2022年3月1日。いよいよ2022年度の新卒採用サイトがグランドオープンしました!
コロナ禍の新卒採用も2年目を迎え、オンライン化がスタンダードになる中、今まで以上に情報収集が重要となります。
そのため、これから本格化する22年卒採用の他社動向や就職サイト動向を気にされている人事担当者も多いのではないでしょうか。
そこで、今年も採用コンサルタント/アナリストの谷出 正直さんにリクナビ・マイナビ・キャリタスのグランドオープン時の状況比較していただきました。
3月1日グランドオープン時点での速報値です!みなさまのご参考となれば幸いです。
2018年度新卒採用サイト徹底比較|リクナビ・マイナビ・キャリタスのグランドオープン時の状況まとめ
2019年度新卒採用サイト徹底比較|リクナビ・マイナビ・キャリタスのグランドオープン状況まとめ
2020年度新卒採用サイト徹底比較|リクナビ・マイナビ・キャリタスのグランドオープン状況まとめ
【人物紹介】谷出 正直(たにで まさなお)| 採用コンサルタント/アナリスト
奈良県出身。筑波大学大学院体育研究科を修了。中学校から大学院まで陸上競技に没頭。中・高保健体育の教員免許を取得。新卒でエン・ジャパンに入社。新卒採用支援事業に約11年間携わる。現在は、企業、大学、学生、採用支援会社、メディアなど新卒採用や就活に関わる方、約2,700名と活きたネットワークを構築。採用コンサルタント、採用アナリストとして、企業の採用支援、各種セミナーや研修の実施、寄稿やコラムの連載、現場情報の発信などをおこなう。NHK、日本経済新聞、プレジデント、BUSINESS INSIDER JAPAN など各種メディアに年間180本以上のコメントやインタビューが掲載される。NHK「クローズアップ現代+」に出演(17年11月)。働く目的は「イキイキと働く人が増える社会」を作ること。日々、採用やキャリア、働き方、生き方について考える。
【谷出さんの新卒採用に関する記事はこちら】
▶「あなたが就活生なら、自社に入社しますか?」変化著しい新卒採用市場で、人事に今求められるものとは
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「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
1.就職サイト掲載状況について
1-1.就職サイト掲載企業数
就職サイトオープン時点で、延べ51,375社が掲載をスタートさせています。
前年比0.76倍で、前年に続き、サイト掲載企業数が前年を下回る結果となりました。(※延べ数は、サイト間重複を含みます)
減少数の多くがリクナビとなっており、掲載企業数は3つのサイトで約15,800社の減少に対し、リクナビは約13,700社の減少で、約87%を占めています。
1-2.エントリー受付企業数
3サイト全体のエントリー受付企業数は延べ33,922社、前年対比0.70倍となりました。
エントリー受付企業数も、掲載企業数と同様に2年連続減少しています。
就職サイトごとにみると、エントリー受付企業数に関しても、掲載社数と同様にマイナビが一番多くなっています。
1-3.説明会情報添付企業数の推移
就職サイトオープン時点で、延べ21,989社(前年比0.90倍)が説明会情報を掲載しています。
前年に続き、説明会情報添付企業数が前年を下回りました。
1-4.各サイトごとの掲載企業数の推移
マイナビが2年連続で掲載企業数No.1となりました。
キャリタスが6年ぶりに、リクナビを抜き、No.2となっています。
一方、リクナビは大きく減少(前年比0.44倍)して、No.3となりました。
リクナビの減少は、「リクナビダイレクト」の終了による影響を受けたものと思われます。
1-5.就職サイト掲載状況まとめ
サイトオープン時点の数値では、サイト掲載企業数が2年連続で減少しました。
また、エントリー受付企業数や説明会情報添付企業数も同様に減少しています。
・サイト掲載企業数が、延べ51,375社(前年比0.76倍)
・エントリー受付企業数が、延べ33,922社(前年比0.70倍)
・説明会情報添付企業数が、延べ21,989社(前年比0.90倍)
サイト掲載企業数の減少は、コロナ禍で採用を「中止する企業」やこれまで複数のサイトを利用していた企業が1つのサイトに「絞った企業」が増えたことが考えられます。
また採用活動の実施そのものを「迷っている」企業がサイトオープン時に掲載していないことも考えられます。
減少数の多くがリクナビの減少分となっています。マイナビやキャリタスは、前年比0.94倍から0.97倍で推移しています。
企業の採用意欲が低いということはないと考えられます。ただし、採用する人数の増減は別途考える必要があります。
2.説明会開催状況について
2-1.説明会開催予定(週単位)の企業数の推移
初回の説明会開催のピークは、前倒しされ、3月2週目となりました。
21年卒時と比較すると3月1週目と5週目で前年を上回っています。一方6週目以降は大きく下回る開催数となっています。
2-2.説明会開催予定(週単位)の企業数の推移
説明会初回開催のピークは毎年少しずつ前倒しされていく傾向にあり、16年卒~19年卒時では4週目、20年卒~21年卒では3週目でした。
22年卒説明会の初回開催ピークは、過去8年間の集計の中で最も早く、早期化傾向が見て取れます。
2-3.説明会開催状況のまとめ
説明会情報添付企業数が前年より減少していますが、前年比でみると、サイト掲載企業数やエントリー受付企業数よりも高い値になっています。
説明会開催予定(週単位)の企業数の推移をみると、ピークが3週目から2週目に前倒しされています。
また、1週目は前年を大きく上回っています。(前年比1.12倍)。
オープン時から採用活動をする企業が、説明会の告知・予約受付を前年より前倒しをしていると考えられます。
一方で、3週目以降は5週目を除き前年よりも下回っています。
採用活動をおこなう企業の中で、積極的に説明会をおこなう企業とそうでない企業に二極化しているといえます。
説明会、その後の選考について、早期化と同時に長期化が予想されます。
3.会員学生数について
3-1.会員学生数の推移
会員学生数は、2年連続ですべてのサイトで減少しています。
・リクナビ約71万人(前年比0.94倍減)
・マイナビ約73万人(前年比0.86倍減)
・キャリタス約21万人(前年比0.88倍減)
学生数が最も多いサイトはマイナビで約73万人で、7年連続、No.1です。
3-2.会員学生数のまとめ
主要就職サイトの会員学生数が、すべてのサイトで減少するのは2年連続。
減少の要因としては、
- 就職サイト以外(スカウトや口コミサイト、紹介など)の利用サービスが増加。特に、インターンシップを含む、早期活動で利用するサービスの増加
- 各就職サイトのプロモーション(学内ガイダンスの中止)
- 短大、専門、高専の卒業見込み者の減少
- 既卒者や第二新卒者の減少や就職サイト離れ
などが考えられます。
※大学卒業見込み者が約45万人(リクルートワークス研究所しらべ)、それ以外の約26万~28万人は、大学院、短大、専門、高専の卒業見込み者、もしくは、既卒者や第二新卒者と考えられます。
4.補足情報
4-1.エントリー受付企業数・受付率の推移
エントリー受付企業数は2連続マイナビがNo.1となりました。
受付率もマイナビがNo.1ですが、リクナビの受付率が前年よりも高まっています。
4-2.説明会情報添付企業数・添付率の推移
説明会情報添付企業数が一番多いのは、6年連続でマイナビです。添付率でみるとリクナビが大きく伸び、No.1となりました。
5.各就職サイトの特徴
5-1.リクナビ
- サイト掲載企業数は大きく減少(前年比0.44倍)
- エントリー受付企業数も大きく減少(前年比0.45倍)
- 説明会情報添付企業数は小さく減少(前年比0.87倍)
- 受付率や添付率が高くなり、機能が『使えるサイト』になった
- 「リクナビ企業&仕事万博」は完全事前予約制で開催
- 日程調整システム「riksak」導入企業への特集ページを実施
- リクナビ独自の「OpenES」や「リクナビ診断」をアピール
- 3月1日@幕張メッセでの合説は、220社が参加。参加企業数を、2年前の開催の1/3に絞る。参加する学生は事前予約制。来場者が一定以上となった場合には入場制限をおこない、関係者以外立ち入りを断って運営。結果、参加学生数は2年前に比べて、6割減の5,000人にとどまった
5-2.マイナビ
- サイト掲載企業数は2年連続、No.1
- エントリー受付企業数、説明会情報添付企業数もNo.1
- 企業の説明会に「Webセミナー」の検索軸がある
- Webセミナーのタグから「WEB EXPO・マイナビTVライブ」「マイナビTVオンデマンド」へ。わかりやすい導線がある
- 3月1日開催の「マイナビ就職MEGA WEB EXPO JAPAN」は、540社が参加。学生の視聴予約者は約12万7,000人
- 3月2日@幕張メッセでの合説は、265社が参加。会場への入場は上限5000人に設定。完全予約制で2部に分けて実施。事前の参加予約数は1部が4868人、2部が4227人。結果、約6,400人が参加(2部の入れ替え制の合計)
5-3.キャリタス
- サイト掲載企業数が、リクナビを抜きNo.2になる
- エントリー受付位企業数や説明会添付企業数、および割合が一番低い
- 企業検索軸に「就活エージェントに相談できる企業」「LINE友達追加あり」がある
- LINEを活用し、気になる企業と「友だち」になれることを推奨する
- 地元就活&U・Iターンの情報が、各地域ごとに分かれて検索できる
- 2月25日11時~16時、LINEで簡単就職相談を実施
5-4.オープン前の特徴
【エントリー】3月1日以前からエントリーの準備ができる
【説明会予約】3月1日以前から説明会の事前予約ができる
※21年卒から同様の機能が実装されている
※企業に学生の個人情報が届くのは3月1日0時以降
※3月1日が広報解禁日だが、3月1日以前から学生は動けるようになっていた。事前にエントリーや説明会予約をし、3月1日が「普通の1日」になった。
6.最後に|新卒採用の現状
主要就職サイト(リクナビ・マイナビ・キャリタス)サイトオープン時のデータを比較する中で、22年卒の新卒採用において、
- 就職氷河期が来るのか?
- 企業の採用活動は早期化するのか?
- 就職サイト離れは起こっているのか?
など気にされている企業様は多いことでしょう。それぞれの問いに対してお応えします。
Q.就職氷河期が来るのか?
A.売り手市場ではないが、氷河期と言われるまで、厳しい環境がくるわけではありません。
Q.企業の採用活動は早期化しているのか?
A.早期化し、さらに長期化しているといえます。
Q.就職サイト離れは起こっているか?
A.起こっています。背景には早期化に対応した就職支援サービスの活用が増えていることが挙げられます。
新卒採用は、さまざまなサービスが台頭し、採用活動が多角化・早期化・長期化しつつあると捉えることができます。
【調査概要】
- 実施者:谷出 正直 氏|採用コンサルタント/アナリスト
Facebook:https://www.facebook.com/masanao.tanide - 調査対象(主要就職サイト)
リクナビ
マイナビ
キャリタス(旧日経ナビ)※日経ナビは、17採用から「キャリタス」に名称を変更。 - 調査項目
サイト掲載企業数
エントリー受付企業数、受付率
説明会情報添付企業数、添付率、説明会開催予定(週単位)
会員学生数
編集部より
いかがでしたでしょうか?
今年も谷出さんにご協力いただき、3月1日のグランドオープン速報として、主要3サイトの利用状況をまとめてみました。
年々早期化しつつある新卒採用。
ダイレクトリクルーティングやインターンシップ支援サービス、SNSや口コミサイトなどの新規サービスの増加により早期化を後押ししていることが分かりました。
また、これらのサービスの台頭により、就職サイト離れも少しずつ顕著になってきているようです。
これからの新卒採用を勝ち抜くには、就職サイトだけに拘らず学生の動向を見極め、さまざまな手法を受け入れる柔軟性も大切なのかもしれませんね。
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「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。