従業員エンゲージメントを可視化するアンケート調査方法と人事データ分析術とは?|HR-Study#17

新型コロナウイルスの影響で働き方が変化している現代において、従業員が望む働き方に併せた環境体制を整えていくために「エンゲージメント調査(パルスサーベイ)」が注目されています。

今回のHR-Studyでは、従業員エンゲージメントを把握するためにおこなうアンケートの取り方から、データをもとにした具体的な改善施策や取り組みについて、各社が実際におこなっている事例をもとに学ぶ機会を設けました。

  • 従業員のエンゲージメントを高めたい、従業員エンゲージメントを可視化する方法を知りたい
  • 他社が従業員にどのようなアンケートを取っているのか、具体的な手法や事例について知りたい
  • 従業員にとったアンケート結果について、どのように施策に反映させていくべきなのか知りたい

といった人事担当者や経営者、マネージャー層の皆様は、ぜひ参考にしていただければと思います。

※本記事は、2022年2月3日(木) 15:00~16:30に実施されたイベント内容をもとに再編成したものです。

登壇者紹介

萩原 佑一|PayPay株式会社人事部 HRBP/企画 Manager

フランス留学を挟み大学を卒業後、大手メーカーに入社。グローバル人事(制度企画・HRBP)、副社長直下組織などを経て、2019年11月にPayPayに入社。WFA(Work From Anywhere at Anytime)の制度導入も含めたHRMサイクルの全般に携わる。MBA取得。

松尾 恵梨子|SHE株式会社 執行役員VPofHR

2014年中央大学経済学部卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格。新日本有限責任監査法人入社。会計監査業務に従事。激しいミスマッチで2年でジョブチェンジを決意。2016年リクルートキャリア新卒メディア事業事業部総合企画部にて大手企業向けのコンサル営業に従事。2020年SHE株式会社入社。コミュニティマネージャーやコーチングリードを経て、11月より人事責任者に。その他プライベートでコーチとしても活動中。

小野 拓馬|合同会社DMM.com組織管理本部人事部BPグループGAMESチーム

2013年4月に新卒で日本エス・エイチ・エル株式会社へ入社後、2018年3月に合同会社DMM.comに入社。育成推進グループを経て、現在のEXNOA人事チームにてHRBP業務に従事。2019年3月に国家資格キャリアコンサルタントを取得。組織開発やマネジメント教育の施策の企画、実行。また、Geppoの導入、運用の主担当として、日々社員とのコミュニケーションを大事にし、個人の成長、事業の成長に貢献できるように邁進中。

モデレーター紹介

西村 創一朗|株式会社HARES 代表取締役

新卒でリクルートキャリアに入社後、法人営業・新規事業開発・中途採用などを歴任。在職中の2015年に「二兎を追って二兎を得られる世の中を創る」をミッションに株式会社HARES(ヘアーズ)を創業後、2017年に独立。今回のテーマである「オンボーディング」を含め採用・人事領域を中心に多数の企業のアドバイザーを務めるほか、人事系イベントのモデレーター/ファシリテーターとしても活躍。著書に『複業の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)がある。

[勉強会の内容をまとめたスケッチノート]

目次

LT1. データドリブンなコンディションチェックの最前線|PayPay 萩原さん

11年間のメーカー勤務を経て、現在PayPayで2年ほどHRBPや企画、コンプライアンスなどを担当している萩原です。本日はよろしくお願いします。

1-1. PayPayの働き方「WFA~Work From Anywhere at Anytime」

まず、サーベイの話に入る前に、前提条件となるPayPayの働き方に関する考え方についてお話させていただきます。

弊社では「WFA~Work From Anywhere at Anytime」という言葉を掲げ、社員がいつでもどこでも働けることを強く打ち出しており、近い将来では海外も含めて働けるようにしていく予定です。

これによって、マネジメント層の92%、メンバー層の93%が生産性の維持向上が確認できており、人事観点でも地方の採用力が格段に上がっています。

会社生活という枠を超えて「人生を最高にしよう」というスタンスを取っており、私自身も現在、生まれ育った関西に移り住み、両親や昔ながらの知人と交流をもちながら、人生を変えている真っ最中です。

そして、この中で弊社として注力しているのが、サーベイドリブンでの組織開発です。本日は、複数あるサーベイの中でも、コンディションチェックに絞ってご紹介します。

1-2. 従業員のコンディション変化を可視化する

PayPayでは、自身の体重や血圧などを定期的に測り、健康状態に応じて改善策を打つ健康管理と同様に、2週間に1度の頻度で、社員のコンディションをチェックして予防をおこなっています。

休職や退職を疾患と捉えながら、特に未病に力を入れており、本人が気づけていない疾患について早期発見し改善することが人事担当者としてのミッションとなっています。

具体的なコンディションチェックの流れは、以下の通りです。

まず社員にメールを送り、「仕事」「対人関係」「ご自身の健康状態」の3項目について回答いただきます。フリーコメントも残すことができますが、回答時間は1分程度で行えるように設計するようにしています。

そして、この3項目を5段階で評価するとともに、人事が回答を確認した後に独自のアルゴリズムを用いて、必要がある社員にのみアプローチをしていきます。

独自のアルゴリズムは、2年半ほどサーベイを実施してきた中で出てきた「こういうスコアの人は休職・退職しやすい」「こういう特徴の人はハイパフォーマンスになる」といった結果をもとに作成したものです。

このアルゴリズムを基準にしてコンディションチェックのフローを回した結果、休職・退職者は75%ほどの確率で当てられるようになりました。

また、コンディションチェックのスコアに応じて、人事だけでなく、産業医との面談や、上長との話し合いを実施します。対人関係のストレスは上長が要因になっているケースも多いので、社員の同僚など近隣関係者も含めて話を聞きながら、組織開発を進めています。

1-3. 組織の生産性向上へ向けたアプローチを推進

社員のコンディションチェックは、組織としての生産性の向上に大きく関わっています。

こちらの図では組織の生産性に関する方程式を記載していますが、分母がコンディションの可視化となっており、社員のコンディションをリアルタイムで可視化できるほど、生産性向上に寄与していくという考え方を取っています。

 

現在、弊社の人事組織は人数が少なく、社員すべてのデータがほぼ私の手元にある状態です。組織、採用情報、労働時間、処遇、インセンティブ情報などをひとまとめに集約し、先ほどご紹介したアルゴリズムの活用を図っています。

また、組織の生産性に対する全体的なアプローチ方法は、個別アプローチと組織アプローチに分けています。

たとえば、20名ほどのチームで1人が悩んでいたら個別アプローチをおこないますが、20名中10名のコンディションが悪ければ、組織そのものに問題があると考え、組織に対して何かしらのマネジメント施策をおこなっていくという流れです。

なお、個別アプローチに関しては、外部のカウンセリングサービスも活用しています。

PayPayとして、今後もコンディションチェックによる健康マネジメントおよび人材のパフォーマンス向上に関しても、変化の最前線で多側面から真剣に取り組んでいきたいと考えています。

LT2. 社員への徹底的な「個別化アプローチ」を|SHE松尾さん

SHE株式会社で執行役員VPofHRをしている松尾と申します。

私は公認会計士からキャリアをスタートしましたが、苦労して会計士に受かったにも関わらず仕事を楽しむことができず、2年でジョブチェンジしました。

その後、リクルートキャリアで新卒向けの広告営業を経験した後、SHEに転職しています。現在はプライベートで取得したコーチングの資格も活用しながら、人事業務に従事しています。

2-1. SHEの「ビジョン」と「ミッション」

弊社は「一人一人が自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中を作る」というビジョンのもと、コミュニティブランドを展開する創業6年目のスタートアップです。

また、ミッションとして、「固定観念を壊し、自分らしい生き方を勝ち得る解放の伴走者」となる」を掲げており、SHElikes(シーライクス)というミレニアル女性に向けたキャリアスクール事業を展開しています。

創業当初はシーライクスを中心に「キャリアの固定概念を壊す」ことを目的に運営していましたが、現在はライフコーチングカンパニーとして、女性の人生全般に存在する固定概念を解放していこうという方針にシフトしています。

社員数は600名超える規模でして、業務委託メンバーを含めると200名規模の会社となっていますが、弊社で働くメンバーの最大の特徴は、このビジョンやミッションに共感して入社する方がとても多い点だと思っています。

2-2. SHEの従業員エンゲージメントに対する考え方

このような中で、弊社がエンゲージメントについてどのように考えているかというと、60名規模のフェーズであるため、徹底的な「個別化アプローチ」を追求することをベースとしています。

個別化アプローチとは、社員の強みや最も価値が発揮できて熱狂できる働き方、囚われがちな思考などをデータベース化して、それぞれがどのような価値を持っているかを徹底的に理解することを指します。

そして、個別化アプローチをおこなうために、月次/半期/随時タイミングに合わせて定点チェックとしてサーベイを活用しています。どのような価値基準の社員が、会社や上長に対してどのように考えているのか、常に情報を取りにいくスタンスです。

また、この社員から取得したデータベースは「ビジョン体現データベース」と呼んでいます。

弊社のビジョンを社会に提供する以前に、SHE自身がビジョンを体現することが重要としており、「SHEがビジョンを体現できていないのに、社会に提供できるわけがないよね」という考えをもとにしています。そして「ビジョン体現のために自分にしかない価値は何か」「自分にとって熱狂とは何を指すのか」を考えながら組織運営をおこなっています。

【ビジョン体現データベース|サンプル】

ビジョン体現データベースには、全社員のストレングスファインダー、個々人がお金をもらわずともついやってしまうような自分ならではの最高価値(Want to)、SHE独特の表現ですが「呪い」という個人個人が無意識のうちにとらわれている「私なんて…」という感情などが全て入っており、これを徹底把握するためにサーベイを実施していきます。

2-3. 実際にどのような形でサーベイをおこなっているのか

SHEでは、サーベイツールとしてGeppoを利用し、個人サーベイと組織サーベイをそれぞれ半期に1度おこなっています。

個人サーベイは1分程度で回答できるもので、人間関係や健康状態の調子が悪い日は雨マークをつけてもらい、その状況に応じて人事面談を進めていきます。組織サーベイでは、eNPS(Employee Net Promoter Score/知人や親しい人に会社を勧めたいかどうかはかるもの)の調査と勤続以降などを調査しています。

個人サーベイは、役員除いて95%の回答率を維持しており、eNPSは41と言う過去最高のスコアを最近記録しています。

もちろん、こういった統計数値だけでなく、定性評価も加味しながら個別把握を進めています。

定性評価としては、上長/ユニットに対するパフォーマンス評価や心理的安全性などの調査が挙げられますが、中でも弊社の調査で特徴的なのはバリュー評価です。

単純に「バリューに対してどうですか?」と聞くのではなく、被評価者の本人がバリューをどう体現したいと思っているのか、つまり役員の価値基準は何か提示してもらったうえで評価をおこなっています。

その他には、社内アンケートも定期的におこない、回答率が落ちているメンバーがいないかなど抜け漏れがないよう確認をしています。

2-4. 今後の課題は社員数が増加してもエンゲージメントを下げないこと

最後に、SHEの従業員エンゲージメント調査についてまとめると、以下がポイントになります。

  • ビジョン体現データベースをもとに個々の価値基準を徹底把握
  • 「どんな価値基準のメンバーが、会社/ユニット/上長/施策についてどう思っているか」を確認

場当たり的に対応するのではなく、その社員がどのような価値基準を持っていて、今まで何を大切にしながら、どんな人と関係をつくり行動してきたかという背景を理解することで、個人に寄り添った対応が実現できると思っています。

とはいえ、ここまで徹底把握できているのは、SHEがまだ60名規模の会社だからとも思っています。

今後の課題(目標)としては、社員が増加しても、独自のアルゴリズム組みながらスムーズに進められるようにすることだと考えています。

LT3. サーベイは目的を明確に設定することが重要|DMM.com小野さん

DMM.comの小野と申します。私は新卒から5年ほど人事コンサル会社で勤務した後に弊社に転職しました。

最初は育成チームに所属していましたが、DMM GAMESに分社化したタイミングで新たに人事組織を作る必要があり、HRBPとしてオファーをもらって今に至ります。

なので、今回はDMM GAMESの中でおこなっているサーベイ施策について、お話させていただきます。

3-1. 分社化で急拡大。メンバーの意識を探るためにサーベイを実施

弊社では「コンディションが上がればエンゲージメントが上がる」という前提に立ち、社員のコンディション管理のためのサーベイをおこなうことに力を入れています。

その中で、まず大切だと思っていることが「明確な目的を設定すること」です。

エンゲージメントサーベイやパルスサーベイを実施する目的が明確になっていないと、社員に「このサーベイが何のために実施されているものなのか」といった理由を説明する際にブレが生じてしまいます。

弊社の場合は、社員個人のコンディションを把握することで個別課題の早期発見し解決することを目指していますが、そもそものコンディション管理に取り組んだ背景としては、急激な組織拡大やマネジメントレイヤーの育成不足がありました。

DMM GAMESは2017年にDMM本体から分社化しましたが、そのタイミングで既に社員数が1000名規模となっており、その1200名に対して人事は8名しかいないといった体制でした。

このような状況の中で複数ある拠点を全て見なくてはならず、組織が拡大する中でカルチャーフィットしない社員が出てきたり、マネジメントレイヤーが育ち切っていなかったことによる様々なひずみが生まれたりしていました。

人事チームも、立ち上がった当初はお互いの名前も知らない状態だったので、各メンバー同士がお互いの理解を深めていくためにも、サーベイをおこなう必要がありました。

3-2. 個別面談で社員とのコミュニケーションを活性化

弊社もSHEさんと同じく、月に1回Geppoによるサーベイを実施しています。

サーベイは各社員のアラートを見極めるために実施しており、サーベイの結果をもとに個別面談に進みます。

個別面談では、ここでは言えないようなディープな内容について話すこともよくありますが、面談で出てくるトラブルや相談を紐解いていくと、ほとんどが人間関係のこじれが原因となります。そして、これらは当事者間できちんと話していれば解決できた内容が多いです。

また、サーベイを取ったことをきっかけに、面談でぞっとするような内容の話も聞いたりしますが、サーベイを導入したらかこそ社員と身近に話すことのできる場を設けられているので、サーベイ実施は社員とのコミュニケーション活性化においても非常にポジティブに捉えています。

Geppoは実名で回答してもらえる点や、適度な頻度で簡単に回答しやすい仕様となっており、サーベイツールの中には実名回答をおこなうことができないものもありますが、個別把握をするためには実名のものを利用したいと考え、導入をしています。

3-3. サーベイを実施した効果と今後に向けて

サーベイを実施した効果としては、未然のトラブル回避はもちろんですが、1000人強の社員のキャラクターを把握できたことがとても大きいです。

これだけの社員数がいるので、1人ひとりを立体的に把握することはなかなか難しいですが、サーベイのコメントを見ることで「この人はこんなタイプの方かな」といった理解を促すことができました。

また、我々人事メンバーの認知も、社員内で上げることができたため、slackなどの個別連絡で対応できるようにもなりました。

現在の課題は「1000名規模の組織において、個人の動向と組織をどう紐づけるか」です。現状、マネージャーには情報開示していませんが、いずれは開示していきたいと思っていますし、そのためにはマネジメントの育成もあわせて対応する必要があります。

人数が多い組織の中で、どこまで個人の対応にマンパワーをかけるかどうかを、今検討している真っ最中となります。

最後に、繰り返しになりますが、エンゲージメントサーベイはとにかく「目的を明確にする」のが重要だと思っています。

「他の会社でやってるからうちもやろう」というスタンスでは、目的が曖昧になり、何のためのサーベイかわからなくなってしまうでしょう。

加えて、マネージャーに対しても根気強く向き合っていくこと、そして検証して具体的な対応に落とし込むことが大切です。私たちも道半ばですが、今後もこのポイントを大切にしながら進んでいきたいと思います。

パネルトーク

ここからはパネルトークとして、視聴者の皆さんが聞きたいと思ったトークテーマをもとにお話を進めていきます。

テーマ①サーベイを実施したビフォーアフターについて

まずは松尾さんにお伺いします。

SHEさんでは、いつ頃から、どのようなタイミングでサーベイの導入を検討されたのでしょうか?

弊社は、10~15名規模の頃に導入をしました。

コロナ禍で仕事がオンライン化したときに、社員の様子が見えづらくなったのがきっかけです。

だいぶ早いタイミングでの導入だったのですね。オフィスに出社する形であれば、社員の表情の変化などを直接見て気付くこともできるような規模間ですが、コロナで確かにリモートワークが増えましたからね。

もともとSHEさんは社員のエンゲージメントが高いイメージもありますが、Geppoを入れたからこそ分かったことはありますか?

はい、導入前からエンゲージメントは高いだろうと予想はしていました。しかし、サーベイを実施する以前は、個々人が会社や組織に対して本心でどう思っているかについて把握することはできていませんでした。

なので、サーベイを導入したことで、ミーティングの場では元気に振舞っているのに、実は裏側でメンタル不調になっていた社員を見つけることができましたね。

 

 

また、メンタル不調を未然に防ぐだけでなく、実は上長とうまが合っていなかったという内容も、サーベイで見えてきたことです。

上長から「この部下は私と相性が良くない」といった申告はなかなか上がってこないものだと思いますので、サーベイをきっかけに、上長と部下の組み合わせを考え直す機会を得られたことは良かった点です。

ありがとうございます。続いて荻原さん、小野さんにもお伺いします。

サーベイを導入する前後で、何か見えてきたものはあるでしょうか。

私がPayPayに入社した頃、毎月新しく40~50名の社員が入社しているような状況でした。

サーベイ導入前は、社員とのコミュニケーションの中でしかコンディションに関する情報をキャッチできませんでしたが、サーベイを実施した結果、入社後のオンボーディングに課題があるのではないかと気付くことができました。

弊社の場合は、従業員のメンバークラスに加えて、マネージャーの状況も把握・ケアできるようになったのがポイントだと思います。

マネージャーも1人の人間なので、コンディションが下がることありますよね。

マネージャーがメンバーに与える影響は大きいため、さまざまな立場の社員状況を把握し、「最近どう?」と聞く機会が増えたのは良かった点です。

確かに、マネージャーや経営陣も人間である、メンバーのハブになっているマネージャーのコンディションをしっかり押さえにいくことも非常に重要だと思います。

テーマ②サーベイの結果をどのように社内共有しているか

2つ目のテーマに進みます。

もし、サーベイの結果が悪い場合、該当者や該当するチームに直接伝えることは難しい場面もるかと思います。

皆さんは、サーベイの結果について、良い点も悪い点も含めて、どのように社内に共有しているのでしょうか。

私たちは、現場のマネージャーには結果の開示はしていません。あくまでサーベイは「人事と社員の間でのコミュニケーション」として設定しているので、あえて開示をしていない状況です。

ただ、現在は保留していますが、エンゲージメントについての全体的な調査結果は、現場のマネージャーが見ることで、どの程度影響があるか検討しています。

弊社では、サーベイ結果を経営層に報告する際は必ず、営業の生産性やサービスのローンチ速度などとセットで報告します。

それに加えて、大型の組織変更があったときには複数のサーベイを用いながら共有するようにしています。

個々の回答については、私たちも上長には見せないですね。

個別回答はプライバシーの関係で大っぴらに開示しないですよね。スコアなども開示していないのでしょうか?

部長の上の役職にあたる本部長だけには、チームの総合スコアを開示しています。

ただし、データをそのまま渡すことは絶対にしませんね。データから見えた人事的な分析と課題解決の道すじもセットで話すよう心掛けています。

松尾さんはいかがでしょうか。

弊社の場合は、人事担当者しか全てのデータを見られない仕組みとなっています。各ユニットのコンディションなどは社長に報告しており、ユニット長には、自分のユニットの状況のみを詳しく把握してもらって、他の役員の情報は平均値だけお渡ししています。

また、サーベイ結果をどう受け止め、何を課題と考え取り組んでいくかについては、2~3時間の役員合宿の場で議論するようにしています。

社員に対して全体数値の報告はしますが、「この課題は人事内でこのように受け止め、こういった改善策をおこないます」と、アクションに落とし込んで伝えるよう注意していますね。

社員から見ると、人事や役員が自分が回答したことについてどのように受け取っているかフィードバックしてもらえると安心できますよね。

ただ回答を集めるだけでなく、きちんと解決策まで運用されるのは素晴らしいです。

テーマ③サーベイを実施する中でのしくじり経験

3つ目のテーマに入ります。「サーベイを実施して失敗した!」という経験について、松尾さんから教えていただけますでしょうか?

弊社は、手前みそですが性格がとても良い、基本的に性善説で人やコトを見るメンバーが多いです。

ただ、周囲への影響をきちんと考えられるメンバーが多いからこそ、なかなか本音で回答をしてくれなかった過去があります。

「本当に本音で入れているの?」と疑いたくなるほど毎日「晴れマーク」続きの方も多く、本当はコンディションを崩しているのに、迷惑をかけないように実際の状況を答えない方もいました。

そのため、「この回答を誰が見るのか」と開示範囲をきちんと伝えるようにするとともに、「私たちは評価者ではなく、中立的な立場でサーベイ結果を見ますよ」と、繰り返し伝えることで改善をはかりました。

また、性格が良く周囲に気を配れるメンバーが多いという特徴を活かし、自分の状況を答えるよりも、周囲で困っていたりコンディションを崩していたりする人について教えてほしいと質問をするように工夫しました。

この結果、人事が気付かないようなメンバーの状況も見えるようになり、定性コメントの回答率もアップしました。

第3者の情報を聞き取るのは、SHEさんならではの手法ですね。小野さんはいかがでしょうか。

Geppoでは各個人のアラートが出てきますが、こちらから強制的に面談を組んで話を聞きに行かないと、なかなか次のアクションが決まらないという悩みはありました。

社員数が多いため全員を見ることができず、優先順位を誤ると、最悪の場合は退職につながってしまいます。

リモートワークも進む中で、全員の様子が見えないからこそ、サーベイ後に個別に取るアクションの優先順位のつけ方には注意しています。

面談を実施する方の優先順位について、具体的にどのようにつけているのでしょうか?

ビジネス的な観点で言えば、やはりハイパフォーマーを優先的に面談を実施しています。

もちろん全員と面談をしたいところではあるのですが、現時点ではリソース的な問題もあり、弊社内で今後のキャリア形成がやや難しいと考えられる方には、少し異なるコミュニケーションを取っていますね。

会社にとって、なくてはならない人に対して重みを付けているということですね。萩原さんはどうでしょうか。

サーベイで最初にぶち当たった壁は回答率で、その次は忖度でした。

皆が良い評価しかつけない状況を改善するために、何度もメッセージを出していきました。

退職者は常に批判のスコアをつけるというアルゴリズムがありますが、休職する方は休職直前に悪い評価をする傾向にあります。

このアルゴリズムから、月1回の評価では間に合わないと考え、月2回のペースに変更した経緯もあります。

回答率に加えて、回答頻度も重要な視点ですよね。

回答率を上げるために1分の簡単な質問にされていると思いますが、短い時間で回答するために、どういった質問設計をしているのでしょうか。

「短い時間内での答えやすさ」というユーザーファーストのためにはインターフェイスが重要だと考え、Geppoからjinjerに変更しました。

jinjerのインターフェイスはさくさく答えやすいと感じています。回答率キープのために、社員は必ず回答するようにルール化して、促進をはかっています。

視聴者からのQ&A

最後に、視聴者からいただいた質問にお答えいただきたいと思います。

Q. マネージャーのエンゲージメントが下がる要因で頻出のものは何ですか?

弊社はゲーム事業をおこなっているので、マネージャーがゲームプロデューサーを務めるケースも多いです。

そのため、ゲームを企画をしたけど駄目になったり、ゲームリリースに間に合わなかったりしたときに、モチベーション下がってしまう傾向があります。

エンゲージメントが下がってしまったときは、人事が話を聞いたうえで、マネージャーの状況を経営に上手く伝えつつサポートしています。

弊社では刻一刻と事業戦略が変わるので、その変化についていけず下がってしまうマネージャーは多いと思います。

マネージャーのエンゲージメント定価をキャッチアップしたら、その都度ミッションの変更や異動などを検討します。

弊社はスタートアップのため、目標数値がとても高く、責任を感じやすいマネージャーに影響が出やすいですね。

「責任感を感じやすい」というのも、冒頭でお話した「呪い」、「囚われ」の1つなので、いかにその呪いを外してあげるかが重要になります。

Q. 上司と部下の相性の良し悪しはサーベイでどのように判断していますか?

サーベイのおかげで、徐々に考えていることを率直に報告してもらえるようになりました。

この定性コメントを確認しつつ、日々のGeppoでの雨マークを見たり、第3者コメントをもとにして判断をしています。

従業員コンディションのサーベイではなく、面談のときに判断します。

「事業計画へのギャップ」、「仕事内容へのギャップ」、「マネジメントへのギャップ」の3項目を想定した質問を面談でおこない、適切なアプローチ方法を判断しています。

まずは、「どんな悩みがありますか?」とオープンに聞いて、状況を総合判断しています。異動申請に関してはあくまでも自己申告でおこなっていますね。

Q.サーベイの質問をどのように決めたか教えてください。

Geppoのシステムの追加質問機能を活用しています。質問内容は、年間のイベントに紐づけて設定することが多いです。

たとえば、評価シーズンであれば「評価の内容に納得しましたか?」という質問、年末年始であれば「年末にリフレッシュできましたか」という内容も用いています。

カスタマイズ質問は、その時々に合わせて工夫されているんですね。脱マンネリ化のために大事なポイントですね。

eNPSや360度エンゲージメントは、独自で1から質問を作成しています。質問設計は私たちがおこい、集計はマーケティングの会社を利用しています。

エンゲージメントに関しては、「自社のサービスを紹介したいですか?」といった質問で探ります。縦

ライン(上司と部下)の関係性が悪そうであれば、縦ラインのどういうことが気になっていますかなど、仮説を立てたうえで、その課題を直接あぶり出すような質問を設定しています。

部下から上司を評価すると、どうしても「部下のバリューに当てはまるかどうか」といった部下基準で評価されてしまうんですよね。

自分の価値基準で上司を評価するのではなく、「上司が体現したいこと」に対してどうだったかを、見てもらうように質問設計しています。

皆さん、たくさんのご質問ありがとうございました。

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