繁忙期などに、従業員に残業を指示する企業も多いでしょう。あまりに過度な残業は心身に大きな負担を与える可能性が高いため、会社としては、長時間労働が常態化している従業員に対して、面接指導を受けさせる必要があります。
ただ、労働時間がどれくらいのラインに達している従業員を対象にするのか、面接指導をスムーズに実施するためにはどのような点に注意すればよいのか、ということにお困りの担当者の方も多いかもしれません。
本記事では、長時間労働者に対して面接指導を実施する目的・必要性や、面接指導をスムーズに実施するために企業がおこなうべきこと、面接指導の対象者と基準などについて説明します。
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残業時間の削減するにも、残業時間を管理するにも、まず残業時間を可視化することが大切です。 そもそも残業時間が各従業員でどれくらいあるのかが分からなければ、削減しなければならない残業時間数や、対象の従業員が誰かが分からないためです。
現在、残業時間を正確に把握できていないなら、勤怠管理システムを導入して残業時間を可視化することをおすすめします。 具体的な残業時間数が把握できるようになったことで、残業の多い従業員とそうでない従業員を比較して長時間労働の原因をつきとめ、残業時間を削減した事例もあります。
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目次
1. 時間外労働が長い場合は産業医面談を受けさせる必要がある!
会社は就業規則や個別の労働契約によって、労働者の労働時間を定めており、そこで定められている労働時間を「所定労働時間」といいます。
また、労働基準法により「1日8時間、1週間40時間まで」という法定労働時間が設けられており、それを超えて働かせる場合はいわゆる「残業」という形になります。
残業があまりにも長時間にわたると、労働者の心身に悪影響を及ぼす可能性があるため、会社は必要に応じて、労働者に対して医師による面接指導を実施しなければなりません。
1-1. 面接指導を実施するのは産業医や医師
面接指導を実施するのは、事業場ごとに専任されている産業医・医師・産業看護師です。常時使用する労働者が50人以上の場合は、いずれかの専門家を選任しておく義務があります。産業医などを選任していない場合は、地域産業保健センターの登録医や健康診断機関の医師に面接指導を依頼しましょう。
1-2. 産業医面談はオンラインでも実施できる
基本的に面談指導は、面談室や相談室といったプライバシーが確保されている場所で実施しなければなりません。言葉だけではなく表情や雰囲気も確認する必要があるため、対面で実施するのが基本です。ただし、従業員の状況をしっかりと把握できるのであれば、オンラインで実施することもできます。
2. 残業が多い労働者に対して産業医面談を受けさせる目的
上述したように、長時間労働は労働者の心身に対して悪影響を及ぼす可能性があり、とくに脳や心臓の疾患の発症リスクが高まるとされています。
このようなの予防は、面接指導の大きな目的です。
従業員の労災認定に至った事案の多くには、長時間労働が常態化していたケースが多く見られます。
従業員が過労死などに至った場合、人材的な損失が発生するだけではなく、「長時間労働を従業員に強いていた」というような噂が横行することにより、社会的信用を失墜させてしまう可能性もあるでしょう。
ほかにも、労働基準監督署による労災認定の結果、書類送検がおこなわれたり、訴訟を起こされたりすることによって、会社名が公表されて刑事罰が科される、といったリスクも存在します。
BtoBであれBtoCであれ、そのような会社の商品やサービスは敬遠されやすくなるでしょうし、今後の採用活動に影響を及ぼす可能性も高いでしょう。
上述したようなあらゆるリスクを回避するためにも、長時間労働者に対して面接指導を受けさせる必要があるのです。
従業員に面接指導を受けさせたあとは、医師からの診断結果をもとに業務環境の改善をおこないます。現状をどのように改善すれば良いかわからないという方に向けて、当サイトでは「【残業ルールBOOK】残業時間の管理ルールと効果的な管理方法を解説!」という無料のガイドブックをご用意しました。
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2-1. 残業が多い従業員は産業医面談を拒否できる?
従業員は、産業医面談を拒否することができます。産業医による面談指導は、従業員からの申し出があった際に実施するのが基本です。会社側は残業が多い従業員に対して、面談指導を受けることを推奨することはできますが、強制することはできません。ただし、できる限り面談指導の意味や必要性を説明し、心身の健康を維持するために受けてもらうようにしましょう。
3. 残業に対する産業医面談を実施するときの流れ
面接指導をスムーズに実施するために企業がおこなうべきこととしては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 従業員自身に労働時間に関する情報を通知する
- 当該従業員に関する作業環境や労働時間などの情報を産業医に提供する
- 面接指導を実施した産業医に意見聴取をおこない、必要と認める場合は適切な事後措置を実施する
それぞれについて、詳しく説明します。
3‐1. 従業員自身に労働時間に関する情報を通知する
長時間労働が続いていると、従業員が自分自身の置かれている状況を適切に認識することが、困難になることも考えられます。
そのため、従業員自身に労働時間に関する情報を通知することは、非常に重要です。
とくに「1カ月あたりの残業・休日出勤の時間が80時間を超える」というのは、産業医面談を受けるべきひとつの目安となるので、必ず通知することを心がけましょう。
3-2. 当該従業員に関する作業環境や労働時間などの情報を産業医に提供する
産業医が適切に判断を下すためには、面談の対象となる従業員に関する情報をきちんと把握しておく必要があります。
そのため、産業医に対して従業員の作業環境や労働時間、休日出勤の日数などの情報を提供しなければなりません。
3-3. 面接指導を実施した産業医に意見聴取をおこない、必要と認める場合は適切な事後措置を実施する
産業医面談は、長時間労働によって従業員の心身に負担がかかりすぎることを避けるために必要な措置です。
ただし、産業医面談は目的ではなくてあくまでも手段であり、産業医面談を経てその後の労働環境が改善されなければなりません。
産業医に意見聴取をおこない、必要と認める場合は適切な事後措置を実施することで、従業員のワークライフバランスの改善にもつながりますし、今後必要であれば産業医面談を受けようと判断する従業員も増えるでしょう。
4. 残業に対する産業医面談が必要となる基準
上述したように、「1カ月あたりの残業・休日出勤の時間が80時間を超える」というのは、面接指導を受けるべきひとつのラインです。
ただし、雇用形態によって働き方が違うようなケースもあるので、すべての従業員にこの基準を適用すればよいというわけでもありません。
面接指導の対象者と基準に関しては、以下に挙げるようなケースに当てはまるかどうかで考えるとよいでしょう。
- 月80時間超の時間外・休日労働をおこない、疲労の蓄積が認められて面接指導を申し出た
- 研究開発業務従事者は、上述した条件に加えて、月100時間を超える時間外・休日労働をおこなった
- 高度プロフェッショナル制度適用者は、1週間あたりの健康管理時間(*)が40時間を超えた場合、その超えた時間について月100時間を超えておこなった
(*)職場にいた時間 + 職場外で労働した時間
以下、それぞれのケースについて詳しく解説します。
4-1. 残業が月80時間を超えた場合の産業医面談
2019年4月の法改正により、「月100時間」という基準が「月80時間」に引き下げられました。時間外・休日労働が月80時間を超えている従業員に対しては、本人からの申し出に応じて産業医面談を実施しましょう。ただし、本人からの申し出がない場合でも、健康への配慮が必要な従業員に対しては、産業医面談を受けさせる努力義務があります。
4-2. 残業が月100時間を超えた研究開発業務従事者の産業医面談
研究開発業務従事者に対しては、時間外・休日労働が月100時間を超えた場合に産業医面談を受けさせる必要があります。本人からの申し出がなくても実施する必要があり、受けさせない場合の罰則もあるため注意しましょう。
また、時間外・休日労働が月80時間を超えており、疲労の蓄積が認められる場合は、本人の申し出に応じて産業医面談を実施する必要があります。
4-3. 高度プロフェッショナル制度適用者に対する産業医面談
高度プロフェッショナル制度適用者に対しては、健康管理時間が40時間を超えた場合、その時間が月100時間を超えているときに、産業医面談を実施する必要があります。健康管理時間とは、事業場内で働いた時間と事業場外で働いた時間の合計です。本人の申し出がなくても産業医面談を実施する必要があるため注意しましょう。
5. 残業に対する産業医面談を実施して従業員の健康を維持しよう!
長時間労働の常態化は、従業員の心身に大きな負担を及ぼす可能性が高いです。
また、長時間労働によって従業員が過労死などに至った場合、企業としても人的損失が発生するだけでなく、社会的信用の失墜や採用活動への影響など、さまざまな方面でのリスクが考えられます。
従業員と企業の双方を守るために、長時間労働をおこなっている従業員に対しては、適切なタイミングで産業医面談を実施することを心がけましょう。
残業時間の削減するにも、残業時間を管理するにも、まず残業時間を可視化することが大切です。 そもそも残業時間が各従業員でどれくらいあるのかが分からなければ、削減しなければならない残業時間数や、対象の従業員が誰かが分からないためです。
現在、残業時間を正確に把握できていないなら、勤怠管理システムを導入して残業時間を可視化することをおすすめします。 具体的な残業時間数が把握できるようになったことで、残業の多い従業員とそうでない従業員を比較して長時間労働の原因をつきとめ、残業時間を削減した事例もあります。
「システムで実際に効果があるのか知りたい」「システムではどう管理するのか知りたい」という方に向け、当サイトでは勤怠管理システム「ジンジャー勤怠」を例に、システムでは残業管理をどのように行えるかをまとめた資料を無料で配布しておりますので、ぜひダウンロードしてご確認ください。