近年、働き方改革の一環として、残業を減らすことを目的に「ノー残業デー」を導入する企業が増えてきました。ノー残業デーを導入する際には、そのメリットとデメリットの両方を理解しておく必要があります。
本記事では、ノー残業デーのメリットとデメリット、さらに効果的に導入する方法について解説します。
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残業時間の削減するにも、残業時間を管理するにも、まず残業時間を可視化することが大切です。 そもそも残業時間が各従業員でどれくらいあるのかが分からなければ、削減しなければならない残業時間数や、対象の従業員が誰かが分からないためです。
現在、残業時間を正確に把握できていないなら、勤怠管理システムを導入して残業時間を可視化することをおすすめします。 具体的な残業時間数が把握できるようになったことで、残業の多い従業員とそうでない従業員を比較して長時間労働の原因をつきとめ、残業時間を削減した事例もあります。
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目次
1. 「ノー残業デー」とは
ノー残業デーとは、企業が特定の日を残業しない日として設定し、従業員に対し定時で退社するよう指導する取り組みのことです。
高度経済成長期には、多くの人が夜遅くまで残業するのが一般的であり、その風潮が現在までずっと続いてきました。
しかし、長時間の残業により、うつ病や過労死などが社会問題化し、残業を減らすことが企業にとっても重要な課題になっています。
こうした背景から、ノー残業デーを導入し、1週間のうち特定の日は残業せずに帰宅することを推奨する企業が増えてきているのです。
1-1. ノー残業デーの目的
ノー残業デーには、残業をさせないということ以外にもいくつかの目的があります。
企業がノー残業デーを設定する場合には、この目的を達成できるかどうかを考慮しつつ導入を検討すべきでしょう。
1つ目の目的は、従業員が仕事以外の時間を充実させることです。
ワークライフバランスが重視される時代となり、柔軟で多様な働き方を求める人が増加しました。仕事とプライベートを両方充実させることが労働者にとってよいという認識が広まりつつあり、自分の趣味をしたり、家族と時間を過ごしたりするためにノー残業デーを設ける企業が多くなっています。
2つ目の目的は、業務の効率化を促すことです。
残業できることが分かっていると、ダラダラと仕事をしてもよいと考える従業員は少なくありません。
就業時間内に仕事が終わらなくても問題ないと考えたり、そもそも残業時間があることを見越してペース配分をしたりしている従業員もいるでしょう。
しかし、ノー残業デーを設けると、就業時間内に割り当てられた仕事を終えなければならないため、業務を効率よくおこなわざるを得ません。
結果として、従業員一人ひとりが効率化を意識し、業務全体が効率よく処理されることになるでしょう。
3つ目の目的は、従業員の健康の向上です。
残業が増えれば、従業員の休息の時間が少なくなり、健康を害する従業員が出てくる恐れがあります。厚生労働省は、時間外労働の労働時間と脳や心臓などの疾患の発生率には相関があるとしています。[注1]
ノー残業デーによって、特定の日に休息が取れることが分かっていることも従業員の健康に資するものとなります。
[注1]過重労働による健康障害を防ぐために|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
4つ目は時間外労働の上限規制への対策です。
2019年の働き方改革関連法案の施行により、残業時間には上限規制が設けられました。企業は、従業員の心身の健康や、社会的イメージの低下を防止するために、残業時間を法律に即した適切な時間に管理する必要があります。
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2. ノー残業デーのメリット
ノー残業デーを導入することにはいくつかのメリットがあります。ノー残業デーというと、従業員にだけメリットがあるように思えますが、実際には企業にもメリットがあるのです。
ではノー残業デーのメリットについて見ていきましょう。
2-1. 従業員のメリット3つ
①プライベートの充実
ノー残業デーが従業員にもたらすメリットとして挙げられるのが、プライベートの充実です。
ノー残業デーの目的でもありますが、残業を減らしてより多くの時間を趣味に充てたり、家族と過ごす時間が増えたりすれば、従業員がリフレッシュする時間が多くなるので仕事に前向きに取り組めるようになります。
副業ができる会社であれば、従業員が副業をして収入を増やせるようになるかもしれません。
さらに、ノー残業デーによって、スキルアップや資格取得の時間を確保できるメリットもあります。残業に追われていると、仕事に役立つ資格を取得したり、スキルアップをしたりする時間を取ることができません。
しかしノー残業デーがあれば、週に1日もしくは数日、時間を取り分けて勉強に充てることができるでしょう。
②心身の健康
ノー残業デーで、通常より帰宅が早くなることは、従業員の疲労やストレスの緩和に繋がります。睡眠や食事を意識する余力が生まれることで、心身の健康を維持できる可能性が高まります。
③日頃の業務の効率化
加えてノー残業デーによって、業務を効率よくおこなう意識が芽生えます。
業務の効率化が実現できれば、ノー残業デー以外の日も早く仕事を終わらせることができたり、より多くの仕事をこなせるようになったりするかもしれません。
2-2. 企業のメリット2つ
ノー残業デーが企業にもたらすメリットもいくつかあります。
①コストの削減
まずは、人件費の削減です。
ノー残業デーでは、従業員すべてが定時に帰宅することになるので、残業代が発生しません。週に1日のノー残業デーであっても、1ヶ月で4日分から5日分の残業代がカットされることになります。
また、従業員が残業をしない分のオフィスの光熱費も削減できます。
②優秀な人材の確保
ノー残業デーによってワークライフバランスを重視している企業であることが分かれば、優秀な人材が集まってきたり、今いる人材の流出を防いだりできる可能性があるでしょう。
3. ノー残業デーのデメリット
ノー残業デーは多くのメリットがありますが、導入に際してはデメリットについても知っておかなければなりません。
デメリットも、従業員側と企業側両方にあるので、ご紹介します。
3-1. 従業員のデメリット2つ
①他の日にしわ寄せがいく可能性がある
ノー残業デーの導入によるデメリットとして、他の日の残業が増えることが挙げられます。
ノー残業デーが形だけ導入されている企業の場合、従業員は業務を効率よく終わらせるのではなく、翌日以降に持ち越そうとします。
すると、ノー残業デーの翌日は持ち越した分の仕事をこなさなければならないので、より多くの残業をしなければなりません。
結局1週間の残業時間のトータルが変わらないパターンです。
②収入面で不満が生まれる可能性がある
さらに、残業が少なくなると残業代が減り、収入が減ることに不満を持つ従業員もいます。このような場合には、ノー残業デーと同時に、資格手当など、従業員の能力スキルを評価する方法を取ることでこの不満を緩和する方法もあります。
3-2. 企業のデメリット2つ
①顧客対応が遅れる可能性
ノー残業デーが浸透すると、ノー残業デーの終業後の顧客対応に不備が出る恐れがあります。
ノー残業デーについては、社内だけでなく取引先などにも周知しておく必要があるでしょう。
②部署による差
部署ごとにノー残業デーが異なる場合には、部署間の連携が乱れる恐れがあります。
可能であれば、ノー残業デーは会社全体で統一することが望ましいでしょう。業務が滞らないように、緊急の対応者を週替わりで設けたり、部署ごとの連携ツールを設けておくことも有効です。
4. ノー残業デーを形骸化しないために取り組みたい3つの事項
ノー残業デーを設けたとしても、従業員に制度が浸透しなければ形骸化してしまいます。制度を浸透させるためには企業側が努力して取り組む必要があります。
では、ノー残業デーを浸透させる3つのポイントを見ていきましょう。
4-1. 周知を徹底する
ノー残業デーを浸透させるためには、徹底的なアナウンスが欠かせません。
そもそも残業するのが良いことだと思っている従業員もいるため、ノー残業デーには残業をしないこと、定時に帰宅することを定期的に思い起こさせましょう。
ノー残業デーの前日と当日のアナウンス、さらにポスターを貼るなどの対策がおこなえます。
4-2. 強制的に業務を終わらせる仕組みを作る
なかなかノー残業デーが浸透しない場合には、強制的に仕事を終わらせる仕組みを作ることも役立ちます。
例えば、定時になると強制的に消灯する、PCを強制的にシャットダウンするなどの方法が考えられるでしょう。
とくにPCをシャットダウンすれば、仕事を継続するのは不可能なので効果的です。
また、管理職の従業員が率先して帰宅する姿勢を部下に見せることで、制度への強制力を高めることも期待できます。
4-3. 残業しないことを評価に含める
残業しないことを人事評価に含めることも効果的な方法の一つです。
残業時間が少ないことは、業務を効率よく進めていること、管理職が効果的に仕事を割り振っている証拠です。
賞与や人事評価に反映されることが分かっていれば、ノー残業デーがより推進されるでしょう。
5. ノー残業デーは水曜日に設定する企業が多い?曜日の決め方について
ノー残業デーを設定する曜日は何曜日にしても問題ありません。
一般的には、モチベーションを下げずに、生産性高く、メリハリをもって業務に取り組んでもらおうと、週の真ん中である水曜日に設定する企業が多いようです。
あえて忙しい日に設定することで、業務の生産性を高める効果を期待する企業もありますが、ノー残業デーによって業務が滞ることはかえって従業員のモチベーションを下げる危険があるので、自社の業務状況に合わせて慎重に検討しましょう。
6. ノー残業デーは企業と従業員双方にメリットがある取り組み
ノー残業デーは従業員にも企業にもメリットがある試みの一つです。
従業員がより前向きに仕事に取り組み、効率よく仕事を終わらせるよう、ノー残業デーの周知を徹底してうまく機能するように努力を払いましょう。
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残業時間の削減するにも、残業時間を管理するにも、まず残業時間を可視化することが大切です。 そもそも残業時間が各従業員でどれくらいあるのかが分からなければ、削減しなければならない残業時間数や、対象の従業員が誰かが分からないためです。
現在、残業時間を正確に把握できていないなら、勤怠管理システムを導入して残業時間を可視化することをおすすめします。 具体的な残業時間数が把握できるようになったことで、残業の多い従業員とそうでない従業員を比較して長時間労働の原因をつきとめ、残業時間を削減した事例もあります。
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