ゴーレム効果とは?ピグマリオン効果・ハロー効果との違いや対策を解説 |HR NOTE

ゴーレム効果とは?ピグマリオン効果・ハロー効果との違いや対策を解説 |HR NOTE

ゴーレム効果とは?ピグマリオン効果・ハロー効果との違いや対策を解説

  • 組織
  • 人材育成・研修

「職場でゴーレム効果が起きているのではないか」

「ゴーレム効果を予防するにはどうしたらいいか」

このようなお悩みはないでしょうか。ゴーレム効果とは低い評価がパフォーマンス自体の悪化を引き起こすことで、個人だけでなく組織全体にも悪影響を及ぼします。そのため、ゴーレム効果の予防が非常に大切です。

本記事では、ゴーレム効果とは何かを具体例やピグマリオン効果・ハロー効果との違いとあわせて解説します。すでに起きているゴーレム効果への対処方法や予防方法も解説するので、社員の指導方法の参考にしてください。

1. ゴーレム効果とは

ゴーレム効果とは、周りからの関心や期待、評価が低いことが原因でパフォーマンスが悪くなることです。主にスポーツやビジネスなど、結果が重視される場において見られます。

ゴーレム効果は、アメリカの教育心理学者、ロバート・ローゼンタールが名付けた現象です。呪文で動き、額にある文字を消されると泥に戻る人形の「ゴーレム」から名前が取られました。

ゴーレム効果には、絶対的ゴーレム効果と相対的ゴーレム効果の2種類があります。

絶対ゴーレムとは、期待や評価が低い本人のパフォーマンスが下がることです。一方、相対的ゴーレム効果は、期待や評価が低い集団に属している優秀な人のパフォーマンスが下がることをいいます。

ゴーレム効果を正しく理解し、社内で発生することのないよう気をつけましょう。

2. ゴーレム効果の具体例

ゴーレム効果の具体例を、次の3つの場合で見ていきましょう。

  1. 職場
  2. 子育て
  3. 恋人

2-1. 職場

職場でゴーレム効果が生じるコミュニケーションの具体例として、以下が挙げられます

  • 「あまり期待していないから気楽にやって」
  • 「あなたに任せるのは不安なんだけど」
  • 「どうせ無理だろうとは思っていたよ」

とくに上司の言動がゴーレム効果の原因になりやすい傾向があります。

本人だけではなく、同じチームに属するメンバーも影響を受けてパフォーマンスが下がるおそれがあるため、注意が必要です。

2-2. 子育て

子育てでは、以下のような親の発言がきっかけでゴーレム効果が起きることがあります

  • 「まだ小さいからできないよね」
  • 「どうしてそのようなこともわからないの」
  • 「お父さんも下手だからお前も下手なはずだよ」

子どもは「どうせ自分にはできない」と思い込み、一生懸命になるのをやめ、自らの能力を伸ばそうとしなくなります。

2-3. 恋愛

恋愛では、相手から以下のような言葉がけによりゴーレム効果が発生しやすいです。

  • 「あなたは本当にダメな人だよね」
  • 「前の彼氏/彼女は〇〇だったのに」
  • 「隣にいて恥ずかしいよ」

好きな相手からの評価が低いと、「自分は愛される価値のない人間だ」と考えるようになります。結果、見た目に気を遣うのをやめたり、異性に対して消極的になったりするのです。

3. ゴーレム効果とピグマリオン効果の違い

ゴーレム効果とピグマリオン効果の違いは、相手に与える影響がポジティブかネガティブかである点です。ゴーレム効果はネガティブ、ピグマリオン効果はポジティブな影響を与えます。

ピグマリオン効果とは、褒められたり期待されたりすることでパフォーマンスが上がる現象のことです。「教師期待効果」とも呼ばれます。

ピグマリオン効果のポイントはポジティブな言動がポジティブな結果をもたらすことです。「あなたならできる」「あなただから任せられる」のような声をかけることで、実力以上のパフォーマンスを発揮することがあります。

ネガティブな言動がネガティブな結果をもたらすゴーレム効果とは正反対の現象であり、教育や指導に積極的に導入したい効果です。

4. ゴーレム効果とハロー効果の違い

ゴーレム効果とハロー効果の違いは、評価される側とする側のどちらに影響がある現象かです。ゴーレム効果は評価される側、ハロー効果は評価する側に影響があります。

ハロー効果とは、一部の印象や特徴で全体の評価が決定されることです。ハロー効果にはポジティブハロー効果とネガティブハロー効果があります。

ポジティブハロー効果とは、外見がよいことで人間性もよいと評価されるような、一部の特徴が全体の評価をよくする効果です。一方、ネガティブハロー効果では、服装がだらしないために仕事もできないと評価されるような、一部の特徴が全体の評価を下げる効果のことをいいます。

ゴーレム効果との違いは、ゴーレム効果は評価する側がされる側に影響を与えますが、ハロー効果は評価される側がする側に影響を与える点です。

5. ゴーレム効果の影響

ゴーレム効果の影響には以下があります。

  1. 成績の継続的な低下
  2. 組織全体のパフォーマンスの悪化
  3. 成長機会や挑戦意欲の喪失

5-1. 成績の継続的な低下

ゴーレム効果が発生している社員は継続的に成績が下がることがあります。低評価を受けることで「自分はだめだ」と思い込み、実際に評価を受けた仕事だけでなく、その後の仕事の成績も落ちるのです。

成績がなかなか上がらないことで自己肯定感もさらに低くなり、悪循環に陥るリスクがあります。

5-2. 組織全体のパフォーマンスの悪化

ゴーレム効果が起きると、特定の社員一人だけでなく組織のパフォーマンスが悪化することがあります

例えば営業チームのリーダーにゴーレム効果が発生すると、個人の成績が下がってチームの数字に影響するでしょう。さらに自己肯定感が低くなっているためネガティブな言動を取るようになり、ゴーレム効果が広がってチーム全体のパフォーマンスが悪くなるのです。

5-3. 成長機会や挑戦意欲の喪失

ゴーレム効果の影響下では成長機会も失われます。パフォーマンスが落ちている状態では新しい仕事を任されにくく、本人も自己肯定感が低くなっているため積極的に挑戦しようとしません。

結果、成長する機会がないため能力が上がらず、評価が下がっていくばかりの状態に陥ります。

6. ゴーレム効果への対処方法

職場でゴーレム効果が起きていると感じたら、以下の対処方法を試してみましょう。

  1. 挽回するチャンスを与える
  2. 褒めることを意識する
  3. マネジメントの研修を実施する

6-1. 能力を発揮するチャンスを与える

ゴーレム効果によりパフォーマンスが低下している社員に能力を発揮するチャンスを与えましょう

仕事で失敗したときの指導は避けられません。また、人には向き不向きがあり、不向きな分野でよいパフォーマンスをするのは困難です。

「この社員は仕事ができない」と決めつけず、小さな仕事でもよいので能力を発揮するきっかけになりそうな仕事を任せてみましょう。その際、期待していることを伝えることも大切です。

6-2. 褒めることを意識する

ゴーレム効果への対処方法として、従業員の良い部分を褒めることが大切です。日頃から本人の働きを適切に評価することで、パフォーマンスの向上を期待できます。

ゴーレム効果の原因となる発言をする人は、悪い部分に注目してよい部分に対するフィードバックが少ない傾向にあるため、注意が必要です。

とくに部下を持つ従業員は、小さなことでも積極的に褒めることが望ましいでしょう。評価や期待をかけるコミュニケーションにより、状況の改善を図れます。

6-3. マネジメントの研修を実施する

管理職をメインにマネジメントの研修を実施して、ゴーレム効果に対して注意を促しましょう。管理職の社員自身、どのように指導や評価をすればいいのか基準がわからずゴーレムを引き起こしているかもしれません。

部下の成長や意欲につなげるためにはどのように指導すればいいのか、研修の場で指針を示しましょう。

7. ゴーレム効果の予防方法

職場でのゴーレム効果を予防するには、以下の方法を実施しましょう。

  1. 加点式でフィードバックする
  2. サンドウィッチ型フィードバックを活用する
  3. 実力に合わせた目標を設定させる

7-1. 加点式でフィードバックする

フィードバックは加点式で実施しましょう。減点式ではミスばかり目に入り、無意識に注意ばかりになります。

加点式でのフィードバックを心がけることで、できたことや改善したことにも意識が向くようになり、ポジティブな声かけを増加可能です。

7-2. サンドウィッチ型フィードバックを活用する

何か注意するときはサンドウィッチ型フィードバックを活用しましょう。サンドウィッチ型フィードバックとは、「褒める・注意・褒める」のようにネガティブなことを伝える際に、前後にポジティブなことをはさむことです。

ポジティブなことを伝えてからネガティブなことを伝え、最後もポジティブなことで締めることにより相手が前向きな気持ちで注意を受け入れやすくなります。何か注意するときは、その前に何か褒められる点がないか考えましょう。

7-3. 実力に合わせた目標を設定させる

部下の実力に合わせた目標の設定もゴーレム効果の予防方法の一つです

目標が高すぎると達成が難しく、マイナスな評価を避けられません。実力に合わせた目標を設定することで評価が下がりにくくなり、成長や進捗の可視化もできてモチベーションを向上させられます。

適切な目標設定により成功体験を積ませて、期待に応える経験やよい評価をされる経験をさせましょう。

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