賞与に対する所得税率の求め方や計算方法を詳しく解説 |HR NOTE

賞与に対する所得税率の求め方や計算方法を詳しく解説 |HR NOTE

賞与に対する所得税率の求め方や計算方法を詳しく解説

  • 労務
  • 給与計算

ボーナスのカード賞与は臨時の支給金であり、毎月の給与とは違った方法で所得税を計算します。天引きする項目や所得税率の求め方も異なるため、計算の際には注意しましょう。

今回は、賞与から天引きされる項目や所得税率の求め方、所得税の計算方法について詳しく解説します。

関連記事:給与計算時の所得税の計算方法とは?源泉所得税や控除についても解説

【税金計算のミスという不安から解放されたい方へ】

給与計算業務は税務リスクや労務リスクと隣り合わせであるため、

・税額が合っているか不安
・税率を正しく計上できているか不安
・自社に合った税金計算方法(システム導入?代行依頼?)がわからない

というような悩みをお持ちのご担当者様は多いと思います。

そのような方に向け、当サイトでは所得税と住民税の正しい計算方法、税金計算時によく起きるミスとその対策をまとめた資料を無料で配布しております。

本資料にて、税金計算のミスを減らしたり、効率化が図れる給与計算システムの解説もあるので、税金計算をミスなく効率的に行いたいという方は、「所得・住民税 給与計算マニュアル」をダウンロードしてご覧ください。

税金計算ebook

ダウンロード

【社労士監修】HR関連法改正トレンドBOOK 2024年版

2023年は一部企業を対象に人的資本開示が義務化されたほか、HR関連での法改正に動きが見られました。
2024年では新たな制度の適用や既存のルールの変更・拡大がおこなわれます。
人事担当者として知っておきたいHR関連の法改正に関する情報ですが、その範囲は幅広く、忙しい業務の中でなかなか網羅的に把握することは難しいのではないでしょうか。

  • 忙しい中でも要点をまとめて情報収集をしたい
  • 社労士が監修した正確な情報を知りたい
  • HR関連の法改正を把握しておきたい

という方はぜひご確認ください!

1. 賞与から天引きされる所得税や保険料

積み木のTAX

賞与から天引きされる所得税や保険料は、以下の通りです。

  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 介護保険料(40歳以上の場合)
  • 所得税および復興特別所得税

なお、住民税は前年の総所得から算出した税額を、月々の給与から天引きします。賞与からは天引きしないと覚えておきましょう。以下、それぞれの保険料の計算方法について解説します。

1-1. 健康保険料

医療保険の財源となる健康保険料の計算式は「標準賞与額×健康保険料率÷2」です。標準賞与額とは、賞与支給額から1,000円未満を切り捨てした金額のことです。[注1]
たとえば、賞与支給額が60万8,320円の場合、標準賞与額は60万8,000円です。

標準賞与額がわかったら、健康保険料率を確認します。健康保険料率は「協会けんぽ」のホームページに記載されています。都道府県によって利率が異なるので、ホームページ内にある保険料額表を確認してから計算してください。

なお、健康保険料は会社と折半するため、最後に2で割る必要があります。

[注1]厚生年金保険の保険料(3.標準賞与額)|日本年金機構

1-2. 介護保険料(40歳以上の場合)

40歳以上の従業員の場合は、介護保険料の天引きが必要です。「標準賞与額×介護保険料率÷2」の計算式で求められ、介護保険料率は毎年変動します。健康保険料と同様、協会けんぽで介護保険料率を確認してから計算しましょう。[注2]

[注2]協会けんぽの介護保険料率について|全国健康保険協会

1-3. 厚生年金保険料

厚生年金保険料は、老齢年金や障害年金などの財源になるものです。「標準賞与額×厚生年金保険料率÷2」で計算します。健康保険料と同様、負担額は会社と折半のため、最後に2で割ります。厚生年金保険料率は一律18.3%です。[注3]

[注3]厚生年金保険料額表|日本年金機構

1-4. 雇用保険料

失業手当をはじめとした給付金の財源となる雇用保険料は「賞与支給額×雇用保険料率」で算出します。これまでの保険料と異なり、賞与支給額そのものを計算に利用するので、誤らないよう気をつけてください。

雇用保険料率は、年度や事業内容によって異なります。令和6年度(令和6年4月1日〜令和7年3月31日)の雇用保険料率は以下の通りです。[注4]

事業の種類 4月1日〜3月31日の労働者負担率
一般事業 0.6%
農林水産業・清酒製造事業 0.7%
建設業 0.7%

[注4]令和6年度の雇用保険料率について|厚生労働省

関連記事:雇用保険料の計算方法は?雇用保険の目的や最新の会社負担額を解説

1-5. 所得税および復興特別所得税

所得税は、個人の所得に対してかかる税金です。1年間の所得から所得控除を差し引いた所得に税率が適用されます。

所得税は、所得が多くなるにつれて税額が上がる仕組みです。また扶養人数や医療費、保険料などによって控除金額が変動します。

復興特別所得税は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の被災地復興を目的とした税金です。所得税額の約2.1%が、復興特別所得税額となります。

復興特別所得税は、制度の特質上、課税対象期間が2013年1月1日から2037年12月31日までに限定されています。

2. 賞与に対する所得税率

パーセントを浮かべる

賞与に対する所得税率を確定するには「賞与に対する源泉徴収税額の算出率表」を使用します。表を使用するには、以下2つの情報が必要です。

  • 前月の給与総支給額から社会保険料(健康保険料や介護保険料などの総称)を差し引いた金額
  • 扶養人数

まずは、前月の給与総支給額から社会保険料を差し引いてください。たとえば前月の給与総支給額が30万円、社会保険料が5万円の場合「30万円-5万円=25万円」です。扶養人数が1人だと仮定して、25万円の数値と重なる位置を算出率表で確認します。今回の場合、所得税率は「4.084%」だとわかります。

以下は賞与に対する源泉徴収税額の算出率表の一部です。[注5]

所得税率 扶養人数0人 扶養人数1人 扶養人数2人 扶養人数3人
0.000% 6万8,000円未満 9万4,000円未満 13万3,000円未満 17万1,000円未満
2.042% 6万8,000円以上7万9,000円未満 9万4,000円以上
24万3,000円未満
13万3,000円以上26万9,000円未満 17万1,000円以上29万5,000円未満
4.084% 7万9,000円以上25万2,000円未満 24万3,000円以上28万2,000円未満 26万9,000円以上31万2,000円未満 29万5,000円以上34万5,000円未満
6.126% 25万2,000円以上30万円未満 28万2,000円以上33万8,000円未満 31万2,000円以上36万9,000円未満 34万5,000円以上39万8,000円未満
8.168% 30万円以上33万4,000円未満 33万8,000円以上36万5,000円未満 36万9,000円以上39万3,000円未満 39万8,000円以上41万7,000円未満

このように、社会保険料を差し引いた賞与額や扶養人数によって、所得税率が変動します。

[注5]賞与に対する源泉徴収額の算出率の表(令和6年分)|国税庁

3. 賞与に対する所得税の計算方法

電卓 ボーナスが表示されている

賞与に対する所得税額を計算する手順は、次の通りです。

  1. 前月の給与総支給額から社会保険料を差し引いて課税所得額を求める
  2. 課税所得額と扶養人数から所得税率を求める
  3. 課税所得額と所得税率を乗じて所得税を求める

以下、計算例を挙げながら解説します。

3-1. 前月の給与総支給額から社会保険料を差し引いて課税所得額を求める

課税所得額は、給与総額から社会保険料等控除を差し引いて求められます。賞与の計算に利用するのは、前月の給与総支給額です。前月の給与支給額が40万円、社会保険料が8万円の場合は、課税所得額は32万円です。

3-2. 課税所得額と扶養人数から所得税率を確認する

次に、課税所得額と扶養人数をもとに所得税率を確認します。「賞与に対する源泉徴収税額の算出率表」を見ながら、当てはまる場所をチェックしてください。課税所得額が32万円、扶養人数が2人と仮定した場合だと、所得税率は「6.126%」です。[注5]

所得税率は従業員ごとに異なるので、計算の都度「賞与に対する源泉徴収税額の算出率表」を確認しましょう。

[注5]賞与に対する源泉徴収額の算出率の表(令和6年分)|国税庁

3-3. 課税所得額と所得税率を乗じて所得税を求める

最後に1と2で求めた課税所得額と所得税率を乗じます。今回は課税所得額が32万円、所得税率が6.126%のため「32万円×6.126%=1万9,603円(小数点以下切り捨て)」と計算されます。賞与支給額から源泉徴収する所得税額は、1万9,603円です。

3-4. 前月に給与支給がなかった従業員の所得税額の求め方

手順1において、前月の給与総支給額から所得税率・所得税額を求めると説明しました。しかし、なかには前月の給与支給がない方もいるでしょう。この場合は「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」をもとに所得税を計算します。

まず、賞与支給額から社会保険料を差し引き、賞与の計算期間の月数で割りましょう。

半年に1回の賞与支給の場合は「(賞与支給額-社会保険料)÷6」です。もし半年を超える場合は12で割ります。[注6]
たとえば、賞与額が100万円、社会保険料20万円だとすると、以下の計算になります。

(100万円-20万円)÷6=13万3,333円(小数点以下は切り捨て)

次に「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」の中から算出された金額に当てはまる税額を探します。13万3,333円で扶養人数が1人の場合は、840円です。[注7]
これは1カ月分の税額なので、×6をすると賞与の所得税額を求められます。

840円×6=5,040円

賞与支給額100万円、社会保険料20万円で扶養人数が1人の場合の賞与にかかる所得税額は、5,040円だとわかります。

[注6]No.2523 賞与に対する源泉徴収|国税庁

[注7]給与所得の源泉徴収税額表(令和6年分)|国税庁

4. 賞与に対する所得税が高くなることもある?

賞与に対する所得税が高くなることはあり得ます。

残業や昇給などで前月の給与額が上がっている場合、賞与の所得税は高くなるでしょう。賞与の所得税は、前月の社会保険料控除の金額と扶養人数によって決まるからです。

ただし、所得税は年収によって最終的な合計額が決まります。そのため、払いすぎた分は年末調整で還付されるケースも多いです。

5. 賞与に対する所得税の計算を効率化するツール

賞与に対する所得税の計算は、エクセルや給与計算ソフトを使うことで、ミスを減らして効率化できます。

5-1. エクセル

計算式が使用できるエクセルは、賞与に対する所得税を計算する際に役立ちます。

計算式を入力したフォーマットを用意すれば、あとは賞与額を入力するだけで、毎回計算をおこなう必要はありません。

ただし、フォーマットとして使用する計算式の設定にはミスが許されません。スキルを持った担当者がいない場合は、給与計算ソフトを使ったほうが無難でしょう。

5-2. 給与計算ソフト

給与計算ソフトはフォーマット作成の手間が不要であるため、誰でもすぐに使い始めることができます。他の業務ソフトとの連携も可能なものが多いため、業務効率化の強い味方にもなるのもメリットです。

6. 賞与に対する所得税率の計算方法を知って正しく天引きしよう!

電卓で計算する女性

賞与に対する所得税率を求める場合は、最初に賞与から社会保険料を差し引き、課税対象額を求めましょう。計算後は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率表」の中から課税対象額と扶養人数が重なる箇所の所得税率を確認します。
従業員によって賞与額や扶養人数が異なるため、所得税率も差があるのが通常です。ミスを防ぐためにも、処理の都度「賞与に対する源泉徴収税額の算出率表」から所得税率を確認し、計算をおこないましょう。

【税金計算のミスという不安から解放されたい方へ】

給与計算業務は税務リスクや労務リスクと隣り合わせであるため、

・税額が合っているか不安
・税率を正しく計上できているか不安
・自社に合った税金計算方法(システム導入?代行依頼?)がわからない

というような悩みをお持ちのご担当者様は多いと思います。

そのような方に向け、当サイトでは所得税と住民税の正しい計算方法、税金計算時によく起きるミスとその対策をまとめた資料を無料で配布しております。

本資料にて、税金計算のミスを減らしたり、効率化が図れる給与計算システムの解説もあるので、税金計算をミスなく効率的に行いたいという方は、「所得・住民税 給与計算マニュアル」をダウンロードしてご覧ください。

税金計算ebook

ダウンロード

--------------------

\【2024年最新版】HR関連法改正トレンドBOOK/

▼無料ダウンロードはこちら▼
https://hrnote.jp/document/?did=148030

人事業務に役立つ最新情報をお届け!メールマガジン登録(無料)

HR NOTEメールマガジンでは、人事/HRの担当者として知っておきたい各社の取組事例やリリース情報、最新Newsから今すぐ使える実践ノウハウまで毎日配信しています。

メルマガのイメージ

関連記事

退職金は年末調整の対象に含まれる?退職所得の計算方法や確定申告が必要なケースを解説

退職金は年末調整の対象に含まれる?退職所得の計算方法や確定申告が必要なケースを解説

退職金は年末調整の対象となる所得には含まれませんが、所得税の課税対象ではあります。当記事では、なぜ退職金が年末調整の対象にならないのか、退職金に対する所得税の課税金額の計算方法、そして、退職金に対して確定申告が必要になる […]

  • 労務
  • 給与計算
2024.04.19
HR NOTE 編集部
サイレント退職、なぜ起こる?仕組みと予防策を解説|Smart相談室 伊禮 武彦

サイレント退職、なぜ起こる?仕組みと予防策を解説|Smart相談室 伊禮 武彦

こんにちは。株式会社Smart相談室の伊禮武彦と申します。法人向けオンラインカウンセリングサービス「Smart相談室」の運営、ビジネス部門の統括責任者を担当しています。 今回はクライアント様よりよくご相談を頂くサイレント […]

  • 労務
  • リスクマネジメント
2024.04.19
金井一真
ワークフローシステムの機能一覧!基本から便利機能まで解説

ワークフローシステムの機能一覧!基本から便利機能まで解説

近年では、ワークフローシステムが注目されています。システムを導入することで、紙の申請書を使うデメリットが解消できるため、業務負担の軽減が期待できます。ワークフローシステムには、さまざまな機能があります。当記事では、ワークフローシステムの機能について詳しく紹介します。ワークフローシステムの機能について興味がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

  • 労務
  • 労務・その他
2024.04.08
HR NOTE 編集部
法定労働時間の意味や上限を超えないためのポイントを解説

法定労働時間の意味や上限を超えないためのポイントを解説

法定労働時間とは1日8時間、週40時間であり、これを超える労働時間数に対しては割増賃金の支給が必要です。ただし、近年導入が進むフレックス制度をはじめとする複数の労働制度では、上記の条件とは少し異なる場合もあります。本記事 […]

  • 労務
  • 勤怠管理
2024.03.29
HR NOTE 編集部
通らない稟議書に共通する特徴やうまく通すコツを徹底解説

通らない稟議書に共通する特徴やうまく通すコツを徹底解説

稟議書が通りやすい人と、通りにくい人では書き方に大きな違いがあります。 どうしても通したい稟議がある場合は、読み手のことを考えた構成や文章にすることが大切です。本記事では通らない稟議書に共通する原因や、稟議書が通すコツな […]

  • 労務
  • 労務・その他
2024.03.28
HR NOTE 編集部

人事注目のタグ