トップ人事4人が語る、COVID-19と採用トレンドの変化|SessionB【FUZE2020#3】 |HR NOTE

トップ人事4人が語る、COVID-19と採用トレンドの変化|SessionB【FUZE2020#3】 |HR NOTE

トップ人事4人が語る、COVID-19と採用トレンドの変化|SessionB【FUZE2020#3】

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※本記事は、主催企業や登壇者/登壇企業に内容を確認のうえ、掲載しております。

2020年11月4日、ウォンテッドリー株式会社が主催する採用と組織をリードするオンラインカンファレンス、『FUZE 2020 ONLINE』が開催されました。

今回の記事では、SESSION B「トップ人事4人が語る、COVID-19と採用トレンドの変化」の内容についてお届けします。

多くの変化が訪れている現代において採用活動はどのように変わり、また何が変わらないのか、成長企業で現役人事として活躍する4人のゲストが、採用の「今」を徹底的に語り明かしました。

■登壇者紹介

岸良 腕|フルカイテン株式会社 マーケティングチームリーダー

2020年1月、1人目のインサイドセールスとしてフルカイテン株式会社入社。2020年4月からマーケティングチームの立ち上げとインサイドセールスチームの統合に伴い、マーケティングも兼務。前職株式会社リブセンスでは主に転職エージェントとしてベンチャー企業の採用支援を担当。その経験を活かして、フルカイテン株式会社でも採用に携わる。

田中 達也|Sansan株式会社 人事部新卒/中途 エンジニア採用責任者

ベンチャー企業の立ち上げを経て、2017年に営業職としてSansanに入社。その後人事部へ異動し新卒採用グループとして2年間全職種の採用に携わったのち、2020年6月から新卒中途横断のエンジニア採用責任者を務める。

北上 あい|note株式会社 人事担当

新卒採用のコンサルティングを行うベンチャー企業にてSNSの運用を一任。DMM.comグループにて研修チームの立ち上げを経験し、新卒研修や人事システムの導入、自社制作アニメの広報を担当。その後株式会社エイチームにて、中途採用を担当。note株式会社には2019年1月に入社し、人事領域全般を担当している。

小山 清和|株式会社グッドパッチ コミュニティープランナー

富山県出身38歳。新潟大学を卒業後新卒で松屋フーズに入社し、その後営業を経て2008年から人事に。グットパッチには2016年10月に入社。コミュニティープランナーとして主に採用面から組織づくりに関わり2020年6月のマザーズ上場に貢献。採用以外では、評価。OKRの運用、一部労務業務も担当。

COVID-19による求職者動向の変化

まず「COVID-19により求職者の動向はどのように変化していると感じているか」という点に関して、お話を伺っていきたいと思います。

フルカイテンの岸良さん、いかがでしょうか。

今回、リモートワーク対応を進める中で、採用活動ではオンライン面接を実施するようになりましたが、3月から4月にかけては「安定性を求めるような人・質問」がとても増えたと感じています。

これまで聞くことのあまり無かった「御社の業績はどうですか?」といった質問や、「会社の業績不振がきっかけで転職活動をしています」といった声もよく耳にしています。
確かに、直近では企業に安定を求める求職者の方が増えているかもしれませんね。

Sansanの田中さんはいかがですか。

やはり、コロナの影響を受けて転職するモチベーション自体が変化しており、弊社の採用シーンでも会社全体の業績に興味を持つ方は増えている印象ですね。

ただ、弊社のようなベンチャー企業の採用活動では、コロナ以前から「今後の事業成長性」や「不確実性への投資」「変化が見えないからこそ面白い」といった観点を伝える必要が存在すると考えています。

つまり、「求職者に伝えなければいけない事実は何か」「明確ではない部分をどのように見せることができるか」といったことを、これまで以上に細かく考えるようになったというのが、率直な感想です。

また、リモート勤務を希望される求職者の方も増えていますが、同時に、今でも出社して働きたいと考えている方も増えている気がしており、各個人の働き方の多様性の幅はすごく広がっているのではないかと感じています。

「家だとなかなか仕事に集中できないから出社させて欲しい」という方も一定数いらっしゃいますよね。

やはり、企業としては単純にリモートワークに振り切るのではなく、人や職種にあわせて、柔軟に対応していく必要がありそうです。

この「働き方の多様性の幅が広がっている」という点に関して、noteの北上さんはどのようにお考えでしょうか。

弊社では、6月から「在宅勤務がベース・好きな時に出社して良い」というフレキシブル出社制度を全社員に導入しています。

コロナ以前からエンジニア職やデザイナー職の方はリモート勤務のできる体制でしたが、全ての職種の方がリモート勤務できるようになって働き方の幅が広がったため、応募数は若干増えたりもしていますね。

なるほど。

いち早く、働き方の多様性に対してフィットした人事制度を整えることができているのですね。

ただ、noteさんのように、こういったトレンドに即座に対応できる企業は現実的に少ないとも思うのですが、人事制度が与える採用活動への影響は、今後どれくらいあると考えていますか。

「リモートワークできないなら、応募しない」といった求職者の方も増えそうですよね。

もちろん、「リモートワーク勤務やフレックスタイム制を活用して働きたい」ということが転職軸の優先順位の中で一番上位に来る方もいらっしゃいます。

しかし、優先順位としては2番目・3番目といった方も多いのではないでしょうか。

このような場合、「会社でどのようなカルチャーを推奨しているのか」「入社後の仕事にどのようなイメージを持っているか」をしっかりと伝えることができれば、必ずしも採用できないというわけではないと考えています。

自社のカルチャーにマッチした人を採用する「カルチャー採用」は、コロナに限らず、弊社でも意識しているポイントです。

「企業として何を目指しているのか」「企業として何を大事にしているのか」といった部分に共感してもらうことは、採用フローの中に必ず入ってくる部分になりますよね。

候補者の中にも「カルチャーへの共感」を重視する人が一定数いらっしゃいますので、今後も大事にしていきたいと考えています。

弊社でも、カルチャー採用は、まさしく大事なポイントだと考えています。

ただ、当たり前ではありますが、実際に制度が無い場合は、「なぜ制度を導入しないのか」という理由について求職者の方に明確に伝えることが、まず大事だと思います。

実は、弊社は、コロナ禍になって、すぐにリモートワークに振り切ったわけではありませんでした。

経営陣から社員に対して「なぜリモートワークに踏み切らないのか」ということについて、データなどを使いながら、しっかりと対話していった背景があります。

求職者には、制度が無い事実だけを伝えるのではなく、制度が無い理由もしっかり話して 、適切な理解を得る行動を心掛けるべきではないでしょうか。

確かに「制度が無いからできません」だけでは、求職者の方も納得できないですよね。

コロナ禍において、求職者は以前よりも深い部分まで情報を求めるようになっていますので、カルチャー採用を根幹に置いた採用活動を続ける中で、適切なコミュニケーションを取っていく必要がありますね。

採用における各社の取り組みとは

それでは、次に「採用における各社の取り組みとは」というお題に移りたいと思いますが、田中さんから具体的に伺ってもよろしいでしょうか。

Sansan 田中氏「CX設計の強化に改めてまっすぐ向き合う」

新型コロナウイルスの影響により「オフラインだったものがオンラインに切り替わる」という状態の変化が起こりました。

しかし、今後は「オフラインだったものをそのままオンラインで再現する」だけでなく、オンラインでも候補者が得る体験を高めるための『CX設計の強化』に力をいれようと考えています。

オンライン上での面談や面接は、今までと同じような内容を話していたとしても、「通信環境」や「見え方」によって得られる体験が異なる場合が多々あります。

そのため、弊社では面接官の方々にトレーニング講座を受講してもらう中で、「オンライン上で自分をどのように見せるか」「どのようなコミュニケーションを取るべきか」など、かなり細かな部分について考えてもらう取り組みを多く実施しています。

また、新卒採用での細かい部分の話になりますが、郵送したダンボールの中を開けた学生が最初に見るダンボールの中の配置、入っているものの順番、メッセージは手書きにするかどうか、といった部分にもこだわったりしています。

田中さんは、エンジニア採用の責任者かと思いますが、エンジニア採用におけるCX設計の強化については、意識していること、工夫されていること、などありますでしょうか。

あくまでも「CX設計の強化」ですので、自社に関してきちんと理解してもらいたいポイントがあれば、あえてオフラインの場に強い意志を持ってお呼びする場合もあります。

面接過程の中で、できる限り出社いただいて、実際にオフィスを見ていただいたり、現場社員との関わりの場を設定したりもしていますね。

エンジニアの方も「オフィスに来たい」という人が意外と多くて、「実際に雰囲気がわかって良かったです」との声もいただいております。

なるほど。

弊社の場合、選考はオンラインと対面の2つの選択肢を提示して、候補者に希望を聞くような流れにしており、最終面接は来社してもらうような流れにしていますが、岸良さん、北上さんはいかがでしょうか。

弊社ではオフラインの面接をやっていないので、「オンラインを磨き込む」「オンラインでCXを高める」「オンラインで必要なことを伝えきる」といった部分を逆に重要視していますね。

現場でカジュアル面談を担当しているエンジニアが、候補者に力強いメッセージを発信するためにロープレを社長にお願いしたり、候補者へのクロージングメールを熱意を込めて書いたりする場面をよく目にします。

ただ、弊社は、まだ人事部が無く仕組み化されていない部分も大きいので、良い人材を口説くために現場のエンジニアが自発的に行動している部分が大きいかもしれません。

弊社でも、このコロナ禍になってから面接官の方にはオンラインでの面接トレーニングを実施するようになりました。

先ほど、田中さんのお話にもありましたが、オンライン面接は対面での面接と比較して、こちら側の見られ方も変わりますし、候補者の方を見る目線も変わってくきます。

そのため、お部屋をキレイにしてください」「お洗濯物見えないようにしてください」といった、本当に細かい部分まで注意するように伝えています。

また、オンライン面接では、うなずく際に声を出すと、お互いが喋ってしまい相手の声が聞こえなかったりするので、画面上でのワイプ芸というか、うなずく時に手を分かりやすく使ってみると良い、といった話もしたりしています。

やはり、オンラインでのコミュニケーションでは「傾聴することが難しくなった」という話をよく聞くので、今までよりも大げさにリアクションしないと伝わらないですよね。

ちなみに、私はメンバーをトレーニングする際によく「テレビショッピングを見てください」と話すのですが、話の中でフォーカスさせたいときの声の強弱についてなど、ものすごく通じる物があると思うので、とても参考になると思っています。

フルカイテン岸良氏「候補者への正直な情報発信を大切に」

それでは、次に岸良さんにお話を伺っても良いでしょうか。

先ほど申し上げたように、求職者の方は安定性重視になっているので、ネガティブな影響が出ているところは率直に、かつ具体的にお伝えするようにしていました。

たとえば、「マーケティングのKPIはすごく伸びているが、あの分野には若干投資しづらくなっているので、コストがかけられなくて若干受注が落ちている」といった細かい部分まで伝えています。

ただ、その中で「今は耐える時期です」ということを伝えていたりすると、「ちゃんと考えているんですね」と逆に安心感に繋がる場合があります。

もちろん、ネガティブなことばかりではないことも同時にお伝えしていますが、「ここは調子が良いですが、ここは調子が悪いです」といった風に、なるべくクリアに、安心感を持ってもらえるように説明することを心がけています。

確かに、弊社も「離職率40%が2年間続いた」という暗黒時代がありましたが、その時もよく面接で「弊社は離職率40%ですけど、大丈夫ですか」と言ってましたね。

ただ、意外と選考辞退は少なく、当時、入社してくれた社員に話を聞いたところ現場も社長も人事も、みんな『組織がヤバい』と同じことを言っていて、ブレていない部分が良かった」と言っていました。

そこが逆に共感を生んでいたようで、承諾率も80%を超えていたので、ネガティブなことでも正直に伝えることが大事なのかもしれません。

note北上氏「社員が気軽に自発的に情報発信できるように」

最後に、noteの北上さんにお聞きしたいと思います。

独自に工夫されていることや、強化しているポイントなど、ありますでしょうか。

当社では、コロナ禍になる前から情報発信を積極的におこなっていましたが、コロナ禍になってから、さらに情報発信の強化をおこなっています。

具体的には、プロジェクト単位で様々なポジションにいる人同士が議論を重ね、どういった記事を発信するか決めてから、記事を作成して公開することが増えましたね。

これは、当社独自のカルチャーだと思いますが、入社する方のほとんどが当社メンバーの記事や、当社がオフィシャルで発信している記事を読んでくださっています。

そのため、メンバーの中に「私も記事を書きたい」と考える方が非常に多く、良い連鎖が生まれていると感じています。

人事担当者である私としては、メンバーが記事を書きやすい環境を整えることが最も大事だと考えています。

記事は、社員の方にお願いして書いてもらっているわけではないのでしょうか。

そうですね。実は、記事を書くことを強制したことは、これまでに一度もありません。

もちろん、記事の内容としては「仕事」ではなく「趣味」の話を書かれる方も多いですが、そういった記事もリアルな社員の一面がわかるのでいいなと感じています。

noteでは「写真」や「動画」をアップロードすることもできるので、音声を録音してラジオという形でアップロードしている方がいたり、写真が好きなメンバーは写真だけをノートにアップロードしていたりと、投稿する形もメンバーぞれぞれ異なります。

なので、文字だけではなくて、映像や音声も駆使することで、オンライン上だけでも候補者に自社のカルチャーが伝わるようにできるといいなと考えています。

社員が自発的に情報発信をする環境を作れているのは、本当にすごいですね。

岸良さんと田中さんは、こういった情報発信に関しての取り組みはされていますか。

弊社は、正直SNSに強いメンバーがあまりいないのですが、入社後3日~1週間以内に「入社フィード」は絶対に書いてもらうようにしていますね。

この入社フィードのおかげで、コロナ禍で社員同士が会う機会は減ってしまったのですが、「こういう人が在籍しています」という情報を記事でお伝えできるようにはなりました。

情報発信の習慣があまりない人に対して「いきなり記事を書いてもらう」ことは難しいので、入社研修の中で「研修のアウトプットを高める」という文脈で書いてもらう形に落ち着いています。

 弊社だと、『テックブランディング』のような文脈で、自社のことを技術者の方々に認知してもらおうと動いているメンバーが数名いるので、そのような広報的ミッションを持っているチームと連携していこうと考えているところです。

今期は、「どのように打ち出していくか」という話からプロジェクトとしてキックして、そこからイベントやブログ記事、 SNSの活用など幅を広げていきたいと考えています。

人事あるあるかもしれませんが、こういった広報的な部分にまで手が回りきっていない方も多いと思いますので、情報発信はできるだけ採用グループ以外のメンバーも巻き込みながらやっていくことが大事だと思います。

エンジニア採用は、技術的な部分の色も濃くなるので、人事担当者としてできることも限られてきますよね。

もちろん、普通の人事担当者だけでもできることはあると思いますが、やはり専門分野は現場を巻き込むことが大事になるのかもしれません。

また、皆さん、非常に現場の方と連携をして採用活動を実施しようとしていることが伝わってくるので、オンラインかどうかに関わらず、気軽に社員同士が声を掛け合うことで、具体的な取り組みに繋げていくことが重要ではないかと思います。

今後の採用におけるキーポイントとは

さて、最後は「今後の採用におけるキーポイントとは」というテーマで話を進めていきたいと思います。

これまでの話の中で触れてしまった部分もあるかもしれませんが、私個人としては「言語化」がすごく求められてきたという風に感じています。

情報を発信する機会が多くなる中、限られた文章の中で、その人の心を揺さぶれるような伝え方ができるかどうかが求められてきている気がしているのですが、皆さんは、どのようにお考えでしょうか。

ここまでは、「候補者の方をどのように惹きつけるか」という話が多かったと思いますが、「候補者の見極め」もしっかりやらないといけないと感じています。

具体的には、現在、弊社はフルリモートで仕事をしているので「この人はリモートワークでもワークするのか」「リモートワーク環境でも周囲に対してアラートを上げることができるか」といった点が特に見極めのポイントになっていますね。

リモートワーク環境だと常に顔が見えている訳ではないので、「文章にちょっと懸念がある」「メールのやりとりが上手くできない」「職務経歴書の論理構成がどこか変だと感じる」といった人も、少し厳しめに見てしまっています。

弊社の場合は、組織規模が700人を超えて大所帯になってきているので、社内の認識統一」がキーポイントだと考えています。

冒頭では、CX設計の強化といった候補者の体験に主体を置いていましたが、それと同時に「会社としてこれだけは譲れない」「私たちはこういう会社だ」と強く認識してもらうことも大事です。

やはり、「事業成長を最大化させるために、最適な形でオフラインとオンラインを切り分け、バランスを持って仕事をしてもらうようにしている」といった価値観を入社前から伝えることが必要です。

もちろん、「何をもって採用の成功とするか」という部分はありますが、弊社にとって採用グループが外せない存在になるためには、こういった「会社として本当に大事なもの」をきっちり認知させる部分だと思っています。

やはり、現場のエンジニアやメンバーは「できるだけ入社してもらいたい」と思う分、気付かぬうちに求職者の期待値に合わせた会話になりがちなので、注意が必要です。

採用は「数」も大事ですが、数に注力してしまうことで「質」を担保できず、その後のミスマッチが起こってしまう可能性もあるので、注意が必要ですよね。

「入社した方が会社に定着しているのか」「採用活動が事業成長に貢献できているのか」という部分は、状況の変化に関わらず重要だと思います。

弊社もストレスチェックなどで入社した社員の状況を把握するようにしていますが選考から入社、そして研修まで、全てリモートで実施することになると、一定のパフォーマンスをすぐに出すことのできないメンバーは確実に出てきている状況です

目先の環境を整えることも重要ですが、全てが良い方に繋がっているわけではないので、そういった意味では、採用の根幹となる軸の部分が大事になると感じています。

最後になりますが、北上さんは、今後の採用におけるキーポイントについて、どのようにお考えでしょうか。

私が思うキーポイントは、「情報発信」「総力戦」です。

当社は、先月ちょうど100名を超え、よく言われる「100名の壁」が出てきています。

現在、職種としては48ポジションほどオープンしていて、ほぼ全ポジションで採用をおこなっている状況ですので、本当に全社員で採用をおこなわないと採用しきれないと感じています。

ただし、同時にこのポジションは何のためにある?」「このボディションは何の仕事をする?」と疑問が出てくる求職者も出てきてしまうので、各ポジションにあわせて働くイメージの付くような情報発信をしなければならないと考えています。

総力戦を実施する中で「現場の巻き込み」に課題を感じる企業は多いと思うのですが、北上さんが現場を巻き込む上で工夫されていることなどありますでしょうか。

当社の場合、現場から「こういったポジションを新たに募集したい」という声が上がることが多いこともあり、現場のメンバー自身が「このポジションはこういった仕事をします」「自分は今こういう仕事をしているので、こういう人たちを求めています」といった記事を自主的に書いてくれています。

そのため、人事部が主導して巻き込んでるというよりは、社員が自主的に動いてくれている面が大きいかもしれないです。

なるほど。恐らく、事業において採用が非常に重要だと、全社員の方が理解されているのでしょうね。

Sansanの田中さんは現場の巻き込みに関して、何か工夫などされていますか。

現在700人ほどのメンバーが在籍する弊社では、「全員が全速力で走っても、そのままなスピードと距離が出ない」という規模感にはなっているので、人事部でしっかりとしたルールを策定して、うまく仕組み化していくことが求められていると感じています。

そのため、現場を巻き込む上では「人事として仕組み化できるポイントはどこか」といったようにフレームの中でPDCAを回せるように整えることが大事だと考えています。

現場と密なコミュニケーションを取りすぎると、逆に制度や仕組みにムラが出たりするので、その辺りのバランスも見ながら動いている状況ですね。

属人化すればするほど仕組みは複雑化してしまうので、人事担当者としては現場から一歩引くことも増えていると思います。

確かに、弊社は200人ほどのメンバーが在籍していますが、これくらいの規模感がギリギリ現場と距離間を近くできるラインだと感じていますね。

これ以上になると仕組みかがうまく機能せず、現場でやりたい放題になっちゃうので、トラブルも起きやすくなりそうです。

岸良さんは、いかがでしょうか。

弊社は50人弱の社員を抱えていますが、採用担当者がいないので、本当に全メンバーで採用活動をおこなっています。

ただ、何が一番重要かなと考えると、やはり「経営層のコミット」ですかね。

代表自身がエンジニアを採用するためにスカウトを毎日送っていたり、取締役がカジュアル面談に出てきたり、社員に対しても、採用に関するKPIを置いて重要であることを伝え続けたりと、採用をするスタンスを背中で見せていたりします。

それがないと、結局流れ作業で採用をやることになってしまい、社内の協力も得られなくて、「採用できない」「定着しない」といったことも起きてしまうと思います。

経営層や採用を中心にやっているメンバーが「採用は大事である」「採用できなかったら大変だ」と伝え続ける必要がありますね。

なるほど。皆さん、ありがとうございました。

今回、お話を聞いて、各社ともにコロナ禍になったから特別なことをしているわけでなく、環境的な変化に合わせて、これまでやってきたことを愚直にコツコツと、少しずつアップデートしているだけであることが改めてわかりました。

ただし、コロナの影響で、求職者はこれまでよりも的確に情報を提供しないと共感してくれない場合もあるかと思いますので、より求職者の視点から採用活動をすることが今後のポイントになるのではないでしょうか。

今回のような不況期には採用にコストを掛けられないと考える企業の方も多いかもしれませんが、CXの強化は、意外とお金を掛けなくても、ちょっとしたやり方の工夫で実施できることがありますので、日々求職者の視点に立ち続けることで事業を継続するための人材を採用できることが理想ですね。

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