先日、株式会社TalentX主催のMyTalentユーザー交流会が、利用企業の一社であるウイングアーク1st株式会社のオフィス(エンジニアのためのイノベーションラボ「D.E.BASE」)にて開催されました。
株式会社TalentXはタレント獲得プラットフォーム「Myシリーズ」を通して日本企業の採用変革を支援している企業であり、提供するプロダクトのひとつである、採用MAサービス「MyTalent」は、会社と接点を持った採用候補者のデータを蓄積し、半自動でナーチャリングを行うことで採用候補者の意向醸成や応募獲得につなげることができるクラウドサービスです。
当日は、MyTalentを使って採用マーケティングを実践している企業のライトニングトークや交流会が実施されました。本記事では、イベントの概要や当日の様子などをレポートします。ぜひ、ご一読ください。
登壇者近藤 歩氏株式会社TalentX MyTalent CRM部 部長
2018年4月にパーソルキャリア株式会社に入社し、IT/Net領域のエージェントに従事。2019年7月に株式会社TalentXに入社し、MyReferのフィールドセールス、CSなど経験後、MyTalent事業の立ち上げに従事。現在は、MyTalent CRM部の部長として全体の統括をおこなう。
登壇者南 賢将氏ウイングアーク1st株式会社 People Success部 HRBP グループマネージャー
大学卒業後、大手鉄鋼メーカー入社。新卒採用担当を経験。「事業貢献できる採用」を探求すべく、2020年にウイングアー1stに参画。新卒・中途採用責任者を担当後、採用ブランディングと人材獲得の両ミッションを担う。Talent Attraction & Acquisition部のチームリーダーを経て、現在HRBPの立ち上げを推進中。
【ウイングアーク1st株式会社】
・従業員数:連結881人/単体776人
・事業概要:企業向けソフトウェア・クラウドサービスの開発・販売
・HP:https://www.wingarc.com/
登壇者中村日香留氏ブライザ株式会社 採用本部 部長
1999年に株式会社アプロ(技術アウトソーシング)入社。営業担当として新規営業を担当。2002年より営業所責任者。2003年にアイコンワールド株式会社入社。新規設立のアウトソーシング企業にて営業を担当。2008年にブライザ株式会社入社。営業担当・営業所責任者を経て、2022年より中途採用業務に従事。2024年4月より現職。
【ブライザ株式会社】
・従業員数:850名(うちエンジニア750名)
・事業概要:技術系アウトソーシング事業、労働者派遣事業、有料職業紹介事業
・HP:https://bryza.co.jp/
目次
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
イベント概要
「人材獲得競争が激化している現在、他社の人事はどのように採用を進めているのか」という疑問を持ちつつも、人事同士でリアルな情報交換をする機会はなかなかありません。
上記のような背景から、MyTalentを導入いただいている企業へナレッジ共有や情報交換の場を提供するために、ユーザー交流会が開催されました。
▼当日のタイムテーブル
1.オープニングトーク
2.ライトニングトーク①:ウイングアーク1st株式会社
3.ライトニングトーク②:ブライザ株式会社
4.交流会
オープニングトーク
近藤さん:タレント獲得プラットフォーム「Myシリーズ」を提供するTalentXは、「戦う採用から戦わない採用へ」をコンセプトとして掲げています。導入企業の皆様もこういったコンセプトに共感していることが多いのではないでしょうか。
さて、最近よく耳にする「採用が難しい」という話ですが、転職潜在層が増えている一方で実際に転職する人は横ばいであることなどが影響し、毎年企業が掲げている採用目標の充足率は下がってきています。
HRのマーケットを見渡すと、エージェントやダイレクトリクルーティングなどのサービスが多岐にわたる一方で、実際にはそのデータベースが重複していることが多いです。そのため、新しいエージェントや媒体を導入しても、充足率の大きな改善には至らない企業も多いのではないかと思います。
このような背景から、企業の採用戦略や手法は大きく変化しています。現在、多くの企業が取り組んでいるリファラル採用も、我々がサービスをローンチした時は、制度として取り入れている企業が10%ほどでした。しかし、たった8年でその割合が6割以上に増えています。
直近では、アルムナイやタレントプールといった自社のつながりから採用していくことや、自社でデータベースを作っていくという流れが生まれつつあります。時代に合わせて採用のチャネルも大きく変化しているからこそ、つながりを活かして素敵な方々に入社していただけるような世界線を、皆様と一緒に創っていけたら嬉しいです。
ライトニングトーク①:ウイングアーク1st株式会社
欠員補充型でエージェント頼りだった従来の採用活動を変革
南さん:ウイングアーク1stの従来の中途採用活動は、欠員補充型でその6割程度は人材紹介会社(エージェント)に頼っている状況でした。2022年に発表した、2027年に向けた中期経営方針に基づき「事業を直接的に伸ばすための採用をすること」が方針として固まり、欠員補充型の採用だけではなく、市場のトップタレントにもアプローチして優秀な人材をより多く獲得していく採用へとシフトしました。
それに伴い、人材獲得競争が激化するなかで優秀な人材を獲得するには、戦略的に採用活動を行っていく必要があるという背景から、元々人事部の一部だった採用部門を専門部隊として切り出し、採用広報もミッションとして担う「Talent Attraction & Acquisition部」を組成しました。
当組織では「採用における独自価値を最大化し、採用市場において圧倒的に魅力のある企業になる」ことをミッションに掲げています。ミッション実現のために採用力を5つ(出会う力、つかむ力、口説く力、高める力、広める力)の要素に分類し、各要素を強化する取り組みを実施しています。
また、その取り組みの先に何があるのかを定義するようにしました。
採用においてどういう状態が理想であるか考えたときに、最終的には「外部依存ではなく自社タレントプールを構築し、そのプールから採用できる状態」にしていきたいと思い、採用活動にマーケティングの考えを取り入れるようにしました。
マーケティングファネルに沿った採用活動
南さん:実際、現在もマーケティングファネルに沿った採用活動を行っており、無関心の状態から認知・興味・応募へつなげるために、イベントの開催やSNS・オウンドメディアを活用しています。ただ、ここで感じたのは「興味喚起と応募の間には大きなキャズムがある」ということです。一般的にも、接点を持つことや興味喚起に成功したとしても、その9割以上が応募前で離脱すると言われています。
このキャズムを埋めるために、MyTalentを使って応募へつなげる取り組みを開始しました。
具体的には、MyTalentのキャリア登録機能を活用しています。何か具体的なポジションに興味あるわけではなく、カジュアル面談をしたいという温度感でもないけれども、企業に関する情報は知りたいという方をプールし、つながりを保持できる機能です。
ウイングアーク1stでは、興味を持ってもらうための取り組みとして、採用広報ブログでの情報発信を行っていました。昨年4月から現在に至るまで、毎週欠かさず記事を投稿することで、候補者様向けのコンテンツを担保しています。こういった記事を見て興味は湧いたものの、応募に至らない方々をいかに拾えるかが重要だと思っています。MyTalentのキャリア登録機能は、この役割を果たしてくれるものでした。
こういった様々な取り組みにより、現在はエージェント比率を5割以下に抑えられています。少しずつ「外部依存ではなく、自社タレントプールを構築し、そのプールから採用できる」という理想の状態に近づいていると感じます。
採用ブランディングや人事データの可視化へ
南さん:今後取り組みたいことは、現在行っているイベントの開催やオウンドメディアの運用等の採用ブランディング施策を連動させていくことです。
また、我々の提供しているサービスはデータの可視化や分析を得意としているので、自社プロダクトを用いて、人事データの可視化や分析を行いたいです。可視化したデータを用いた戦略の実現や、人的資本経営に寄与できるような形で進めていければと思っています。
ライトニングトーク②:ブライザ株式会社
顧客の開発に資する技術力を提供できるようなタレントの採用を
中村さん:我々の採用方針としては「顧客の開発に資する技術力を提供できるタレントを獲得すること」と「仕事を通して技術者としての成長を目指していくこと」です。会社の持続的な成長のために優秀な人材を獲得することを目的に採用活動を行うのが、我々採用チームのテーマになっています。このテーマを掲げ、本格的に採用し始めて3年目ですが、少しずつ数字を増やすことができている感覚があります。
24年度は新卒・中途含め、より採用を強化していく計画となっており、優秀な人材を獲得していきたい一方で、少子高齢化による人材獲得競争が激化している状況です。
既存の採用手法に頼っていては、安定性がないと感じていました。
こういった背景から、自社採用力を強化していく取り組みへシフトすることにしました。
自社を「第一想起」してもらえる状態を目指す
中村さん:自社採用力を強化すると考えたときに、自然発生的に起こっていたリファラルや過去辞退者への声掛けを、より戦略的に促進できると良いと思い、MyReferやMyTalentの活用した転職潜在層へのアプローチを開始するに至りました。現在、少しでも有効な採用手法を増やすべく、地道に取り組んでいるところです。
こういった取り組みの背景には、転職する際にまずブライザを思い出す状態にしていきたいという想いがあります。
タレントプールを活用して、自社にマッチした優秀な人材と継続的につながりを持つ仕組みを構築することで、自社が第一想起される状態を作ることができるのではないかと思っています。
タレントプールを活用し、候補者の属性に合わせたナーチャリングを実施
中村さん:優秀な人材と継続的につながりを持つ仕組みを構築するために、MyTalentを活用して過去の選考辞退者や退職者の方をプールしています。これまで採用活動に力をいれて取り組んできたということもあり、タレントプールの登録者数は650名を突破しています。
プールした候補者の方々を「何経由の応募であるか」「過去の応募求人」などをもとにカテゴライズし、そのカテゴリに合わせてスカウトやコンテンツの配信を行っています。
実際、タレントプールの構築や候補者へのナーチャリング方法の工夫により、先月タレントプール経由で1名の内定を出すことができました。
今後は、「ブライザが良い会社である」ということに気付いていただけるような施策を講じていこうと思っています。求人などをきっかけにブライザを認知してくれた方は、どのような会社なのかを知るためにホームページやオウンドメディアを訪れるのではないかと思います。こういった候補者の方々に対して情報発信をすることで、意向醸成や応募への遷移を促していきたいです。
交流会
ライトニングトークの後は、TalentXのカスタマーサクセスも交えた交流会が実施されました。登壇企業への質問や各企業のMyTalentの活用方法、採用における取り組みなど様々な話題で盛り上がっていました。
今回は業種や規模が近い企業に絞って招待されており、かつクローズドな場であるからこそ共有できる、リアルな悩みや各社の取り組みについてお話をされている方が多い印象でした。
- 他社様の事例はもちろん、人事の在り方などについてもお話を聞けて刺激になった。
- 同じような悩みを抱えている他社様が、どのように解決されたのかリアルなお話を聞けて良かった。
- 他社様の事例を知ることで、自社に足りていない部分や取り組むべきことが明確になった。
まとめ
今回は、株式会社TalentXによるMyTalentユーザー交流会の概要や当日の様子をご紹介しました。いかがでしたでしょうか。
本イベントを通じて、人材獲得競争が激化している今、採用の在り方を見直し変革していく必要があると改めて感じました。また、採用情報は閉ざされがちですが、このようなナレッジ共有の場があることは非常に貴重です。
既存の採用手法だけでは限界を感じ、今後採用マーケティングの考えを取り入れていこうという企業は、ぜひライトニングトークの内容等を参考にしていただければと思います。
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。