じ職能でも活躍の場が社内にいくつかある場合においては、大局的に見ると非常にポジティブなことです。


―ありがとうございます。最後に、今回の制度化によって実現したいことや、運用を通じて目指す組織像について教えてください。


土居さん活躍した人が次の道に進みたいと思ったとき、堂々と異動希望を伝えられること、また、ナイルはその希望を実現できる環境であることを示したいと思っています。

優秀な人材の流動性を高めることで、「活躍すれば社内で目指すキャリアを作ることができるから、もっと成果を出そう」という前向きな考え方が浸透していくことに期待しています。

今後は、フミダスのように「挑戦者の背中を押す」制度をどんどん増やしていく予定です。

自分のキャリアを形成するために、自身で能動的に考えて積極的に動く――そういった上昇志向の強い人が集まる組織にしていきたいですね。

 

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