今話題の‟ウェルビーイング”の実現は、従業員へのサポート向上から始めよう。 |HR NOTE

今話題の‟ウェルビーイング”の実現は、従業員へのサポート向上から始めよう。 |HR NOTE

今話題の‟ウェルビーイング”の実現は、従業員へのサポート向上から始めよう。

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※本記事は、株式会社LIFULL seniorの小菅秀樹さんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

こんにちは。日本最大級の老人ホーム検索サイト「LIFULL介護(ライフルかいご)」の編集長、小菅秀樹(@kosugehideki)です。

小菅 秀樹|株式会社LIFULL senior LIFULL介護(ライフルかいご) 編集長

横浜市生まれ。老人ホーム・介護施設紹介業で主任相談員として1500件以上の施設入居相談に対応。入居相談コンタクトセンターの立ち上げ、マネジャーを経て、現在は日本最大級の老人ホーム・介護施設検索サイト「LIFULL介護(ライフルかいご)」の編集長。「メディアの力で高齢期の常識を変える」をモットーに、介護系コンテンツの企画・制作、寄稿、セミナー登壇などを行う。趣味はバイクツーリング、筋トレ、ウィスキー。

前回、「ダイバーシティ経営の推進」に対して、人事担当者ができる対策についてご紹介いたしました。

今回は、ウェルビーイングの実現に向けた従業員へのサポート体制構築について、人事担当者ができることをご紹介いたします。

従業員が健康で幸せに働ける‟ウェルビーイング”な環境づくりは、企業の発展に不可欠です。一方で、人生100年時代となった今は、全世代で「介護」が社会課題となりました。

介護を理由に会社を辞める「介護離職」もその1つで、これは従業員の‟ウェルビーイング”を損なうだけでなく、企業にとっても大きな損失となりかねません。

介護離職を防ぐために、人事担当者や管理職の方ができるポイントを2つ解説します。

1. ポイント①『介護離職のリスクを正しく理解する』

近年、ひとりっ子同士の夫婦が多くなりました。夫婦二人でそれぞれの両親を見ることになる場合、計4人の高齢者の面倒を見る必要があります。そのため、従業員の介護離職のリスクはとても高まっています。

かつてのように「介護はお嫁さんがするもの」といった認識から、「自分の親は自分で面倒を見る」という価値観への変化もある中で、人事担当者や管理職は男女問わず介護離職の可能性があることを認識しておきましょう。

1-1. 離職後は24時間介護に向き合う場合も

介護離職は誰も幸せにしません。 離職で収入が途絶え、経済的負担を減らすために介護保険サービスを利用せず、付きっ切りで介護して疲弊するケースも見られます。

人事担当者や管理職は、介護離職のリスクを正しく理解し従業員に伝えることが大切です。

介護離職をすると、社会との接点が格段に少なくなる一方で、親の身体状態や認知機能は加齢とともに低下していくため、時の経過とともに必要な支援が増えていき、介護者の身体的、精神的負担はどんどん重くなります。

そのストレスが限界を越えたとき、最悪の場合、虐待に発展する可能性もあるのです。

また、介護が落ち着いても介護離職の影響はなくなりません。仕事を離れていた期間はあくまで「休職期間」と見なされ、キャリアが分断されてしまいます。再就職したくても希望通りいかないケースもあり、介護とは別の大変さが待っています。

このように、介護離職は従業員の‟ウェルビーイング”を大きく損なうことに繋がります。

1-2. 介護離職は業績に影響も

また、介護離職は企業の損失も大きく、見逃すことはできないでしょう。

離職をする年代の中心は4060代ですが、この時に企業内で要職に就く人も多く、すぐに同等の人材を確保することは困難といえます。

属人的な体質の企業ではノウハウをスムーズに引き継ぐことができず、業績の悪化に影響する場合もあります。

企業の発展のためにも、人事担当者や管理職が従業員のウェルビーイング実現に向けて「介護離職しないようにする」ことが大切です。

2. ポイント②『相談しやすい体制を整える』

離職防止に向け、人事担当者や管理職ができることはたくさんありますが、まず取り組みたいのは「相談しやすい環境を作ること」「正しい知識を持つこと」の二点です。

はじめに、相談しやすい環境づくりから見ていきましょう。

2-1. 従業員は介護相談にハードルがある

みずほリサーチ&テクノロジーズが2017年に行った調査では、介護を理由に正社員から離職した人の47.8%が、介護と仕事の両立について「誰にも相談しなかった」と回答しています。多くの人が介護を個人の問題と捉え、同僚に迷惑をかけたくないと感じています。

また、人事担当者や管理職に相談することで「退職を促されるかもしれない」と不安を抱いている人もいます。

介護の相談をすることは、実はとても勇気のいることです。人事担当者や管理職は従業員から介護の相談があったとき、まずは相談してくれたことへの感謝の気持ちと「介護が始まっても、辞める必要はない。両立できる方法を一緒に考えよう。」ということをきちんと伝えましょう。

加えて、日頃からの情報発信も環境づくりには欠かせません。社内の介護離職対策についてどのような方法があるのか、積極的に広報していきましょう。

2-2. 人事や管理職も正しい介護知識を

従業員から介護の相談があったとき、適切に対応できているでしょうか。

まず前提として、介護を始める従業員は介護のことが何も知らず、不安でいっぱいな気持ちを抱えていることを理解しましょう。切羽詰まった状態では冷静な判断もできず、介護を全て自分で担おうとしてしまいます。

介護の相談に対して適切に対応するために知っておきたい主な知識は、介護保険サービスを利用するプロセスと、地域包括支援センターについての2つです。

介護保険サービスは申請ありきとなっており、65歳になると役所から届く介護保険証だけでは公的介護保険サービスを利用することはできません。まずは「要介護認定」を受ける必要がありますが、申請から認定まで約30日かかるので注意が必要です。

また、各地域には介護のことをワンストップで相談・手続きできる行政機関、地域包括支援センターが設置されています。相談先は、「家族が住む地域 地域包括」で検索するとすぐに分かります。「介護で困ったら地域包括支援センターを頼る」ということも、知っておきましょう。

3. 在宅介護サービスは介護負担を軽減できる

介護が始まっても適切な介護保険サービスを利用することで、従業員の介護負担を減らし、仕事との両立を可能にしてくれます。

介護保険サービスは大きく分けて、自宅で受けたり通いで受ける「在宅介護サービス」と、施設に入居して受ける「施設サービス」の2つがあります。

自宅で介護をする場合、在宅介護サービスなしには成り立ちません。在宅介護サービスには、自宅に訪問してもらうサービスと、施設に訪問して受けるサービスに分けられ、前者には訪問介護や訪問看護があります。

3-1. 自宅に訪問する代表的なサービス

介護サービスと聞いて最もイメージされやすいのが「訪問介護」です。いわゆるホームヘルパーが食事介助や入浴介助といった身体介護をメインにおこないます。身体状態や家庭環境によっては掃除や料理などの生活援助も行います。

「訪問看護」は、看護師が自宅を訪問して病気や身体状況の確認を行います。医師の指示に基づいて医療行為や在宅人工呼吸器などの医療機器のチェック、終末期ケアの提供なども実施します。

3-2. 通いで受けるサービス

施設に通って受ける介護保険サービスには、デイサービス(通所介護)とショートステイ(短期入所生活介護)などがあります。

デイサービスでは要介護認定を受けた人が、身体機能の維持・向上を目指して機能訓練を受けたり、社会的孤立感の解消や認知症予防のために他者との交流を図ったりします。

介護をする家族の負担軽減も目的の一つです。レクリエーションや入浴、食事などのサービスが提供されます。利用可能時間は9時から15時が多く、1日型と半日型があります。これらは、利用する時間によって区分され、価格が変わります。

ショートステイ(短期入所生活介護)は、短期的に施設に入所して介護を受けるサービスです。冠婚葬祭や出張、介護をする家族が体調を崩したなどで一時的に在宅介護が難しい場合や、家族の負担軽減を図るために利用することができます。特別養護老人ホームなどで実施しており事前予約が必要ですが、空きがあれば前日の申請でも利用できる場合があります。

3-3.その他のサービス

このほか、在宅介護で利用することが多いサービスとして、福祉用具のレンタルがあります。つえや車椅子、介護ベッドなど、在宅介護には欠かせないものを保険適用で安価に借りることができます。

要介護者の自立を助け、身体機能がさらに低下するのを予防したり、介護する家族の負担を軽減できたりします。利用を検討するときには、介護保険に対応しているレンタル業者にまずは相談するとよいでしょう。

4.施設サービスは介護の大半を任せられる

施設サービスは一般的に老人ホームのことを指します。かつて姥捨山と呼ばれたこともあり、メディアの報道などでネガティブなイメージを持つ人や、「親の介護は子の務め」と考え、老人ホームに否定的な人もいるでしょう。

4-1.家族介護が困難な時代 施設なら介護を丸ごとお任せできる

しかし、いまは人生100年時代です。介護の期間が短く、家族だけで介護ができた時代とは違います。これからの介護は入居サービスを前向きに検討しなければ、子ども世代のウェルビーイング実現が難しくなることを心得ておきましょう。

入居サービスには10種類以上の種別がありますが、ほとんどの施設で24時間職員が常駐し、全てのお世話を任せることができます。

入居費用は安くても毎月10万円程度は必要となるので経済的負担は増えますが、在宅介護のために介護離職すれば収入がゼロになってしまいます。入居することで、介護休業からの復帰が現実的になったり、そもそも介護休業が不要になるかもしれません。

4-2.施設入居後も家族の役割はある

「仕事を続けたい」という希望を叶えるためにも、入居サービスの利用は前向きに検討したいものです。入居することで、家族としての役割にも余裕が生まれます。介護そのものは施設サービスでまかなうため、家族は面会や体調の確認、そして今後の介護のことや終末期をどうするかなどを考える時間を作ることができます。

このように、入居サービスにはさまざまなメリットがあり、否定されるものではありません。親の介護が始まる前に知っていれば、介護離職予防にも効果的です。今はネットでも簡単に介護施設を検索することができますので、人事担当者や管理職が、日頃から従業員にこういった情報を提供するのもおすすめです。

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5.従業員の‟ウェルビーイング”実現に、介護離職しない職場づくりを

介護による離職は従業員本人のストレスも大きく、その後の人生にも大きな影響を与えます。

また、少子高齢化による労働人口の減少によって雇用の確保はますます困難になるため、介護離職は企業にとって大きな損失です。従業員のウェルビーイングや企業の発展のためにも、介護離職防止は大きな課題となります。

今回は介護離職防止に人事担当者や管理職ができることとして、「正しい知識を身に付けること」と「相談しやすい体制づくり」をご紹介しました。

いま一度、介護について相談しやすい体制ができているか、介護休暇や介護休業を取りやすい環境になっているかを確認しましょう。

加えて、一緒に働く従業員にも理解が浸透するような取り組みも必要ですし、もし離職しても介護が落ち着いたときに戻ってこられるような、復職支援の整備も急務です。

介護離職防止のためにできる取り組みは少なくありません。1つずつ整えて、従業員のウェルビーイングを実現できる職場環境を目指していきましょう。

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