テクノロジーの発展の影響もあり、インターネットを使ったWeb面接が普及しつつあります。Web面接の案内を応募者に送付する際は、希望日程の聴取や、Web面接ツールの事前準備など、対面面接以上に必要事項を詳細に記載しなければいけません。この記事では、企業側の採用担当者向けに、Web面接案内メールの基本構造や内容、送り方のポイントを例文を交えながら解説します。Web面接の案内メールは記載内容も多いため、早めの準備を心がけましょう。
目次
1. Web面接案内をメールで送るべき理由?
なぜWeb面接の案内メールを送るべきなのでしょうか。ここでは、Web面接案内をメールで送るべき理由について詳しく紹介します。
1-1. アクセスURLを送付できる
Web面接を実施するため、オンライン面接室として、URLを作成することも多いです。面接者と参加者の両者がこのURLをクリックして、面接室にアクセスすることで、Web面接を実施することができます。
電話でURLを伝えようとすると、一字一句間違えず伝えなければならず、間違いが生じる可能性が高いです。郵送であっても、時間やコストがかかります。メールであれば、アクセスURLをコピーアンドペーストで簡単に送付することが可能です。このような理由で、Web面接案内はメールでおこなわれることが多いです。
1-2. 時間や場所を問わず確認できる
電話の場合、お互い時間が空いているときでなければ、情報交換をおこなうことができません。また、郵送の場合、返送などに時間や手間がかかり、スムーズに情報共有することができません。一方、メールであれば、時間や場所に関係なく、お互いの都合の良いタイミングで送付したり、開いたりすることができます。このように、情報共有のしやすさという観点から、Web面接案内にメールがよく用いられます。ただし、メールがきちんと送付できていない恐れもあるので、返信を義務付けるのも一つの手です。
1-3. やり取りの記録を残せる
直接対面や電話で情報を伝える場合、メモを取っていたとしても、人的ミスにより、正確に情報を残せていない可能性があります。メールであれば、送付・返信した内容は履歴に残ります。後で「言った、言わなかった」などのトラブルを未然に防止することが可能です。このように記録をデータで残せる点も、Web面接案内がメールでおこなわれる理由の一つです。
2. 【例文あり】Web面接案内メールの基本的な構成内容
Web面接の案内メールも、通常のビジネスメールの構造である「件名」「宛名」「挨拶」「名乗り」「要旨」「本文」「結び」「署名」を記載することに変わりはありません。しかしながら、下記のように、「Web面接の案内である」とすぐに認識できる件名や内容にするようにしましょう。
- 件名:Web面接とわかる内容にする
- 宛名:個別送信か一斉送信かに注意する
- 挨拶と名乗り
- 要旨:Web面接の案内であることを手短に伝える
- 本文1:Web面接の日時を調整する
- 本文2:Web面接で使うツールと面接方法を記載する
- 本文3:Web面接の注意事項を記載する
- 本文4:通信切断時の対応方法と緊急連絡先の明記
- 結びと署名
ここでは、Web面接案内メールの基本的な構造と、各項目で必要な記載内容について解説します。
件名:Web面接とわかる内容にする
件名は下記のように、すぐに「面接の案内である」とわかるような、シンプルなものにしましょう。
【株式会社○○】Web面接のご案内
【要確認】Web面接の日程のお知らせ:株式会社○○
一次選考結果およびWeb面接のご案内
件名に会社名や日時、重要であることを記載するなど、たくさんのメールのなかでも、すぐに重要度が理解できるような工夫をしましょう。
宛名:個別送信か一斉送信か注意する
メール冒頭には、宛名を記載しましょう。書き方は個別送信か、一斉送信かにより異なります。
新卒者向け:正式な大学名、学部、学科、氏名、敬称の順で記載する
転職者向け:氏名と敬称のみ記載する
新卒者向け:学生の皆様、など
転職者向け:応募者各位、など
また、「各位」は敬称の意味が含まれる言葉です。「応募者様各位」「各位様」のような使い方はしないため注意しましょう。なお、Web面接の案内メールは個別送信するのが基本ですが、会社説明会や集団面接などの場合に一斉送信を使うこともあります。この際は、応募者同士に連絡先がわからないよう、「Bcc」を使いましょう。
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挨拶と名乗り
冒頭では挨拶をしたうえで、送信者が誰かを名乗りましょう。
お世話になっております株式会社○○採用担当でございます。
はじめまして、株式会社○○人事課○○と申します。
挨拶は「お世話になっております」や「はじめまして」で問題ありません。名乗りについては、会社名と担当部署を明記のうえ、担当者が決まっている場合は氏名まで記載すると、応募者にわかりやすいでしょう。
要旨:Web面接面の案内であることを手短に伝える
要旨では、Web面接の案内であることを手短に記載しましょう。また、そのうえで、採用試験に応募してくれたことの感謝や、面接に参加して欲しいことも書き添えると良いでしょう。
この度はご多忙のなか、弊社採用試験にご応募いただきまして、誠にありがとうございます。書類選考の結果、○○様にはぜひ、Web面接を受けていただきたいと考えております。
これらを記載したうえで、本文でWeb面接の詳細を伝えましょう。
本文1:Web面接の日時を調整する
本文では、先にWeb面接の日時を調整しましょう。日程調整では、応募者から日時を提示してもらうパターンと、企業側から日時を提示するパターンがあります。企業側から日時を提示する場合には、複数の候補を記載するとともに、日程調整ができることも合わせて記載するなど、都合がつかないことを理由に面接を辞退する応募者を減らす工夫も必要です。
早速ではございますが、面接の日程調整ができればと思います。
平日10:00開始〜20:00終了の時間帯で、面接可能な日程を3つほどご提示ください。
○月○日(○)○:○~○:○の形式で記載をお願いします。
<企業側から提示する場合の例文>
早速ではございますが、面接の日程調整ができればと思います。
下記日時をご確認のうえ、希望日を本メール宛にご返信ください。
・6月1日(火)10:00~10:30
・6月2日(水)13:00~13:30
・6月4日(金)17:30~18:00
上記日程で都合が悪い場合は、お手数ですが候補日を3つほどご提示ください。
本文2:Web面接で使うツールと面接方法を記載する
Web面接で使うツールと、面接方法を記載しましょう。URLやPW(パスワード)を先に送付できる場合は、合わせて記載することをおすすめします。面接日の前日などにURLを送付する場合は、応募者が不安にならないためにも、その旨を記載しましょう。
<例文>
弊社ではWeb会議システム「○○」を使用しWeb面接を実施しています。
面接開始5分前に、下記URLをクリックして面接ルームにご入室をお願いします。
URL:https://*****
PW:*****
本文3:Web面接の注意事項の明記
Web面接にあたり、次のような、事前に必要な作業や当日あると良いものなどの注意点があれば記載しておきましょう。
- 事前に必ず準備が必要なもの(カメラとマイク付きのPCなど)
- ツールのインストールが必要な場合はその旨
- 当日あると便利なもの(イヤホンマイク、Webカメラなど)
- スマホやタブレットは使用して良いか
- 当日までに動作テストをしてほしいこと
- 当日の服装は私服でも可能かどうか
Web面接で応募者が疑問に思うことは、先にまとめて記載しておくと親切といえます。
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本文4:通信切断時の対応方法と緊急連絡先
Web面接はPC・スマホ端末やインターネット回線を用いるため、トラブルが発生しやすいです。Web面接当日、通信トラブルがあった際の対応方法と、緊急連絡先を本文の最後に記載しましょう。
<例文>
通信トラブルがあった際は下記≪緊急連絡先≫に記載の電話番号よりご連絡いたします。○○様からは連絡をせず、着信があるまでお待ちください。
≪緊急連絡先≫
担当:○○
電話番号:000-000-000
メール:×××@×××.com
結びと署名
最後に、結びの挨拶と署名を記載しましょう。結びの挨拶では応募者のWeb面接への不安を和らげ、面接当日を楽しみにしていることを記載すると良いでしょう。署名は「企業名」「部署名」「担当者名」「電話番号」「メールアドレス」「HP」などを記載しましょう。ビジネスメールで普段使っているものがあれば、そちらをそのまま使って問題ありません。
Web面接で何か不安なことなどございましたら、お気軽に弊社担当までご連絡ください。
それでは、当日は○○様とお話できることを楽しみにしています。
3. Web面接の案内メールを作成する際の注意点
Web面接の案内メールには記載すべきことが多く、抜けや漏れが発生することもあります。ここでは、Web面接の案内メールを作成する際の注意点について詳しく紹介します。
3-1. 余裕を持って作成する
Web面接の案内メールは余裕を持って作成しましょう。対面面接以上に本文に記載する内容が多くなるため、作成後に見直しをする時間も設けることで、抜けや漏れを防止することができます。また、面接日時の確認では、応募者から返信をしてもらわなければいけません。メールの連絡が遅いと、それだけ応募者の日程が埋まってしまう可能性もあります。できるだけ早めの対応を心がけましょう。
3-2. Web面接の方法を明確に記載する
Web面接といっても、次のようにさまざまな方法があります。
- 個人面接
- 集団面接
- グループディスカッション
もし、集団面接やグループディスカッションなど、個人面接以外の場合は、事前にメール本文に面接方法を記載すると、応募者も安心して面接を受けることができます。また、当日、面接官が複数名いる場合はそのことも記載しておくと良いでしょう。応募者がWeb面接に不慣れなことも想定し、事前に提供できる情報は漏れなく明記しておくことが大切です。
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3-3. 返信が必要な場合は期限を設ける
面接希望日の確認など、応募者からメール返信が必要な場合は、返信期限も明記しておきましょう。期限が書いていないと、応募者からの返信が遅くなる可能性があります。期日を明記することで、万が一、返信がない場合に催促もしやすくなります。また、応募者の事情によっては返信に時間を要することもあるため、返信期限は余裕を持った日時を設定するようにしましょう。
4. Web面接の案内メールを送るときのポイント
Web面接の場合、応募者が時間になっても現れないなど、トラブルが生じることもあります。ここでは、Web面接の案内メールを送るときのポイントについて詳しく紹介します。
4-1. Web面接ツールの詳細を案内する
Web面接ツールはさまざまなタイプがあるので、使用するツールを案内するときは、略称を使わず正式名称で記載しましょう。また、使用方法も合わせて明記すると良いでしょう。もし、案内メール本文に記載すると文章が長くなってしまう場合、インストール方法や利用方法を記載した、「利用マニュアル」を別に用意し、メールに添付するとわかりやすいでしょう。
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4-2. Web面接に適した環境を提示する
Web面接のメリットの一つとして、場所や時間帯を選ばないため、多くの応募者と接触ができることがあげられます。だからといって、応募者が極端に暗い部屋や周りがうるさい場所、ネットワークが不安定な場所などから参加した場合、Web面接の実施に支障をきたす可能性があります。応募者にはあらかじめWeb面接に適した環境を提示し、滞りなくWeb面接ができる環境を用意してもらうよう、伝えておくことをおすすめします。
4-3. トラブル発生時の対応方法も明記しておく
面接当日の接続トラブルだけでなく、システムがインストールできないなど、応募者の事前準備の際に発生すると思われるトラブルの対処方法も、メールに明記しておくとよいでしょう。応募者のなかには、ITツールに不慣れな人もいるかもしれません。当日以外のトラブルの対処方法も別添でまとめて記載しておくと、応募者は安心してWeb面接に臨むことができます。
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4-4. 面接の3日前~前日にリマインドメールを送る
Web面接の場合、メールの確認漏れにより、日程を忘れてしまう応募者もいるかもしれません。突然のキャンセルを防止するため、面接の3日前~前日にリマインドメールを送付することが推奨されます。リマインドのため、返信不要であることを伝えると、応募者のストレスを緩和することが可能です。
リマインドのためご確認いただくのみで問題ございません。
ご確認いただきまして、不明点や間違いがなければ、ご返信は無用です。
4-5. 返信がない場合は電話で確認してみる
Web面接案内のメールを送付する際、応募者が確認したかどうかをチェックするため、返信期日を設け、返信を義務付けることがあります。しかし、返信が来ないケースもあるかもしれません。このような場合、応募者の事前書類に記載してある電話番号を用いて、電話で確認してみるのも一つの手です。
5. Web面接の案内メールで応募者の好感度を高めるコツ
Web面接の案内メールで応募者の好感度を高められれば、内定承諾率を高めて、効率よく採用活動を進めることができます。ここでは、Web面接の案内メールで応募者の好感度を高めるコツについて詳しく紹介します。
5-1. 面接担当者の情報を事前に伝えておく
Web面接の案内メールにおいて、面接担当者の情報を伝えることは必須ではありません。しかし、応募者からすると、事前に面接担当者の情報がわかることで、親近感が湧き、面接時に心を開きやすくなるかもしれません。ただし、社外秘の情報が漏洩する恐れもあるので、記載する内容には注意が必要です。
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5-2. 人事担当者から応援メッセージを伝える
書類選考や一次選考は人事担当者が対応し、二次選考や最終選考は現場の管理職や役員が担当するケースも多いです。二次選考や最終選考に進んだ応募者に対しては、Web面接案内メールに、人事担当者からの応募メッセージも添えると、応募者の志気が上がります。また、合格後の内定承諾率を高めることにもつながるかもしれません。
5-3. 選考結果通知はできる限り早めに送る
少子高齢化による労働人口の減少の影響もあり、現在の採用市場は売り手市場であるとされています。そのため、応募者は複数の企業から内定を獲得していることが多いです。選考結果通知が遅くなると、企業から評価されていないと感じ、他の内定した企業に入社してしまう可能性も考えられます。「自分に期待してくれている」と感じてもらうためにも、早めに選考結果通知を伝えることで、応募者の好感度を高め、内定承諾率を上げることができます。
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6. Webの案内メールは必要事項を詳細まで漏れなく記載しよう
Web面接の案内メールは、希望日時の確認や利用ツールの詳細、事前準備のやり方など、対面面接以上に記載内容が多岐にわたります。そのため、必要事項は漏れなく、詳細までしっかりと記載しましょう。とくにWeb面接の方法や注意事項は、本文を何名かで読み直して、応募者が理解できるか確認してから送付するとよいでしょう。